我子わがこ)” の例文
くちしてわたし我子わがこ可愛かあいいといふことまをしたら、さぞ皆樣みなさま大笑おほわらひをあそばしましやう、それは何方どなただからとて我子わがこにくいはありませぬもの
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
モン長 なう、なさけなや、我君わがきみ! 我子わがこ追放つゐはう歎悲なげきあまりにおとろへて、つま昨夜やぜん相果あひはてました。なほ此上このうへにも老人らうじんをさいなむは如何いかなる不幸ふかうぢゃ。
我子わがこの寝て居ります側にうずくまって居ります様子、お町は薄気味悪く、熊の正面に向いまして、人間に物いうように
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
孫の顔も見られない寂しさから、新吉を我子わがこの様に可愛がった。新吉に妻を世話したのもお婆さんだった。
果樹 (新字新仮名) / 水上滝太郎(著)
室香はお吉にいてより三日目、我子わがこゆだぬるところを得て気も休まり、ここぞ天の恵み、臨終正念しょうねんたがわず、やすらかなる大往生、南無阿弥陀仏なむあみだぶつ嬌喉きょうこうすいはてを送り三重さんじゅう
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
案内いはく、秋山の人は疱瘡はうそうをおそるゝ事をおそるゝがごとし。いかんとなれば、もしはうそうするものあれば我子わがこといへども家にらせず、山に仮小屋かりこやを作りて入れおき、喰物しよくもつをはこびやしなふのみ。
然間しかるあひだかみ我子わがことなづけたり。さてこそ正哉吾勝まさやあかつとはなづけたれ。日蓮うまるべきたねをなづけて候へば、いかで我子わがこにをとるべき、有一寶珠價値三千等ういつはうしゆかちさんぜんとう無上寶聚不求自得むじやうはうしうふきうじとく釋迦如來皆是吾子等云々しやかによらいみなこれわがこうんぬん
「(源三郎)……我子わがこらん、父大臣もおわすらむ……」
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
可愛かはいい我子わがこの肉をさへむのである。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
かつ我子わがこを育てんという気のはりあればおのずから弟子にも親切あつく良い御師匠おししょう様と世に用いられてここ生計くらしの糸道も明き細いながら炊煙けむりたえせず安らかに日は送れど
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
我子わがこならば親友しんいうもとる、さなくばくびくゝらうと、乞食こじきをせうと、ゑて途上死のたれじにをしをらうとまゝぢゃ、誓文せいもん我子わがことはおもはぬわい、また何一なにひとつたりと、おのれにはれまいぞよ。
旦那さまは御浪人なすって上州の方へかしったとべえで、おうちが知んねえもんだからお尋ね申す事も出来ねえんでがんすが、あんたには乳を上げたから何だか我子わがこの様に思われて
此方こつちらうが先方さきるからうが喧嘩けんくわ相手あひてるといふことい、謝罪わび謝罪わび途方とほうやつだと我子わがこしかりつけて、長吉ちようきちがもとへあやまりにられること必定ひつぢやうなれば
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
我子わがこを飼ふぞおもしろき。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
お嬢さま真平まっぴら御免なすって下さいまし、実は悪い事は出来ないもんでございます、たちまちのうちに悪事が我子わがこに報いました、斯う覿面てきめんばちの当るというのは実に恐ろしい事でございます
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
カピ妻 (立寄りて)おゝ、おゝ! むすめよ、我子わがこよ、これ、きてたも、いてたも、其方そなたにゃると、わしも一しょににますわいの。れぞくだされ! ひとびゃ、ひとを。
女子をなごはあたりを見廻みまはしてたかわらひぬ、其身そのみかげかへりみてたかわらひぬ、殿との我良人わがをつと我子わがこ、これや何者なにものとてたかわらひぬ、まへ散亂ちりみだれたるふみをあげて、やよ殿とのいまわかれまゐらするなりとて
軒もる月 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
御腹おなかには大事の/\我子わがこではない顔見ぬ先からいとしゅうてならぬ方様かたさま紀念かたみ唐土もろこしには胎教という事さえありてゆるがせならぬ者と或夜あるよの物語りに聞しに此ありさまの口惜くちおしはらわたを断つ苦しさ。
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
我子わがこがつくる薔薇ばらはた
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
牛込軽子坂に住む飯島平左衞門とおっしゃる、お広敷番ひろしきばんの頭をお勤めになる旗下屋敷に奉公ずみを致した所、其の主人が私をば我子わがこのように可愛がってくれましたゆえ、私も身の上をあか
「殿、わが良人をつと我子わがこ、これや何者」とて高く笑ひぬ。
軒もる月 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
命を捨てゝも浪島の苗字みょうじが大切と思召おぼしめし、御老体の身の上で我子わがこを思う処から、餓死しても貴方の身を立てさせたいと思召す、それに貴方が御孝心ゆえ左様に御心配なさるのでしょう、宜しい
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
手早てばやりておわすあそばしたかととりすがりてるゝ燒野やけの雉子きゞす我子わがこならねどつながるえんとてはゝをんなこゝろよわくオヽおたかいなたかどのかなんとして此樣このやうところたづねてれましたとおろ/\なみだこゑきゝけてや膝行出いざりいづる儀右衞門ぎゑもんはくぼみしにキツとにらみてコレなに
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
今飛込んだ娘があるというから、実は自分の娘と思って慌てゝ船頭に頼んで引揚げて貰った処が、お前さんまア歳頃といい私共の娘と同じなりの小紋の紋附帯も矢張やっぱり紫繻子必定てっきり我子わがこと思いましたが
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)