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干
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ひ
ふりがな文庫
“
干
(
ひ
)” の例文
すなわち映画界で五年間の休業をしいられることは実際問題として生きながら
干
(
ひ
)
ぼしにされることと何らえらぶところはないのである。
映画界手近の問題
(新字新仮名)
/
伊丹万作
(著)
どれ、紙がないから
干
(
ひ
)
ダラにでも、ひとこと書いてあげようか。それを持って、わしの知ってるフィンランドの女のとこへ行くがいい。
雪の女王:――七つのお話からできている物語――
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
皆
(
みんな
)
血走
(
ちはし
)
ツてゐるか、
困憊
(
つかれ
)
きツた
連中
(
れんぢう
)
ばかりで、
忍諸
(
まご/″\
)
してゐたら
腮
(
あご
)
が
干
(
ひ
)
上がらうといふもんだから、
各自
(
てん/″\
)
に
油斷
(
ゆだん
)
も何もありやしない。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
「筑前。そちが予へ見せようとするのは、茄子ではあるまい、
干
(
ひ
)
ぬ
間
(
ま
)
の露でもあるまい。……そも、何を信長に味わえというのか」
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
泣き叫んでもむだなことを意識してか、それとも、恐怖と疲労のために、
干
(
ひ
)
からびた
喉
(
のど
)
が、もう声を出す力も持たなかったのか。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
ここでいつまでも云い合っていても論は
干
(
ひ
)
ねえから、今はおとなしく帰してやって、あいつの家の近所へ行ってそっと訊いて見る方がいい。
半七捕物帳:17 三河万歳
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「これこそ、ほんとに、爺さんの生涯の
功徳
(
くどく
)
といふもんだ。
藁
(
わら
)
も薪もから/\に
干
(
ひ
)
てゐるから、さぞ、よう燃えさつしやるこつたらうてば。」
野の哄笑
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
それじゃいつまでたった所で、議論が
干
(
ひ
)
ないのは当り前だろう。そこで僕が思うには、この金貨を元手にして、君が僕たちと
骨牌
(
かるた
)
をするのだ。
魔術
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その法は、
袖
(
そで
)
の中へ
生薑
(
なましょうが
)
を入れて歩くべし。ただちに治すること妙なり。薑の
干
(
ひ
)
たるときは、また生なるに取り替えるべし。
妖怪学
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
と蘆の中に池……というが、やがて
十坪
(
とつぼ
)
ばかりの
窪地
(
くぼち
)
がある。
汐
(
しお
)
が上げて来た時ばかり、水を湛えて、真水には
干
(
ひ
)
て
了
(
しま
)
う。
海の使者
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そのときすでにそれは
水嵩
(
みずかさ
)
の
満
(
み
)
ち
干
(
ひ
)
をはじめており、その水を浄めて今見るような色あいを帯び、地上における唯一のウォールデン池たること
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
そんでまた
田
(
た
)
でも
畑
(
はたけ
)
でも
引
(
ひ
)
つ
被
(
かぶ
)
つた
處
(
とこ
)
は
水
(
みづ
)
干
(
ひ
)
てから
腐
(
くさ
)
つてるもんだから
其
(
そ
)
の
臭
(
くせ
)
えことが
又
(
また
)
噺
(
はなし
)
にやなんねえや、
俺
(
お
)
ら
作物
(
さくもつ
)
ばかし
困
(
こま
)
んだと
思
(
おも
)
つたら
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
その時は彼も一生懸命に母を呼ぼうとしたが、あいにく声が
咽喉
(
のど
)
のところへ
干
(
ひ
)
からびついたようになって、どうしてもその「お
母
(
っか
)
さん」が出て来ない。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
生活のまったく絶息してしまったようなこの古い
鄙
(
ひな
)
びた小さな都会では、
干
(
ひ
)
からびたような感じのする料理を食べたり、あまりにも自分の心胸と隔絶した
蒼白い月
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
簑虫自身は眠っているのか、あるいは死んでいるのか、ともかくもこの
干
(
ひ
)
からびた簑を透して中に隠れた生命の断片を想像するのは困難なように思われた。
小さな出来事
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
この
兄神
(
あにがみ
)
のようなうそつきは、この
竹
(
たけ
)
の
葉
(
は
)
が
青
(
あお
)
くなって、やがてしおれるように、
青
(
あお
)
くなって、しおれてしまえ。この
塩
(
しお
)
が
干
(
ひ
)
からびるように
干
(
ひ
)
からびてしまえ。
春山秋山
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
降るような
真昼
(
まひる
)
の光線にあうと、両眼は脳心のほうにしゃにむに引きつけられてたまらない痛さを感じた。かわいた空気は
息気
(
いき
)
をとめるほど
喉
(
のど
)
を
干
(
ひ
)
からばした。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
大川の
満
(
み
)
ち
干
(
ひ
)
の潮がひたひたと窓近く感じられる河沿いの家を、私の心は
頻
(
しき
)
りに望んで来るのであった。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
新「後生だから、お願いだから少しでも手拭に
浸
(
ひた
)
して持って来て呉んねえ咽喉が
干
(
ひ
)
っ付きそうだから」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
沼
(
ぬま
)
の
干
(
ひ
)
てしまはないうちに
雨
(
あめ
)
はふりましたが、その
雨
(
あめ
)
のふらないうちに
雜魚
(
ざこ
)
はみんな
餓死
(
がし
)
しました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
生前のコトエが使っていたのであろうか、浅い
茶碗
(
ちゃわん
)
に茶色の水が半ば
干
(
ひ
)
からびていた。それになみなみと水をそそぐそのわきで、大石先生は
位牌
(
いはい
)
をとって胸にだいた。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
この
干
(
ひ
)
からびて血のこびりついた唇、このしゃがれた叫び声、この子供の泣き声に似たすすり泣き、この信頼の情に満ちた子供らしい、同時に絶望的な、保護を祈る哀願
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
アルキシーにはリーズの所へ行って、わたしの代わりにかの女にキッスをしてチョッキのかくしにはいっている
干
(
ひ
)
からびたばらの花を送ってもらいたいという
希望
(
きぼう
)
を書いた。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
水の
干
(
ひ
)
る時には淺瀬の石の上に並んで背中を乾かし、滿潮の中高にふくらむ水に漂つては、からだを擦りつけて泳ぎ廻つた。三田は朝晩、その二疋の龜の子を見るのを喜んだ。
大阪の宿
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
まず室の外に在る通路を見るに、泥々の洪水も全く
干
(
ひ
)
いたものと見える。ただ濃い泥の海となって、深さが膝の辺まで来る、なお熱い事は熱いけれど
火傷
(
やけど
)
するほどの熱湯では無い。
暗黒星
(新字新仮名)
/
シモン・ニューコム
(著)
しかし、そのながい沈黙は、私にとっては、何か心いちめんに張りつめていた
薄氷
(
うすらい
)
がひとりでに
干
(
ひ
)
われるような、うすら寒い、なんとも云えず切ない気もちのするものだった。……
ほととぎす
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
次郎はゆすぶられながら、
干
(
ひ
)
からびた眼を据えて、一心にお民の顔を見つめていたが
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
妹
(
いも
)
が
見
(
み
)
し
楝
(
あふち
)
の
花
(
はな
)
は
散
(
ち
)
りぬべし
我
(
わ
)
が
泣
(
な
)
く
涙
(
なみだ
)
いまだ
干
(
ひ
)
なくに 〔巻五・七九八〕 山上憶良
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
貧乏な子供のお人形さんそっくりだ。彼の
干
(
ひ
)
からびた眼が、涙でいっぱいになる。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
飢饉の上に、三日も吹雪いたら、この辺の百姓は、
干
(
ひ
)
死んでしまうだ。
飢餓地帯を歩く:――東北農村惨状報告書――
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
そのひどいお泣き方といったら、それこそ、青い山々の草木も、やかましい泣き声で泣き
枯
(
か
)
らされてしまい、川や海の水も、その火のつくような泣き声のために、すっかり
干
(
ひ
)
あがったほどでした。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
干
(
ひ
)
からびた声でぼそぼそと、弁解じみた独りごとをいい出した。
鱗粉
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
千尋ともいかでか知らん定めなく満ち
干
(
ひ
)
る潮ののどけからぬに
源氏物語:09 葵
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
君は空にさらば
磯回
(
いそわ
)
の潮とならむ月に
干
(
ひ
)
て往ぬ道もあるべき
恋衣
(新字旧仮名)
/
山川登美子
、
増田雅子
、
与謝野晶子
(著)
鉢うづむ藤の
散花
(
ちりばな
)
干
(
ひ
)
からびて手に触るるほどは音に立つめり
黒檜
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
いや、いや、濱風、むかひ風、涙なんぞは
干
(
ひ
)
てしまふ。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
「おお、咽喉がかわいて、
干
(
ひ
)
ついてしまうようじゃ」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
水溜りの水も悉く
干
(
ひ
)
て水草などは大概枯れた。
沙漠の古都
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
干
(
ひ
)
ものやくにほひにむせび
我が一九二二年:02 我が一九二二年
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
干
(
ひ
)
てはまた滿つよ朝ゆふ
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
くさやの
干
(
ひ
)
ものを五枚
我が愛する詩人の伝記
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
くさやの
干
(
ひ
)
ものを五枚
智恵子抄
(新字旧仮名)
/
高村光太郎
(著)
卯
(
う
)
ノ
下刻
(
げこく
)
(午前七時)に六波羅を出た二つの
囚人輿
(
めしゅうどごし
)
は、まだ晩秋の木々や町屋の屋根の露も
干
(
ひ
)
ぬうち、はや
蹴上
(
けあげ
)
近くにさしかかっていた。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
蒼
(
あお
)
ざめた小男は、第二の石段の上へ出た。沼の
干
(
ひ
)
たような、自然の丘を
繞
(
めぐ
)
らした、清らかな境内は、坂道の暗さに似ず、つらつらと濡れつつ
薄明
(
うすあかる
)
い。
貝の穴に河童の居る事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お
品
(
しな
)
は
庭先
(
にはさき
)
の
栗
(
くり
)
の
木
(
き
)
から
垂
(
た
)
れた
大根
(
だいこ
)
が
褐色
(
かつしよく
)
に
干
(
ひ
)
て
居
(
ゐ
)
るのを
見
(
み
)
た。おつぎも
勘次
(
かんじ
)
の
横
(
よこ
)
へ
筵
(
むしろ
)
を
敷
(
し
)
いて
又
(
また
)
大根
(
だいこ
)
を
切
(
き
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
咽
(
のど
)
はカラカラに
干
(
ひ
)
からびて、舌が石のように
干
(
ほ
)
し固まり、心臓は咽のあたりまで飛び上がってくるかと感じられた。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
が、何度見直しても、その
干
(
ひ
)
からびた唇には、確かに微笑らしい
明
(
あかる
)
みが、
漂
(
ただよ
)
っているのでございます。わたしはこの不思議な微笑に、永い
間
(
あいだ
)
見入って居りました。
報恩記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
中庭の
籐椅子
(
とういす
)
に寝て夕ばえの空にかがやく
向日葵
(
ひまわり
)
の花を見る。勢いよく咲き盛る花のかたわらにはもうしなびかかってまっ黒な大きな
芯
(
しん
)
の周囲に
干
(
ひ
)
からびた花弁をわずかにとどめたのがある。
備忘録
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
すると
兄神
(
あにがみ
)
はそのたたりで、それから八
年
(
ねん
)
の
間
(
あいだ
)
干
(
ひ
)
からびて、しおれて、
病
(
や
)
み
疲
(
つか
)
れて、さんざん
苦
(
くる
)
しい目にあいました。それですっかり
弱
(
よわ
)
りきって、
泣
(
な
)
き
泣
(
な
)
きおかあさんの
女神
(
めがみ
)
におわびをしました。
春山秋山
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
しまいには
喉
(
のど
)
が
干
(
ひ
)
からびるほど心配になってしまいました。
僕の帽子のお話
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
干
常用漢字
小6
部首:⼲
3画
“干”を含む語句
若干
欄干
幾干
乾干
干魚
干渉
射干
干乾
満干
干潮
滿干
梅干
干菓子
干鰯
干鱈
干飯
干菜
汐干狩
潮干
干城
...