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巧
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うま
ふりがな文庫
“
巧
(
うま
)” の例文
実験室の中で、一人でコツコツやっているときには、すらすらと行く実験も、大勢の人の前でやって見せると、決して
巧
(
うま
)
く行かない。
テレビの科学番組
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
逆らってもムダという理を会得するに至って逆わないのであるから、逆らえばもッと
巧
(
うま
)
くいくという理が算定できれば
逆
(
さから
)
うのである。
武者ぶるい論
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
階段を
降
(
お
)
り、階下の校舍の一部を横切り、それから二つの
扉
(
ドア
)
を音を立てないやうに
巧
(
うま
)
く
開
(
あ
)
けて、また
閉
(
し
)
めて、別の階段の所まで來た。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
小文さんも
巧
(
うま
)
いことを言つたが、それを盗まなかつた
盗賊
(
どろぼう
)
の方は、もつと目が高かつた。——それにまた
盗賊
(
どろぼう
)
は腹が空いてゐたのだ。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
斉藤平太は人数を
巧
(
うま
)
く組み合せて両方の終る日が丁度同じになるやうにやって置きましたから両方丁度同じ日にそれが終りました。
革トランク
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
▼ もっと見る
「箏の裏板へ大きな
扉
(
とびら
)
をつけて、あの開閉で、響きや、
音色
(
ねいろ
)
の具合を見ようという試みね、
巧
(
うま
)
くいってくれればようござんすね。」
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「この間の口ぶりでは、
巧
(
うま
)
く行ったら、すぐ江戸へ舞い戻るような話だったが、すると、あの仕事はとうとう
失策物
(
しくじりもの
)
になったのか」
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
貞之助は
予
(
あらかじ
)
め幸子と口を合せて置いたので、
巧
(
うま
)
い工合に言訳をしたが、それでも後の半分は正直な自分の気持を述べたのであった。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
やっと
巧
(
うま
)
く行きそうな月には、決って英国軍艦が入港し士官等の招宴を張らねばならぬようになる。召使が多過ぎる、という人もある。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
実は君の叔父さんからも
種々
(
いろ/\
)
御話が有ましたがね、叔父さんも
矢張
(
やつぱり
)
左様
(
さう
)
いふ意見なんです。何とか君、
巧
(
うま
)
い工夫はあるまいかねえ。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
というのは、最初の時自分は舞踊のあの様式に驚異したのであって、そのためにはスミルノーヴァほどの
巧
(
うま
)
さでも十分だったのである。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
巧
(
うま
)
く拵えて膏薬を貼って居て「これだから
担
(
かつ
)
げません」と云うから「
手前
(
てめえ
)
は
何
(
ど
)
のくらい力がある」「
私
(
わたくし
)
は五十人力ある」と云うと
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
あの彫りの
巧
(
うま
)
さ、刷り上げの巧さ、そういうものが重なり重なりして、あの纒まった芸術品が出来上るのですから、私は作家のみならず
浮世絵画家の肉筆:――花は霞を透してひとしおの風情があるもの――
(新字新仮名)
/
上村松園
(著)
「さあ、そこまでは聞きませんでした。なにしろ真人間じゃあねえらしいから。そこはなんとか
巧
(
うま
)
く誤魔化していたでしょうよ」
半七捕物帳:18 槍突き
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
詩も作る、ヴァイオリンも
弾
(
ひ
)
く、油絵の具も使う、役者も勤める、
歌骨牌
(
うたがるた
)
も
巧
(
うま
)
い、薩摩琵琶も出来るサア・ランスロットである。
葱
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
なるほどなるほど、味噌は
巧
(
うま
)
く板に
馴染
(
なじ
)
んでいるから
剥落
(
はくらく
)
もせず、よい工合に少し
焦
(
こ
)
げて、人の
※意
(
さんい
)
を
催
(
もよお
)
させる
香気
(
こうき
)
を発する。
野道
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
この
腹癒
(
はらい
)
せには何か
巧
(
うま
)
い口実を見付けて、手当の五十円を半分に引下げてさえしまえば、つまり二人で一人の女を抱えたという名義が立つ
夏すがた
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
……口先だけで
屁理窟
(
へりくつ
)
をこねるのがいくら
巧
(
うま
)
くたって、実行力のない人間はあるかなきかのかげろうだ。なあ。そうだろう?
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
田舎にいたおり、村の出入りを扱うことの
巧
(
うま
)
かった父親は、
自家
(
うち
)
の始末より、大きな家の世話役として役に立つ方であった。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「そうなんだが、あんなに
巧
(
うま
)
くゆくとは思っていなかった。ここで一つ君に頭を下げて置かねばならぬことがあるが……」と彼はちょっと
語
(
ことば
)
を
ゴールデン・バット事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
乃
(
そこ
)
で
種々
(
いろ/\
)
押問答
(
おしもんだふ
)
しましたが、
愛
(
あい
)
ちやんの
方
(
はう
)
でも
別段
(
べつだん
)
巧
(
うま
)
い
理屈
(
りくつ
)
も
出
(
で
)
ず、
殊
(
こと
)
に
芋蟲
(
いもむし
)
が
非常
(
ひじよう
)
に
不興
(
ふきよう
)
げに
見
(
み
)
えたので、
愛
(
あい
)
ちやんは
早速
(
さつそく
)
戻
(
もど
)
りかけました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
つまり、すべては
魂
(
たましい
)
と
魂
(
たましい
)
の
交通
(
こうつう
)
を
狙
(
ねら
)
ったもので、こればかりは
実
(
じつ
)
に
何
(
なん
)
ともいえぬほど
巧
(
うま
)
い
仕組
(
しくみ
)
になって
居
(
い
)
るのでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「アメリカの飛行機の映画だと、みんな飛行機を操縦するのが、とっても
巧
(
うま
)
いように見えるんですけどね、大暴風雨の中だって平気なんですか」
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
「何という
巧
(
うま
)
い琵琶師だろう!」——「自分達の田舎ではこんな琵琶を聴いた事がない!」——「国中に芳一のような謡い手はまたとあるまい!」
耳無芳一の話
(新字新仮名)
/
小泉八雲
(著)
文芸上の作物は
巧
(
うま
)
いにしろ
拙
(
まず
)
いにしろ、それがそれだけで完了してると云う点に於て、人生の交渉は歴史上の事柄と同じく間接だ、とか何んとか。
一利己主義者と友人との対話
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
ギゾーの古い事は言うまでもないが。ギゾーがかの
錯雑
(
さくざつ
)
した欧羅巴の歴史の事実を
巧
(
うま
)
く綾に
纂
(
あ
)
んで概括した、あの力というものは非常なものである。
今世風の教育
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
何を話したか忘れてしまったが、こんな色の
生白
(
なまっちろ
)
い若い男があんな
巧
(
うま
)
い文章を書くかと呆気に取られた外には初対面の何の印象も今は残っていない。
美妙斎美妙
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
女の事は婦人の作家が書いたならば
巧
(
うま
)
くその真相を写す事が出来るかと申すに、
従来
(
これまで
)
の処ではまだ我国の女流作家の筆にそういう様子が見えません。
産屋物語
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
実際彼女は自分の秘密を彼に知られてしまったのかといくたびか疑ったほどに、彼の冗談のあるものは
巧
(
うま
)
くあたった。
世界怪談名作集:03 スペードの女王
(新字新仮名)
/
アレクサンドル・セルゲーヴィチ・プーシキン
(著)
此処
(
ここ
)
で木曜日には特別に舞踏の
巧
(
うま
)
い
連中
(
れんぢゆう
)
許
(
ばかり
)
が踊る。其れで平生の入場料は三フラン(一円二十銭)だが、
其
(
その
)
晩に限つて六フラン取る事に
成
(
な
)
つて居る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
御常は非常に
嘘
(
うそ
)
を
吐
(
つ
)
く事の
巧
(
うま
)
い女であった。それからどんな場合でも、自分に利益があるとさえ見れば、すぐ涙を流す事の出来る重宝な女であった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「寿」という料理屋の女中で、
通人
(
つうにん
)
達にはよく知られた年増、気象の優れたのと、取廻しの
巧
(
うま
)
いので有名な女です。
銭形平次捕物控:041 三千両異変
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「速記録なら速記者を頼む方が早い。しかしそこを
巧
(
うま
)
く
塩梅
(
あんばい
)
して、ガラマサどんの精神を
如実
(
にょじつ
)
に現すのが君の腕さ」
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
竜之助の手から尺八を借りて、
節
(
ふし
)
面白
(
おもしろ
)
く越後獅子を吹き出した。なるほど自慢だけに、竜之助よりは器用で
巧
(
うま
)
いから、一座の連中はやんやと
喝采
(
かっさい
)
します。
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
彼がすっかり金を出してしまったことを、しかもあなたのために出してしまったことを、私は存じております。そのやり方は実に
巧
(
うま
)
いものだと思います。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
『これ、
武村兵曹
(
たけむらへいそう
)
、
足下
(
おまへ
)
はなか/\
薩摩琵琶
(
さつまびは
)
が
巧
(
うま
)
い
相
(
さう
)
な、
一曲
(
いつきよく
)
やらんか、やる! よし
來
(
き
)
た。』と
傍
(
かたはら
)
の
水兵
(
すいへい
)
に
命
(
めい
)
じて、
自分
(
じぶん
)
兼
(
かね
)
て
御持參
(
ごぢさん
)
の
琵琶
(
びは
)
を
取寄
(
とりよ
)
せた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「——いいなアというのは、どういうの。踊りが
巧
(
うま
)
いという意味か。それともその子がいいという意味か……」
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
それから、起重機の鎖から危くぶらさがっている
物騒
(
ぶっそう
)
な梁に、
巧
(
うま
)
く
引綱
(
ひきづな
)
をしばりつけなければならないのだ。
秋空晴れて
(新字新仮名)
/
吉田甲子太郎
(著)
太郎の顔ではないやうに見える——と
巧
(
うま
)
ければ巧いほど、何故かゲラゲラと笑つたので、彼はそれ以来母の前ではその楽器を執りあげたがらなかつたのである。
サクラの花びら
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
時たま、なかなか
巧
(
うま
)
い悲鳴をあげたり、上手な死に方を見せたりしましたが、それも瞬間だけのことでね。
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
伸縮あたかも扇様で
清水
(
きよみず
)
の舞台から傘さして飛び下りるごとく、高い処から斜に飛び下りること甚だ
巧
(
うま
)
い。
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
乳母 ほんに、
巧
(
うま
)
いことを
被言
(
おっしゃ
)
る。
事壞
(
ことこは
)
しの
爲
(
ため
)
に
出來
(
でき
)
た
人
(
ひと
)
ぢゃといの! あの、
殿方
(
とのがた
)
え、ロミオの
若樣
(
わかさま
)
には
何處
(
どこ
)
へゐたら
逢
(
あ
)
はれうかの、
御存
(
ごぞん
)
じなら
教
(
をし
)
へて
下
(
くだ
)
され。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
「よろしい。しからば拙者、府中へまかりこし、怪物の正体を見届け、
巧
(
うま
)
く行けば諸氏の敵も討ち申そう。しかし、まかり間違ったら拙者の鼻もいかがでござるか」
怪異暗闇祭
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
ラヴィニアなどはセエラのその力を大変羨ましがっていましたが、多少の反感を持って近づいて行っても、セエラの話の
巧
(
うま
)
さには、つい酔わされてしまうのでした。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
「嫌だよ、阿母さんは!………何んとか
巧
(
うま
)
く
理屈
(
りくつ
)
を何けるんだもの。」とお房は、
飜弄
(
まぜつかへ
)
すやうにいふ。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
しかし、私の見るところでは、あなたの遣り口はどうも
巧
(
うま
)
くないようですね。私ならば、もう
猶予
(
ゆうよ
)
なしに言い出してしまいますがね。こんないい機会は二度とありませんぜ。
世界怪談名作集:17 幽霊の移転
(新字新仮名)
/
フランシス・リチャード・ストックトン
(著)
言ひ換へれば、氏は
餘
(
あま
)
り
巧
(
うま
)
すぎて、人間の本當の
心理
(
しんり
)
の境を越えて
飛躍
(
ひやく
)
しすぎるのでせう。
三作家に就ての感想
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
別れた、女も別れる言うてますと
巧
(
うま
)
く親父を欺して貰うだけのものは
貰
(
もろ
)
たら、あとは廃嫡でも
灰神楽
(
はいかぐら
)
でも、その金で気楽な商売でもやって二人
末永
(
すえなご
)
う
共白髪
(
ともしらが
)
まで暮そうやないか。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
草刈童は、昔し過つて殿樣御祕藏の鶴の置物の嘴を缺いた小姓のやうに、一時は青くなつて驚きつゝ、元の通りに
嵌
(
は
)
めてみたけれど、ハンダが取れては
巧
(
うま
)
くクツ付いてゐなかつた。
太政官
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
「あったかね、だが
上包
(
うわづつみ
)
だけでは安心出来んよ。あいつらは
巧
(
うま
)
くすり変えるからね」
急行十三時間
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
巧
常用漢字
中学
部首:⼯
5画
“巧”を含む語句
巧妙
技巧
巧者
精巧
巧言
巧手
巧緻
巧拙
見巧者
機巧
老巧
口巧者
巧計
惡巧
悧巧
利巧
繊巧
巧々
悧巧者
小悧巧
...