この信者のなかで工面のよさそうな奴を奥座敷へ引き摺り込んで、どう誤魔化すのか知らねえが、多分の金を寄進させるという噂だ。
少年時代は物質上の心配、パンを稼ぐ工面、——年齢の割にあまりにも早く課せられたそんな仕事のために憂鬱なものとなっていた。
それはまあお茶番として、お笑い草で済むけれど、済まないのはこれからの、わたしの身の振り方——それから差当りの路用の工面。
しかし彼は、乾雲丸のことよりも、きょうおさよに約束した栄三郎への手切れ金五十両の工面に、はたといきづまっていたのだった。