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小走
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こばし
ふりがな文庫
“
小走
(
こばし
)” の例文
件の僧は暫したゝずみて訝しげに見送れば、焚きこめし
異香
(
いきやう
)
、吹き
來
(
く
)
る風に時ならぬ春を匂はするに、俄に
忌
(
いま
)
はしげに
顏
(
かほ
)
背
(
そむ
)
けて
小走
(
こばし
)
りに立ち去りぬ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
『それともお
湯
(
ゆ
)
へお
出
(
い
)
でなさいましてですか、お
座敷
(
ざしき
)
には
居
(
ゐ
)
らつしやいませんですよ。』と
小走
(
こばし
)
りに
跟
(
つ
)
いて
来
(
く
)
る。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
九月×日 馬の脚を自由に
制御
(
せいぎょ
)
することは確かに馬術よりも困難である。俺は今日
午休
(
ひるやす
)
み前に急ぎの用を言いつけられたから、
小走
(
こばし
)
りに
梯子段
(
はしごだん
)
を走り下りた。
馬の脚
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「おやそんぢや
俺
(
お
)
ら
家
(
ぢ
)
でも
葱
(
ねぎ
)
の
少
(
すこ
)
しもあげあんせう」
南
(
みなみ
)
の
女房
(
にようばう
)
はいつて
桑畑
(
くはばたけ
)
の
小徑
(
こみち
)
を
小走
(
こばし
)
りに
駈
(
か
)
けて
行
(
い
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
藤吉
(
とうきち
)
は、
万年青
(
おもと
)
の
葉
(
は
)
から
掃除
(
そうじ
)
の
筆
(
ふで
)
を
放
(
はな
)
すと、そのまま
萩
(
はぎ
)
の
裾
(
すそ
)
を
廻
(
まわ
)
って、
小走
(
こばし
)
りにおもてへ
出
(
で
)
て
行
(
い
)
った。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
▼ もっと見る
油断のない、気配りをしながら、一人の
仲間態
(
ちゅうげんてい
)
の男が、
麓
(
ふもと
)
から
小走
(
こばし
)
ッこく
駈
(
か
)
け上がってきた。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
このとき、
隣
(
となり
)
の
年
(
とし
)
とった
女房
(
にょうぼう
)
が、
粉雪
(
こなゆき
)
のちらちら
風
(
かぜ
)
に
舞
(
ま
)
う
中
(
なか
)
を、
前垂
(
まえだ
)
れを
頭
(
あたま
)
からかぶって
小走
(
こばし
)
りにやってきました。そして、
窓
(
まど
)
の
下
(
した
)
のすぐ
奥
(
おく
)
さまの
目
(
め
)
の
下
(
した
)
に
立
(
た
)
って、
小
(
ちい
)
さな
声
(
こえ
)
で
奥さまと女乞食
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
あたりを
構
(
かま
)
はず
橋板
(
はしいた
)
の上に
吾妻下駄
(
あづまげた
)
を
鳴
(
なら
)
す
響
(
ひゞき
)
がして、
小走
(
こばし
)
りに
突然
(
とつぜん
)
お
糸
(
いと
)
がかけ寄つた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
キャラコさんは、なつかしさに耐えられなくなって、
小走
(
こばし
)
りしながら、蘆の間へ入ってゆくと、佐伯氏は
木笛
(
フリュート
)
を吹いたまま、いつものように、すこし身をすさらせて、キャラコさんの席をつくった。
キャラコさん:03 蘆と木笛
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
そして二人は青年紳士の後を追って
小走
(
こばし
)
った。
秘密の風景画
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
打附
(
うちつけ
)
ごころ、
小走
(
こばし
)
りに
追
(
お
)
ふとはすれど
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
人人
(
ひとびと
)
の中を
脱
(
ぬ
)
けて
小走
(
こばし
)
りに
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
鮭
(
しやけ
)
さげて
小走
(
こばし
)
りの
霜夜
(新字旧仮名)
/
末吉安持
(著)
何
(
なに
)
ならんと
小走
(
こばし
)
りして
進
(
すゝ
)
み
寄
(
よ
)
りつ
一枝
(
ひとえだ
)
手折
(
たを
)
りて一
輪
(
りん
)
は
主
(
しう
)
一
輪
(
りん
)
は
我
(
わ
)
れかざして
見
(
み
)
るも
機嫌取
(
きげんと
)
りなり
互
(
たがひ
)
の
心
(
こゝろ
)
は
得
(
え
)
ぞしらず
畔道
(
あぜみち
)
づたひ
行返
(
ゆきかへ
)
りて
遊
(
あそ
)
ぶ
共
(
とも
)
なく
暮
(
くら
)
す
日
(
ひ
)
の
鳥
(
とり
)
も
寐
(
ね
)
に
歸
(
かへ
)
る
夕
(
ゆふ
)
べの
空
(
そら
)
に
行
(
ゆ
)
く
雲水
(
くもみづ
)
の
僧
(
そう
)
一人
(
ひとり
)
たゝく
月下
(
げつか
)
の
門
(
もん
)
は
何方
(
いづこ
)
ぞ
浦山
(
うらやま
)
しの
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
やと
見送
(
みを
)
くれば
見
(
み
)
かへる
笠
(
かさ
)
のはづれ
兩女
(
ふたり
)
ひとしくヲヽと
呌
(
さけ
)
びぬ
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
小走
(
こばし
)
りに駆けて来ると、道のほど一
町
(
ちょう
)
足
(
た
)
らず、
屋
(
や
)
ならび三十ばかり、
其
(
そ
)
の
山手
(
やまて
)
の方に一軒の
古家
(
ふるいえ
)
がある、
丁
(
ちょう
)
ど
其処
(
そこ
)
で、
兎
(
うさぎ
)
のやうに
刎
(
は
)
ねたはずみに、
礫
(
こいし
)
に
躓
(
つまず
)
いて
礑
(
はた
)
と倒れたのである。
処方秘箋
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
さて両国橋納涼の群集と
屋形船
(
やかたぶね
)
屋根船の
往来
(
ゆきき
)
(中巻第三図)を見て
過
(
すぐ
)
れば、第四図は新柳橋に夕立降りそそぎて、
艶
(
なまめか
)
しき女三人袖吹き払ふ雨風に傘をつぼめ
跣足
(
はだし
)
の
裾
(
すそ
)
を乱して
小走
(
こばし
)
りに急げば
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
おつぎは
白
(
しろ
)
い
襦袢
(
じゆばん
)
の
襟
(
えり
)
を
覗
(
のぞ
)
かせて、
單衣
(
ひとへ
)
の
胸
(
むね
)
をきちんと
合
(
あは
)
せて、さうして
襷
(
たすき
)
と
手刺
(
てさし
)
とで
身
(
み
)
を
堅
(
かた
)
めて、
暑
(
あつ
)
いのにも
拘
(
かゝは
)
らず
女
(
をんな
)
の
節制
(
たしなみ
)
を
失
(
うしな
)
はなかつた。おつぎは
蕎麥
(
そば
)
の
手
(
て
)
を
放
(
はな
)
して
小走
(
こばし
)
りに
驅
(
か
)
けて
行
(
い
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
とすた/\
小走
(
こばし
)
りに
駆
(
か
)
けて
来
(
き
)
て、
背後
(
うしろ
)
から
袂
(
たもと
)
を
引留
(
ひきと
)
めた、
山稼
(
やまかせ
)
ぎの
若
(
わか
)
い
男
(
をとこ
)
があつた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「
俺
(
お
)
ら
家
(
ぢ
)
にやねえが、
爺
(
ぢい
)
がな
有
(
あ
)
つたつけな、おとつゝあ」さういつておつぎは
小走
(
こばし
)
りに
卯平
(
うへい
)
の
小屋
(
こや
)
へ
行
(
い
)
つた。
先刻
(
さつき
)
まで
見
(
み
)
えなかつた
卯平
(
うへい
)
が
何處
(
どこ
)
から
歸
(
かへ
)
つて
來
(
き
)
たかむつゝりとして
獨
(
ひとり
)
で
煙管
(
きせる
)
を
噛
(
かん
)
で
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
小走
(
こばし
)
りの
下駄
(
げた
)
の音。がらりと今度こそ格子が
明
(
あ
)
いた。
妾宅
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
小
常用漢字
小1
部首:⼩
3画
走
常用漢字
小2
部首:⾛
7画
“小”で始まる語句
小
小児
小径
小鳥
小僧
小言
小路
小遣
小刀
小父