小指こゆび)” の例文
と、息切いきぎれのするまぶたさつと、めたちからはひつて、鸚鵡あうむむねしたとおもふ、くちばしもがいてけて、カツキとんだ小指こゆび一節ひとふし
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
彼女かのじょは、小指こゆびりました。そして、あかを、サフランしゅのびんのなからしました。ちょうど、まどそとは、いい月夜つきよでありました。
砂漠の町とサフラン酒 (新字新仮名) / 小川未明(著)
まもなく、小指こゆびぐらいの茶いろなかじかが、横向よこむきになって流れて来たので、ろうとしたら、うしろのほうで三郎さぶろうが、まるでうりをすするときのような声を出した。
さいかち淵 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
それがまた、のたけ二マイルもある大男から、ひとりずつじゅんじゅんに小さくなって、おしまいはわたしの小指こゆびぐらいしかない小男までがならんでいるのでした。
るといつたらうそいが、るべく喧嘩けんくわはうかちだよ、いよ/\先方さきりにたら仕方しかたい、なにいざとへば田中たなか正太郎位しようたらうぐらゐ小指こゆびさきさと、ちからいはわすれて
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
と、山姥やまうばはいって、三郎さぶろう小指こゆびをかみって、子供こどもたちのほうしました。太郎たろうがそれをひろってみると、くらくってよくかりませんけれど、なんだか人間にんげんゆびのようでした。
物のいわれ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
おひ右の小指こゆびなきはたしかなる證據なり與市白状致せと申さるゝに勘兵衞は空嘯そらうそぶき如何樣に御尋ねあるとも私し與市と申たる儀御座なく候と白状なさねばなほ海賊共にたづねらるゝに與市に相違之なくと申にぞ淡路守殿勘兵衞にむかはれ其方面體めんていの疵は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
竹童は小指こゆびつめをかんでいる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小指こゆびもてゆら/\と盪搖おしうご
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
六本指ろつぽんゆび小指こゆびひだりふたつあると、たやうなうはさをしました。何故なぜか、——地方ゐなかけて結婚期けつこんきはやいのに——二十六七までえんかないでたからです。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
イギリス海岸には、青白い凝灰質ぎょうかいしつ泥岩でいがんが、川に沿ってずいぶん広く露出ろしゅつし、その南のはじに立ちますと、北のはずれにる人は、小指こゆびの先よりもっと小さく見えました。
イギリス海岸 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
するとこうのほうのたいのはらから小指こゆびさきほどの真珠しんじゅしたのであります。
一本の釣りざお (新字新仮名) / 小川未明(著)
かへりはれいまどたゝいてと目算もくさんながら横町よこちやうまがれば、いきなりあとよりひすがるひとの、兩手りやうてかくしてしのわらひするに、れだれだとゆびでゝ、なんだおきやうさんか、小指こゆびのまむしがもの
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
自動車じどうしや引戻ひきもどし、ひらりとりるのに、わたしつゞくと、あめにぬれたくさむらに、やさしい浅黄あさぎけて、ゆら/\といたのは、手弱女たをやめ小指こゆびさきほどの折鶴をりづるせよう
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
(にやけたやつぢや、國賊こくぞくちゆう!)とこゝろよげに、小指こゆびさきほどな黒子ほくろのあるひらた小鼻こばなうごめかしたのである。ふまでもないが、のほくろはきはめて僥倖げうかうなかばひげにかくれてるので。
山の手小景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
いまも中六番町まへまち魚屋さかなやつてかへつた、家内かないはなしだが、其家そこ女房かみさんおんぶをしてる、誕生たんじやうましたばかりの嬰兒あかんぼに「みいちやん、おまつりは、——おまつりは。」とくと、小指こゆびさきほどな
祭のこと (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
母樣おつかさんまへであるから、なん見得みえも、色氣いろけもなう、鼻筋はなすぢとほつた、生際はえぎはのすつきりした、きつとして、まゆやさしい、お小姓こしやうだちのいろしろい、面長おもながなのを横顏よこがほで、——團子だんご一串ひとくし小指こゆびねて
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
確乎しつかとおさへてまくらながらかすかにわなゝく小指こゆびであつた。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)