トップ
>
宜
>
よ
ふりがな文庫
“
宜
(
よ
)” の例文
織娘の中で心掛けの善いおくのと云うが有りまして、
親父
(
おやじ
)
の
鑑識
(
めがね
)
でこれを茂之助に添わせると、
宜
(
よ
)
いことには
忽
(
たちま
)
ち子供が
出産
(
でき
)
ました。
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
貸す気がないなら貸さんでもいい、無理に借りようとはいわない。何も同情呼ばわりして逆さに蟇口を振って見せなくても
宜
(
よ
)
かろう
三十年前の島田沼南
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「何が無くとも、熱い雑炊でも進ぜよう。
先
(
ま
)
ず先ず炉端へくつろがれるが
宜
(
よ
)
い、夜が明けたら、早速麓の村まで送り届けて進ぜよう」
奇談クラブ〔戦後版〕:09 大名の倅
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
宜
(
よ
)
きことにして
金
(
かね
)
やらん
妾
(
せう
)
になれ
行々
(
ゆく/\
)
は
妻
(
つま
)
にもせんと
口惜
(
くちを
)
しき
事
(
こと
)
の
限
(
かぎ
)
り
聞
(
き
)
くにつけても
君
(
きみ
)
さまのことが
懷
(
なつ
)
かしく
或
(
あ
)
る
夜
(
よ
)
にまぎれて
國
(
くに
)
を
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
むっくりと延びた形の
宜
(
よ
)
い鼻が、丸顔の筋肉や皮膚の皺を程よく調節して、小さく結んだ唇にはまだ若い女の様な、艶を持って居た。
かやの生立
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
▼ もっと見る
呵責と折檻とから放されたような彼にとって、思いしずんでいる主人を時にはこころ
宜
(
よ
)
いまで復讐的な気分でながめていたのである。
お小姓児太郎
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
……
宜
(
よ
)
し……俺は嬢次少年を見事に取って押えてくれよう。そうして事実、俺を愚弄したものであるかどうかを白状さしてくれよう。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
酒精
(
アルコール
)
を五二ないし七五の割合に交ぜたものた
宜
(
よ
)
い、そして脳の大きいほど水を少なく酒精の方を割合に多くするがよいという事である。
話の種
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「そりゃ
私
(
わたくし
)
に対して何も構って頂かなくっても
宜
(
よ
)
ござんす。構ってくれったって、どうせ構って下さる方じゃないんだから、……」
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
希望を持つことはやがて失望することである、だから失望の苦しみを味いたくない者は初めから希望を持たないのが
宜
(
よ
)
い、といわれる。
人生論ノート
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
そんなに毎晩
夜
(
よ
)
を
更
(
ふ
)
かして
碌
(
ろく
)
に
寝
(
ね
)
もしないじゃないか。何の事だ。
風邪
(
かぜ
)
でも引くと
宜
(
よ
)
くない。勉強にも程のあったものだと
喧
(
やかま
)
しく云う。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
お母さん、実は先頃伯父さんからお話のあった時、充分申上げて置くと
宜
(
よ
)
かったんですが、お父さんの御病気でつい差控えていました。
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
しかし
將來
(
このさき
)
これを
幸
(
さいはひ
)
であつたと
知
(
し
)
る
時
(
とき
)
と
雖
(
いへど
)
も、たしかに
不幸
(
ふかう
)
であると
感
(
かん
)
ずるに
違
(
ちが
)
いない。
僕
(
ぼく
)
は
知
(
し
)
らないで
宜
(
よ
)
い、
唯
(
た
)
だ
感
(
かん
)
じたくないものだ。
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
金銀用度も皆兄まかせにて我が
所有
(
もの
)
といふものもなく、
唯
(
ただ
)
衣
(
き
)
ることと食ふこととに不足なさざるばかりなれば奴隷といふても
宜
(
よ
)
かるべし
印度の古話
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
「
真実
(
ほんと
)
に、何とも申上げようが御座いません……小泉さんは、まだそれでも男だから
宜
(
よ
)
う御座んすが、こちらの叔母さんが可哀そうです」
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
そこで私が今日議論をする問題は、まず「世界に於ける日本の地位」という演題にしても
宜
(
よ
)
いかと思う。しかしこれではあまり大き過ぎる。
東亜の平和を論ず
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
処が秋作、豊後之助の贔屓なのは分つて居るが、若菜姫が
宜
(
よ
)
くツてならない、甚だ怪しからん、
是
(
これ
)
は悪党の方だから、と思つて居たんです。
いろ扱ひ
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「何をヘザモザ言うのやい。浅七が見たのなら、何もお前に読んで呉れと言わんない‼ あっさり読めば
宜
(
よ
)
いのじゃないか。」
恭三の父
(新字新仮名)
/
加能作次郎
(著)
六
箇月
(
かげつ
)
足
(
た
)
らずの
短時日
(
たんじじつ
)
に
於
(
おい
)
て
斯
(
かく
)
の
如
(
ごと
)
く
目
(
め
)
の
前
(
まへ
)
に
好結果
(
かうけつくわ
)
を
現
(
あらは
)
したと
云
(
い
)
ふことを
考
(
かんが
)
へると、
國民自體
(
こくみんじたい
)
も
非常
(
ひじやう
)
に
喜
(
よろこ
)
んで
宜
(
よ
)
いことであらうと
考
(
かんが
)
へる。
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
飲んじゃあ仏戒にも背くし第一自分の身体を害するがどうしたら
宜
(
よ
)
かろうかと暫く考えて居りましたがじきに案が浮びました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
殺したる事は存ぜねども去年
霜月
(
しもつき
)
十七日博奕より
遲
(
おそ
)
く歸りし時如何なる故か
面色
(
かほいろ
)
宜
(
よ
)
からず衣類に血が
付居
(
つきをり
)
し故樣子を尋ね候に
途中
(
とちう
)
にて喧嘩を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
読んでお夏が「我も
室
(
むろ
)
で育ちし故、母方が悪いの、
傾城
(
けいせい
)
の風があるのとて、何処の嫁にも嫌はるゝ、これぞ
宜
(
よ
)
い事幸ひと、
猶
(
なほ
)
女郎の風を似せ」
「歌念仏」を読みて
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
そうすると彼女は斯う云うのだ『可哀そうなダンチョン、可哀そうなお方』
宜
(
よ
)
いかダンチョン、ね、ダンチョン、君は彼女に憐れまれている。
西班牙の恋
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
余「妻になる成らぬは構いませぬ、唯貴女に愛せられて居るとさえ思えば——」秀子「ではそうお思いに成って
宜
(
よ
)
いのです」
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
お膳立をしてあの
戸棚
(
とだな
)
へ入れときましたから、どうぞ……お嬢さま、もう
直
(
すぐ
)
宜
(
よ
)
うござんすか? それじゃア行ってまいります
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
貴方からそんなに
嫌
(
きら
)
はれてゐるのですから、私もさう何時まで好い
耻
(
はぢ
)
を掻かずとも、早く立派に断念して了へば
宜
(
よ
)
いのです。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「現金一万円を出せば
宜
(
よ
)
し、さもなければどんなに警戒しても駄目だと書いてあります。今日までに五通も
受取
(
うけと
)
りました」
海浜荘の殺人
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ほとんど目を据えていると言っても
宜
(
よ
)
い。熱病めいた異常なものまでが、その眼の光の中に漂っているようである。少々気味が悪くなって来た。
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
せめて死骸になったら一滴の涙位は持っても
宜
(
よ
)
いではないか。それにあの執念な追窮しざまはどうだ。死骸の引取り、会葬者の数にも干渉する。
謀叛論(草稿)
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
そこで私は『それも
宜
(
よ
)
かろう、君らは学校から俸給を貰っていて学生の世話が出来ないというのであれば、君らの希望通り、明日から学生の世話を ...
一商人として:――所信と体験――
(新字新仮名)
/
相馬愛蔵
、
相馬黒光
(著)
「お前は海軍の方へ這入り、海の上の大工になろうというのでもソレはいかぬ。大工をやるは
宜
(
よ
)
いが、海上へ行ってはいかぬ、陸上の大工に限る」
教育の目的
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
私の物はとられましても
宜
(
よ
)
うございますが、その中に代官所へ納める
年貢
(
ねんぐ
)
の
銀
(
かね
)
、三貫目といふものを盗み取られました、常が常でございますから
いがみの権太:(明治二十九年一月、明治座)
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
加
(
くわ
)
ふるに
春枝夫人
(
はるえふじん
)
、
日出雄少年
(
ひでをせうねん
)
の
部室
(
へや
)
と
私
(
わたくし
)
の
部室
(
へや
)
とは
直
(
す
)
ぐ
隣合
(
となりあ
)
つて
居
(
を
)
つたので
萬事
(
ばんじ
)
に
就
(
つ
)
いて
都合
(
つがう
)
が
宜
(
よ
)
からうと
思
(
おも
)
はるゝ。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
是故にわれ先見をもて身を
固
(
かた
)
むるを
宜
(
よ
)
しとす、さらばたとひ最愛の地を奪はるともその他の地をばわが歌の爲に失ふことなからむ 一〇九—一一一
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
そこの引戸に手をかけていた役人は、そんなことはどうでも
宜
(
よ
)
いのだ、というように、横眼で押えてがらりと開けた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
故
(
ゆえ
)
にヨブは最後の物的幸福に入ることなくして、充分幸福であったのである。従ってこれはなくも
宜
(
よ
)
かったのである。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
爺さんも婆アさんも大層喜んで今年は早く夏が来れば
宜
(
よ
)
いがと思つて、蚊の出る
頃
(
ころ
)
を待つてゐましたが、ブーン、ブーンと
唸
(
うな
)
つて一
疋
(
ぴき
)
二疋蚊が出て来ると
蚊帳の釣手
(新字旧仮名)
/
沖野岩三郎
(著)
『神妙にしろッ……武器を棄てろッ、云う事を聞かないと容赦はないぞッ、
宜
(
よ
)
しか、そら一ツ……二ツ……』
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
「その熱情の百分ノ一でもが俺なんてに恵まれてゐたら
宜
(
よ
)
かつたらうがな。池部さん、僕は、これは秘密なんだけれど、今年もまた落第しちやつたんですよ。」
夜の奇蹟
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
それまでは、「
私
(
あて
)
ですか。
私
(
あて
)
はどうでも
宜
(
よ
)
ろしおます」と口癖に言っていた。お君は働きものであった。
雨
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
「こんなに集っては、仕様がありませんね。会費をウンと高くして、十円位にすれば
宜
(
よ
)
かった…………」
友人一家の死
(新字新仮名)
/
松崎天民
(著)
今一日滞在して充分に用意をしたら
宜
(
よ
)
かろうということで、結局雨のために一日滞在することになった、午後になって雨は
漸
(
ようや
)
く
止
(
や
)
んで五時頃から晴天となったので
利尻山とその植物
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
『千早先生も又、
甚麽
(
どんな
)
御事情だかも知れねえども、今急にお罷めアねえくとも
宜
(
よ
)
うごあんべアすか?』
足跡
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
それは雪の降る日に歌った
新体詩
(
しんたいし
)
でしたが、それを何処かへ世話して呉れと頼まれていたんです。「僕は君の原稿を預かって居るが、あれは
何時
(
いつ
)
出したら
宜
(
よ
)
かろうか」
あの世から便りをする話:――座談会から――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
『あら、ミセスを呼ぶんなら、水を暫らくそのままにしといて見せてやったほうが
宜
(
よ
)
かなくって?』
踊る地平線:02 テムズに聴く
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
地勢東北は神社の森かげとなりまづ西南向に
相
(
あい
)
見え候間古家建直しの折西日さへよけるようにすれば風通しも
宜
(
よ
)
かるべくまさか
田福
(
でんぷく
)
が「わが宿は
下手
(
へた
)
のたてたる
暑
(
あつさ
)
かな」
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
今夜にもと時雄の言出したのを、だって、もう十二時だ、明日にした方が
宜
(
よ
)
かろうとの姉の注意。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
「持病とあれば
左程
(
さほど
)
案じることもなかろう、
癒
(
なお
)
るまで
逗留
(
とうりゅう
)
して、それから出発せらるるが
宜
(
よ
)
い」
切支丹転び
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
厳島合戦は戦国時代の多くの戦争の中で圧倒的な大勝であるが、其間に僥倖の部分は非常に少く、元就の善謀と
麾下
(
きか
)
の団結と、武力との当然の成果と云って
宜
(
よ
)
い位である。
厳島合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
川原の上で結構
宜
(
よ
)
かっただに、月が明るすぎるだで着物を脱ぎに水車小屋へ
這入
(
はい
)
ったさ。ふしぎなこともあればあるものじゃが、そこで図らずも成書房の娘に出会しただよ。
蕎麦の花の頃
(新字新仮名)
/
李孝石
(著)
“宜”の意味
《名詞》
(むべ)納得がいく様子。理に適っている様子。
(出典:Wiktionary)
宜
常用漢字
中学
部首:⼧
8画
“宜”を含む語句
便宜
宜敷
時宜
適宜
便宜上
禰宜
機宜
仲宜
本宜
便宜的
土宜
宜加減
宜道
神禰宜
御便宜
宜山
宜々
宜樣
御時宜
老禰宜
...