ばゞ)” の例文
とある村立共同浴場の湯氣の中から廣くまるい肩の一角を見せた存在物がうして民謠「ばゞこし」を唄ひだした。
地方主義篇:(散文詩) (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
へえ御免なせえまし……毎度めえどハヤばゞが出まして御贔屓になりまして、けえって来ましちゃア悦んで、何とハア有難ありがたえ事で、おれような身の上でお屋敷へ出て
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
やすましておくれ、とこしをかけて一息ひといきつく。大分だいぶあつたかでございますと、ばゞあかゞね大藥罐おほやくわんちやをくれる。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ぢゞは波を知らずばゞは潮の音を知らず孫は千鳥を鷄の雛かとぞ思ふ
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
白髪しらがのおばゞらがやつこらさ。
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
最初さいしよに見出し候者はわたくせがれ甚之助に御座候其仔細そのしさいは同日の夕刻ゆふこく雪も降止ふりやみ候に何となくあやしにほひ致せば近所の者共表へ穿鑿せんさく致し候に何時いつも何事にても人先に出て世話せわいたし候お三ばゞのみ一人相見え申さざれば私しせがれ甚之助不審ふしんに存じかれが家の戸を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
もうこんなじゞいばゞアで何もお役には立ちませんから、どうか御退屈でない様にと申しましても、家もない山の中でございますから、ほかに仕方もございません
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
晝間ひるまネなれば田打櫻タウヂざくらハナコサゲんで、それガラマダグワツグワツと田サ這入ハエて、はゝゝゝゝゝ『婆のコオソア、ホウイヤ、ホウ……、ばゞコオソア、ばゞコオソアホウエヤ、ホウ……』
地方主義篇:(散文詩) (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
まして、大王だいわうひざがくれに、ばゞ遣手やりて木乃伊みいらごとくひそんで、あまつさへ脇立わきだち正面しやうめんに、赫耀かくえうとして觀世晉くわんぜおんたせたまふ。小兒衆こどもしうも、むすめたちも、こゝろやすくさいしてよからう。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
立出たちいでける是にて平澤村の方は調しら埓明らちあきしかば直樣隣村りんそん平野村へ立越たちこえ名主なぬし甚左衞門方へ落付おちつき村中殘らず呼集よびあつめ次右衞門三五郎の兩人は名主甚左衞門にむかひ其方にたづねたき仔細しさいあり今より廿二三年以前に平澤村のお三と申すばゞ當村たうそんへ參りしとうけたまはるが其者は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
相「どれ/\、これはマア、んで台所などから来るのだ、そう云えば水は汲んで廻すものを、善藏コレ善藏何をぐる/\廻ってるのだ、コレばゞア孝助どのがお帰りだよ」
よい/\の、いぬの、ばゞの、金時計きんどけいの、淺葱あさぎふんどしの、其上そのうへに、子抱こかゝへ亭主ていしゆには、こりや何時いつまでもせられたら、くらまうもれぬぞと、あたふた百花園ひやくくわゑんげてる。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
さて奧樣おくさま目當めあてにいたしてまゐつたは小家こいへせがれ武生たけふ勞働はたらきつてり、留守るすやまぬしのやうな、ぢいばゞ二人ふたりぐらし、此處こゝにおとまりとなさいまし、たゝいてあけさせませう。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
小日向の方のお旗下の奥様がお塩梅が悪いので、中働なかばたらきに住み込んだ処が、これでも若い時分は此様こんな汚ないばゞアでもなかったから、殿様のお手が附いて、わずかうちに出来たのは此のお賤
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
今私が遣るの遣らぬのと云えばお前は咽喉を締めもするだろう、弱いばゞばかりなれば締めるだろうが、此処こゝでは締められまい、さア締めるなれば締めて見ろ、遣らぬと云ったら遣らぬ
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
紅葉先生こうえふせんせいせつによると、「金魚麩きんぎよぶばゞもゝにくだ。」さうである。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
紋「そうでねえ、この界隈かいわいにおめえぐれえ書くものはねえだ、まアそのなりじゃア仕様がねえだ、こればゞアどん、女の着るもんが有るなら出してくんろ、さア熊女、この着物を着るがいだ」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ぢいさイのウばゞさイのウ
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
田舎気質かたぎとは云いながら、頑固かたくなばゞアだ、何の勘弁したってえにとお前様には思うか知んねえけれども、只今申します通り義理があって、どうも此の娘をうちへ置かれませんたった今追出します
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「またばゞもゝだぜ。」
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
其の夜の丑刻こゝのつ頃庭口のへい飛上とびあがり、内庭の様子をうかゞいますると、夏の夜とてまだ寝もやらず、庭の縁台には村とばゞの両人、縁側には舎弟の蟠作と安兵衞の両人、蚊遣かやりもとに碁を打って居りました
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
私は汗の出るほど耻入はじいります、実はくより娘があの孝助殿を見染みそめ、恋煩こいわずらいをして居ります、誠に面目めんぼくない、それをサばゞアにもいわないで、ようやく昨夜になって申しましたから、なぜ早く云わん
たつとき事もあり、あはれなる事もあり、少しは空物語そらものがたりもあり、利口りこうなる事もありと前文ぜんぶんしるかれたり、竹取物語たけとりものがたり宇津保物語うつぼものがたりはなし父母ちゝはゝにして、それよりしもかたいたりては、ぢゞは山へ、ばゞは川へ洗濯せんたく
落語の濫觴 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
とっさまが心配しんぱえして塩梅あんばえが悪く成ったのは此の野郎が二十四の時でごぜえます、ばゞアや枕元へうよと云いますから、何だえ老爺じいさまというと、忰の丈助はとてわれがの力にはなんねえ駄目な奴だから
やるべえ/\、おゝばゞアがけえって来やアがった
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
秋「ばゞア丈夫だの、幾歳いくつになるの」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)