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假初
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かりそめ
ふりがな文庫
“
假初
(
かりそめ
)” の例文
新字:
仮初
只、
假初
(
かりそめ
)
の風邪だと思つてなほざりにしたのが
不可
(
いけな
)
かつた。たうとう三十九度餘りも熱を出し、
圭一郎
(
けいいちらう
)
は、勤め先である
濱町
(
はまちやう
)
の酒新聞社を休まねばならなかつた。
業苦
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
いま友人の語つて居るやうに、
此家
(
ここ
)
の細君は確かに
異
(
ちが
)
つた性質を
有
(
も
)
つて居る。萬事が消極的で、自ら進んでどう爲ようといふやうな事は
假初
(
かりそめ
)
にもあつた
例
(
ためし
)
がない。
一家
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
物
(
もの
)
いふ
聲
(
こゑ
)
がけんどんで
荒
(
あら
)
らかで、
假初
(
かりそめ
)
の
事
(
こと
)
にも
婢女
(
をんな
)
たちを
叱
(
しか
)
り
飛
(
と
)
ばし、
私
(
わたし
)
の
顏
(
かほ
)
をば
尻目
(
しりめ
)
にお
睨
(
にら
)
み
遊
(
あそ
)
ばして
小言
(
こごと
)
は
仰
(
おつ
)
しやらぬなれども
其
(
その
)
お
氣
(
き
)
むづかしい
事
(
こと
)
と
言
(
い
)
ふては
この子
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
げに汝は
假初
(
かりそめ
)
の物の第一の矢のため、はやかゝる物ならざりし我に從ひて立昇るべく 五五—五七
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
だからこの女が、ほんの
假初
(
かりそめ
)
の氣まぐれからそうしてくれと言いだしたなら、彼は即座にどんな奇怪きわまる馬鹿げたことでもやってのける氣になったに相違ないのである。
永遠の夫
(旧字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
▼ もっと見る
切害せし證據
假初
(
かりそめ
)
にも將軍家の御落胤に有べからざる
凶相
(
きようさう
)
なり
僞物
(
にせもの
)
と申せしがよも
誤
(
あやま
)
りで
厶
(
ござ
)
るかと席を
叩
(
たゝい
)
て申ける天一坊始め皆々口を
閉
(
とぢ
)
て
茫然
(
ばうぜん
)
たりしが大膳
堪
(
こら
)
へ兼
御墨付
(
おすみつき
)
と御
短刀
(
たんたう
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
其詞つきの、唯だ
假初
(
かりそめ
)
の旅路
抔
(
など
)
に
出立
(
いでた
)
ち給ふにかはらぬぞ、なか/\に哀なりける。アントニオに
暇乞
(
いとまごひ
)
せずやといふは、フアビアニ公子の聲なり。坐上にて、獨り此君のみは面に憂の色を帶び給へり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
假初
(
かりそめ
)
にもかゝる
物
(
もの
)
を
賜
(
たま
)
ふ
鬼桃太郎
(旧字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
細
(
こまか
)
に觀察して東京公論へ載するにつきまぎれぬ爲にしたるなり此の旅行の相談まとまるやあたかも娘の子が芝居見物の前の晩の如く何事も手につかず
假初
(
かりそめ
)
にも三十日のことなればやりかけたる博覽會の評も歸つてからまた見直すとした處で四五日分は書き溜てザツト片を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
假初
(
かりそめ
)
の
愚痴
(
ぐち
)
に
新年着
(
はるぎ
)
の
御座
(
ござ
)
りませぬよし
大方
(
おほかた
)
に
申
(
まを
)
せしを、
頓
(
やが
)
て
憐
(
あわれ
)
みての
賜
(
たまは
)
り
物
(
もの
)
、
茂助
(
もすけ
)
は
天地
(
てんち
)
に
拜
(
はい
)
して、
人
(
ひと
)
は
鷹
(
たか
)
の
羽
(
は
)
の
定紋
(
でうもん
)
いたづらに
目
(
め
)
をつけぬ、
何事
(
なにごと
)
も
無
(
な
)
くて
奧樣
(
おくさま
)
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
急ぎて
當所
(
たうしよ
)
迄來りし所此病氣に
取付
(
とりつか
)
れ
假初
(
かりそめ
)
の樣なれどもハヤ二年越しの
長煩
(
ながわづら
)
ひに貯はへ殘らず
遣
(
つか
)
ひ捨其上お花の
櫛
(
くし
)
笄
(
かうが
)
ひ迄も
賣盡
(
うりつく
)
し外に
詮方
(
せんかた
)
も無りしに此家の主人がお花の苦勞する樣子を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
彼はどんなにか自分の
假初
(
かりそめ
)
の部屋を愛し
馴染
(
なじ
)
んだことだらう。
崖の下
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
信如
(
しんによ
)
が
何時
(
いつ
)
も
田町
(
たまち
)
へ
通
(
かよ
)
ふ
時
(
とき
)
、
通
(
とほ
)
らでも
事
(
こと
)
は
濟
(
す
)
めども
言
(
い
)
はゞ
近道
(
ちかみち
)
の
土手々前
(
どてゝまへ
)
に、
假初
(
かりそめ
)
の
格子門
(
かうしもん
)
、のぞけば
鞍馬
(
くらま
)
の
石燈籠
(
いしどうろ
)
に
萩
(
はぎ
)
の
袖垣
(
そでがき
)
しをらしう
見
(
み
)
えて、
縁先
(
ゑんさき
)
に
卷
(
ま
)
きたる
簾
(
すだれ
)
のさまもなつかしう
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
無念なりと
蹉跎
(
あしすり
)
なして
怒
(
いかり
)
給ひしが今更
詮方
(
せんかた
)
も無りしとぞ
假初
(
かりそめ
)
にも十五萬石にて播州姫路の城主たる
御身分
(
ごみぶん
)
が
素性
(
すじやう
)
もいまだ
慥
(
たしか
)
ならぬ天一坊に下座
有
(
あり
)
しは
殘念
(
ざんねん
)
と云も餘りあり天一坊は
流石
(
さすが
)
の
酒井家
(
さかゐけ
)
さへ下座されしと
態
(
わざ
)
と
言觸
(
いひふら
)
し其
威勢
(
ゐせい
)
濤
(
おほなみ
)
の如くなれば東海道筋にて誰一人爭ふ者はなく
揚々
(
やう/\
)
として下りけるは
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
口惜
(
くちを
)
しげに
相手
(
あひて
)
を
睨
(
にら
)
みしこともありしがそれは
無心
(
むしん
)
の
昔
(
むかし
)
なり
我
(
わ
)
れ
性來
(
せいらい
)
の
虚弱
(
きよじやく
)
とて
假初
(
かりそめ
)
の
風邪
(
ふうじや
)
にも
十日
(
とをか
)
廿日
(
はつか
)
新田
(
につた
)
の
訪問
(
はうもん
)
懈
(
おこた
)
れば
彼處
(
かしこ
)
にも
亦
(
また
)
一人
(
ひとり
)
の
病人
(
びやうにん
)
心配
(
しんぱい
)
に
食事
(
しよくじ
)
も
進
(
すゝ
)
まず
稽古
(
けいこ
)
ごとに
行
(
ゆ
)
きもせぬとか
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
お
稻荷
(
いなり
)
さまが
社前
(
しやぜん
)
なるお
賽錢箱
(
さいせんばこ
)
へ
假初
(
かりそめ
)
に
腰
(
こし
)
をかけぬ。
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
假初
(
かりそめ
)
ならぬ三
世
(
ぜ
)
の
縁
(
えん
)
おなじ
乳房
(
ちぶさ
)
の
寄
(
よ
)
りし
身
(
み
)
なり
山川
(
さんせん
)
遠
(
とほ
)
く
隔
(
へだ
)
たりし
故郷
(
こきやう
)
に
在
(
あ
)
りし
其
(
そ
)
の
日
(
ひ
)
さへ
東
(
ひがし
)
の
方
(
かた
)
に
足
(
あし
)
な
向
(
む
)
けそ
受
(
う
)
けし
御恩
(
ごおん
)
は
斯々此々
(
かく/\しか/″\
)
母
(
はゝ
)
の
世
(
よ
)
にては
送
(
おく
)
りもあえぬに
和女
(
そなた
)
わすれてなるまいぞと
寐
(
ね
)
もの
語
(
がたり
)
に
云
(
い
)
ひ
聞
(
き
)
かされ
幼
(
をさ
)
な
心
(
ごゝろ
)
の
最初
(
そも/\
)
より
胸
(
むね
)
に
刻
(
きざ
)
みしお
主
(
しゆう
)
の
事
(
こと
)
ましてや
續
(
つゞ
)
く
不仕合
(
ふしあはせ
)
に
寄
(
よ
)
る
方
(
かた
)
もなき
浮草
(
うきくさ
)
の
我
(
わ
)
れ
孤子
(
みなしご
)
の
流浪
(
るらう
)
の
身
(
み
)
の
力
(
ちから
)
と
頼
(
たの
)
むは
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
假
部首:⼈
11画
初
常用漢字
小4
部首:⼑
7画
“假”で始まる語句
假
假令
假面
假名
假借
假聲
假寢
假病
假牢
假名文字