個人こじん)” の例文
そのうへ個人こじんには特殊とくしゆ性癖せいへきがあつて、所謂いはゆるきらひがあり、かふこのところおつきらところであり、所謂いはゆるたでむしきである。
建築の本義 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
毎日まいにちのように、個人こじんとなく、団体だんたいとなく、みまうひとえないので、こうした行列ぎょうれつめずらしくなかったが、このあついのに、よくきてくれたと、ほそくして
少女と老兵士 (新字新仮名) / 小川未明(著)
自分のようなものは、いよいよ働けなくなれば、個人こじん世話せわするよりは国家こっかが世話すべきだと思ってるらしい。それならば考えのすじはたっていると主人は思った。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
其後そののち帝室博物館ていしつはくぶつくわんつて陳列品ちんれつひんを一けんし、それから水谷氏みづたにし交際かうさいむすやうになり、採集品さいしふひんを一けんし、個人こじんちからもつ帝室博物館ていしつはくぶつくわん以上いじやう採集さいしふことり。
くちでは意志ゐし自由じゆうだとか、個人こじん權威けんゐだとか立派りつぱなことは云ツてゐるものゝ、生活せいくわつめにはこゝろにもない業務ぎやうむを取ツたり、げなくても可い頭も下げなければならない。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
それゆゑ數秒間すうびようかん廣場ひろばられる見込みこみがあらば、もつと機敏きびんにさうするほう個人こじんとして最上さいじようさくたるに相違そういない。唯一たゞひとこゝ考慮こうりよすべきは用心ようじんかんする問題もんだいである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
だがさういふ不自由ふじゆう約束やくそく出來できないまへうたると、たとあきかなしくさびしいものだとんでゐても、それがかく個人こじん實際じつさいかんじとして人々ひと/″\むねつよれるのであります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
「それぢやかう」とつて宗助そうすけ出掛でかけた。宗助そうすけ一般いつぱん社交しやかうきらつてゐた。やむなければ會合くわいがふせきなどへかほをとこでなかつた。個人こじんとしての朋友ともだちおほくはもとめなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
地方公共團體ちほうこうきようだんたい財政ざいせいまたかくごときものである、しかして國民こくみんはどうであるかとふと、自己じこつて經濟状態けいざいじやうたいたいする自覺じかくがないのである、さうかんがへてるとれを個人こじんたとへてへば
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
limited to no place, country, or group of individuals bu common to all(如何いかなる場所ばしよくにまた個人こじん集團しふだんにも制限せいげんされず、の一さい共通きようつうなる)
そのうへ個人こじん經濟状態けいざいじやうたいよつ是非ぜひなく粗惡そあくしよく我慢がまんせねばならぬひともあり、是非ぜひなく過量くわりやう美味びみはねばならぬひともある。
建築の本義 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
そのこゑ距離きよりとほいので、はげしく宗助そうすけ鼓膜こまくほどつよくはひゞかなかつたけれども、たしかに精一杯せいいつぱいふるつたものであつた。さうしてたゞ一人いちにん咽喉のどから個人こじん特色とくしよくびてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
もし此心得このこゝろえ體得たいとくせられたならば、個人こじんとしては震災しんさいからしようずる危難きなんまぬかれ、社會上しやかいじよう一人ひとりとしては地震後ぢしんご火災かさい未然みぜん防止ぼうしし、從來じゆうらいわれ/\がなやんだ震災しんさい大部分だいぶぶんけられることゝおもふ。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
個人こじん固有名こゆうめい神聖しんせいなもので、それ/″\ふか因縁いんねんゆうする。みだりにこれをいぢくりまはすべきものでない。
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
西洋せいやうではいへよりも個人こじん尊重そんちやうするの風習ふうしふからたのかいなかよくらぬが、がいしてせいあとにしさきにする。
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
苗字めうじ個人こじんいへで、おほくは土地とちつたものである。たとへば那須の一、熊谷の直實なほざね、秩父の重忠しげたゞ、鎌倉のごんらう、三浦の大介おほすけ、佐野の源左衛門げんざゑもんといふのるゐである。
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)