“馬子:まご” の例文
“馬子:まご”を含む作品の著者(上位)作品数
小川未明5
中里介山5
吉川英治4
夏目漱石2
太宰治2
“馬子:まご”を含む作品のジャンル比率
文学 > 日本文学 > 小説 物語(児童)1.0%
文学 > 日本文学 > 小説 物語0.7%
文学 > 日本文学 > 詩歌0.2%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
帽子から雨垂あまだれがぽたりぽたりと落つる頃、五六間先きから、鈴の音がして、黒い中から、馬子まごがふうとあらわれた。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「こんなことをするのは、このごろなんです。」と、馬子まごこたえて、つぎのように、のうえをかたりました。
道の上で見た話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
職業を訊くと、以前は少しばかり農もやっていたが、親がわずらってから、農はやめて自分が馬子まごをして稼いでいるという。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
其の晩に脱出ぬけだして、の早四郎という宿屋の忰が、馬子まご久藏きゅうぞうという者の処へ訪ねて参り、
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
すると、こっちから、馬子まごが、手綱たづなをとり、うま空車からぐるまかせてやってきました。
写生に出かけた少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
不意を食らって、手綱を離した馬子まごを尻目にかけながら、女は、元の東海道の方へ、まっしぐらに引っ返して行く。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そんなら、あとを、おたのみします。」と、馬子まごは、バケツをって、あちらへはしっていきました。
道の上で見た話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
馬子まごにも衣裳いしょうというが、ことに女は、その装い一つで、何が何やらわけのわからぬくらいに変る。
グッド・バイ (新字新仮名) / 太宰治(著)
この頃の日盛りに近所の問屋とひや荷役にやくに来る馬子まごが、荷馬にうまをその夫人の住居すまゐの格子戸に繋いでおく事がよくある。
半七は表からのぞいてみると、今しきりに呶鳴っているのは、三十五六のあから顔の大男で、その風俗はここらの馬子まごと一と目で知られた。
半七捕物帳:15 鷹のゆくえ (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
睡れずに過した朝は、暗いうちから湿った薪を炉にくすべて、往来を通る馬子まごの田舎唄に聴惚れた。
贋物 (新字新仮名) / 葛西善蔵(著)
やまには木樵唄きこりうたみづには船唄ふなうた驛路うまやぢには馬子まごうた
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
行きすりに不図目にとまった馬子まご風流ふうりゅうたわらに白い梅の枝がしてある。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
ガラガラと、そんなことにづかず、馬子まごは、うまいていってしまいました。
写生に出かけた少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして朝露あさつゆをポクポクと馬の草鞋わらじ蹴払けはらって、笠をかぶった一人の若い馬子まごが平気でこの丸山台を通り抜けようとしております。
木曾の朝を馬子まご御主おしゆう少女笠をとめがさくらに風ふくあけぼの染に
恋衣 (新字旧仮名) / 山川登美子増田雅子与謝野晶子(著)
「馬の草鞋わらじでも解けたのであろう。馬子まごさん、少し静かに歩かせておくれ」
その次の日の宵の口、室町屋の店先には、竜神街道や蟻腰越ありこしごえをする馬子まご駕丁かごかきと、それに村の人などが、二三人集まって声高く話をしています。
大菩薩峠:05 龍神の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
私は、心に、若い馬子まごの深切を謝したものの、さすがにその荷車に乗りかねた。
狂乱 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
荷馬車の上には、スッポリと赤毛布を被つた馬子まご胡坐あぐらをかいてゐる。
赤痢 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
荷馬車の上には、スツポリと赤毛布を被つた馬子まご胡坐あぐらをかいてゐる。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
続いて駄馬馬子まごが鼻歌おもしろく、茶店の娘に声かけられても返事せぬがおかしく、かなたに赤児ややの泣き声きこゆればこなたにはわらべが吹くラッパの音かしましく
わかれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
馬子まごは、たまげて、そのひとたちのようすをながめました。
生きた人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)
だが、露八が、最も感心したのは、彼の金に対する緻密ちみつさだった。馬子まご駄賃だちんの値ぎり方、旅籠代はたごだいのかけあい、鼻紙や茶代の端にでも、針ほどな、無駄もしない。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
馬子まごにも衣裳つて云ふから——」と云つたほどである。
医師高間房一氏 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)
馬子まごにも衣装いしょう髪かたちッてね——それゃアあたしだってピラシャラすれば、これでちったあ見なおすでしょうよ。けど、お金ですよ。それにゃア……お、か、ね! わかりましたか」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
ふゆさむい日でした。馬子まご馬吉うまきちが、まちから大根だいこんをたくさんうまにつけて、三さき自分じぶんむらまでかえって行きました。
山姥の話 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
私の場合は、まさしく、馬子まごの衣裳というものである。
善蔵を思う (新字新仮名) / 太宰治(著)
「え? うん御前おまえはあの時の馬子まごさんだね」
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
馬子まごでなくとも手に入れたいほどの品であります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
そうして、ひろい田んぼみちに出ると、よくすんだ、うつくしい声で、馬子まごうたをうたい出すので、馬もいい気持ちそうに、シャン、シャン、すずらしながら、げんきよくかけ出して行きました。
たにしの出世 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「やっぱり馬子まごをして」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
山姥やまうば馬子まご
山姥の話 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
なつ晩方ばんがたのこと、いなかまちを、うまにからぐるまをひかせて、ほおかむりをした馬子まごたちが、それへって、たばこをすったり、うたをうたったりしながら、いくだいとなくつづきました。
風七題 (新字新仮名) / 小川未明(著)
街道筋に並ぶ低い農家に、柿の木が紅葉していたり、建石たていしがあり、右何々道左何々道と記されていたり、牛が向うから歩いて来たり、馬子まごがいたり、乗合のりあい馬車の点景があったり、巡礼姿が花の下にいたり、そして
めでたき風景 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
のろのろと往還おうかんする牛飼うしかい、野菜車、馬子まご、旅人、薬師詣やくしもうでの人たちの中に交じッて、平坦へいたんな街道を歩みながら、その懐中絵図ふところえずをひろげて見ましたが、高麗村という名は見当らない。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
馬子まご
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「このかたは、おしでございます。そして、今夜こんやうちに、あのやまのいただきのおてらまでおつれもうしますので。けるとあまさんにおなりなさるのだそうでございます……。」と、馬子まごは、こたえました。
生きた人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「関東ではうどんは馬子まごの食うものだと思っているが、あれはうどんの食い方を知らない。東京のはうどんの煮〆めだ。あちらのは、当時は手打ちで、薄味で、薬味には細い香ばしいネギが、大丼に出してあった。たしかあのネギの名を、ヒトモジと言ったかな」
狂い凧 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
丸子の宿の名物とろろ汁の店といってももうそれを食べる人は少ないので、店はただの腰掛け飯屋になっているらしく耕地測量の一行らしい器械をたずさえた三四名と、表に馬を繋いだ馬子まごとが、消し残しの朝の電燈の下で高笑いを混えながら食事をしている。
東海道五十三次 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
ぐるまうえ馬子まごって、うたなどうたい、はまほうかえる、ガラ、ガラという、わだちおとが、だんだんかすかになると、ぼんやりって、いているかれみみもとへ、かぜは、
風はささやく (新字新仮名) / 小川未明(著)
月の光、ゆうべの香をこめてわずかに照りそめしころ河岸かわぎしず。村々浦々の人、すでに舟とともに散じて昼間のさわがしきに似ずいとびたり。白馬一匹つなぎあり、たちまち馬子まご来たり、いて石級いしだんくだり渡し船に乗らんとす。
小春 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「蕎麦はツユと山葵で食うもんだあね。君は蕎麦が嫌いなんだろう」「僕は饂飩うどんが好きだ」「饂飩は馬子まごが食うもんだ。蕎麦の味を解しない人ほど気の毒な事はない」と云いながら杉箸すぎばしをむざと突き込んで出来るだけ多くの分量を二寸ばかりの高さにしゃくい上げた。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「三千兩はお關さんが可哀想だから隱したのでせう。それは解りますよ。江島屋の馬鹿息子へ、あの娘をやる位なら、あつしだつて馬子まごおどかして、同じ鹿毛かげ馬を仕立てさせ砂利を詰めた千兩箱を脊負はせて、天神下の角でアツといふ間に入れ換へる位の藝當はやりますよ」
山には木樵唄きこりうた、水には船唄ふなうた駅路うまやじには馬子まごの唄、渠等かれらはこれをもって心をなぐさめ、ろうを休め、おのが身を忘れて屈託くったくなくそのぎょうに服するので、あたかも時計が動くごとにセコンドが鳴るようなものであろう。
三尺角 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
むかしある人が山陽に、先生近頃名文はござらぬかといったら、山陽が馬子まごの書いた借金の催促状を示して近来の名文はまずこれでしょうと云ったという話があるから、君の審美眼も存外たしかかも知れん。どれ読んで見給え、僕が批評してやるから」と迷亭先生は審美眼の本家ほんけのような事を云う。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
尤も大村落と言つても雪の水田中に裸な立ち木の林と一緒に群がつた不樣な農家の長いわびしい繋がりで、停車場をのぞいては村のとつつきで四五臺の馬橇ばそりの列が、馬子まごがてんでに積み上げた荷のうへに乘つかつて、村を離れて行くのが小さく見えたきりで、つひぞ人影らしいものはこの外見當らなかつた。
地方主義篇:(散文詩) (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
いかに同行の人を求めたいからと言って、あの一行の中へ駆け込むわけにもゆかないから、お松はそれの通り過ぐる間は隠れるようにして、それが遠く離れたと思われる時分まで、わざとこの店にひまをつぶしていると、そこへ頬冠ほおかぶりをしたたくましい馬子まごが一人、馬をいてやって来ました。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
歌麿の「道行」は彼が生涯の諸作を通じて決して上乗じょうじょうの者にあらざれども、詩歌的男女の恋愛に配するに醜き馬子まごあるひは老爺ろうやの如き人物を以てし、従来の浮世絵が取扱ひ来りし美麗なる画題中に極めて突飛とっぴなる醜悪の異分子を挿入そうにゅうしたる一事いちじはなはだ注意すべき事とす。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
何というところか、田舎のはずれ、馬子まごなどの休みそうな一ぜん飯屋の隅でからくも、朝餉あさげと昼飯とを一度に済ませて、それから中泉と聞いて歩いて行きましたが、少したって中泉はと尋ねてみたら、また横道へ入ったと言われて、もう気を落してしまって、それからは足が動かず、ちょうど見つけたのが八幡はちまんの森。
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「御出家は、旅の人と見えてご存じあるまいが、この川を半町も上れば、鎖渡しという難所がある。山国谷第一の切所きりしょで、南北往来の人馬が、ことごとく難儀するところじゃが、この男はこの川上柿坂郷に住んでいる馬子まごじゃが、今朝鎖渡しの中途で、馬が狂うたため、五丈に近いところを真っ逆様に落ちて、見られる通りの無残な最期じゃ」と
恩讐の彼方に (新字新仮名) / 菊池寛(著)