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飛騨
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ひだ
ふりがな文庫
“
飛騨
(
ひだ
)” の例文
柳湾は幕府の郡代田口五郎左衛門の
手代
(
てだい
)
となり
飛騨
(
ひだ
)
出羽
(
でわ
)
その他の地に
祗役
(
しえき
)
し文化九年頃より
目白台
(
めじろだい
)
に隠棲し詩賦
灌園
(
かんえん
)
に余生を送った。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
其道
(
そのみち
)
に志す
事
(
こと
)
深きにつけておのが
業
(
わざ
)
の足らざるを恨み、
爰
(
ここ
)
日本美術国に生れながら今の世に
飛騨
(
ひだ
)
の
工匠
(
たくみ
)
なしと
云
(
い
)
わせん事残念なり
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「けら」に
次
(
つい
)
で不思議な呼び方は「ばんどり」である。越中、越前、
飛騨
(
ひだ
)
地方では蓑のことを「ばんどり」とか「まんどり」などいう。
蓑のこと
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
春も深くなっての夕方には、御二人で手を引いて、遅咲の桜の蔭から
飛騨
(
ひだ
)
の遠山の雪を眺め眺め静に御散歩をなさることもありました。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
燁代さんはうちつづく大絶壁の連峰を見上げながら、去年の夏
白馬山
(
はくばさん
)
へ登って、雄大な
飛騨
(
ひだ
)
山脈をながめた時のことを想い出した。
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
▼ もっと見る
何でも
飛騨
(
ひだ
)
一円当時変ったことも珍らしいこともなかったが、ただ取り
出
(
い
)
でていう不思議はこの医者の
娘
(
むすめ
)
で、生まれると玉のよう。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……僕はきのうね、こんな落日を眺めながら、ふいと
飛騨
(
ひだ
)
の山のなかの或る落日をおもい浮かべていた。もちろん、
想像裡
(
そうぞうり
)
のものだがね。
雪の上の足跡
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
しかし私らの今取ろうというのは、この峻嶺跋渉ではない、烈しい白雲の中を
衝
(
つ
)
いていわゆる裏山を
飛騨
(
ひだ
)
の国へ下りようというのである。
木曽御嶽の両面
(新字新仮名)
/
吉江喬松
(著)
而
(
しか
)
してその妖巫の眼力が邪視だ。本邦にも、
飛騨
(
ひだ
)
の
牛蒡
(
ごぼう
)
種てふ家筋あり、その男女が悪意もて
睨
(
にら
)
むと、人は申すに及ばず菜大根すら
萎
(
しぼ
)
む。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
恵林寺
(
えりんじ
)
の
焔
(
ほのお
)
のなかからのがれたときいて、とおくは、
飛騨
(
ひだ
)
信濃
(
しなの
)
の山中から、この
富士
(
ふじ
)
の
裾野
(
すその
)
一
帯
(
たい
)
まで、足にかけてさがしぬいていたのだ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それでも
飛騨
(
ひだ
)
の
白川
(
しらかわ
)
のような
辺鄙
(
へんぴ
)
な土地では、たった一人の
大工
(
だいく
)
がきて
棟上
(
むねあ
)
げまですむと、あとは村の人にまかせてかえったそうである。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
信濃
(
しなの
)
から燒岳を越えて
飛騨
(
ひだ
)
へ下りたことがある。十月の中旬であつた。麓に近い山腹に十軒あまりの家の集つた部落があつた。
樹木とその葉:36 自然の息自然の声
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
「
飛騨
(
ひだ
)
の
匠
(
たくみ
)
が恨めしくなる隔てですね。よその家でこんな板の戸の外にすわることなどはまだ私の経験しないことだから苦しく思われます」
源氏物語:52 東屋
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
でなければ、越中の
剣岳
(
つるぎだけ
)
をめざしていたもんだから、ついついあちらの方から
飛騨
(
ひだ
)
方面に迷いこんでしまって、ここへ
来
(
きた
)
り着いたのか知らん。
大菩薩峠:30 畜生谷の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
其の西応房は
尾州
(
びしゅう
)
中島郡
(
なかじまごおり
)
一
(
いち
)
の
宮
(
みや
)
の生れであったが、猟が非常に好きで、そのために
飛騨
(
ひだ
)
の国へ往って猟師を渡世にしていた。
女仙
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
遠くは
飛騨
(
ひだ
)
の山々から、中国辺に至るまで、二三百年来手広く取引をなし、山の猟師が熊、鹿、狸、狐、
羚羊
(
かもしか
)
、猿、山猫
たぬき汁
(新字旧仮名)
/
佐藤垢石
(著)
「
飛騨
(
ひだ
)
高山三萬八千石の城主、金森
長門守
(
ながとのかみ
)
樣の御用人、五百石取の富崎左仲といふ方が、今から丁度十日前に、お長屋で腹を切つて死んでゐる」
銭形平次捕物控:156 八千両異変
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
飛騨
(
ひだ
)
の
高山越
(
たかやまごえ
)
をいたす心でございますから、
神通川
(
じんつうがわ
)
の川上の渡しを越える、その頃の渡し銭は
僅
(
わず
)
か八文で、今から考えると誠に
廉
(
やす
)
いものでござります。
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ハンガリア語の山 hegy(ハヂ)が「
飛騨
(
ひだ
)
」に似ているのが妙である。このgはむしろdに似た音であるから。日本語「ひたを」は小山の意である。
言葉の不思議
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
飛騨
(
ひだ
)
、
信濃
(
しなの
)
を縄張りとして、運上によって営む生活は十万石の大名にも勝り、部下に信頼されることも、
武士
(
さむらい
)
時代より一層厚く、いわば賤民の王として
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
東山道からは、近江、美濃、
飛騨
(
ひだ
)
のものが来たが、東海道では、
遠江
(
とおとうみ
)
から東の者は源氏に味方し、それが北陸道となると、
若狭
(
わかさ
)
以北は一兵も集らなかった。
現代語訳 平家物語:07 第七巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
このついでに
記
(
しる
)
して
置
(
お
)
きたいのは、
飛騨
(
ひだ
)
信濃
(
しなの
)
の
國境
(
こつきよう
)
にある
硫黄嶽
(
いおうだけ
)
、
一名
(
いちめい
)
燒岳
(
やけだけ
)
(
高
(
たか
)
さ
二千四百五十八米
(
にせんしひやくごじゆうはちめーとる
)
)である。
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
飛騨
(
ひだ
)
の国にもこの取りつき筋があるが、飛騨では
牛蒡種
(
ごぼうだね
)
との異名をつけておくのはおもしろい。かの家は牛蒡種だといえば、狐つきの家柄ということになる。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
この
人
(
ひと
)
の
先生
(
せんせい
)
は、
加納諸平
(
かのうもろひら
)
と
同門
(
どうもん
)
の
田中大秀
(
たなかおほひで
)
といふ
飛騨
(
ひだ
)
の
國
(
くに
)
の
學者
(
がくしや
)
でした。その
師匠
(
ししよう
)
を
訪
(
と
)
うた
時
(
とき
)
の
旅行
(
りよこう
)
の
歌
(
うた
)
。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
また
飛騨
(
ひだ
)
では
宿儺
(
すくな
)
がそむいて、討ち殺された。天皇が死ぬと、その子の
仲
(
なかつ
)
皇子が反逆をおこしている。
天皇:誰が日本民族の主人であるか
(新字新仮名)
/
蜷川新
(著)
座中では最も年の若い私立大学生で、大正十二年の震災当時は
飛騨
(
ひだ
)
の
高山
(
たかやま
)
にいたというのである。
指輪一つ
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
槍ヶ嶽を越えて、
飛騨
(
ひだ
)
の
蒲田
(
がまた
)
温泉へ出る事が出来るかどうか。近頃噴火の噂がある、
焼嶽
(
やけだけ
)
へも登山出来るかどうか。槍ヶ嶽の峯伝ひに
穂高山
(
ほたかやま
)
へ行く事が出来るかどうか。
槍ヶ岳紀行
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
されど今日までの歌界の実際を見るに題詠に善き歌少くして写実に俗なる歌少し。曙覧が実地に写したる歌の中に
飛騨
(
ひだ
)
の鉱山を詠めるがごときはことに珍しきものなり。
曙覧の歌
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
恐
(
お
)
ず/\橋板を踏むと、足の
底
(
そこ
)
がふわりとして、
一足毎
(
ひとあしごと
)
に橋は左右に前後に上下に
揺
(
ゆ
)
れる。
飛騨
(
ひだ
)
山中、四国の
祖谷
(
いや
)
山中などの
藤蔓
(
ふじづる
)
の橋の渡り心地がまさに
斯様
(
こんな
)
であろう。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
昨日の昼すぎ、
飛騨
(
ひだ
)
から
中尾
(
なかお
)
峠を越して入った上高地は、泣きたくなるくらい静かであった。
可愛い山
(新字新仮名)
/
石川欣一
(著)
飛騨
(
ひだ
)
のくに
保良
(
ほら
)
郡
吹矢
(
ふきや
)
村に(いま郡名村名ともに廃絶しているのは残念である)
艶妖記:忍術千一夜 第一話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
飛騨
(
ひだ
)
と
信濃
(
しなの
)
の
境
(
さかひ
)
を
走
(
はし
)
る
峻嶺
(
しゆんれい
)
を「
日本
(
にほん
)
アルプス」などと
得意顏
(
とくいがほ
)
に
唱
(
とな
)
へ、
甚
(
はなは
)
だしきは
木曾川
(
きそがは
)
を「
日本
(
にほん
)
ライン」といひ、
更
(
さら
)
に
甚
(
はなは
)
だしきは、その
或
(
ある
)
地點
(
ちてん
)
を「
日本
(
にほん
)
ローレライ」などといつたものがある。
国語尊重
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
山海万里のうちにはおのずから異風奇態の
生類
(
しょうるい
)
あるまじき事に
非
(
あら
)
ず、古代にも、
仁徳
(
にんとく
)
天皇の御時、
飛騨
(
ひだ
)
に一身両面の人出ずる、
天武
(
てんむ
)
天皇の
御宇
(
ぎょう
)
に
丹波
(
たんば
)
の
山家
(
やまが
)
より十二角の牛出ずる、
文武
(
もんむ
)
天皇の御時
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
右手は
越後
(
えちご
)
、
越中
(
えっちゅう
)
、正面は
信濃
(
しなの
)
、
飛騨
(
ひだ
)
、左手は
甲斐
(
かい
)
、
駿河
(
するが
)
。見わたす山々は、やや遠い距離を保って、へりくだっていた。しかも彼らは、雪もて、風もて、おのれを守り、おのれの境をまもっていた。
雪の武石峠
(新字新仮名)
/
別所梅之助
(著)
飛騨
(
ひだ
)
の
空
(
そら
)
にあまつ日おちて
夕映
(
ゆふばえ
)
のしづかなるいろを月てらすなり
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
越
(
こし
)
より
飛騨
(
ひだ
)
へ行くとて
籠
(
かご
)
のわたりのあやうきところどころ
俳句とはどんなものか
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
大田原——大田原
飛騨
(
ひだ
)
守城下。一万一千四百石。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
ぢやが、お
前様
(
めえさま
)
は
山
(
やま
)
が
先生
(
せんせい
)
、
水
(
みづ
)
が
師匠
(
ししやう
)
と
言
(
い
)
ふわけ
合
(
あひ
)
で、
私等
(
わしら
)
が
気
(
き
)
にや
天上界
(
てんじやうかい
)
のやうな
東京
(
とうきやう
)
から、
遥々
(
はる/″\
)
と……
飛騨
(
ひだ
)
の
山家
(
やまが
)
までござつたかね。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
飛騨
(
ひだ
)
の
門和佐
(
かどわさ
)
川の竜宮が淵というところでは、昔は竜宮の乙姫の機織る音が、たびたび水の底からきこえていたものであった。
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
斯ういふ蓮太郎の観察は、山を愛する丑松の心を
悦
(
よろこ
)
ばせた。其日は西の空が開けて、
飛騨
(
ひだ
)
の山脈を望むことも出来たのである。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
もしまた仮りに、
飛騨
(
ひだ
)
の国を乗っ取ってみたところで、それを守る者、或いは
後詰
(
ごづめ
)
の頼みはどうなるのか、その辺の計画は一向にないらしい。
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
……と感じたから、わしはさっそく、人里を遠くはなれ、これから
飛騨
(
ひだ
)
の奥へでも行って、静かに、絵を描く場所を見つけようと思うて来たのだ。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
岐阜県の中には山の国
飛騨
(
ひだ
)
が含まれます。鉄道が敷かれたのも割合に近頃のことで、つい先日まではその都
高山
(
たかやま
)
に行くのは並ならぬ旅でありました。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
飛騨
(
ひだ
)
高山の城主、三万八千石金森
出雲守
(
いずものかみ
)
様の御宝物、御祖先が太閤様から拝領して、千利休の掛け物まで添えてある、
曙井戸
(
あけぼのいど
)
の茶碗に、近頃小さいながら傷が見えたので
銭形平次捕物控:119 白紙の恐怖
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
また、
疾瘡
(
しっそう
)
をうれうるものが両国橋の中央に至り、
飛騨
(
ひだ
)
の国
錐
(
きり
)
大明神と念じて北の方へむかい、
錐
(
きり
)
三本ずつ川中に投じつつ礼拝すれば、平癒するとのマジナイもあるそうだ。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
飛騨
(
ひだ
)
の蒲田に一泊したのも、長い山旅の終りであった。而もそれは新聞社の特派員として、あるお方のお伴をした山であったし、とにかく、相当以上に気づかれのした山だった。
可愛い山
(新字新仮名)
/
石川欣一
(著)
所謂
(
いわゆる
)
越中平
(
えっちゅうだいら
)
の平野はここに尽きて、岩を噛む神通川の激流を右に
視
(
み
)
ながら、爪先上りに
嶮
(
けわ
)
しい
山路
(
やまじ
)
を辿って行くと、眉を圧する
飛騨
(
ひだ
)
の山々は、
宛
(
さな
)
がら行手を
遮
(
さえぎ
)
るように
峭
(
そそ
)
り立って
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
今一つは細く鋭く尖つた嶺の上にかすかに白い煙をあげた
飛騨
(
ひだ
)
の燒嶽であつた。
樹木とその葉:06 四辺の山より富士を仰ぐ記
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
飛騨
(
ひだ
)
の空に
夕
(
ゆふべ
)
の光のこれるはあけぼのの如くしづかなるいろ
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
飛騨
(
ひだ
)
の生れ名はとうといふほととぎす
五百句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
“飛騨”の意味
《固有名詞》
飛騨 (ひだ)
旧国名の一つ。飛騨国。
岐阜県にある地名。飛騨市。
(出典:Wiktionary)
飛
常用漢字
小4
部首:⾶
9画
騨
漢検準1級
部首:⾺
19画
“飛騨”で始まる語句
飛騨守
飛騨国
飛騨山
飛騨越
飛騨守景家
飛騨境
飛騨川
飛騨山越
飛騨高山
飛騨美濃