部落ぶらく)” の例文
部落ぶらくにはもう一人ひとりつよおとこがありました。そのおとこには、うつくしいむすめがありました。あるのこと、そのおとここうのもとへやってきました。
幸福に暮らした二人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
の家でも、五人六人子供の無いうちは無い。この部落ぶらくでも、鴫田しぎだや寺本の様に屈強くっきょう男子おとこのこの五人三人持て居るうちは、いえさかえるし、何かにつけて威勢いせいがよい。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
みさきの道を出て、いよいよ本村にはいるころから、みんなはしぜんと小声にしゃべっていた。一本松の村までにはいくつかの町や村の、たくさんの部落ぶらくがあった。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
いままでにも、たくさんの部落ぶらくを通りすぎてきたのですが、どの家にもよってみようとはしませんでした。
緋おどし谷一たいは、ほとんど山百合やまゆりの花でうまっている。むしろ百合谷ゆりだにぶべきところだが、その盆地に特殊とくしゅな一部落ぶらくがあって、百合より名をなすゆえんとなっている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
高原のへりから、四方に出たいくつかの谷のそこには、ほんの五、六けんずつの部落ぶらくがあります。
種山ヶ原 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
はたしてしからば、ロアイヤルこうや、むかしベスンバぞくのゐた部落ぶらくみぎ現象げんしようおこすにもつと適當てきとう場所ばしよであつて、此等これら地方ちほう大地震だいぢしんによつてふたゝ同樣どうよう現象げんしようおこすこともあるであらう。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
柳屋やなぎや土地とち老鋪しにせだけれども、手廣てびろあきなひをするのではなく、八九十けんもあらう百けんらずの部落ぶらくだけを花主とくいにして、今代こんだい喜藏きざうといふわか亭主ていしゆが、自分じぶんりに𢌞まはるばかりであるから
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
一四 部落ぶらくには必ず一戸の旧家ありて、オクナイサマという神をまつる。その家をば大同だいどうという。この神のぞうくわの木をけずりてかおえがき、四角なるぬの真中まんなかに穴をけ、これをうえよりとおして衣裳いしょうとす。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
移住にも因る可く部落ぶらく散在さんざいにも因る可きなり。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
ある二人ふたりは、ひそかに部落ぶらくからのがました。そして、たにつたい、やまえて、たからかになみせる海岸かいがんまでやってきました。
幸福に暮らした二人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
津軽海峡つがるかいきょう、トラピスト、函館はこだて五稜郭ごりょうかく、えぞ富士ふじ白樺しらかば小樽おたる、札幌の大学、麦酒ビール会社、博物館はくぶつかん、デンマーク人の農場のうじょう苫小牧とまこまい白老しらおいのアイヌ部落ぶらく室蘭むろらん、ああぼくかぞえただけでむねおどる。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
もののいろもすべてせて、その灰色はひいろねずみをさした濕地しつちも、くさも、も、一部落ぶらく蔽包おほひつゝむだ夥多おびたゞしい材木ざいもくも、材木ざいもくなか溜池ためいけみづいろも、一切いつさい喪服もふくけたやうで、果敢はかなくあはれである。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
とっぱなまで四キロの細長い岬のまん中あたりにも小さな部落ぶらくがある。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
向こうがわには、おどし谷の部落ぶらくをながめ、だれか渓流けいりゅうにくるのを待っていると、やがて二、三人の少女が染桶そめおけと糸のたばをかかえて、あかるい笑いをかわしながら、川床かわどこりてきたようす。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
このとき大地だいち開閉かいへいによつて土民どみん勿論もちろん彼等かれらつてゐた畜類ちくるい牛馬ぎゆうば駱駝らくだとういたるまでこと/″\くそれにまれ、八千はつせん乃至ないし一萬いちまん人口じんこうゆうしてをつたこの部落ぶらくそのために跡方あとかたもなくうしなはれたといふ。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
二人ふたりのものが、自分じぶんらの部落ぶらくかえりましたときに、みんなは、どんなにびっくりしたでありましょう。もう難船なんせんをしてんだものとおもっていました。
幸福に暮らした二人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
谷の部落ぶらくがずっと下に見え、達二たつじの家の木小屋きごや屋根やねが白く光っています。
種山ヶ原 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ほろびるといつて、あへ部落ぶらくくなるといふ意味いみではない、おとろへるといふ意味いみではない、ひといへとはさかえるので、進歩しんぽするので、繁昌はんじやうするので、やがてその電柱でんちう眞直まつすぐになり、鋼線はりがねはり
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ついに、秀吉ひできち母親ははおやが、学校がっこうされました。かれのすんでいる部落ぶらくは、まずしい人々ひとびとあつまりでもありました。
天女とお化け (新字新仮名) / 小川未明(著)