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追
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おっ
ふりがな文庫
“
追
(
おっ
)” の例文
尚その命令書には『
追
(
おっ
)
テ
後日
(
ごじつ
)
何等カノ命令アルマデハ本件ニ関シ総指揮官部へ報告ニ及バズ』と
但書
(
ただしがき
)
を書くから、予め
諒承
(
りょうしょう
)
ありたい
独本土上陸作戦:――金博士シリーズ・3――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
金眸は痛さに身を
悶
(
もが
)
きつつ、鷲郎が横腹を
引𤔩
(
ひきつか
)
めば、「
呀嗟
(
あなや
)
」と叫んで身を翻へし、少し
退
(
しさ
)
つて洞口の
方
(
かた
)
へ、行くを続いて
追
(
おっ
)
かくれば。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
「でももしか、あなたに怒られるとそれっきりですからね。後でいくら
詫
(
あや
)
まっても
追
(
おっ
)
つかないなんて馬鹿はしたくありませんもの」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
稲妻を
掴
(
つかま
)
えそうな慌て方で、ざぶざぶ
真中
(
まんなか
)
で
追
(
おっ
)
かける、人の
煽
(
あお
)
りで、水が動いて、手毬は一つくるりと廻った。岸の方へ寄るでねえかね。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
五「
怖
(
おっ
)
かねえ処だ、江戸てえ所にゃア二度と再び来る所じゃねえ、火に
追
(
おっ
)
かけられて居るんだねえ、旦那さん何処へ逃げべえか」
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
が、写真班の連中は、先方が避ければ避けるほど完全にカメラの中に収めようと、
執拗
(
しつこ
)
く後を
追
(
おっ
)
かけて居ました。
たちあな姫
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
追
(
おっ
)
て 「伊勢の神風、宇佐の
神勅
(
しんちょく
)
」云々の語あれども文学には合理非合理を論ずべきものにては
無之
(
これなく
)
、従って非合理は文学に非ずと申したること無之候。
歌よみに与ふる書
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
超脳髄式の青年名探偵アンポンタン・ポカン博士が、博士自身の脳髄を
追
(
おっ
)
かけまわして、物の美事に引っ捕えて、地ビタにタタキ付けて、引導を渡すまでの経過報告だ。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
長嘯子
(
ちょうしょうし
)
のえらび
玉
(
たま
)
へる諸虫歌合せの跡を
追
(
おっ
)
て、恋のこゝろのざれ歌をのばへ
侍
(
はべ
)
るに、
兎角
(
とかく
)
して夜もふけ
侍
(
はべり
)
し、
江山風月
(
こうざんふうげつ
)
常のあるじなければ、
地
(
じ
)
しろをせむる
大屋
(
おおや
)
もあらねど
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「
序
(
ついで
)
に全部認めちまうさ。——そう云えばこの頃初子女史は、『戦争と平和』に
匹敵
(
ひってき
)
するような長篇小説を書いているそうじゃないか。どうだ、もう
追
(
おっ
)
つけ完成しそうかね。」
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「
忰
(
せがれ
)
はまだ図書館の方ですが
追
(
おっ
)
つけ帰って参りましょう。忰の家内も今お目に掛ります」
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
後から
仔馬
(
こうま
)
がひょこ/\
跟
(
つ
)
いて行く。時々道草を食って
後
(
おく
)
れては、
遽
(
あわ
)
てゝ
駈
(
か
)
け出し
追
(
おっ
)
ついて
母馬
(
はは
)
の
横腹
(
よこはら
)
に
頭
(
あたま
)
をすりつける様にして行く。関翁と余と其あとから此さまを眺めつゝ行く。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「今更心配しても
追
(
おっ
)
つかないから、まア少し休みましょう。こんなに景色のよいことは
滅多
(
めった
)
にありません。そんなに人に申訣のない様な悪いことはしないもの、民さん、心配することはないよ」
野菊の墓
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
啻
(
た
)
だ数量ばかりでなく優品をも収得したので、天筠居は
追
(
おっ
)
ては蒐集した椿岳の画集を出版する計画があったが、この計画が実現されない中に、
惜
(
おし
)
い
哉
(
かな
)
、この比類のない蒐集は大震災で
烏有
(
うゆう
)
に帰した。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
交番の巡査は泡を喰って坊さんの後を
追
(
おっ
)
かけた。
贋紙幣事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
『——云いますめえ、
追
(
おっ
)
つかねえことだ』
夕顔の門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
追
(
おっ
)
かけろ、追かけろ」
警察署長
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
幸いお延がお秀の後を
追
(
おっ
)
かけて出た事は、下女にも解っていた。偶発の言訳が
偶中
(
ぐうちゅう
)
の
功
(
こう
)
を奏した時、津田は再度の胸を
撫
(
な
)
で
下
(
おろ
)
した。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いや
彼
(
あ
)
れは江戸屋半治と申す者と約束のあるとか申す芸者で、何か半治が不実を致したと申し、刄物を持って
追
(
おっ
)
かけて参ったを、半治が立腹して刄物をもぎ取り
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
奥方もさて
狼狽
(
うろた
)
えまい。騒ぐまい。膳は
追
(
おっ
)
て返す。
狂人
(
きちがい
)
じみたと思わりょうが、決してそうでない。
錦染滝白糸:――其一幕――
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
筆者自身が酔うた翁に抜刀で
追
(
おっ
)
かけられた話。その刀をアトで翁から拝領した話など
数限
(
かずかぎり
)
もないが、右の通、翁の性格を最適切にあらわしているものだけを挙げてアトは略する。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「妹さんも、頼りにならないのでしょうな。と、貴女独りで、働いていらっしっても、
追
(
おっ
)
つかないじゃありませんか、何か、ご商売でもお始めになった方がいいじゃありませんか。」
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
猶
(
なお
)
この上他界のものと思はず、朝夕の
手向
(
たむけ
)
たのみ入候。枕山家内のことは、積信院のこゝろもち我よく/\知りつれば、
追
(
おっ
)
て物がたりに及ぶべく候。かしく。積信の姉へ。白居申ふす。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
大きさは
鉄嶺丸
(
てつれいまる
)
とほぼ同じぐらいに思われるが、
船足
(
ふなあし
)
がだいぶ
遅
(
のろ
)
いと見えて、しばらくの
間
(
ま
)
にもうこれほど
追
(
おっ
)
つかれたのである。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
伊「
最
(
も
)
う十五分経てば横浜ゆきは出ますが、斯うしているうちにね、ひょっと、鳶頭でも
追
(
おっ
)
かけて来ては仕様がないから、
私
(
わし
)
はこの汽車で品川まで
行
(
ゆ
)
こうかと思うんだが」
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
猫の
面
(
つら
)
で、犬の胴、狐の
尻尾
(
しりっぽ
)
で、
大
(
おおき
)
さは
鼬
(
いたち
)
の如く、
啼声
(
なくこえ
)
鵺
(
ぬえ
)
に似たりとしてある。
追
(
おっ
)
て
可考
(
かんがうべし
)
。
一寸怪
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
種彦は
知己
(
ちかづき
)
の多い廓の事とて適当の人を頼んで
身請
(
みうけ
)
や何かの事は
追
(
おっ
)
ての相談に
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
万平は大急ぎでアトを
追
(
おっ
)
かけた。近くなると見え隠れに
随
(
つ
)
いて行った。
芝居狂冒険
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「もったいない事をいうな。君の落ちつけないのは
贅沢
(
ぜいたく
)
だからさ。僕のは死ぬまで
麺麭
(
パン
)
を
追
(
おっ
)
かけて歩かなければならないんだから苦しいんだ」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
就
(
つ
)
きまして麻布
様
(
さん
)
の方へお嬢
様
(
さん
)
が家出をなすった事を知らせにやりまして、
金太
(
きんた
)
がようやく
先方
(
むこう
)
へ着いたくらいの時に、又
斯
(
こ
)
ういう変事が出来ましたから、
追
(
おっ
)
かけて人を出し
闇夜の梅
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
刀に掛けても、
追
(
おっ
)
つけ
表向
(
おもてむき
)
の奥方にいたす、はッはッはッ、——これ
遁
(
に
)
げまい。
錦染滝白糸:――其一幕――
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お千代は
此処
(
ここ
)
でもまた
追
(
おっ
)
て通知をするというのだろうと思って
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「タクシーで逃げるのを自転車で
追
(
おっ
)
かけたのです」
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
かと思うと、すぐあとから
鮮
(
あざやか
)
なやつが、一面に吹かれながら、
追
(
おっ
)
かけながら、ちらちらしながら、
熾
(
さかん
)
にあらわれる。そうして不意に消えて行く。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
少し怪しい奴が
後
(
あと
)
から
追
(
おっ
)
かけて参りまして、少々貯えもありますから、大橋の
央
(
なか
)
ばまで
遁
(
に
)
げてまいりますと、
貴方
(
あなた
)
のお姿が見えますから、
追付
(
おいつ
)
こうと思って駈けてまいりますと
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
渠等
(
かれら
)
なかまの、ほとんど首領とも言うべき、熊沢という、
追
(
おっ
)
て大実業家となると聞いた、絵に描いた
化地蔵
(
ばけじぞう
)
のような
大漢
(
おおおとこ
)
が、そんじょその辺のを
落籍
(
ひか
)
したとは
表向
(
おもてむき
)
、得心させて、連出して
売色鴨南蛮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それを込み入った
文
(
あや
)
でも隠しているように、一生懸命に自分の燃やした
陽炎
(
かげろう
)
を散らつかせながら、
後
(
あと
)
を
追
(
おっ
)
かけて歩いたのが、さもさも馬鹿馬鹿しくなって来た。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
大小を三腰とか印籠を幾つとかを盗み取り
逐電
(
ちくでん
)
した人殺しの
盗賊
(
どろぼう
)
だ、すると
後
(
あと
)
から忠義の家来
藤助
(
とうすけ
)
とか孝助とか云う男が、主人の
敵
(
かたき
)
を討ちたいと
追
(
おっ
)
かけて出たそうだ、私の思うのは
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
どれ、連中に
追
(
おっ
)
つこうと、宿はずれへ急ぐと、
長閑
(
のどか
)
な霞のきれ間とも思われる、軽く
人足
(
ひとあし
)
の途絶えた真昼の並木の松蔭に、
容子
(
ようす
)
の
好
(
い
)
い年増が一人、
容
(
かたち
)
の
賤
(
いや
)
しからぬのが、待構えたように立っていて
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
今にも
戦争
(
いくさ
)
が起りそうに見える。焼け出された
裸馬
(
はだかうま
)
が、夜昼となく、屋敷の
周囲
(
まわり
)
を
暴
(
あ
)
れ
廻
(
まわ
)
ると、それを夜昼となく
足軽共
(
あしがるども
)
が
犇
(
ひしめ
)
きながら
追
(
おっ
)
かけているような心持がする。
夢十夜
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あんたに其んなことを云われゝば友達へ顔向が出来ねえから、
意気張
(
いきはり
)
ずくになりゃア
敵
(
かたき
)
同志だ、可愛さ余って憎さが百倍、お前の
帰
(
けえ
)
りを
待伏
(
まちぶせ
)
して、跡を
追
(
おっ
)
かけて鉄砲で
打殺
(
ぶッころ
)
す気になった時には
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
親子
連
(
づれ
)
の
巡礼
(
じゅんれい
)
が間違えて入ったというで、はれ大変な、
乞食
(
こじき
)
を見たような者じゃというて、人命に代りはねえ、
追
(
おっ
)
かけて助けべえと、
巡査様
(
おまわりさま
)
が三人、村の者が十二人、一組になってこれから押登って
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
するといつでも近所の三毛猫から
追
(
おっ
)
かけられる。そうして、
怖
(
こわ
)
いものだから、縁側を飛び上がって、立て切ってある
障子
(
しょうじ
)
を突き破って、
囲炉裏
(
いろり
)
の傍まで逃げ込んで来る。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
何かお前さんに物云いたそうに
此方
(
こっち
)
をジロ/\見てモジツカして居ますが、お前さんに余程惚れてますぜ、なに本当の事さ、
私
(
わっち
)
を
追
(
おっ
)
かけて来て鋏を一挺呉れて、何うか若旦那に宜くお詫をッてんで
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
今かく
中古
(
ちゅうぶる
)
に
草臥
(
くたび
)
れても
同一
(
おなじ
)
香
(
におい
)
の香水で、
追
(
おっ
)
かけ追かけ
香
(
にお
)
わせてある持物を取出して、気になるほど爪の伸びた、湯が
嫌
(
きらい
)
らしい手に短い
延
(
のべ
)
の銀
煙管
(
ぎせる
)
、何か目出度い薄っぺらな
彫
(
ほり
)
のあるのを控えながら
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そんな茶碗は洗ったくらいじゃ
追
(
おっ
)
つかない。壊してしまわなけりゃ直らない
厄介物
(
やっかいぶつ
)
だ。全体茶人の持ってる道具ほど気に食わないものはない。みんな、ひねくれている。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そうして、しまいには
焼火箸
(
やけひばし
)
のようにじゅっといってまた波の底に沈んで行く。そのたんびに
蒼
(
あお
)
い波が遠くの向うで、
蘇枋
(
すおう
)
の色に
沸
(
わ
)
き返る。すると船は
凄
(
すさま
)
じい音を立ててその
跡
(
あと
)
を
追
(
おっ
)
かけて行く。
夢十夜
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
追
常用漢字
小3
部首:⾡
9画
“追”を含む語句
追付
追放
追掛
追駈
追懸
追立
追着
追従
追憶
追躡
追剥
追出
追懐
追駆
追風
追想
追手
追蒐
追從
追及
...