足場あしば)” の例文
この久能谷くのやの方は、ちっ足場あしばが遠くなりますから、すべて、見得装飾みえかざりを向うへ持って参って、小松橋こまつばしが本宅のようになっております。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
数千年前にそでを分かった従兄弟いとこさがすのに、変ってまた変った現在の言葉を、足場あしば手がかりにしようとするのはまちがいである。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
沫雪あわゆきくだりにいへるごとく、冬の雪はやはらにして足場あしばあしきゆゑ、熊をとるは雪のこほりたる春の土用まへ、かれが穴よりいでんとするころほどよき時節じせつとする也。
のみならず、水門には、頑丈がんじょう鉄柵てつさくが二重になっているうえ、足場あしばのわるい狭隘きょうあい谿谷けいこくである。おまけに、全身水しぶきをあびての苦戦は一通ひととおりでない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それから二人ふたり種々いろ/\談話はなしをしてうち懇意こんいになり、ボズさんが遠慮ゑんりよなくところによるとぼく發見みつけ場所ばしよはボズさんのあじろのひとつで、足場あしばはボズさんがつくつたこと
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
今三人の男が立話たちばなしをしている場所は、地上から二十五メートルも離れた空間だ。足場あしばがわりに鉄骨のはりの上に懸け渡しただけの何枚かの板の上に立っているのだった。
秋空晴れて (新字新仮名) / 吉田甲子太郎(著)
またいわうえりていたたくさんのしろとりは、なみ足場あしばをさらわれてしまって、あらしのさけそらなかで、しきりにかなしんでいていました。そのうちに、れてしまった。
一本の銀の針 (新字新仮名) / 小川未明(著)
このあたりで女達をんなたち客引きやくひき場所ばしよは、目下もくか足場あしばかゝつてゐる観音堂くわんおんだう裏手うらてから三社権現じやごんげんまへ空地あきち、二天門てんもんあたりから鐘撞堂かねつきだうのある辨天山べんてんやましたで、こゝは昼間ひるまから客引きやくひきをんながゐる。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
家の外では、左官さかんやペンキ屋が、足場あしばをきずいて、家のまわりをっていますし、中では女中じょちゅうたちが、窓ガラスをきれいにふいています。みなとでは、帆船はんせん汽船きせんをさかんに修理しゅうりしています。
足場あしばうしなひ、小石こいし
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
其處そこで、でこぼこと足場あしばわるい、蒼苔あをごけ夜露よつゆでつる/\とすべる、きし石壇いしだんんでりて、かさいで、きしくさへ、荷物にもつうへ
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
常には見上る高枝たかきえだうづまりたる雪を天然てんねん足場あしばとして心のまゝきりとり、大かたは六を一人まへとするなり。
達吉たつきちは、人々ひとびとがなんといってもかまわずに、さくえて、寂然せきぜんとした教会堂きょうかいどう敷地内しきちないはいみ、まどわくを足場あしばとして、さるのごとく、といをつたって、建物たてものかべじり
僕はこれからだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
うち這入はいると足場あしばの悪い梯子段はしごだんが立つてゐて、中程なかほどからまがるあたりはもう薄暗うすぐらく、くさ生暖なまあたゝか人込ひとごみ温気うんき猶更なほさら暗い上のはうから吹きりて来る。しきりに役者の名を呼ぶ掛声かけごゑきこえる。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
その場所ばしよまつたくぼくつたのである、後背うしろがけからは雜木ざふきえだかさかさねておほひかゝり、まへかなひろよどみしづかうづまいながれてる。足場あしばはわざ/\つくつたやうおもはれるほど具合ぐあひい。
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
ことに、じぶんは下、きゃつは上、足場あしばにおいて勝目かちめがない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
常には見上る高枝たかきえだうづまりたる雪を天然てんねん足場あしばとして心のまゝきりとり、大かたは六を一人まへとするなり。
さかしたは、左右さいう植木屋うゑきや屋外をくぐわい足場あしばまうけ、半纏着はんてんぎ若衆わかもの蛛手くもでからんで、造菊つくりぎく支度最中したくさいちうなりけり。く/\フと古道具屋ふるだうぐやまへつ。彌次やじいはく、茶棚ちやだなはあんなのがいな。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)