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薄紅
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うすくれなゐ
ふりがな文庫
“
薄紅
(
うすくれなゐ
)” の例文
と
籠
(
かご
)
を
開
(
あ
)
ける、と
飜然
(
ひらり
)
と
來
(
き
)
た、が、
此
(
これ
)
は
純白
(
じゆんぱく
)
雪
(
ゆき
)
の
如
(
ごと
)
きが、
嬉
(
うれ
)
しさに、
颯
(
さつ
)
と
揚羽
(
あげは
)
の、
羽裏
(
はうら
)
の
色
(
いろ
)
は
淡
(
あは
)
く
黄
(
き
)
に、
嘴
(
くち
)
は
珊瑚
(
さんご
)
の
薄紅
(
うすくれなゐ
)
。
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
もう日が
薄紅
(
うすくれなゐ
)
に中庭を
彩
(
いろど
)
つてゐた。雇はれて来た
女原
(
をんなばら
)
が、痩せた胸をあらはにして、慟哭の声を天に響かせた。
フロルスと賊と
(新字旧仮名)
/
ミカイル・アレクセーヴィチ・クスミン
(著)
彼は
啖
(
くら
)
ふこと
傍
(
かたはら
)
に人無き
若
(
ごと
)
し。満枝の
面
(
おもて
)
は
薄紅
(
うすくれなゐ
)
になほ
酔
(
ゑひ
)
は有りながら、
酔
(
よ
)
へる
体
(
てい
)
も無くて、唯打案じたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
『あれこそは小松殿の
御内
(
みうち
)
に花と歌はれし重景殿よ』など、女房共の罵り合ふ聲々に、人々
等
(
ひと
)
しく
樂屋
(
がくや
)
の方を振向けば、右の方より
薄紅
(
うすくれなゐ
)
の
素袍
(
すほう
)
に右の袖を
肩脱
(
かたぬ
)
ぎ
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
其代り耳に接した方は、
明
(
あき
)
らかに
薄紅
(
うすくれなゐ
)
であつた。殊に小さい耳が、
日
(
ひ
)
の光を
透
(
とほ
)
してゐるかの如くデリケートに見えた。
皮膚
(
ひふ
)
とは反対に、令嬢は黒い鳶色の大きな
眼
(
め
)
を有したゐた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
嵐烈しく雪散る日辿り着きたる平泉、
汀
(
みぎは
)
凍
(
こほ
)
れる衣川を衣手寒く眺めやり、出羽にいでゝ多喜の山に
薄紅
(
うすくれなゐ
)
の花を
愛
(
め
)
で、
象潟
(
きさかた
)
の雨に打たれ木曾の
空翠
(
くうすゐ
)
に咽んで、漸く
花洛
(
みやこ
)
に帰り来たれば
二日物語
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
半身に
薄紅
(
うすくれなゐ
)
の
羅
(
うすもの
)
の衣纏ひて月見ると云へ
晶子鑑賞
(新字旧仮名)
/
平野万里
(著)
薄紅
(
うすくれなゐ
)
の石竹の花が咲いた。
海郷風物記
(旧字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
薄紅
(
うすくれなゐ
)
の秋の
実
(
み
)
に
若菜集
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
薄紅
(
うすくれなゐ
)
の秋の
実
(
み
)
に
我が愛する詩人の伝記
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
美女
(
たをやめ
)
の
背後
(
うしろ
)
に
当
(
あた
)
る……
其
(
そ
)
の
山懐
(
やまふところ
)
に、
唯
(
たゞ
)
一本
(
ひともと
)
、
古歌
(
こか
)
の
風情
(
ふぜい
)
の
桜花
(
さくらばな
)
、
浅黄
(
あさぎ
)
にも
黒染
(
すみぞめ
)
にも
白妙
(
しろたへ
)
にも
咲
(
さ
)
かないで、
一重
(
ひとへ
)
に
颯
(
さつ
)
と
薄紅
(
うすくれなゐ
)
。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
紳士は
年歯
(
としのころ
)
二十六七なるべく、
長高
(
たけたか
)
く、好き程に肥えて、色は玉のやうなるに
頬
(
ほほ
)
の
辺
(
あたり
)
には
薄紅
(
うすくれなゐ
)
を帯びて、額厚く、口大きく、
腮
(
あぎと
)
は左右に
蔓
(
はびこ
)
りて、面積の広き顔は
稍
(
やや
)
正方形を
成
(
な
)
せり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
薄紅
(
うすくれなゐ
)
の秋の
實
(
み
)
に
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
姿見
(
すがたみ
)
の
俤
(
おもかげ
)
は
一重
(
ひとへ
)
の
花瓣
(
はなびら
)
薄紅
(
うすくれなゐ
)
に、
乳
(
ち
)
を
押
(
おさ
)
へたる
手
(
て
)
は
白
(
しろ
)
くかさなり
咲
(
さ
)
く、
蘭湯
(
らんたう
)
に
開
(
ひら
)
きたる
此
(
こ
)
の
冬牡丹
(
ふゆぼたん
)
。
蕊
(
しべ
)
に
刻
(
きざ
)
めるは
誰
(
た
)
が
名
(
な
)
ぞ。
其
(
そ
)
の
文字
(
もじ
)
金色
(
こんじき
)
に
輝
(
かゞや
)
くまゝに、
口
(
くち
)
渇
(
かわ
)
き
又
(
また
)
耳
(
みゝ
)
熱
(
ねつ
)
す。
婦人十一題
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
手
(
て
)
をあげて
黒髪
(
くろかみ
)
をおさへながら
腋
(
わき
)
の
下
(
した
)
を
手拭
(
てぬぐひ
)
でぐいと
拭
(
ふ
)
き、あとを
両手
(
りやうて
)
で
絞
(
しぼ
)
りながら
立
(
た
)
つた
姿
(
すがた
)
、
唯
(
たゞ
)
これ
雪
(
ゆき
)
のやうなのを
恁
(
かゝ
)
る
霊水
(
れいすい
)
で
清
(
きよ
)
めた、
恁云
(
かうい
)
ふ
女
(
をんな
)
の
汗
(
あせ
)
は
薄紅
(
うすくれなゐ
)
になつて
流
(
なが
)
れやう。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
山家
(
やまが
)
、
村里
(
むらざと
)
は
薄紅
(
うすくれなゐ
)
の
蕎麥
(
そば
)
の
霧
(
きり
)
、
粟
(
あは
)
の
實
(
み
)
の
茂
(
しげ
)
れる
中
(
なか
)
に、
鶉
(
うづら
)
が
鳴
(
な
)
けば
山鳩
(
やまばと
)
の
谺
(
こだま
)
する。
掛稻
(
かけいね
)
の
香
(
か
)
暖
(
あたゝ
)
かう、
蕪
(
かぶら
)
に
早
(
はや
)
き
初霜
(
はつしも
)
溶
(
と
)
けて、
細流
(
せゝらぎ
)
に
又
(
また
)
咲
(
さ
)
く
杜若
(
かきつばた
)
。
晝
(
ひる
)
の
月
(
つき
)
を
渡
(
わた
)
る
雁
(
かり
)
は、また
戀衣
(
こひぎぬ
)
の
縫目
(
ぬひめ
)
にこそ。
五月より
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
東雲
(
しのゝめ
)
の
太陽
(
たいやう
)
の
惠
(
めぐみ
)
の、
宛然
(
さながら
)
處女
(
しよぢよ
)
の
血
(
ち
)
の
如
(
ごと
)
く、
爽
(
さわやか
)
に
薄紅
(
うすくれなゐ
)
なるに、
難有
(
ありがた
)
や、
狐
(
きつね
)
とも
成
(
な
)
らず、
狸
(
たぬき
)
ともならず、
紳士
(
しんし
)
と
成
(
な
)
り、
貴婦人
(
きふじん
)
となり、
豪商
(
がうしやう
)
となり、
金鎖
(
きんぐさり
)
となり、
荷物
(
にもつ
)
と
成
(
な
)
り、
大
(
おほい
)
なる
鞄
(
かばん
)
と
成
(
な
)
る。
大阪まで
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
まあ、
彼
(
あ
)
の
恐
(
おそろ
)
しい
所
(
ところ
)
から
何
(
ど
)
の
位
(
くらゐ
)
離
(
はな
)
れたらうと
思
(
おも
)
つて
怖々
(
こは/″\
)
と
振返
(
ふりかへ
)
ると、ものの
五尺
(
ごしやく
)
とは
隔
(
へだ
)
たらぬ
私
(
わたし
)
の
居室
(
ゐま
)
の
敷居
(
しきゐ
)
を
跨
(
また
)
いで
明々地
(
あからさま
)
に
薄紅
(
うすくれなゐ
)
のぼやけた
絹
(
きぬ
)
に
搦
(
から
)
まつて
蒼白
(
あをじろ
)
い
女
(
をんな
)
の
脚
(
あし
)
ばかりが
歩行
(
ある
)
いて
來
(
き
)
た。
怪談女の輪
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
薄
常用漢字
中学
部首:⾋
16画
紅
常用漢字
小6
部首:⽷
9画
“薄紅”で始まる語句
薄紅梅
薄紅色
薄紅葉