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肴
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さかな
ふりがな文庫
“
肴
(
さかな
)” の例文
で、師匠も大きにこれを喜んでくれられ、当日は赤飯を
炊
(
た
)
き、
肴
(
さかな
)
を買って私のために祝ってくれられ、私の親たちをも招かれました。
幕末維新懐古談:21 年季あけ前後のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
「
肴
(
さかな
)
は何があるな。
甲州街道
(
こうしゅうかいどう
)
へ来て新らしい魚類を所望する程野暮ではない。何か野菜物か、それとも
若鮎
(
わかあゆ
)
でもあれば
魚田
(
ぎょでん
)
が
好
(
よ
)
いな」
怪異暗闇祭
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
まもなく、二人の若い女中が、新たに酒と
肴
(
さかな
)
をはこんで来、孝之助の膳をも
拵
(
こしら
)
えて、(これらのことはすべて無言のうちに行われた)
竹柏記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
老妓はすべてを大して気にかけず、悠々と土手でカナリヤの餌のはこべを摘んだり
菖蒲
(
しょうぶ
)
園できぬかつぎを
肴
(
さかな
)
にビールを飲んだりした。
老妓抄
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
煮売屋
(
にうりや
)
すなわち飲食店の出現はその一つである。いわゆる
店屋物
(
てんやもの
)
の主たるものは餅と団子、一方にはまた粗末ながら酒の
肴
(
さかな
)
であった。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
▼ もっと見る
彼女の兄は東京に下肥引きに往った帰りに
肴
(
さかな
)
を買って来ては食わした。然し彼女は日々衰えた。遠慮勝の彼女は親兄弟にも遠慮した。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「なんとでもいえ、おれの眼には、この火事が綺麗に見えてこたえられねえ。酒があれば、
肴
(
さかな
)
にして、一杯飲みてえくらいなものだ」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
とにかく重兵衛さんの晩酌の
肴
(
さかな
)
に聞かしてくれた色々の怪談や笑話の中には、学校教育の中には全く含まれていない要素を含んでいた。
重兵衛さんの一家
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
しばらくたって取り出し、アユを頭ごとかじる。切りたての青竹のにおい、アユと酢のかおり、これを
肴
(
さかな
)
に河原で飲む冷や酒はうまい。
江戸前の釣り
(新字新仮名)
/
三遊亭金馬
(著)
肴
(
さかな
)
は? と思ったが何もあるはずがないので、机の上に置いてあった干葡萄の皿を引きよせて、それを
摘
(
つま
)
んでぽつりぽつりやり出した。
田舎医師の子
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
お前さんとこの親方は威勢がいいばかりで、
肴
(
さかな
)
は一向新しくないとか、刺身の作り方が
拙
(
まず
)
くてしようがないとかいう小言もあった。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
せっかく叔母の
拵
(
こしら
)
えてくれた肉にも
肴
(
さかな
)
にも、日頃大好な
茸飯
(
たけめし
)
にも手をつけないので、さすがの叔母も気の毒がって、お金さんに頼んで
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「きょうのお
肴
(
さかな
)
はいきがいいね」と祖母は叔母に、
空嘯
(
うそぶ
)
いて話しかけた。……私の言葉が祖母の耳には這入らないかのように……。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
「何の
風情
(
ふぜい
)
もござらぬの。老人がお
肴
(
さかな
)
申そうかの」三太夫はやさしく微笑して、「
唐歌
(
からうた
)
の
一節
(
ひとくさり
)
吟ずるとしよう。そなたに対する
餞
(
はなむけ
)
じゃ」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
親類や知人などは
一月
(
ひとつき
)
も前から、お別れだと言つては、
饂飩
(
うどん
)
を打つたり
肴
(
さかな
)
を買つたりして、老夫婦や主婦を呼んで御馳走をした。
朝
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
此の時、宛も
下婢
(
かひ
)
の持ち出でゝ、膳の脇に据えたる
肴
(
さかな
)
は、鮒の甘露煮と焼
沙魚
(
はぜ
)
の三杯酢なりしかば、主人は、ずツと反身になり
元日の釣
(新字旧仮名)
/
石井研堂
(著)
例せば小児が
薯蕷
(
やまいも
)
を焼くとき共に食うべき
肴
(
さかな
)
を望まば、上帝われに魚を与えよと唱えて棒を空中に
抛
(
ほう
)
ればたちまち魚を下さった。
十二支考:06 羊に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
ことのついでにいってしまえば、もと西巻は、日本橋の
石町
(
こくちょう
)
、
銀町
(
しろがねちょう
)
、
伝馬町
(
てんまちょう
)
……その界隈を担いであるくぼてふりの
肴
(
さかな
)
やだった。
春泥
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
そして、手の甲で唇と舌とを横撫でして、おまけにその手の甲を何で
拭
(
ぬぐ
)
おうとするでもなく、そのまま頭を掻いたり
肴
(
さかな
)
をつまんだりした。
鬼涙村
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
「浮かない、どうもこの胸が、一杯飲むごとに沈んで行く、といって、酒はやっぱり
旨
(
うま
)
いのだ、
肴
(
さかな
)
に申し分もないし、天気はいいし——」
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
四郎右衞門
先々
(
まづ/\
)
と
引止
(
ひきとめ
)
下女に云付
酒
(
さけ
)
肴
(
さかな
)
を出し
懇切
(
ねんごろ
)
に
饗應
(
もてなし
)
て三郎兵衞を歸しけり其後三月十日に三郎兵衞二十兩加賀屋へ
持參
(
ぢさん
)
し
先達
(
せんだつ
)
ての禮を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
素通
(
すどほ
)
りもなるまいとてずつと
這入
(
はい
)
るに、
忽
(
たちま
)
ち
廊下
(
らうか
)
にばた/\といふ
足
(
あし
)
おと、
姉
(
ねへ
)
さんお
銚子
(
てうし
)
と
聲
(
こゑ
)
をかければ、お
肴
(
さかな
)
は
何
(
なに
)
をと
答
(
こた
)
ふ。
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
肴
(
さかな
)
が必要だったが、そこはうまいこと
烹炊所
(
ほうすいじょ
)
にわたりをつけて、缶詰などをもらって来る。味はないが、意外に強く、すぐに酔いが廻った。
幻化
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
「むむ、そのお稲で居た時の身の上話、酒の
肴
(
さかな
)
に聞かさんかい。や、ただわなわなと震えくさる、まだ間が無うて馴れぬからだ。こりゃ、」
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そんな中で遷宮式の日を迎えた半蔵は、清助と栄吉を店座敷に集めて、
焼※
(
やきするめ
)
ぐらいを
肴
(
さかな
)
に、しるしばかりの
神酒
(
みき
)
を振る舞った。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
部屋で酒盛をして、わざわざ
肴
(
さかな
)
を
拵
(
こしら
)
えさせたり何かして、お上さんに面倒を見させ、
我儘
(
わがまま
)
をするようでいて、実は帳場に得の附くようにする。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
そうして、ネオン・サインの陰を酔っ払ってよろめきまわり、電髪嬢を
肴
(
さかな
)
にしてインチキ・ウイスキーを
呷
(
あお
)
っている。呆れ果てた奴等である。
日本文化私観
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
ある時御飯のお
菜
(
かず
)
に、知らぬお
肴
(
さかな
)
がついて居りましたので、あとで助八さんにお肴の名を聞きましたら、
章魚
(
たこ
)
と申しました。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
毎日
釣
(
つ
)
りをやってね……ああやって水の流れを見ていると、それでも晩飯の酒の
肴
(
さかな
)
ぐらいなものは釣れて来ますよハヽヽヽヽ
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
困って居ると友達が酒飲みに行かんかというから、直に
一処
(
いっしょ
)
に飛び出した。いつも行く神保町の洋酒屋へ往って、ラッキョを
肴
(
さかな
)
で
正宗
(
まさむね
)
を飲んだ。
酒
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
楠殿が高時の
酒
(
さけ
)
九
献
(
こん
)
肴
(
さかな
)
九
種
(
しゆ
)
を用ゆるを聞いて
驕奢
(
おごり
)
の甚だしいのを慨嘆したといふは、失敬ながら田舎侍の野暮な
過言
(
いひすぎ
)
だ子。
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
橘は用意の酒と
肴
(
さかな
)
とを女房たちにはこばせ、まだ
萌
(
も
)
えたばかりの草の上にひろげた。二人の若者ははじめて橘がものを食べるのを見たのである。
姫たちばな
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
「そのほか階上に
肴
(
さかな
)
の折り詰めを残しておいたが、これは貴方に与うるから晩食のときに食せよ」といいつつ立ち去った。
おばけの正体
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
何でも出来ます、と簡単に答えて女は返事を待った。何か
肴
(
さかな
)
をして、酒をつけておいて下さい、と彦太郎は女の顔をまじまじと見つめて云った。
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
細長い
脚
(
あし
)
のついた二つ三つの銀盆に菓子とも何とも判らない
肴
(
さかな
)
を盛ってある傍に、
神酒徳利
(
みきとくり
)
のような銚子を置いて、それに
瓦盃
(
かわらけ
)
を添えてあった。
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
私も興奮した後のふるえを鎮めながら、エプロンを君ちゃんにはずしてもらうと、おでんを
肴
(
さかな
)
に、酒を一本つけて貰った。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
鍋焼饂飩
(
なべやきうどん
)
の荷の間から
縁
(
へり
)
のとれかゝった
広蓋
(
ひろぶた
)
を出し、其の上に思い付いて買って来た一升の酒に
肴
(
さかな
)
を並べ、其の前に坐り
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その物音に君江は立って座敷へ持運び、「おじさん。お
肴
(
さかな
)
なら何でも御馳走しますわ。表の家が肴屋ですから窓から呼べば何でも持って来ます。」
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
いよいよ飯の菜や酒の
肴
(
さかな
)
のない時には、いたら貝か何かに菜漬を入れて、鰹節を少し振りかけて煮るのが父の発明で、それを「
煮茎
(
にぐき
)
」と呼んでいた。
私の父
(新字新仮名)
/
堺利彦
(著)
店の者にも内々申し聞かせ、出入りの酒屋、
肴
(
さかな
)
屋、
鳶頭
(
かしら
)
にも話して、内々仕度をしてゐると、あの騷ぎでございます。
銭形平次捕物控:122 お由良の罪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
村といっても、一本筋の場末町みたいなところで、駄菓子屋、豆腐屋、散髪屋、鍛冶屋、薬屋、
肴
(
さかな
)
屋などが曲りくねって、でこぼこにつづいている。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
お蓮は犬を板の
間
(
ま
)
へ
下
(
おろ
)
すと、無邪気な笑顔を見せながら、もう
肴
(
さかな
)
でも探してやる気か、台所の
戸棚
(
とだな
)
に手をかけていた。
奇怪な再会
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「この
肆
(
みせ
)
の
下物
(
かぶつ
)
、一は
漢書
(
かんしよ
)
、二は
双柑
(
さうかん
)
、三は
黄鳥
(
くわうてう
)
一
声
(
せい
)
」といふ洒落た文句で、よしんば
摘
(
つま
)
み
肴
(
さかな
)
一つ無かつたにしろ、酒はうまく飲ませたに相違ない。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
二人はその名を酒の
肴
(
さかな
)
にして飲みました。その滑かな発音を、牛肉よりも一層
旨
(
うま
)
い食物のように、舌で味わい、
唾液
(
だえき
)
で
舐
(
ねぶ
)
り、そして唇に上せました。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
その証拠に
副食物
(
さい
)
の事を酒の
肴
(
さかな
)
というではないか。中にはそうでないものもあるけれども
重
(
おも
)
なる日本料理は酒の肴だ。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
奥には庭伝いで行けるような小座敷もあったが、坐り込むと又長くなるというので、二人は店口の
床几
(
しょうぎ
)
に腰をおろして、有り合いの
肴
(
さかな
)
で飲みはじめた。
半七捕物帳:51 大森の鶏
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そだがらさ、あのあんこ
肴
(
さかな
)
にして今日ぁ遊ぶべじゃい。いいが。おれあのあんこうなさ
取
(
と
)
り
持
(
も
)
づ。
大丈夫
(
だいじょうぶ
)
だでばよ。
十六日
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
信長等が予想して居た通りに義元、
頻々
(
ひんぴん
)
たる勝報に心喜んで附近の祠官、僧侶がお祝の酒
肴
(
さかな
)
を取そろえて来たのに気をよくして酒宴をもよおして居た。
桶狭間合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
人々は生面の客あるを見ても、絶て怪み
訝
(
いぶか
)
ることなく、我に
榻
(
こしかけ
)
を與へて坐せしめ、我に
盞
(
さかづき
)
を與へて飮ましめ、
肴
(
さかな
)
せんとて
鹽肉團
(
サラメ
)
をさへ
截
(
き
)
りてくれたり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
鎮守の社で雨の御礼の酒盛があった翌日の朝早く、徳兵衛は長者の言いつけで、
肴
(
さかな
)
を入れた
籠
(
かご
)
と大きな酒の
徳利
(
とくり
)
とをさげて、
鎮守
(
ちんじゅ
)
様に
供
(
そな
)
えに行きました。
ひでり狐
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
“肴”の解説
肴(さかな)とは、酒を飲む際に添える食品を意味する語。派生して、酒を飲む際に共に楽しむ様々な対象(歌舞や面白い話題など)も肴と呼ばれる。酒肴(しゅこう)、酒にあてがうことからアテと呼ぶ事もある。つまみ(おつまみ)ともいう。
(出典:Wikipedia)
肴
漢検準1級
部首:⾁
8画
“肴”を含む語句
酒肴
肴町
佳肴
鉢肴
残肴
御肴
御酒肴
生肴
嘉肴
肴饌
交肴
肴屋
煮肴
焼肴
小肴
肴代
美肴
肴籠
美酒佳肴
酒肴料
...