“簷:のき” の例文
“簷:のき”を含む作品の著者(上位)作品数
田中貢太郎18
蒲 松齢4
幸田露伴2
森鴎外2
徳富蘇峰1
“簷:のき”を含む作品のジャンル比率
文学 > ドイツ文学 > その他のゲルマン文学14.3%
文学 > 中国文学 > 小説 物語14.2%
文学 > 日本文学 > 記録 手記 ルポルタージュ4.3%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
真澄はさかずきを持ったなりにまたおもい出したように、ななめに見えている母屋おもやの二階ののきに眼をやった。
岐阜提灯 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
曲欄きょくらんを幾まがりか折れて往くとまた別の庭があって、枝を垂れた数十株の楊柳が高だかと朱ののきを撫でていた。
西湖主 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「どうかのきの下で宜しゅうございますから、今晩だけお泊めなさってくださいますまいか」と、女はきまり悪そうに云った。
花の咲く比 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
れぬ山家やまがたび宿やどりに積薪せきしん夜更よふけてがたく、つてのきづ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
家家ののきに掲げた燈籠に明るい月がして、その微紅うすあかくにじんだようにぼんやりとなって見えた。
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
街の両側にはバラック建の高低の一定しないのきが続いて、それにぼつぼつ小さな微暗うすぐらい軒燈がいていた。
文妖伝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
横街といふ横街には「コンフエツチイ」のたま賣る浮鋪とこみせのきを列べて、その卓の上には美しき貨物しろものを盛り上げたり。
扉は無くなりのきは傾き、しきがわらの間からは草が生え茂って庭内は荒涼としていて、二三日前に見た家屋の色彩はすこしもなかった。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
扉はなくなりのきは傾き、しきがわらの間からは草が生え茂って庭内はひどく荒れていて、二三日前に見た家屋の色彩はすこしもなかった。
雷峯塔物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
大きな家ではあるが、門の柱もち、のきかわらも砕けて、人の住んでいるような所ではなかった。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
家を出でゝ程久しきに、母も弟も還ること遅し、鴉はもりに急げども、帰らぬ人の影は破れしのき夕陽ゆふひ照光ひかりにうつらず。
鬼心非鬼心:(実聞) (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
のきの傾いた荒寺が草の中に立っていた。夜叉のあえ呼吸いきづかいがすぐ背後うしろで聞えた。大異はそのまま荒寺の中へ入って往った。
太虚司法伝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
もといた堺町の家ののきにも一本夏みかんの木があって年々花をつけては塀外へこぼれるのを毎朝起きて掃くのがたのしみで二、三句出来た事がある。
朱欒の花のさく頃 (新字新仮名) / 杉田久女(著)
昼の間はややもすれば二階ののきを飛び超えて家根に上り、それより幾時間となく海を眺め外船の阿那の点にあるを見守りたることもこれ有り候。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
「ございます、ちょうど、雨だれののきを落ちる時のような同じ形が揃って、つばの下から切尖まで、ずっと並んで、いかにもみごとでございます」
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
家々ののきに掲げた燈籠に明るい月が射して、その燈は微赤く滲んだようにぼんやりとなって見えた。
牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
古廟は柱が傾き、のきが破れ、落葉の積んだ廻廊には、獣の足跡らしい物が乱雑にいていた。
申陽洞記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
火はもうめらめらと堂ののきに燃えついた。その火の傍で六郎の狂気のように笑う声が聞えた。
頼朝の最後 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
それから、いつしか二三年は経ってしまった。落葉の雨に混ってのきを打つ頃となり、いつとなく村は黄色く霜枯れて、冬が来て、また雪の降り出す頃となった。
凍える女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
相向へる二列の家は、のきと簷と殆ど相觸れんとし、市店いちみせともしびを張ること多きが爲めに、火光は到らぬ隈もなく、士女の往來織るが如くなり。
「送ってあげましょう、私も猟にきて帰れないので、しかたなしにここに寝ておりますものの、ゆっくり睡れないのですから、貴女の家ののきの下でも拝借しましょう」
狼の怪 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
半腹に鳳山亭と匾したる四阿屋あずまやのき傾きたるあり、長野辺まで望見るべし。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
屋根と表口の上とに、のきと庇とが出てゐるが、その広さが丁度家全体の広さ程ある。
十三時 (新字旧仮名) / エドガー・アラン・ポー(著)
「そうじゃそうじゃ」と評議一決。やがて黒羽町に入込いりこむと、なるほど、遊廓と背中合せに、木賃宿に毛の生えたような宿屋が一軒、のき先には△△屋と記してある。
本州横断 癇癪徒歩旅行 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
例年のきく端午の菖蒲しょうぶまず、ましてや初幟はつのぼりの祝をする子のある家も、その子の生まれたことを忘れたようにして、静まり返っている。
阿部一族 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
と、間もなくしてのき先から不意に鳥の堕ちて来るようにおりて来た者があった。
五通 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
しろきからなしあかきすもゝえだたわゝにしてのきり、妓妾ぎせふ白碧はくへきはなかざつて樓上ろうじやうす。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
泥塗れのビショ濡れになってる夜具包や、古行李や古葛籠つづら、焼焦だらけの畳の狼籍しているを横に見て、屋根ものきも焼け落ちて真黒に焼けた柱ばかりが立ってる洋物小売部の店
その下宿ののきはぐらぐらとしてその柱に当りそうに動いていた。
変災序記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
その客は私のいない間にのきから飛んで右の足首をくじいていた。
死体の匂い (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「これはとてもいかん。むしろ廃殿の中で眠った方が得策だ」と早速天幕を疊み、一同はまたもやゾロゾロと、のきは傾き、壁板は倒れ、床は朽ちて陥込おちこんでいる廃殿にのぼ
本州横断 癇癪徒歩旅行 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
電車線路のこっちに一幅の耕地を持って高まった丘は、電車が開通するとともに文化住宅地になって、昼間電車の中から見ると丘の樹木の間から碧瓦あおがわら赭瓦あかがわらのきが見えた。
白っぽい洋服 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
彭はその声に顔をあげて見た。水仙廟の後ろと思われる山の麓に楼閣がのきを並べていた。女を尋ねて毎日水仙廟のあたりから孤山の頂にかけて歩いていた彭は、そんな楼閣を見たことがなかったので驚いた。
荷花公主 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
のきの下に二組のつくえと腰掛を設けて、その一方の几には一人の秀才が腰をかけていた。そこで宋公もその一方の几にいって秀才と肩を並べて腰をかけた。几の上にはそれぞれ筆と紙とが置いてあった。
考城隍 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
のきを見ると縄のような雨だれがかかっている。
王成 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
その火の焔のはしに家ののきが見えた。
虎媛 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
下宿屋の上の家並は大塚の電車通りに沿うた人家で、総門の右側には雑貨店をやっている小学校の校長の住んでいる二階家があって、その向うには墓地の続きになった所に建った大きな建物ののきが僅かに見えていた。
変災序記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
春風は既に予が草堂ののきを吹いた。
艸木虫魚 (新字新仮名) / 薄田泣菫(著)
春風は既に予が草堂ののきを吹いた。
入社の辞 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
のきには夕陽が残っていた。
蓮花公主 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
「いや、それは、今もお嬢さんにお願いしてたところです、私はこの下の村の猟師ですが、獣を追駈けてるうちに、日が暮れてしまって、しかたなしに寝てた者ですから、お嬢さんをお送りして、のきの下でも拝借しようと思っておりました」
狼の怪 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
雨は前にも増して恐しい量で降って、老朽おいくちてジグザグになった板廂いたびさしからは雨水がしどろに流れ落ちる、見るとのきの端に生えている瓦葦しのぶぐさが雨にたたかれて、あやまった、あやまったというように叩頭おじぎしているのが見えたり隠れたりしている。
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
雨は前にも増して恐しい量で降つて、老朽おいくちてジグザグになつた板廂いたびさしからは雨水がしどろに流れ落ちる、見るとのきの端に生えて居る瓦葦しのぶぐさが雨にたゝかれて、あやまつた、あやまつたといふやうに叩頭おじぎして居るのが見えたり隠れたりしてゐる。
観画談 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
路次の中へ路次が通じて迷図めいずのように紛糾した処には、一二年前まで私娼のいた竹格子たけごうしの附いた小家こいえが雑然とのきを並べていたが、今は皆禁止せられて、わずかに残った家は、造花屋と云う怪しい看板をかけて店の小棚こだな種種いろいろの造花を並べていた。
水魔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
其の内に離れて居りますけれども、宿泊人とまりゅうどいびきがぐう/\、往来も大分だいぶ静かになりますと、ボンボーン、ばら/\/\とのきへ当るのはみぞれでも降って来たように寒くなり、襟元から風が入りますので、仰臥あおむけに寝て居りますと、廊下をみしり/\抜足ぬきあしをして来る者があります。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)