)” の例文
旧字:
それが豊富に残存しているのを見るにつけても、三つのことが直ちにされねばならぬことを痛感致します。第一は調査であります。
北支の民芸(放送講演) (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
彼らの残りの生涯しょうがいは、自己真似まねをすることのうちに過ぎてゆき、昔生存していたころに言いし考えあるいは愛したところのことを
種々いろ/\なる感想が自分の胸にうしほのやうに集つて来て、其山中の村が何だか自分と深い宿縁をつて居るやうな気がて、何うもらぬ。
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
詩人とか歌人とか俳人とか一身をその専門の業に投じた人のする事で、文明の道に進むべき多忙多事なる青年輩のすべき事でない。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
碑文に「辛未、宣教判官ニ拝ス。既ニシテマタ権大法官、五等判事ニ歴任ス。官廃セラレテム。マタツテ司法少書記官トル。」
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
昔は孔子のいわく、富にして求むべくんば執鞭しつべんの士といえどもわれまたこれをさん、もし求むべからずんばわが好むところに従わんと。
貧乏物語 (新字新仮名) / 河上肇(著)
聖にして熱ある悲慨、我が心頭に入れり。罵者の声耳辺にあるが如し、我がすなきと、我が言ふなきと、我が行くなきとを責む。
一夕観 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
三年前に久離きゅうり切って勘当され、二十五にもなるいい若い者が、妻恋坂の知り合いの二階にすこともなくゴロゴロ暮しているのでした。
或る年の三、四月頃、江戸ではかつおの大漁で、いたる処の肴屋さかなやでは鰹の山をしていました。それで何処の台所へもざらに鰹が這入はいる。
造船職工の仕事の多くは工場外の大空の下ですのであつて、冬は寒風に吹きさらされ、夏は炎天に照りつけられるのがならひであつた。
ある職工の手記 (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
が、俺たちのす処は、退いて見ると、如法にょほうこれ下女下男の所為しょいだ。あめが下に何と烏ともあろうものが、大分権式を落すわけだな。
紅玉 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「私には信じられない、私は久世侯をかなりよく知っている、侯の人とりからみて、そこまで企むことができるとは思われない」
門弟す所を知らずして恐る恐る理由を問うこと再三に及びし時、妾は盲人なれども鼻はたしかなり、匇々そうそうに去って含嗽がんそうをせよと云いしとぞ
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
張昺部下にして内通せる李友直りゆうちょく布政司ふせいし参議さんぎし、すなわち令を下して諭して曰く、予は太祖高皇帝の子なり、今奸臣かんしんの為に謀害せらる。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ここにいる三名の人々も、自分の真底をいえば皆、前のうちのどれか一つの言をすにちがいないと、武蔵にもそれは分っている。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ただ彼等のすがままにして、彼等と共に遊ぶ心でいると、子供たちは、次第次第に、土地の自然そのものからやわらげてゆきます。
大菩薩峠:35 胆吹の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
若しやこの老人の不吉な言葉がしんすのではあるまいかと、いやな予感に、目の先が暗くなって、ゾッと身震いを感じるのであった。
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
本当の社会に活用する活発発地の真実仏教の真面目を顕揚けんようすることに注意せず、こういう悪い風俗習慣を打ち破ることをもさずして
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
人間はその素質と境遇とそれらを改造する努力とに由ってし得る限りの道徳生活を建設することが最上の幸福であると信じております。
平塚さんと私の論争 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
結局何を苦しみ、何を楽しんでいるのか、また何をすべきか等と云う事も一つの永遠に解き得ない謎になってしまうのである。
現代語訳 方丈記 (新字新仮名) / 鴨長明(著)
僅か五隻のペリー艦隊の前にすべを知らなかったわれらが、日本海の海戦でトラファルガー以来の勝利を得たのに心を躍らすのである。
しんじつ我々は、我々の愛する者について、その者の永生より以上にその者のしたことが永続的であることを願うであろうか。
人生論ノート (新字新仮名) / 三木清(著)
私はウラスマル君のんな行為が何んな目的からされてゐるのかと云ふ疑問に対して深い興味を持たずにはゐられなくなつた。
アリア人の孤独 (新字旧仮名) / 松永延造(著)
しかし自分の政府のしたことは、何事にもあれこれであるが如く認め、これに賛同しこれを助けることが果して真の愛国心であろうか。
真の愛国心 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
しかのみならず百姓が中間ちゅうげんり、中間が小頭こがしらとなり、小頭の子が小役人と為れば、すなわち下等士族中にはずかしからぬ地位をむべし。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
それで古人も終日なして而もこうせずといったが、もしこの直覚より見れば動中に静あり、して而も為さずということができる。
善の研究 (新字新仮名) / 西田幾多郎(著)
さてうべなひし上にて、そのし難きに心づきても、しひて当時の心虚なりしを掩ひ隠し、耐忍してこれを実行すること屡々なり。
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
人生の複雑なる経験から来る深い思慮、哲学上の思索、道徳の観念、すべてそれらのものは文学の基調をすべきものであろう。
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
常に他の孤児と一所に居らず暗き隅にかくる、衣を着せると細かく裂いて糸としおわる、数月院にあって熱病に罹り食事を絶って死した。
しかし人生を愛重するものは、いかなる代価を払っても信仰の上に立ちての解決を計り、神のし給う所の正しきを証さなくてはならぬ。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
笠原は何時いつも私について来ようとしていないところから、すことのすべてが私の犠牲であるという風にしか考えられなかった。
党生活者 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
しかし今日こんにちところでは病院びょういんは、たしか資力ちから以上いじょう贅沢ぜいたくっているので、余計よけい建物たてもの余計よけいやくなどで随分ずいぶん費用ひようおおつかっているのです。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
実のところ、前川の如き中年の男にとっては、美和子のような年頃の女の子の、いうことすこと、一々が思案のほかであった。
貞操問答 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
それをまた仲間のうちに語り伝えて、彼らの執念の深さを人に感ぜしめ、暗々裡あんあんり渡世とせいの地をしたらしい形跡もあるのである。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
半生を通してめぐりに繞った憂鬱ゆううつ——言うこともすことも考えることも皆そこから起って来ているかのような、あの名のつけようの無い
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ほとほと感に堪えまして直ちに主従の誓いをし、共に山中を立ち出でて人界に戻りましてござりますが、わずかの間に岩石ヶ城を築き
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
日本詩壇に於ける象徴詩の伝来、日なほ浅く、作未だ多からざるに当て、すでに早く評壇の一隅に囁々しようしようの語をす者ありと聞く。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
されども彼の聴水は、金眸が股肱ここうの臣なれば、かれを責めなばおのずから、金眸がほらの様子も知れなんに、暫くわがさんやうを見よ
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
しかし、依然として襲う淵のような空虚さが、ますます明瞭に彼の心を沈めていった。彼はもはや、すべき自身の何事もないのを感じた。
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)
(「法隆寺」より)——この卓抜な着想は、上宮太子のされしところで、ここからあの無比の威厳があふれ出たのであろう。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
宮はいささかもこれもとがめず、出づるもるも唯彼のすに任せて、あだかも旅館のあるじらんやうに、かたばかりの送迎を怠らざるとふのみ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
彼女自身にとつては全く性的衝動なしにげられたこの偶発事件は、彼女を肉体的にではなしに、精神的にのみ刺戟しげきしたかの様であつた。
青いポアン (新字旧仮名) / 神西清(著)
いざといふ場合にると、基督の精神も何も有つたもので無い、婦人をんなの愚痴にかへつて、昨今世間に流行はやつてゐる煩悶に陥る。
未亡人と人道問題 (新字旧仮名) / 二葉亭四迷(著)
『神戸の夷人ゐじんさんとこ。委しい事は阿母さんなんかに被仰おつしやらないけれど、日本で初めて博覧会と云ふものをさるんだつて。』
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
「そんな目算あても無いことばかり考えていないで、もっと手近なことを、さっ/\とさいな!」と、たしなめたしなめした。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
人を害することがあります「心ひくかたばかりにてなべて世の人になさけのある人ぞなき」と云う歌の通り「なさけさしはさんで害をす」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
文士筆をふるふ猶英雄剣を揮ふが如し。共に空を撃つが為めに非ずす所あるが為也。万の弾丸、千の剣芒、し世を益せずんば空の空なるのみ。
頼襄を論ず (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
とはいえ、ともかく新鮮な読物の極めてまれな一つが八十を過ぎた老人によってされたことは日本文化の貧困を物語ることでもあるかも知れぬ。
咢堂小論 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
外国人も貿易の一点に注意ちゅういすることとりたれども、彼等のるところはただこれ一個の貿易国ぼうえきこくとして単にその利益りえきを利せんとしたるにぎず。
が、警部は最初から苦り切っていて、ろくに口もきかず、胡散臭うさんくさげに支配人バー・テンのすることすことを、ジロジロうかがっていた。
銀座幽霊 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)