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櫛卷
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くしまき
ふりがな文庫
“
櫛卷
(
くしまき
)” の例文
新字:
櫛巻
と
後
(
あと
)
じさりに、——いま
出
(
で
)
て
行
(
ゆ
)
く
櫛卷
(
くしまき
)
と、
島田
(
しまだ
)
の
母娘
(
おやこ
)
を
呼留
(
よびと
)
めながら、
翁
(
おきな
)
の
行者
(
ぎやうじや
)
が
擦違
(
すれちが
)
ひに、しやんとして、
逆
(
ぎやく
)
に
戻
(
もど
)
つて
來
(
き
)
た。
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
自棄
(
やけ
)
な
櫛卷
(
くしまき
)
にした多い毛にも、わざと
白粉
(
おしろい
)
を嫌つた眞珠色の素顏にも、野暮を賣物にした木綿の
單衣
(
ひとへ
)
にも、つゝみ切れない
魅力
(
みりよく
)
が、
夕映
(
ゆふばえ
)
と一緒に街中に擴がるやうな女でした。
銭形平次捕物控:099 お篠姉妹
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
薄い頭髪、然うとは見えぬやうにきように
櫛卷
(
くしまき
)
にして、
兩方
(
りやうほう
)
の
顳顬
(
こめかみ
)
に
即効紙
(
そくかうし
)
を張ツてゐた。
白粉燒
(
おしろいやけ
)
で
何方
(
どつち
)
かといふと色は
淺黒
(
あさぐろ
)
い方だが、鼻でも口でも
尋常
(
じんじやう
)
にきりツと締ツてゐる。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
篤
(
とく
)
と見らるゝに年の
頃
(
ころ
)
三十歳ばかり
顏色
(
がんしよく
)
痩衰
(
やせおとろ
)
へ
肉
(
にく
)
落
(
おち
)
骨
(
ほね
)
顯
(
あら
)
はれ
何樣
(
いかさま
)
數日
拷問
(
がうもん
)
に苦しみし體なり扨又女房お節を見らるゝに
渠
(
かれ
)
とても
顏色
(
がんしよく
)
更
(
さら
)
に
人間
(
にんげん
)
の
潤
(
うるほ
)
ひなく
色
(
いろ
)
蒼然
(
あをざめ
)
て兩眼を
泣脹
(
なきはら
)
し
櫛卷
(
くしまき
)
に髮を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
續
(
つゞ
)
いて
顯
(
あら
)
はれるが
例物
(
れいぶつ
)
さ、
髮
(
かみ
)
の
毛
(
け
)
自慢
(
じまん
)
の
櫛卷
(
くしまき
)
で、
薄化粧
(
うすげしよう
)
のあつさり
物
(
もの
)
、
半襟
(
はんゑり
)
つきの
前
(
まへ
)
だれ
掛
(
がけ
)
とくだけて、おや
貴郎
(
あなた
)
と
言
(
い
)
ふだらうでは
無
(
な
)
いか、すると
此處
(
こゝ
)
のがでれりと
御座
(
ござ
)
つて、
久
(
ひさ
)
しう
無沙汰
(
ぶさた
)
をした
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
▼ もっと見る
と、
優
(
やさ
)
しく
櫛卷
(
くしまき
)
に
手
(
て
)
を
觸
(
ふ
)
れて、
嬉
(
うれ
)
しらしく
云
(
い
)
つたが、あど
氣
(
け
)
なく、
而
(
そ
)
して、かよわい
姿
(
すがた
)
が、あはれに
見
(
み
)
えた。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「良い女でごぜえましたよ。多い毛を
櫛卷
(
くしまき
)
にして、色の白い、背のスラリと高い、左の頬に小さい
黒子
(
ほくろ
)
のある——私の首へ噛り付いた時は、フンハリと良い匂ひがしましたたよ」
銭形平次捕物控:183 盗まれた十手
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
十九にはなるまい
新姐
(
しんぞ
)
を
前
(
さき
)
に、
一足
(
ひとあし
)
さがつて、
櫛卷
(
くしまき
)
にした
阿母
(
おふくろ
)
がついて、
此
(
こ
)
の
店
(
みせ
)
へ
入
(
はひ
)
りかけた。が、
丁
(
ちやう
)
ど
行者
(
ぎやうじや
)
の
背後
(
うしろ
)
を、
斜
(
なゝめ
)
に
取
(
とり
)
まはすやうにして、
二人
(
ふたり
)
とも
立停
(
たちど
)
まつた。
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「聽けば、その爺さんの財布を拔いたのは、二十二三のびつくりする程良い女で、髮を
櫛卷
(
くしまき
)
にして、頬に小さい
黒子
(
ほくろ
)
があつたと言はれると、御府内では一枚繪のお時の外にはねえ」
銭形平次捕物控:183 盗まれた十手
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
姑
(
しうと
)
微笑
(
ほゝゑ
)
みて、
時
(
とき
)
に
起
(
お
)
きて
座
(
ざ
)
に
跪坐
(
ついゐ
)
たる
婦
(
をんな
)
を
顧
(
かへり
)
みて
曰
(
い
)
ふ、お
前
(
まへ
)
教
(
をし
)
へてお
上
(
あ
)
げと。
婦
(
よめ
)
、
櫛卷
(
くしまき
)
にして
端坐
(
たんざ
)
して、
即
(
すなは
)
ち
攻守
(
こうしゆ
)
奪救
(
だつきう
)
防殺
(
ばうさつ
)
の
法
(
はふ
)
を
示
(
しめ
)
す。
積薪
(
せきしん
)
習
(
なら
)
ひ
得
(
え
)
て、
將
(
は
)
た
天
(
あめ
)
が
下
(
した
)
に
冠
(
くわん
)
たり。
唐模様
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
無造作な
櫛卷
(
くしまき
)
、男物のやうな地味な單衣を着て居るのでした。
銭形平次捕物控:030 くるひ咲
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
美
(
うつく
)
しさは、
夜
(
よる
)
の
雲
(
くも
)
に
暗
(
くら
)
く
梢
(
こずゑ
)
を
蔽
(
おほ
)
はれながら、もみぢの
枝
(
えだ
)
の
裏
(
うら
)
透
(
す
)
くばかり、
友染
(
いうぜん
)
の
紅
(
くれなゐ
)
ちら/\と、
櫛卷
(
くしまき
)
の
黒髮
(
くろかみ
)
の
濡色
(
ぬれいろ
)
の
露
(
つゆ
)
も
滴
(
したゝ
)
る、
天井
(
てんじやう
)
高
(
たか
)
き
山
(
やま
)
の
端
(
は
)
に、
電燈
(
でんとう
)
の
影
(
かげ
)
白
(
しろ
)
うして、
搖
(
ゆら
)
めく
如
(
ごと
)
き
暖爐
(
だんろ
)
の
焔
(
ほのほ
)
は
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
館
(
やかた
)
の
奧
(
おく
)
なる
夫人
(
ふじん
)
の、
常
(
つね
)
さへ
白鼈甲
(
しろべつかふ
)
に
眞珠
(
しんじゆ
)
を
鏤
(
ちりば
)
めたる
毛留
(
ブローチ
)
して、
鶴
(
つる
)
の
膚
(
はだ
)
に、
孔雀
(
くじやく
)
の
裝
(
よそほひ
)
にのみ
馴
(
な
)
れたるが、この
玉
(
たま
)
の
春
(
はる
)
を、
分
(
わ
)
けて、と
思
(
おも
)
ふに、いかに、
端近
(
はしぢか
)
の
茶
(
ちや
)
の
室
(
ま
)
に
居迎
(
ゐむか
)
ふる
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
れば、
櫛卷
(
くしまき
)
の
薄化粧
(
うすげしやう
)
婦人十一題
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
髮
(
かみ
)
は、ふさ/\とあるのを
櫛卷
(
くしまき
)
なんどに
束
(
たば
)
ねたらしい……でないと、
肱
(
ひぢ
)
かけ
窓
(
まど
)
の、
然
(
さ
)
うした
處
(
ところ
)
は、
高
(
たか
)
い
髷
(
まげ
)
なら
鴨居
(
かもゐ
)
にも
支
(
つか
)
へよう、
其
(
それ
)
が、やがて二三
寸
(
ずん
)
、
灯
(
ひ
)
のない
暗
(
くら
)
がりに、
水際立
(
みづぎはた
)
つまで、
同
(
おな
)
じ
黒
(
くろ
)
さが
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
櫛卷
(
くしまき
)
の
阿母
(
おふくろ
)
が
衝
(
つ
)
と
寄
(
よ
)
つた。
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
櫛
漢検準1級
部首:⽊
19画
卷
部首:⼙
8画
“櫛”で始まる語句
櫛
櫛巻
櫛比
櫛笄
櫛田
櫛箱
櫛笥
櫛形
櫛目
櫛匣