“櫛匣”の読み方と例文
読み方割合
くしげ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
さなきだに、そこの、古女御所ふるにょごしょは冷え冷えしていた。明り窓にはクモの巣が見え、小机、櫛匣くしげなどの調度も、何代前の女人の用具やらと思われて肌さむい。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ところが、やがて泣きやむと、波路はするすると千鳥棚の下へ寄ってゆき、コトリと、櫛匣くしげの蓋をとっている。上目づかいで、良人が見ているなどは、おそらく意識の外だったろう。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
櫛匣くしげをおき、鏡にむこうておられたのを、なかば捲かれた御簾みすごしに見たのだが……
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)