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ざま
ふりがな文庫
“
様
(
ざま
)” の例文
旧字:
樣
何だあの
様
(
ざま
)
は。馴染の芸者が這入つてくると、入れ代りに席をはづして、逃げるなんて、どこ迄も人を胡魔化す気だから気に食はない。
坊っちやん
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
ドウしたってこの幕府と云うものは
潰
(
つぶ
)
さなくてはならぬ。
抑
(
そ
)
も今の幕政の
様
(
ざま
)
を見ろ。政府の御用と云えば、
何品
(
なにしな
)
を買うにも御用だ。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
このはずみに貝は突然、うああ、……という
体躯
(
からだ
)
の全部からしぼり出された
声音
(
こえ
)
を、続け
様
(
ざま
)
に草の間にうつ伏せになって発した。
舌を噛み切った女:またはすて姫
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
何故
(
なぜ
)
、
様
(
ざま
)
を
見
(
み
)
ろ、
可気味
(
いゝきみ
)
だ、と
高笑
(
たかわら
)
ひをして
嘲弄
(
てうろう
)
しない。
俺
(
おれ
)
が
手
(
て
)
で
棄
(
す
)
てたは
棄
(
す
)
てたが、
船
(
ふね
)
へ
彫像
(
てうざう
)
を
投
(
な
)
げたのは、
貴様
(
きさま
)
が
蹴込
(
けこ
)
んだも
同然
(
どうぜん
)
だい。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
機関手は直に機関車を
停
(
と
)
めたるに飛込み遅れたる同行の青年は
斯
(
か
)
くと見るや直に同校の土堤に
凭
(
よ
)
り
蒐
(
かか
)
り
様
(
ざま
)
短刀にて咽喉部を突きて打倒れたり。
芳川鎌子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
▼ もっと見る
「これでよし。これでよし。うッはア、
様
(
ざま
)
見やがれ!」監督は、口を三角形にゆがめると、背のびでもするように
哄笑
(
こうしょう
)
した。
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
(余生、おさびしくお
在
(
わ
)
しましょうが、世間に、肩身のお狭いような
死
(
し
)
に
様
(
ざま
)
はいたしませぬ。それのみを、せめてと、独りおなぐさめ下さいませ)
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
むかし元禄の頃に大野
秀和
(
しうわ
)
といふ俳人が居た。同じ俳人仲間の宝井
其角
(
きかく
)
が、自分の事を
悪
(
あ
)
し
様
(
ざま
)
に噂をしてゐるといふ事を聞いて、大層腹を立てた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
悪漢の手を
捻
(
ね
)
ぢあげて
抛
(
ほう
)
りだし「
様
(
ざま
)
あ見やがれ」と云ひ、懐手にてゆうゆうと上手に入るところすつきりとしてよし。
両座の「山門」評
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
子分のガラッ八が差出した
提灯
(
ちょうちん
)
の
覚束
(
おぼつか
)
ない明りにすかして見ると、若い
芸妓
(
げいしゃ
)
が一人、
銀簪
(
ぎんかんざし
)
を深々と右の眼に突っ立てられて、
仰
(
の
)
け
様
(
ざま
)
に死んでいたのです。
銭形平次捕物控:004 呪いの銀簪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「あっ」という
様
(
ざま
)
、政江は身震いを始めた。彼女の様子は正視するに忍びないものがあった。大袈裟にいうと、ウェーヴした髪の毛が更に大きく波打った。
俗臭
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
何という
様
(
ざま
)
だろう! 私はとうとう彼の惑わしの糸に搦められてしまったのだ。もうどうにも出来ないんだ。
蠱惑
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
さいぜんも見ていれば、富樫に
咎
(
とが
)
められて、金剛杖で主人義経を打ち据える時の、あの打据え
様
(
ざま
)
はどうだ。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
と云いながら、親分の顔にプッと
唾
(
つば
)
を吐きかけた。親分は「
奴
(
おの
)
れ」と云い
様
(
ざま
)
、小僧の胸を目がけて庖丁をグサと突き立てた。けれどもその胸は板のように固かった。
猿小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
萠円山人
(著)
余の考の中に入るべき歌にて、人を感動せしめたる例を尋ぬるも、ちよつと思ひあたらざりける故、例少しと言ひ放したる者にて、余り
粗漏
(
そろう
)
なる書き
様
(
ざま
)
にぞありし。
人々に答ふ
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
ピンと来ないよ。矢っ張り『ガラマサどんの死』の方が宜い。我輩は未だ死なゝいんだから、必ずしも死んだように書く必要はない。何んな
死
(
し
)
に
様
(
ざま
)
をするか、想像を
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
ワッと泣き声揚げて
此方
(
こちら
)
は逃出す、其後姿を勘ちゃんは
白眼
(
しろめ
)
で見送って、「
様
(
ざま
)
ア見やがれ!」
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「冥途の旅の用心に、矢一筋残したり、思いのこすこと今はなし、日本一の剛の者の、死に
様
(
ざま
)
よくご覧じて、やがて貴所方の運命となる日の、お手本なりとなしたまえや!」
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「
獣
(
けだもの
)
め、口先
計
(
ばかり
)
達者で、
腕力
(
ちから
)
も無けりゃ智慧もねエ、
様
(
ざま
)
ア見やがれ、オイ、閻魔ッ、今
頬桁
(
ほおげた
)
叩きやがった餓鬼共ア、グズグズ言わさず——見せしめの為だ——早速片付ちまいねエ」
監獄部屋
(新字新仮名)
/
羽志主水
(著)
私
(
わっち
)
も此の
大
(
だい
)
の野郎が両手を突いて
斯
(
こ
)
んな
様
(
ざま
)
アしてお頼み申すのだから
能々
(
よく/\
)
の事、
宜
(
い
)
いかね、それにたった一分じゃア法が付かねえ、私の様な大きな野郎が手を突いてのお頼みだね
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「餓鬼に訊いてみるがええでねえか。
木偶
(
でく
)
の坊奴! よくもあつかましく訊けたもんだね!」と、云い
様
(
ざま
)
、発作を起して子供の足を捉えて吊り下げると、
無慙
(
むざん
)
にも背中を打ち叩いた。
土城廊
(新字新仮名)
/
金史良
(著)
不人情者、恩知らず——父に対する哀惜の情や、跡方もなく消えた一家の
犇々
(
ひしひし
)
と身に迫る切なさから、皆は口を極めてこれらの人達を
悪
(
あ
)
し
様
(
ざま
)
に罵り、僅かに鬱憤を洩らすのであつた。
鳥羽家の子供
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
因って迎え申したから時至れば一矢射たまえと乞う、
諾
(
うべな
)
いて楼に上って待つと敵の大蛇あまたの
眷属
(
けんぞく
)
を率いて出で来るを向う
様
(
ざま
)
に
鏑矢
(
かぶらや
)
にて口中に射入れ舌根を射切って喉下に射出す
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
と云い
様
(
ざま
)
、その頭に一撃を喰わすと、代議士は悲鳴を挙げて気絶してしまった。
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
素人のあっしなんか、どうにも
勘考
(
かんがえ
)
のつけようのねえ不思議な死に
様
(
ざま
)
だあね。
釘抜藤吉捕物覚書:13 宙に浮く屍骸
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
始終
家
(
うち
)
を外の
放蕩三昧
(
ほうとうざんまい
)
、あわれな
妻
(
かない
)
を一人残して家事の事などは
更
(
さら
)
に
頓着
(
とんじゃく
)
しない、
偶
(
たま
)
に帰宅すれば、
言語
(
もの
)
のいい
様
(
ざま
)
箸の
上
(
あ
)
げ
下
(
お
)
ろしさては
酌
(
しゃく
)
の仕方が
悪
(
わ
)
るいとか、琴を弾くのが気にくわぬとか
二面の箏
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
そしてまた、小さい時分、父が刺し殺した犬の哀れな
死
(
し
)
に
様
(
ざま
)
を。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
「無礼なっ、百城。何事じゃっ、何事じゃっ、その
様
(
ざま
)
は」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
「見ろ、あの
様
(
ざま
)
を、もう、すぐ
演戯
(
しばい
)
が始まるぞ」
黄灯
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
六杯、続け
様
(
ざま
)
に、のんだ。
火の鳥
(新字旧仮名)
/
太宰治
(著)
のけ
様
(
ざま
)
に帽
頂
(
かづ
)
きつつ。
パステルの竜
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
何だあの
様
(
ざま
)
は。馴染の芸者がはいってくると、入れ代りに席をはずして、逃げるなんて、どこまでも人を
胡魔化
(
ごまか
)
す気だから気に食わない。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
仁右衛門ぶるぶるとなり、
据眼
(
すえまなこ
)
に
熟
(
じっ
)
と見た、白い
咽喉
(
のんど
)
をのけ
様
(
ざま
)
に、苦痛に反らして、黒髪を乱したが、唇を
洩
(
も
)
る歯の白さ。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「おい其角、お前は何ださうだね。近頃方々で
乃公
(
おれ
)
の事を
悪
(
あ
)
し
様
(
ざま
)
に言ひ触らして歩くさうだが、それは
真実
(
ほんと
)
だらうね。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
だが、見ろ、こんな
様
(
ざま
)
をオメ/\と一体誰に報告が出来るものか。職工の一人も問題にしないばかりか、巡査上りの守衛から、工場長さえ取り合いもしない。
工場細胞
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
そうして棒のように
強直
(
ごうちょく
)
した全身に、生汗をビッショリと流したまま
仰向
(
あおむ
)
け
様
(
ざま
)
にスト——ンと、倒れそうになったので、吾知らず観念の眼を閉じた……と思ったが……又
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
一刀を引き抜き
様
(
ざま
)
、サッと横に払うと、武士はヒラリと庭に飛び降りて
新奇談クラブ:01 第一夜 初夜を盗む
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
あなた方武士たちは、斬って出て、
死
(
し
)
に
様
(
ざま
)
もお心のまま選ぶことができましょうが、傷者、病人、また三千余の領民を共に
餓死
(
うえじに
)
させるは、無情の至りです。
私義
(
しぎ
)
にこだわって大義なきものです。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼
(
あ
)
の
様
(
ざま
)
ァ
如何
(
どう
)
だい。着物ばかり奇麗で何をして居るんだ。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
六杯、続け
様
(
ざま
)
に、のんだ。
火の鳥
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
また出て
失
(
う
)
しょうと思いやあがって、へん、そう旨くはゆかないてや、ちっとの
間
(
ま
)
の辛抱だ。
後刻
(
のち
)
に来て一所に寝てやる。ふむ、痛いか
様
(
ざま
)
を見ろ。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「朝ならば夜の前に死ぬと思え。夜ならば
翌日
(
あす
)
ありと頼むな。覚悟をこそ
尊
(
とうと
)
べ。見苦しき死に
様
(
ざま
)
ぞ恥の極みなる……」
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「え、
浸礼
(
バプチスト
)
派になつたつて。」と隅つこで居睡りをしてゐた
美以美
(
メソヂスト
)
派の田舎政治家が、眼を覚まし
様
(
ざま
)
怒鳴つた。「嘘いふない、そんな筈があつて溜るもんかい。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
大きな男の喧嘩大将も一生懸命我慢していましたが、とうとう我慢し切れなくなって、百も二百も続け
様
(
ざま
)
にクシャミをしているうちに地びたの上にヘタバッてしまいました。
豚吉とヒョロ子
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
三鳥山人
(著)
続け
様
(
ざま
)
に二つ三つやったところへ
銭形平次捕物控:282 密室
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
様
(
ざま
)
ア見ろッ!
不在地主
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
小獅子は
路
(
みち
)
へ橋に
反
(
そ
)
った、のけ
様
(
ざま
)
の
頤
(
あぎと
)
ふっくりと、
二
(
ふた
)
かわ
目
(
め
)
に
紅
(
こう
)
を
潮
(
ちょう
)
して、
口許
(
くちもと
)
の
可愛
(
かわい
)
らしい、色の白い
児
(
こ
)
であった。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
マクベス夫婦が共謀して主君のダンカンを寝室の中で殺す。殺してしまうや
否
(
いな
)
や門の戸を続け
様
(
ざま
)
に
敲
(
たた
)
くものがある。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
かうして高浜氏は
続
(
つゞ
)
け
様
(
ざま
)
に五六枚ばかし
暴
(
やけ
)
に引裂いた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
類は友だっていいますがね、
此奴
(
こいつ
)
の方が
華表
(
とりい
)
かずが多いだけに、火の玉の奴ア
脊負
(
しょい
)
なげを食って、消壺へジュウー……へへへ、いい
様
(
ざま
)
じゃありませんか、お互です。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
様
常用漢字
小3
部首:⽊
14画
“様”を含む語句
母様
父様
其様
斯様
爺様
此様
何様
彼様
左様
仕様
前様
如何様
異様
兄様
婆様
祖父様
奥様
貴様
坊様
嬢様
...