トップ
>
怜悧
>
りこう
ふりがな文庫
“
怜悧
(
りこう
)” の例文
怜悧
(
りこう
)
な小犬は二人の出て行く物音に樣子を
覺
(
さと
)
つて、逐ひ籠められないうちに自分から椽の下にもぐり込まふとしてゐるのであつた。
木乃伊の口紅
(旧字旧仮名)
/
田村俊子
(著)
茂「お前は俄かに
怜悧
(
りこう
)
に成ったの、年が
往
(
い
)
かなくって
頑是
(
がんぜ
)
が無くっても、己が馬鹿気て見えるよ、ハアー
衆人
(
みんな
)
に笑われるも無理は無い」
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
随分
怜悧
(
りこう
)
な
芸妓
(
げいしゃ
)
でも、
可
(
い
)
い加減に年を取った
髯面
(
ひげづら
)
野郎でも、相手にせずに其処へ坐らせて置いて少し上品な談話でも仕て居ると
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
怜悧
(
りこう
)
だな。何、
天晴
(
あっぱれ
)
御会釈。いかさま、御姓名を承りますに、こなたから先へ氏素姓を申上げぬという作法はありませなんだ。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「入りぬる
磯
(
いそ
)
の草なれや」(みらく少なく恋ふらくの多き)と口ずさんで、
袖
(
そで
)
を口もとにあてている様子にかわいい
怜悧
(
りこう
)
さが見えるのである。
源氏物語:07 紅葉賀
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
▼ もっと見る
怜悧
(
りこう
)
なお延は弱らせられた。会話が
滑
(
なめ
)
らかにすべって行けば行くほど、一種の物足りなさが彼女の胸の中に頭を
擡
(
もた
)
げて来た。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
又かういふ親子ばかりだと、世の中は平和に面白く行くわけなんだが、事実かゝる
怜悧
(
りこう
)
な親達も子供達も少いものである。
恋愛と夫婦愛とを混同しては不可ぬ
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「いいとも
何
(
な
)
んでも構わない、神様のお授けなさった子供だから大事にして育てよう。きっと大きくなったら、
怜悧
(
りこう
)
ないい子になるにちがいない」
赤い蝋燭と人魚
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「ねえ、随分
怜悧
(
りこう
)
でしょ。これ唖川小伯爵から頂いたのですよ。ねえねえウーちゃん。アラアラ
眼脂
(
めやに
)
が出ているわよ」
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
怜悧
(
りこう
)
そうな少年の
瞳
(
ひとみ
)
に見入りながら岸本がそう答えると、少年はまだ見たことのない東洋の果を想像するかのように
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
あたかも私の友人の家で純粋セッター種の
仔
(
こ
)
が生れたので、或る時セッター種の深い長い
艶々
(
つやつや
)
した
天鵞絨
(
ビロード
)
よりも美くしい
毛並
(
けなみ
)
と、性質が
怜悧
(
りこう
)
で
敏捷
(
すばし
)
こく
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
貴女は続けてときどき花の香をかぎかぎ、ファニーを相手に、
怜悧
(
りこう
)
らしくちょいちょい一座を見渡しながら
フランセスの顔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
支那西域の
庫魯克格
(
クルツクタツク
)
の淡水湖に限って住んでいる、
丰々
(
ぼうぼう
)
という毒ある魚の小骨の
粉末
(
こな
)
を香に焚いてそれで人間を麻痺させるなんて実際あなたはお
怜悧
(
りこう
)
でした。
沙漠の古都
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
けれどもまた、
怜悧
(
りこう
)
な人は折助をうまく利用して、評判を立てさせたり
隙見
(
すきみ
)
をさせたりするのでありました。
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
夜の更けぬ
間
(
ま
)
に
些
(
ちっ
)
とも早く帰った方が
怜悧
(
りこう
)
だと、お葉は
鬢
(
びん
)
の雪を払いつつ、
弛
(
ゆる
)
んだ帯を
締直
(
しめなお
)
して
起
(
た
)
った。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
肥った、唇のつき出たその子は、あまり
怜悧
(
りこう
)
そうではありませんでしたが、
気質
(
きだて
)
は大変よさそうに見えました。亜麻色の髪をかたく結び、リボンをつけていました。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
「とにかく、この少年を、わしの研究室で使うことを許してもらおう。なかなか
怜悧
(
りこう
)
そうな少年だ」
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
それにも拘らず
怜悧
(
りこう
)
なるヒルミ夫人は、夫万吉郎を傍に迎えるというときは、まるで別人のようにキチンと身づくろいをし、玉のような温顔をもって迎えるのであった。
ヒルミ夫人の冷蔵鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
案外
怜悧
(
りこう
)
なやり方で、人生に対する態度の雛型を一室の中で師匠と弟子とが実地のつもりで研究するのでありまして、いわば礼儀作法の稽古を小笠原流の先生と生徒とが
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
さもなければ
怜悧
(
りこう
)
な
鮭
(
さけ
)
が
澱
(
よど
)
みに
隱
(
かく
)
れて
動
(
うご
)
かぬ
白晝
(
ひる
)
の
間
(
あひだ
)
のみぐつたりと
疲
(
つか
)
れた
身體
(
からだ
)
に
僅
(
わづか
)
に一
睡
(
すい
)
を
偸
(
ぬす
)
むに
過
(
す
)
ぎないので、
朝
(
あさ
)
の
明
(
あか
)
るく
白
(
しろ
)
い
水
(
みづ
)
にさへ
凝然
(
ぢつ
)
と
其
(
そ
)
の
目
(
め
)
を
放
(
はな
)
たないのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
かういふ関係の正体を、和作自身よりも簡単
明瞭
(
めいれう
)
に察したのは、
怜悧
(
りこう
)
な若夫人の常子だつた。突然鶴子は二階に登つて来ないやうになつた。その代りに青桐は意味ありげに繁茂した。
朧夜
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
『
玄竹
(
げんちく
)
。
今夜
(
こんや
)
は
折
(
お
)
り
入
(
い
)
つて
其方
(
そち
)
に
相談
(
さうだん
)
したいことがある。
怜悧
(
りこう
)
な
其方
(
そち
)
の
智慧
(
ちゑ
)
を
借
(
か
)
りたいのぢや。…まあ一
盞
(
さん
)
傾
(
かたむ
)
けよ。
盃
(
さかづき
)
取
(
と
)
らせよう。』と
言
(
い
)
つて、
但馬守
(
たじまのかみ
)
は
持
(
も
)
つてゐた
盃
(
さかづき
)
を
突
(
つ
)
き
出
(
だ
)
した。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
お母様にもこの娘の
怜悧
(
りこう
)
なのが気に入る。そこで身元などを問い合わせて見られる。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「いいえ」御方は姿の美しさと、
怜悧
(
りこう
)
な眼ざしに彼のうろたえざまを畳みかけて
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
美
(
うつ
)
くしい
眦
(
まなじり
)
に
良人
(
をつと
)
が
立
(
た
)
つ
腹
(
はら
)
をも
柔
(
やはら
)
げれば、
可愛
(
かあい
)
らしい
口元
(
くちもと
)
からお
客樣
(
きやくさま
)
への
世辭
(
せじ
)
も
出
(
で
)
る、
年
(
とし
)
もねつから
行
(
ゆ
)
きなさらぬにお
怜悧
(
りこう
)
なお
内儀
(
かみ
)
さまと
見
(
み
)
るほどの
人
(
ひと
)
褒
(
ほ
)
め
物
(
もの
)
の、
此人
(
このひと
)
此身
(
このみ
)
が
裏道
(
うらみち
)
の
働
(
はたら
)
き
うらむらさき
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
おとよさんが隣に嫁入ったについては例の
媒妁
(
なこうど
)
の虚偽に誤られた。おとよさんの里は中農以上の家であるに隣はほとんど小作人同様である。それに清六があまり
怜悧
(
りこう
)
でなく丹精でもない。
隣の嫁
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
可愛い、
剽軽
(
ひょうきん
)
な、
怜悧
(
りこう
)
な小猫だったに、行方不明とは残念な事をして了うた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
浪子は幼きよりいたって人なつこく、しかも
怜悧
(
りこう
)
に、
香炉峰
(
こうろほう
)
の雪に
簾
(
すだれ
)
を巻くほどならずとも、三つのころより
姥
(
うば
)
に抱かれて見送る玄関にわれから帽をとって
阿爺
(
ちち
)
の
頭
(
かしら
)
に載すほどの気はききたり。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
大尉め、どこか近くの停留場に下りるんで、
婦人
(
をんな
)
の
乗客
(
のりて
)
もあるのに
態々
(
わざ/\
)
画家
(
ゑかき
)
の俺を見立てて譲つて呉れたんだな。若いのに
似合
(
にあは
)
ぬ
怜悧
(
りこう
)
な軍人だ、さういへばどこか見所がありさうな顔をしてるて。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「お前さん大変
怜悧
(
りこう
)
だってね。」と彼女は庄吉の方を向いて云った。
少年の死
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
自分は嫁に遣らるるためにお
粧
(
つく
)
りさせられるとは知らずにお
粧
(
つく
)
りする者もありますが、どうかすると
怜悧
(
りこう
)
な娘は悟って、今まで機嫌の好かった娘はそれと悟って悲しそうに泣き立てる者もあるです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
怜悧
(
りこう
)
な坊さんは最初からそれをのぞんでゐたのだ。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
怜悧
(
りこう
)
で健康で力あふるる人よ
太陽の子
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
十兵衞がのつそりで浮世の
怜悧
(
りこう
)
な人
等
(
たち
)
の物笑ひになつて仕舞へばそれで済むのぢや、連添ふ女房にまでも内〻
活用
(
はたらき
)
の利かぬ夫ぢやと
喞
(
かこた
)
れながら
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
何も言わずに、心に怨んで、薄情ものに見せしめに、命の
咒詛
(
のろい
)
を、
貴女
(
あなた
)
様へ
願掛
(
がんが
)
けさしゃった、
姉
(
あね
)
さんは、おお、お
怜悧
(
りこう
)
だの。いいお
娘
(
こ
)
だ。いいお
娘
(
こ
)
だ。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
むしろ
怜悧
(
りこう
)
過ぎた。健三にもその点はよく解っていた。彼が自分と細君の未来のために、彼女の弟を教育しようとしたのは、全く見当の違った方面にあった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
己
(
おれ
)
が考えじゃア関取は
怜悧
(
りこう
)
だから、
対手
(
あいて
)
は
剣術者遣
(
けんじゅつつかい
)
で危ねえから怪我アしても詰らねえ、関取が手間取っているうち、法恩寺村場所へ人を遣ったろうと思う
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
口を明いて獅子を見ているような奴は、いちがいに馬鹿だと
罵
(
ののし
)
られる世の中となった。眉が
険
(
けわ
)
しく、眼が鋭い今の元園町人は、獅子舞を見るべく余りに
怜悧
(
りこう
)
になった。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「先生には娘さんがたった
一人
(
ひとり
)
ある。この人がまた
怜悧
(
りこう
)
な人で、中津川でも才女と言われた評判な娘さんさ。そこへ養子に来たのが、今医者をしている宮川さんだ。」
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ほんとにそうなのかしら? ——もしそうだとしたら、全体どういう訳でお
怜悧
(
りこう
)
なのだろう。——
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
なに、
既
(
も
)
う知つてゐる? 中々油断のならない狼連だ。旦那や
夫人
(
おくさま
)
が御心配なさるのも無理は無い。併し嬢様は滅法お
怜悧
(
りこう
)
だから子、君達のやうな間抜に喰はれる筈はないワ。
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
ほんとによい犬でございます、見たところはずいぶん強そうでございますが、
温和
(
おとな
)
しい犬で、それで
怜悧
(
りこう
)
なこと、一度しかられたことは決して二度とは致しません、まるで人間の言葉を
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それとも源次が
皆
(
みんな
)
の思っているよりもズット
怜悧
(
りこう
)
な人間であったせいであろうか。
斜坑
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「わしの一番恐れるのは、彼奴らが
怜悧
(
りこう
)
になることじゃ。
各自
(
おのおの
)
意見をいい出すことじゃ。……そうなってはたまらない。……で、彼奴らはいついつまでも、魯鈍でおって貰わねばならぬ」
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
第二に
怜悧
(
りこう
)
になれることです。
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
十兵衛がのっそりで浮世の
怜悧
(
りこう
)
な人たちの物笑いになってしまえばそれで済むのじゃ、連れ添う
女房
(
かか
)
にまでも内々
活用
(
はたらき
)
の利かぬ夫じゃと
喞
(
かこ
)
たれながら
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
あの男も……惣吉様
小
(
ちっ
)
せえだけんども
怜悧
(
りこう
)
だから
矢張
(
やっぱり
)
名残い惜がって、
昨宵
(
ゆうべ
)
も
己
(
おい
)
らは行くのは
厭
(
いや
)
だけんども
母様
(
かゝさま
)
が行くから仕方がねえ行くだって得心したが
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「まあ
老成
(
ろうせい
)
よ。本当に
怜悧
(
りこう
)
な
方
(
かた
)
ね、あんな怜悧な方は
滅多
(
めった
)
に見た事がない。大事にして御上げなさいよ」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私はあの長い房々とした毛のかげにある
怜悧
(
りこう
)
さうな眼からよく涙の流れたことを覚えて居る。
犬
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「お信というのはどんな女だ、
容貌
(
きりょう
)
はいいのか。馬鹿か、
怜悧
(
りこう
)
か」と、半七は
訊
(
き
)
いた。
半七捕物帳:53 新カチカチ山
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
怜
漢検準1級
部首:⼼
8画
悧
漢検1級
部首:⼼
10画
“怜悧”で始まる語句
怜悧者
怜悧相
怜悧想
怜悧小僧