はじま)” の例文
海戰かいせん午前ごぜん三十ぷんはじまつて、東雲しのゝめころまでをはらなかつた。此方こなた忠勇ちうゆう義烈ぎれつ日本軍艦につぽんぐんかんなり、てき世界せかいかくれなき印度洋インドやう大海賊だいかいぞく
其うち幕がいて、ハムレツトがはじまつた。三四郎は広田先生のうちで西洋の何とかいふ名優のふんしたハムレツトの写真を見た事がある。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そいつが、私の胸の前で、手と手を千鳥がけにはじまったんだから驚くだろう。御免も失礼も、会釈一つするんじゃない。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
長吉は風邪かぜをひいた。七草ななくさ過ぎて学校がはじまった処から一日無理をして通学したために、流行のインフルエンザに変って正月一ぱい寝通してしまった。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
私は女のハリアイのない微笑の上から、いつも荒君の歯ぎしりを思いだし、敵が上陸して戦争がはじまってから、荒君がどんなことをやるか、おかしくて仕方がなかった。
魔の退屈 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
はじまりはお屋敷そとを槍持六尺棒持を連れて見廻らんければなりません、槍持は仲間部屋ちゅうげんべやから出ます、棒持の方は足軽部屋からて、甃石いしの処をとん/\とん/\たゝいてるく
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
地球ちきう周圍まはりつきまは、「い」じるしよりはじまり「ち」じるしいたる。此廻このまはみちにてつき盈虚みちかけ
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
猿でも猩々しょうじょうでも、そんなものには構わずに置くがい。先年駐在所の巡査が𤢖を追って山の奥へ入ったら、その留守に駐在所から火事がはじまって、到頭とうとう全焼まるやけになってしまったことが有る。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
物好きな連中が小屋を建てて住まったり、網干し場、物置きなどに使っていたこともあるのですが、数年以前それがすっかり、取払われ、にわかにその島の上に不思議な作業がはじまったのです。
パノラマ島綺譚 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
戦争の終了と共に輸入に対する障害が除去され、そして国内耕作者にとって破滅的な競争がはじまり、この耕作者はこの競争から、その資本の大部分を犠牲にすることなくしては退き得ない。
好い天気が続くので下宿の窓から眺めて居ると、彼方此方あちらこちらの家で大掃除がはじま色色いろいろの洗濯物が干される。寝台ねだいの藁蒲団までが日に当てられる。一体に巴里パリイの女の掃除きな事は京都の女と似て居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
討しも同前知れがたき惡人共我手に入しは公儀こうぎへの御奉公ごほうこう親のあだのみならず本夫の敵まで討たるは忠孝貞とそろひし烈婦れつぷと云べし吉原町はじまりしより以降このかた斯る遊女有べからずと賞美しやうびありしかば瀬川は云もさらなり抱へ主松葉屋までも面目を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
何事がはじまつたのかしら。
エミリアンの旅 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
考えて見ると、内地ではもう九月の学期がはじまって、教授連がそろそろ講義に取りかかる頃である。君はこれからどうするんだと反問して見た。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
長吉ちやうきち風邪かぜをひいた。七草なゝくさ過ぎて学校がはじまつたところから一日無理をして通学しために、流行のインフルヱンザにかはつて正月一ぱい寝通ねとほしてしまつた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
其他そのほか面白おもしろこと隨分ずゐぶんあつた。音樂會おんがくくわい翌々日よく/\じつことで、ふね多島海たたうかいおきにさしかゝつたときおほく船客せんきやく甲板かんぱん集合あつまつて種々いろ/\遊戯あそびふけつてつたが、其内そのうちたれかの發起はつき徒競走フートレースはじまつた。
「それで何日いつ頃から其様そんな事がはじまったのですね」と問えば、番人は小首をかたげて、「サア何日いつ頃からか知りませんが、何でもの若様が窓からちてしんのち、その阿母おふくろ様もブラブラやまいで、 ...
画工と幽霊 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
因果のはじまりでござりまして、自分も済まない事と観念を致したから、兄玄道の側へ参り、小さくなって、温順おとなしく時節到来を待って居ました、所へ千駄木の植木屋九兵衞というものが参り
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
戦争が済んでから四年目ぐらいにダンダン世の中が悪くなるらしい。都会の奴がゼイタクを覚えるとロクなことは有りゃしねえ。どうも世直しに戦争がはじまらねえと、もう日本はダメになるぜ。
武者ぶるい論 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
何方どつちかにしなければ生活の意義を失つたものとひとしいと考へた。其他のあらゆる中途半端ちうとはんぱの方法は、いつはりはじまつて、いつはりおはるよりほかに道はない。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
学校はもう昨日きのふからはじまつてゐる。朝早く母親の用意してれる弁当箱を書物と一所に包んでうちを出て見たが、二日目三日目にはつく/″\遠い神田かんだまで歩いてく気力がなくなつた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
小衾かいまきを額の上までずうッとゆすり上げてかぶったなり口もきゝませんから、新五郎は手持無沙汰にお園の部屋を出ましたが、是が因果のはじまりで、猶更お園に念がかゝり、かたき同士とは知らずして
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それが學年がくねんはじまりだつたので、京都きやうとのまだあさ宗助そうすけには大分だいぶん便宜べんぎであつた。かれ安井やすゐ案内あんないあたらしい土地とち印象いんしやうさけごとんだ。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
長吉は毎朝七時にはじまる学校へ行くためおそくも六時には起きねばならぬが、すると毎朝の六時がおきるたびに、だんだん暗くなって、遂には夜と同じく家の中には燈火ともしびの光を見ねばならぬようになった。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
と是がはじまりで新吉は近しく来ます。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それが学年のはじまりだったので、京都へ来て日のまだ浅い宗助にはだいぶんの便宜べんぎであった。彼は安井の案内で新らしい土地の印象を酒のごとく吸い込んだ。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
長吉ちやうきちは毎朝七時にはじまる学校へくためおそくも六時には起きねばならぬが、すると毎朝の六時がおきるたびに、だん/\暗くなつて、つひには夜と同じく家の中には燈火ともしびの光を見ねばならぬやうになつた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
多分たぶん牛乳ぎうにゆう配達はいたつするためかなどで、あゝいそぐにちがひないとめてゐたから、此音このおとくとひとしく、もうけて、隣人りんじん活動くわつどうはじまつたごとくに、心丈夫こゝろぢやうぶになつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
御祭おまつりの十二時を相図に、世の中の寐鎮ねしづまる頃を見計みはからつてはじまる。参詣さんけい人が長い廊下をまはつて本堂へ帰つてると、何時いつにか幾千本いくせんぼんの蝋燭が一度いちどいてゐる。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
先達せんだつての二百円は、代助から受取うけとるとすぐ借銭しやくせんの方へまははずであつたが、あたらしくうちつたため色々いろ/\入費がかゝつたので、つい其方の用を、あのうちで幾分かべんじたのがはじまりであつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)