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唯一
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ゆいいつ
ふりがな文庫
“
唯一
(
ゆいいつ
)” の例文
と
言葉
(
ことば
)
やさしく
愛兒
(
あいじ
)
の
房々
(
ふさ/″\
)
せる
頭髮
(
かみのけ
)
に
玉
(
たま
)
のやうなる
頬
(
ほゝ
)
をすり
寄
(
よ
)
せて、
餘念
(
よねん
)
もなく
物語
(
ものがた
)
る、これが
夫人
(
ふじん
)
の
爲
(
た
)
めには、
唯一
(
ゆいいつ
)
の
慰
(
なぐさみ
)
であらう。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
叔母の一人は、自分の奇談が台なしになったのと、自分が見た
唯一
(
ゆいいつ
)
の幽霊がにせものであるとわかったことを、ことさらくやしがった。
幽霊花婿:ある旅人の話
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
利害の打算から云えば、林右衛門のとった策は、
唯一
(
ゆいいつ
)
の、そうしてまた、最も賢明なものに相違ない。自分も、それは認めている。
忠義
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
これらの事情の
湊合
(
そうごう
)
のために、源三は自分の
唯一
(
ゆいいつ
)
の良案と信じている「甲府へ出て奉公住みする」という事をあえてしにくいので
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
真紅
(
しんく
)
や、白や、
琥珀
(
こはく
)
のような黄や、いろ/\変った色の、
少女
(
おとめ
)
のような優しい花の姿が、荒れた庭園の夏を
彩
(
いろど
)
る
唯一
(
ゆいいつ
)
の色彩だった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
▼ もっと見る
当時
(
とうじ
)
の
私
(
わたくし
)
に
取
(
と
)
りましては、
死
(
し
)
んだ
良人
(
おっと
)
に
逢
(
あ
)
うのがこの
世
(
よ
)
に
於
(
お
)
ける、
殆
(
ほと
)
んど
唯一
(
ゆいいつ
)
の
慰安
(
いあん
)
、
殆
(
ほと
)
んど
唯一
(
ゆいいつ
)
の
希望
(
きぼう
)
だったのでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
美と云うものを
唯一
(
ゆいいつ
)
の生命にしてかいたものは、短詩のほかにはないだろうと思います。小説には無論ありますまい。脚本は
固
(
もと
)
よりです。
文芸の哲学的基礎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
今では全く水の手が切れてしまった、去年勘当された時に
母屋
(
おもや
)
の旦那(長兄のこと)から
僅
(
わず
)
かな涙金を貰ったのが
唯一
(
ゆいいつ
)
の財源で
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
時間は個性の
唯一
(
ゆいいつ
)
性の外面的な徴表に過ぎないのであって、本質的には個性は個性自身の働きそのものにおいて区別されるのでなければならぬ。
人生論ノート
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
私のいささか子供らしい試みの——沼のなかをのぞきこんだことの——
唯一
(
ゆいいつ
)
の効果がただ最初の奇怪な印象を深めただけであったことはすでに述べた。
アッシャー家の崩壊
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
そういう時には、金色の
燭台
(
しょくだい
)
の一点が燈明に鋭く輝いて、その光点から金色の
箭
(
や
)
が八方にさしているのを、
唯一
(
ゆいいつ
)
のすがりどころとじっとみつめていた。
『西遊記』の夢
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
右手は、
蘆
(
あし
)
の
洲
(
す
)
の上に漁家の見える台地で、湖の他方の岐入と、湖水の
唯一
(
ゆいいつ
)
の吐け口のS川の根元とを分っている。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「恐ろしいことです。いや、寧ろ
滑稽
(
こっけい
)
なことです。併し、同時に算術の問題の様に、簡単明瞭な事実です。
唯一
(
ゆいいつ
)
にして避くべからざる論理的帰結です」
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
一代の柔い胸の円みに
触
(
ふ
)
れたり、子供のように吸ったりすることが
唯一
(
ゆいいつ
)
のたのしみで、律義な小心者もふと破れかぶれの
情痴
(
じょうち
)
めいた日々を送っていたが
競馬
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
半七は
肚
(
はら
)
のうちで舌打ちしたが、武家屋敷の仕事は大抵こんなものだと覚悟しているので、小梅の長五郎から聞き出した一種の秘密を
唯一
(
ゆいいつ
)
の材料にして
半七捕物帳:53 新カチカチ山
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
私は、この部屋に於ける
唯一
(
ゆいいつ
)
の目ざわりな新時代の道具として、さっきから
卓子
(
テーブル
)
の上の蓄音機に目をつけていた。そこで私は、
傍
(
わき
)
へよって、蓋をあけた。
暗号音盤事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
すくなくともその妻に
抱擁
(
ほうよう
)
された家庭だけは、彼の最後に祝福された、
唯一
(
ゆいいつ
)
の楽しい安住の故郷であった。
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
そうして、最後に、むごたらしいこと、救いがないということ、それだけが、
唯一
(
ゆいいつ
)
の救いなのであります。
文学のふるさと
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
ませた事を言った。でも、結婚は、人生の大事件だ。殊に婦人にとって、
唯一
(
ゆいいつ
)
の大事件と言っていいかも知れないのだ。てれずに、まじめに考えてみましょう。
正義と微笑
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
それがわれわれの逃がれ出ることの出来る
唯一
(
ゆいいつ
)
の道であるが、それさえ
日毎
(
ひごと
)
に結氷しつつあるのである。
世界怪談名作集:09 北極星号の船長 医学生ジョン・マリスターレーの奇異なる日記よりの抜萃
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
その
唯一
(
ゆいいつ
)
の望みを禁じられたのである、志保はその後しばらくは、気ぬけのしたような気持で日を過したことを覚えている。だが父の本当の心は間もなくわかった。
菊屋敷
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
弱い人間にとっては、やはりそれが必要なこともあるだろう。時には、それが弱い人間を救う
唯一
(
ゆいいつ
)
の方法である場合さえあるのだ。それは私にもよくわかっている。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
熱情
(
ねつじょう
)
も時には
素晴
(
すば
)
らしい仕事をさせる
武器
(
ぶき
)
ですが、
冷静
(
れいせい
)
は常に物の道理を考えさせる
唯一
(
ゆいいつ
)
の力です。
母の話
(新字新仮名)
/
アナトール・フランス
(著)
昌さんは何かといえば、たとえば牛の綱を持たせられたりすると、よほど牛が恐いとみえてこの声をたてる。彼の
唯一
(
ゆいいつ
)
の抗議のしかただし、また防禦でもあるらしい。
石ころ路
(新字新仮名)
/
田畑修一郎
(著)
余は
徒
(
いたずら
)
に唯多くの疑問を有するのみ。ピアノは果して日本的固有の感情を奏するに適すべきや。油画と大理石とは果して日本特有なる造形美を紹介すべき
唯一
(
ゆいいつ
)
の道たりや。
浮世絵の鑑賞
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
されば走者がこの危険の中に身を投じて
唯一
(
ゆいいつ
)
の
塁壁
(
るいへき
)
と
頼
(
たの
)
むべきは第一第二第三の
基
(
ベース
)
なり。
ベースボール
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
周知のごとく、東大寺を襲った幾たびかの災禍を免れて、いまになお
天平
(
てんぴょう
)
の姿をとどめる
唯一
(
ゆいいつ
)
の御堂である。天平五年
聖武
(
しょうむ
)
天皇が
良弁
(
ろうべん
)
僧正に勅して
建立
(
こんりゅう
)
せしめ給うところと伝えらるる。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
日影
(
ひかげ
)
弱
(
よは
)
き
初冬
(
はつふゆ
)
には
稀
(
まれ
)
なる
暖
(
あたゝか
)
さに
候
(
そろ
)
まゝ
寒斉
(
かんさい
)
と申すにさへもお
耻
(
はづ
)
かしき
椽端
(
えんばた
)
に
出
(
い
)
でゝ
今日
(
こんにち
)
は背を
曝
(
さら
)
し
居
(
を
)
り
候
(
そろ
)
、
所謂
(
いはゆる
)
日向
(
ひなた
)
ぼつこに
候
(
そろ
)
日向
(
ひなた
)
ぼつこは今の
小生
(
せうせい
)
が
唯一
(
ゆいいつ
)
の楽しみに
候
(
そろ
)
、
人知
(
ひとし
)
らぬ楽しみに
候
(
そろ
)
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
この
女
(
ひと
)
こそ自分の一生を
賭
(
か
)
けた
唯一
(
ゆいいつ
)
無二の女性だと云う確信がついたら、
早速
(
さっそく
)
、自分の心情を
率直
(
そっちょく
)
に打明けなけりゃ問題にならないよ。遠慮なんかしてたらいつまで
経
(
た
)
ったってらちがあかない。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
これに
由
(
よ
)
って
人智
(
じんち
)
は、
人間
(
にんげん
)
の
唯一
(
ゆいいつ
)
の
快楽
(
かいらく
)
の
泉
(
いずみ
)
となつている。しかるに
我々
(
われわれ
)
は
自分
(
じぶん
)
の
周囲
(
まわり
)
に、
些
(
いささか
)
も
知識
(
ちしき
)
を
見
(
み
)
ず、
聞
(
き
)
かずで、
我々
(
われわれ
)
はまるで
快楽
(
かいらく
)
を
奪
(
うば
)
われているようなものです。
勿論
(
もちろん
)
我々
(
われわれ
)
には
書物
(
しょもつ
)
がある。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
それが
唯一
(
ゆいいつ
)
の私の楽しみのようでもあった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
彼の
唯一
(
ゆいいつ
)
の念願は、どうしたらヴァン・タッセルのたぐいない娘の愛情をかちえることができるかということになってしまった。
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
唯一
(
ゆいいつ
)
の望みは、尼ヶ崎から逃げて帰って来たように、阪急の六甲にある品子の家から逃げて来はせぬかと云うことであった。
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
儼
(
げん
)
として存在しているから、この点において争うべからざる真であります。しかしながらこれが
唯一
(
ゆいいつ
)
の真であるかと云うのが問題なのであります。
創作家の態度
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それが、彼女の愛を得る
唯一
(
ゆいいつ
)
の方法だと勝平は心の中で思っていた。それだのに、彼女に
一旦
(
いったん
)
与えた約束を、取り消す。男らしくもなく破約する。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
その猫と前に殺した猫との
唯一
(
ゆいいつ
)
の眼に見える違いといえば、さっき話したあの白い毛の斑点なのだが、妻はその斑点のことで何度か私に注意していた。
黒猫
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
船長リンドボーン大佐以下四十五名の乗組員は、敵国の首都を、
完膚
(
かんぷ
)
なきまでに爆撃した彼等の武勲を、
唯一
(
ゆいいつ
)
の
慰
(
なぐさ
)
めとしてアクロン号と運命を共にした。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
保吉は
絶体絶命
(
ぜったいぜつめい
)
になった。この場合
唯一
(
ゆいいつ
)
の
血路
(
けつろ
)
になるものは生徒の質問に応ずることだった。それでもまだ時間が余れば、早じまいを
宣
(
せん
)
してしまうことだった。
保吉の手帳から
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
祭が娯楽の
唯一
(
ゆいいつ
)
の形式であった時代に比較して考えると、大衆が、もしくは純粋な娯楽そのものが、もしくは享楽が、神の地位を占めるようになったのである。
人生論ノート
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
これが捨てられ、忘れかけられた女の
唯一
(
ゆいいつ
)
の
幽
(
かす
)
かないやがらせと
思召
(
おぼしめ
)
し、ぜひお聞きいれのほど願います。
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
ねがわくば、われわれが
唯一
(
ゆいいつ
)
の安全航路であるところの、あの狭い通路が遮断されないように——。
世界怪談名作集:09 北極星号の船長 医学生ジョン・マリスターレーの奇異なる日記よりの抜萃
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
余は
徒
(
いたずら
)
に
唯
(
ただ
)
多くの疑問を有するのみ。ピアノは果して日本的固有の感情を奏するに適すべきや。油画と大理石とは果して日本特有なる造形美を紹介すべき
唯一
(
ゆいいつ
)
の道たりや。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ここらの山川には山女という魚が棲んでいて、それが山住居の人には
唯一
(
ゆいいつ
)
の旨いお魚でした。
探偵夜話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
一時間番組のテレビなどが、ほとんど
唯一
(
ゆいいつ
)
といっていいほど、この目的に
適
(
かな
)
うものである。教育テレビなどという最良の舞台があるのに、それを使わないのは、いかにも惜しい。
テレビの科学番組
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
元
(
もと
)
より
紛議
(
ふんぎ
)
も
葛藤
(
かつとう
)
も
恐
(
おそ
)
るゝ
所
(
ところ
)
でない、
正理
(
せいり
)
は
我
(
われ
)
にあるのだが、
然
(
しか
)
し
※里
(
ばんり
)
の
波濤
(
はたう
)
を
距
(
へだ
)
てたる
絶島
(
ぜつとう
)
に
於
(
おい
)
て、
既
(
すで
)
に
唯一
(
ゆいいつ
)
の
確證
(
くわくしよう
)
たる
可
(
べ
)
き
日章旗
(
につしようき
)
を
徹去
(
てつきよ
)
されたる
後
(
のち
)
は、
我
(
われ
)
に十二
分
(
ぶん
)
の
道理
(
どうり
)
があつても
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
これが
唯一
(
ゆいいつ
)
の、娘も共に
零落
(
れいらく
)
させた父の
詫
(
わ
)
びの表明でもあり、心やりの言葉でもあった。小初は父の気持ちを察しないではないが、「何ぼ何でもあんまり負け
惜
(
お
)
しみ過ぎる」と悲しく
疎
(
うと
)
まれた。
渾沌未分
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
私は
昂奮
(
こうふん
)
をしずめるために、声にだして呟いた、「苦しみつつはたらけ」それはそのころ私の絶望や失意を救ってくれた
唯一
(
ゆいいつ
)
の本、ストリンドベリイの「青巻」に書かれている章句の一であった
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
日本は今や君国のために水火をも辞さない
勇猛果敢
(
ゆうもうかかん
)
な青年を求めているのだ。この要求にこたえうるような精神を養うことこそ、諸君がこの塾堂に教えをうけに来た
唯一
(
ゆいいつ
)
の目的でなければならない。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
金堂は奈良時代の大寺の金堂の形式を伝える
唯一
(
ゆいいつ
)
の遺構といわれる。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
二人は悔みを述べるために
亡
(
な
)
くなった師匠の家を訪れる機会を持ったのであるが、これが大阪で由緒正しい山村流の伝統を伝えていた
唯一
(
ゆいいつ
)
の人
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
唯
常用漢字
中学
部首:⼝
11画
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
“唯一”で始まる語句
唯一人
唯一言
唯一不二
唯一無二
唯一目
唯一神
唯一箇
唯一者
唯一論
唯一神道名法要集