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午頃
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ひるごろ
ふりがな文庫
“
午頃
(
ひるごろ
)” の例文
二
間
(
ま
)
のうち一間のほうには、お十夜孫兵衛、
宿酔
(
ふつかよい
)
でもしたのか、
蒼味
(
あおみ
)
のある顔を枕につけ、もう
午頃
(
ひるごろ
)
だというに
昏々
(
こんこん
)
と
熟睡
(
じゅくすい
)
している。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「好いかい。待つてゐるんだぜ。
午頃
(
ひるごろ
)
までにやきつと帰つて来るから。」——彼は外套をひつかけながら、かう信子に念を押した。
秋
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
夜具と手提革包を預けてから、重吉はすぐさま貸間をさがしにその辺を歩き廻って、
午頃
(
ひるごろ
)
帰って来た時始めてお千代と落合った。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
午頃
(
ひるごろ
)
に
頭髪
(
かみ
)
が出来ると、自分が今婚礼の式を挙げようとしていることが、一層
分明
(
はっきり
)
して来る様であったが、その相手が、十三四の頃から
昵
(
なじ
)
んで
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
しかしその日は雨もやんで、
午頃
(
ひるごろ
)
からは青い空の色がところどころに洩れて来たので、僕は午後からふらりと
家
(
うち
)
を出た。
こま犬
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
前日より一層
劇
(
はげ
)
しい怒を以て、書いている。いやな事と云うものは、する時間が長引くだけいやになるからである。
午頃
(
ひるごろ
)
になって、
一寸
(
ちょっと
)
町へ出た。
世界漫遊
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ユリウス・ダビット
(著)
只
(
ただ
)
りよ一人平作の家族に
気兼
(
きがね
)
をしながら、
甲斐々々
(
かいがい
)
しく立ち働いていたが、
午頃
(
ひるごろ
)
になって細川の奥方の
立退所
(
たちのきじょ
)
が知れたので、すぐに見舞に往った。
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
お美代の死骸の見付けられた後では、——今日の
午頃
(
ひるごろ
)
、お照が何の用事ともなく二た
刻
(
とき
)
(四時間)ほど家をあけました。
銭形平次捕物控:103 巨盗還る
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
私は
午頃
(
ひるごろ
)
また茶の間へ出掛けて行って、奥さんに、
今朝
(
けさ
)
の話をお嬢さんに
何時
(
いつ
)
通じてくれるつもりかと尋ねました。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
今朝は
麗
(
うらら
)
かに晴れて、この分なら上野の
彼岸桜
(
ひがん
)
も、うっかり咲きそうなという、
午頃
(
ひるごろ
)
から、急に吹出して、随分風立ったのが
未
(
いま
)
だに
止
(
や
)
まぬ。午後の四時頃。
妖術
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
所が
午頃
(
ひるごろ
)
から激烈な疼痛がやってきた。床の上に身をねじって苦しんだ。痛みが去るとねっとり汗をかいていた。それが頻繁にやってきた。夕方になって少し遠のいた。
幻の彼方
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
中にはちょうど一本足の
案山子
(
かかし
)
に似たのもある。あるいは二本の長い棒を横たえた武士のようなのも居る。皆大概はじっとしているが、
午頃
(
ひるごろ
)
には時々活動しているのを見受ける。
小さな出来事
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
陶器の産地である有田へ着いたのは
午頃
(
ひるごろ
)
だつた。谷川のへりの所々に石を
搗
(
つ
)
き砕く水車
小舎
(
ごや
)
の響きが聞えてゐた。河原に
棄
(
す
)
て散らされた陶器の破片を私は珍らしく見ながら歩いた。
ある職工の手記
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
午頃
(
ひるごろ
)
に荷物が着いて、大きな
支那鞄
(
しなかばん
)
、
柳行李
(
やなぎごうり
)
、信玄袋、本箱、机、夜具、これを二階に運ぶのには中々骨が折れる。時雄はこの手伝いに一日社を休むべく余儀なくされたのである。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
二日そうして
経
(
た
)
ち、
午頃
(
ひるごろ
)
、ごおッーと
妙
(
みょう
)
な音がして来た途端に、
激
(
はげ
)
しく
揺
(
ゆ
)
れ出した。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
同じ話がまた、前夜其場に行合せた農夫が、
午頃
(
ひるごろ
)
何かの用で小川家の臺所に來た時、稍詳しく家中の耳に傳へられた。老人達は心から吉野の義氣に感じた樣に、それに就いて語つた。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
丁度その日の
午頃
(
ひるごろ
)
であつたが、なにがし商店の店先へ顔をだした男がある。
盗まれた手紙の話
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
あの
死骸
(
しがい
)
の
男
(
をとこ
)
には、
確
(
たし
)
かに
昨日
(
きのふ
)
遇
(
あ
)
つて
居
(
を
)
ります。
昨日
(
きのふ
)
の、——さあ、
午頃
(
ひるごろ
)
でございませう。
場所
(
ばしよ
)
は
關山
(
せきやま
)
から
山科
(
やましな
)
へ、
參
(
まゐ
)
らうと
云
(
い
)
ふ
途中
(
とちう
)
でございます。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
午頃
(
ひるごろ
)
まで長吉は
東照宮
(
とうしょうぐう
)
の裏手の森の中で、
捨石
(
すていし
)
の上に
横
(
よこた
)
わりながら、こんな事を考えつづけた
後
(
あと
)
は、
包
(
つつみ
)
の中にかくした小説本を取出して読み
耽
(
ふけ
)
った。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
と
覚
(
さと
)
ったらしく、急に山道を
迂回
(
うかい
)
して、瀬戸峠から、
足助
(
あすけ
)
の町のほうへ下って行くとの
報
(
しら
)
せ——それが、山中ばかり追い歩いた四日目の
午頃
(
ひるごろ
)
だった。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お美代の死骸の見付けられた後では、——今日の
午頃
(
ひるごろ
)
、お照が何んの用事ともなく二た刻ほど家をあけました。
銭形平次捕物控:103 巨盗還る
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
きょうは
午頃
(
ひるごろ
)
から細かい雨が降っていたので、お鶴は傘をかたむけて灯ともし頃の暗い町をたどって行くと、もう
二足
(
ふたあし
)
ばかりで湯屋の
暖簾
(
のれん
)
をくぐろうとする所で
平造とお鶴
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
七日前
(
なぬかぜん
)
に
東京驛
(
とうきやうえき
)
から
箱根越
(
はこねごし
)
の
東海道
(
とうかいだう
)
。——
分
(
わか
)
つた/\——
逗留
(
とうりう
)
した
大阪
(
おほさか
)
を、
今日
(
けふ
)
午頃
(
ひるごろ
)
に
立
(
た
)
つて、あゝ、
祖母
(
おばあ
)
さんの
懷
(
ふところ
)
で
昔話
(
むかしばなし
)
に
聞
(
き
)
いた、
栗
(
くり
)
がもの
言
(
い
)
ふ、たんばの
國
(
くに
)
。
城崎を憶ふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
歿する日には朝から物を書いていて、
午頃
(
ひるごろ
)
「ああ
草臥
(
くたび
)
れた」といって
仰臥
(
ぎょうが
)
したが、それきり
起
(
た
)
たなかった。岡西氏
徳
(
とく
)
の生んだ、抽斎の次男は
此
(
かく
)
の如くにして世を去ったのである。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
同じ話がまた、前夜其場に行合せた
農夫
(
ひやくしやう
)
が、
午頃
(
ひるごろ
)
何かの用で小川家の台所に来た時、
稍
(
やや
)
詳しく家中の耳に伝へられた。
成年者
(
としより
)
達は心から吉野の義気に感じた様に、それに就いて語つた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
開店の朝、向う
鉢巻
(
はちまき
)
でもしたい気持で蝶子は店の間に坐っていた。
午頃
(
ひるごろ
)
、さっぱり客が来えへんなと柳吉は心細い声を出したが、それに答えず、眼を
皿
(
さら
)
のようにして表を通る人を睨んでいた。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
午頃
(
ひるごろ
)
まで
長吉
(
ちやうきち
)
は
東照宮
(
とうせうぐう
)
の
裏手
(
うらて
)
の森の中で、
捨石
(
すていし
)
の上に
横
(
よこた
)
はりながら、こんな事を考へつゞけた
後
(
あと
)
は、
包
(
つゝみ
)
の中にかくした小説本を
取出
(
とりだ
)
して読み
耽
(
ふけ
)
つた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
利家は、同日の
午頃
(
ひるごろ
)
には、早やこの辺を通過し、陽もまだ高いうちに、子息利長の居城府中に、全軍を引揚げていた。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あの死骸の男には、確かに
昨日
(
きのう
)
遇
(
あ
)
って居ります。昨日の、——さあ、
午頃
(
ひるごろ
)
でございましょう。場所は
関山
(
せきやま
)
から
山科
(
やましな
)
へ、参ろうと云う途中でございます。
藪の中
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
春は過ぎても、
初夏
(
はつなつ
)
の日の長い、五月
中旬
(
なかば
)
、
午頃
(
ひるごろ
)
の郵便局は
閑
(
かん
)
なもの。受附にもどの口にも他に
立集
(
たちつど
)
う人は一人もなかった。が、為替は直ぐ
手取早
(
てっとりばや
)
くは
受取
(
うけと
)
れなかった。
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
午頃
(
ひるごろ
)
になっても帰らないので、これもどうしたかと案じていると、九つ半——今の午後一時頃だそうでございます——頃になって、伊助ひとりが青くなって帰って来ました。
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
三人は風雨を
冒
(
をか
)
して、間道を東北の方向に進んだ。風雨はやう/\
午頃
(
ひるごろ
)
に
息
(
や
)
んだが、肌まで
濡
(
ぬ
)
れ
通
(
とほ
)
つて、寒さは身に
染
(
し
)
みる。
辛
(
から
)
うじて
大和川
(
やまとがは
)
の支流幾つかを渡つて、
夜
(
よ
)
に入つて
高安郡
(
たかやすごほり
)
恩地村
(
おんちむら
)
に着いた。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
附近で兵糧をとっていた将士もみな背をまげて、弁当を
庇
(
かば
)
った。
午頃
(
ひるごろ
)
から北風はいよいよ
募
(
つの
)
り、時々浜砂を持った烈風が、痛いほど目鼻を
撲
(
なぐ
)
ッてくる。
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
良平
(
りょうへい
)
の
家
(
うち
)
では蚕に食わせる桑の
貯
(
たくわ
)
えが足りなかったから、父や母は
午頃
(
ひるごろ
)
になると、
蓑
(
みの
)
の
埃
(
ほこり
)
を払ったり、古い
麦藁帽
(
むぎわらぼう
)
を探し出したり、畑へ出る
仕度
(
したく
)
を急ぎ始めた。
百合
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
日の今日、
午頃
(
ひるごろ
)
、久しぶりのお天気に、おらら沼から出たでしゅ。崖を下りて、あの浜の
竃巌
(
かまどいわ
)
へ。
貝の穴に河童の居る事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それはきょうの
午頃
(
ひるごろ
)
のことで、お直はそれぎり自分の店へも戻らないのであった。
半七捕物帳:35 半七先生
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
あれほどな足利勢も
午頃
(
ひるごろ
)
には洛中のくまぐまにさえ一兵も影をみせず、遠く丹波境の山波の彼方へ没し去っていたことだけはたしかであり、さらには
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
或秋の
午頃
(
ひるごろ
)
、僕は東京から遊びに来た大学生のK君と一しょに
蜃気楼
(
しんきろう
)
を見に出かけて行った。
鵠沼
(
くげぬま
)
の海岸に蜃気楼の見えることは
誰
(
たれ
)
でももう知っているであろう。
蜃気楼
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
私は毎朝払い落すと、
午頃
(
ひるごろ
)
には大きな網が再び元のように張られている。夕方に再び払い落すと、
明
(
あく
)
る朝にはまたもや大きく張られている。私が根よく払い落すと、彼も根よく網を張る。
二階から
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
午頃
(
ひるごろ
)
の蔭もささぬ柳の葉に、ふわふわと
柔
(
やわらか
)
い風が懸る。
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そして翌る日も、主人の書斎で何事かひそかに話しこんでいたが、
午頃
(
ひるごろ
)
、召使いがそこへ来客の刺を通じた。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「婆めの弔いのときには藻も来て手伝うてくれたが、その明くる日に、都から又お使いが来たそうで、すぐに御奉公にあがることに決まって、きのうの
午頃
(
ひるごろ
)
にいそいそして出て行ったよ」
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
三月の末のある
午頃
(
ひるごろ
)
、彼は突然彼の脚の
躍
(
おど
)
ったり
跳
(
は
)
ねたりするのを発見したのである。なぜ彼の馬の脚はこの時急に
騒
(
さわ
)
ぎ出したか? その疑問に答えるためには半三郎の日記を調べなければならぬ。
馬の脚
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
とろんと、眠たげな眼を上げると、
昼霞
(
ひるがすみ
)
のような薄雲が、時々
午頃
(
ひるごろ
)
の陽をつつんだり、拭いたりしていた。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鉱山のお客だとか云う三人
連
(
づれ
)
が、
昨夜
(
ゆうべ
)
から柳屋の奥に飲み
明
(
あか
)
していて、
今朝
(
けさ
)
も
早天
(
そうてん
)
から近所構わずに騒いでいたが、もう大抵騒ぎ
草臥
(
くたび
)
れたと見えて、
午頃
(
ひるごろ
)
には
生酔
(
なまよい
)
も
漸々
(
だんだん
)
に倒れて
了
(
しま
)
った。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
所が
午頃
(
ひるごろ
)
からふり出した雨に風が加わって、宅の近くへ参りました時には、たたきつけるような吹き降りでございます。私は門の前で
匇々
(
そうそう
)
車賃を払って、雨の中を大急ぎで玄関まで駈けて参りました。
二つの手紙
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そしてやがて
午頃
(
ひるごろ
)
、孟州大街の
市
(
いち
)
の人声や
蝉
(
せみ
)
の声が一つにわんわん
沸
(
わ
)
いている城外の辻へかかって来た。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
光秀が、むなしく
洞
(
ほら
)
ヶ
嶺
(
みね
)
を去って、下鳥羽の本陣へ帰って来た頃——十一日の
午頃
(
ひるごろ
)
——には、すでに一方の秀吉は尼ヶ崎に着いて、
一睡
(
いっすい
)
の快をとっている時刻だったのである。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
九条の女院へ、彼がふたたび姿を見せたのは、その翌日の
午頃
(
ひるごろ
)
であった。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「なるほど、仰っしゃるとおり、ちょうど今日の
午頃
(
ひるごろ
)
、そういう女の方が見えました。……左様で、年は十八か九、鼻の高い、眼の鈴のように張った、どうしてなかなか
美
(
い
)
い女でございました」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
午
常用漢字
小2
部首:⼗
4画
頃
常用漢字
中学
部首:⾴
11画
“午頃”で始まる語句
午頃來
午頃来