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前刻
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さつき
ふりがな文庫
“
前刻
(
さつき
)” の例文
私
(
わし
)
はその
前刻
(
さつき
)
から
何
(
なん
)
となく
此
(
この
)
婦人
(
をんな
)
に
畏敬
(
ゐけい
)
の
念
(
ねん
)
が
生
(
しやう
)
じて
善
(
ぜん
)
か
悪
(
あく
)
か、
何
(
ど
)
の
道
(
みち
)
命令
(
めいれい
)
されるやうに
心得
(
こゝろえ
)
たから、いはるゝままに
草履
(
ざうり
)
を
穿
(
は
)
いた。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
さういふ事でござんしたか。さうとは知らず、ついうつかり
前刻
(
さつき
)
のやうなこと言ふたは、みんな私が悪かつた。堪忍して下せんせ。
したゆく水
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
前刻
(
さつき
)
、
菅
(
すが
)
さんに
逢
(
あ
)
つた
時
(
とき
)
、
私
(
わたし
)
は
折
(
をり
)
しも
紅
(
あか
)
インキで
校正
(
かうせい
)
をして
居
(
ゐ
)
たが、
組版
(
くみはん
)
の
一面
(
いちめん
)
何行
(
なんぎやう
)
かに、ヴエスビヤス、
噴火山
(
ふんくわざん
)
の
文宇
(
もんじ
)
があつた。
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
前刻
(
さつき
)
から聞いてゐれば、父御様にも仰しやるやうなお見舞は、なんとももつて合点が行かぬ。
移民学園
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
ト
日
(
ひ
)
があたつて
暖
(
あた
)
たかさうな、
明
(
あかる
)
い
腰障子
(
こししやうじ
)
の
内
(
うち
)
に、
前刻
(
さつき
)
から
靜
(
しづ
)
かに
水
(
みづ
)
を
掻𢌞
(
かきまは
)
す
氣勢
(
けはひ
)
がして
居
(
ゐ
)
たが、ばつたりといつて、
下駄
(
げた
)
の
音
(
おと
)
。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
勤まり
悪
(
にく
)
いお邸で、年を越すでもなからふと、内証極めた
前刻
(
さつき
)
の使ひ。
忙
(
せは
)
しい時に暇取つて、お前方へは気の毒ながら、無理のない訳聞かしやんせ。この四五日の奥様の、あの肝癪は正気の沙汰か。
したゆく水
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
ト
前刻
(
さつき
)
、
止
(
よ
)
せ、と
云
(
い
)
つて
留
(
と
)
めたけれども、
其
(
それ
)
でも
女中
(
ぢよちゆう
)
が
伸
(
の
)
べて
行
(
い
)
つた、
隣
(
となり
)
の
寐床
(
ねどこ
)
の、
掻巻
(
かいまき
)
の
袖
(
そで
)
が
動
(
うご
)
いて、
煽
(
あふ
)
るやうにして
揺起
(
ゆりおこ
)
す。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
斷
(
あきら
)
めのつくやうに、
斷
(
あきら
)
めさして
下
(
くだ
)
さいツて、お
願
(
ねが
)
ひ
申
(
まを
)
した、あの、お
返事
(
へんじ
)
を、
夜
(
よ
)
の
目
(
め
)
も
寢
(
ね
)
ないで
待
(
ま
)
ツてますと、
前刻
(
さつき
)
下
(
くだ
)
すつたのが、あれ……ね。
三尺角拾遺:(木精)
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
岸
(
きし
)
づたひに、
岩
(
いは
)
を
踏
(
ふ
)
んで
後戻
(
あともど
)
りを
為
(
し
)
て、
橋
(
はし
)
の
取着
(
とつゝき
)
の
宿
(
やど
)
へ
帰
(
かへ
)
つた、——
此
(
これ
)
は
前刻
(
さつき
)
渡
(
わた
)
つて、
向
(
むか
)
ふ
越
(
ごし
)
で、
山路
(
やまみち
)
の
方
(
はう
)
へ、あの
婆
(
ばあ
)
さんの
店
(
みせ
)
へ
出
(
で
)
た
橋
(
はし
)
だつた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
前刻
(
さつき
)
から、
通口
(
かよひぐち
)
へ
顏
(
かほ
)
を
出
(
だ
)
して、
髯旦
(
ひげだん
)
のうめ
方
(
かた
)
が、まツ
其
(
そ
)
の
通
(
とほ
)
り、
小兒
(
こども
)
の
一寸
(
いつすん
)
に
水
(
みづ
)
一升
(
いつしよう
)
の
割
(
わり
)
を
覗
(
のぞ
)
いて、
一驚
(
いつきやう
)
を
吃
(
きつ
)
した
三助
(
さんすけ
)
銭湯
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
然
(
さ
)
れば、
神樂坂
(
かぐらざか
)
へ
行
(
い
)
きがけに、
前刻
(
さつき
)
郵便局
(
いうびんきよく
)
の
前
(
まへ
)
あたりで、
水入
(
みづい
)
らずの
夫婦
(
ふうふ
)
が
散歩
(
さんぽ
)
に
出
(
で
)
たのに、
餘
(
あま
)
り
話
(
はなし
)
がないから
山の手小景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
趣
(
おもむき
)
は
違
(
ちが
)
ふけれども、
園
(
その
)
は、
名所
(
めいしよ
)
にも、
古跡
(
こせき
)
にも、あんな
景色
(
けしき
)
はまたあるまいと
思
(
おも
)
ふ
処
(
ところ
)
を、
前刻
(
さつき
)
も一
度
(
ど
)
通
(
とほ
)
つて
来
(
き
)
た。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
軈
(
やが
)
て
又
(
また
)
例
(
れい
)
の
木
(
き
)
の
丸太
(
まるた
)
を
渡
(
わた
)
るのぢやが、
前刻
(
さつき
)
もいつた
通
(
とほり
)
草
(
くさ
)
のなかに
横倒
(
よこだふ
)
れになつて
居
(
ゐ
)
る、
木地
(
きぢ
)
が
恁
(
か
)
う
丁度
(
ちやうど
)
鱗
(
うろこ
)
のやうで
譬
(
たとへ
)
にも
能
(
よ
)
くいふが
松
(
まつ
)
の
木
(
き
)
は
蝮
(
うわばみ
)
に
似
(
に
)
て
居
(
ゐ
)
るで。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
いや、
前刻
(
さつき
)
船
(
ふね
)
の
中
(
なか
)
で
焚
(
や
)
けるのを
向
(
むか
)
ふから
見
(
み
)
た
時
(
とき
)
な、
活
(
い
)
きた
人
(
ひと
)
だと
吃驚
(
びつくり
)
しつけの。お
前様
(
めえさま
)
一廉
(
ひとかど
)
の
利
(
きゝ
)
ものだ。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
はゝあ、
此
(
こ
)
の
怪談
(
くわいだん
)
を
遣
(
や
)
りたさに、
前刻
(
さつき
)
狸
(
たぬき
)
を
持出
(
もちだ
)
したな。——いや、
敢
(
あへ
)
て
然
(
さ
)
うではない。
春着
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
前刻
(
さつき
)
、
草
(
くさ
)
あぜに
立
(
た
)
てた
傘
(
かさ
)
が、パサリと、ひとりで
倒
(
たふ
)
れると、
下
(
した
)
に
寢
(
ね
)
た
女中
(
ぢよちう
)
が
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
前刻
(
さつき
)
から、
手
(
て
)
を
擧
(
あ
)
げたり、
下
(
さ
)
げたり、
胸
(
むね
)
に
波
(
なみ
)
を
打
(
う
)
たして
居
(
ゐ
)
た
女房
(
にようばう
)
。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
お
品
(
しな
)
が
片手
(
かたて
)
にはしつかりと
前刻
(
さつき
)
の
手紙
(
てがみ
)
を
握
(
にぎ
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
前刻
(
さつき
)
の
今
(
いま
)
で、
桔梗
(
ききやう
)
は
星
(
ほし
)
の
紫
(
むらさき
)
の
由縁
(
ゆかり
)
であらう。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「もう、
前刻
(
さつき
)
。」
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
前
常用漢字
小2
部首:⼑
9画
刻
常用漢字
小6
部首:⼑
8画
“前”で始まる語句
前
前後
前途
前方
前垂
前様
前栽
前屈
前掛
前兆