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りり
ふりがな文庫
“
凛々
(
りり
)” の例文
智恵と慈悲と清浄と、そして勇気の
権化
(
ごんげ
)
のような、美しく
凛々
(
りり
)
しい小枝姫は、今宵も凛々しく美しく
且
(
か
)
つ無邪気に取り澄ましている。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そうおぬいさんが
凛々
(
りり
)
しく響くような声でいって、書物をぼんやりしかけた渡瀬の前にひろげたので渡瀬はようやく我に返った。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
如何
(
いか
)
なる風の誘いてか、かく
凛々
(
りり
)
しき
壮夫
(
ますらお
)
を吹き寄せたると、折々は
鶴
(
つる
)
と
瘠
(
や
)
せたる老人の肩をすかして、恥かしの
睫
(
まつげ
)
の下よりランスロットを見る。
薤露行
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
宇女であった……彼女は黒髪を束ねて背に垂れ、白装束の
腰紐
(
こしひも
)
をかたく締上げた
凛々
(
りり
)
しい姿で、薙刀を右手に抱込み、敷居際まで進んで
膝
(
ひざ
)
をついた。
三十二刻
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
暮れかけている塹壕の上へ、
凛々
(
りり
)
しい髪止めをし、
襷
(
たすき
)
をかけた婦人たちの一群が、数箇のバケツをさげて降りて来た。
日本名婦伝:谷干城夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
高蔵人は
身拵
(
みごしらえ
)
凛々
(
りり
)
しく、両刀を
手
(
た
)
挟んだ上に、六尺柄
皆朱
(
かいしゅ
)
の手槍を
提
(
ひっさ
)
げて、相生総左衛門の屋敷に忍び込みました。
新奇談クラブ:03 第三夜 お化け若衆
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
染之助が
扮
(
ふん
)
している三浦之介とか勝頼とか、重次郎とか、
維盛
(
これもり
)
とか、ああした今の世には生きていない、美しい
凛々
(
りり
)
しい人達ではなかったかと、そう思うと
ある恋の話
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
すると反対の側から、年の頃は
六十路
(
むそじ
)
を二つ三つ越えたと思われる半白の
口髭
(
くちひげ
)
と
頤髯
(
あごひげ
)
、
凛々
(
りり
)
しい将軍が、六尺豊かの長身を、静かにマイクロフォンに近づけた。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
申
(
もう
)
すもかしこけれど、お
婿様
(
むこさま
)
は百
代
(
だい
)
に
一人
(
ひとり
)
と
言
(
い
)
われる、すぐれた
御器量
(
ごきりょう
)
の
日
(
ひ
)
の
御子
(
みこ
)
、
又
(
また
)
お
妃
(
きさき
)
は、しとやかなお
姿
(
すがた
)
の
中
(
うち
)
に
凛々
(
りり
)
しい
御気性
(
ごきしょう
)
をつつまれた
絶世
(
ぜっせい
)
の
佳人
(
かじん
)
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
大兵肥満の
晋子其角
(
しんしきかく
)
が、
紬
(
つむぎ
)
の角通しの懐を
鷹揚
(
おうやう
)
にふくらませて、憲法小紋の肩をそば立てた、ものごしの
凛々
(
りり
)
しい去来と一しよに、ぢつと師匠の容態を
窺
(
うかが
)
つてゐる。
枯野抄
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
見れば濃い
眉
(
まゆ
)
を青々と
剃
(
そ
)
り眼の大きい口尻の
凛々
(
りり
)
しい
面長
(
おもなが
)
の美男子が、片手には大きな
螺旋
(
ねじねじ
)
の
煙管
(
きせる
)
を持ち荒い
三升格子
(
みますごうし
)
の
褞袍
(
どてら
)
を着て屋根船の中に
胡坐
(
あぐら
)
をかいていると
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
と
凛々
(
りり
)
しき声に
前
(
さき
)
を払わして
手套
(
てぶくろ
)
を脱ぎつつ入り来る武男のあとより、
外套
(
がいとう
)
と
吾妻
(
あずま
)
コートを
婢
(
おんな
)
に渡しつつ、浪子は夫に引き沿うてしとやかに座につき、手をつかえつ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
双方に安心させるのが孝行だよ……まことにあなた
何時
(
いつ
)
までも子供のようでございます……あんな
好
(
よ
)
い養子はございませんよ、
家
(
うち
)
へいらっしゃってもあの
凛々
(
りり
)
しいお方で
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
だんだん
交際
(
つきあ
)
ってみるにしたがい、なかなか
硬骨
(
こうこつ
)
で、一たび言い出すと決してあとへ
退
(
ひ
)
かぬ人もあるし、また外部から見るといかにも
凛々
(
りり
)
しく、
衣
(
ころも
)
は
骭
(
かん
)
に至り
袖腕
(
そでわん
)
に至り
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
かれは眼の涼しい、口元の引き締った、見るから
優
(
やさ
)
しげな、しかも
凛々
(
りり
)
しい美少年であった。
半七捕物帳:18 槍突き
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「いやだよ、もう金さん、そんなていねいな
語
(
ことば
)
を
遣
(
つか
)
われると、私は気が
逼
(
つま
)
るから、やっぱり書生言葉を遣ってくださいよ。ほんとに
凛々
(
りり
)
しくって、私は書生言葉は大好きさ」
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼女は、美しく、たわやかで、その中に限りない
凛々
(
りり
)
しさをほの見せている雪之丞の舞台すがたに、食い入るような瞳を投げつづけながら、
罵
(
ののし
)
り、もがき、もだえているのだ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
途端に其処に通掛った近衛の将校の方があったのです——
凛々
(
りり
)
しい顔をなすった
戦争
(
いくさ
)
に強そうな方でしたがねえ、其将校の何処が気に入らなかったのか、其
可怖
(
こわい
)
眼をした女の方が
昇降場
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
やせて背は高く、
面長
(
おもなが
)
で、
容貌
(
ようぼう
)
の
凛々
(
りり
)
しいことはドイツ人に似、
起居振舞
(
たちいふるまい
)
はゆっくりではあるが、またきわめて文雅な感じのある年老いた人がそこに彼らを待ち受けていたという。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
平馬、今年十五歳、元服して大人になった姿はじつに
凛々
(
りり
)
しい武者ぶりであった。
平馬と鶯
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
五歳! なんという
凛々
(
りり
)
しく雄々しい風貌であったろう! 歴史画に見る古羅馬貴族のように
襞
(
ひだ
)
の多い折目の付いた寛闊な麻の
外衣
(
トーガ
)
を着け、肩には精巧なる金の透彫りの外衣吊りを懸けていた。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
今にしていっそう男性美を増したごとく
凛々
(
りり
)
しい美丈夫ぶりでしたから、慈悲、
侠気
(
きょうき
)
、名声広大なむっつり右門ならば、思いきってそのふところにすがりついてみようという決心がついたものか
右門捕物帖:09 達磨を好く遊女
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
あゝヘクトール、見る處、姿は
凛々
(
りり
)
し、勇は缺く!
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
そして
凛々
(
りり
)
しい表情と態度とが
梅原良三郎氏のモンマルトルの画室
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
果然平石が落下して、穴の開いたのはよいとして、それと一緒にいとも
凛々
(
りり
)
しい立派な人間が落ちて来ようとは思い設けないことであった。
加利福尼亜の宝島:(お伽冒険談)
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
凛々
(
りり
)
しい青年なので、何かのこれは間違いにちがいないと、先にどなった少年の
悪戯
(
わるさ
)
をむしろ憎んだほどであった。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その一人は城下に名高い、
松木蘭袋
(
まつきらんたい
)
に
紛
(
まぎ
)
れなかった。もう一人の僧形は、見る影もなく病み
耄
(
ほう
)
けていたが、それでも
凛々
(
りり
)
しい物ごしに、どこか武士らしい
容子
(
ようす
)
があった。
或敵打の話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
凛々
(
りり
)
しい眉、涼しそうなる眼、形のいい鼻、濡れたような赤い唇、豊な頬、魅力のある耳殻——そういうものをそっくりそのまま備えた別の男があっていいものだろうか。
ヒルミ夫人の冷蔵鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
しかして書中に現れた悪魔の態度の実に
凛々
(
りり
)
しく、彼の野心の実に偉大なる、彼の度量の
広闊
(
こうかつ
)
なる、読む者をして知らず知らず神よりも悪魔を尊敬する念を起こさしむる。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
幕の後から覗く百姓の群もあれば、
柵
(
さく
)
の上に登って見ている子供も有ました。手を
拍
(
たた
)
く音が
静
(
しずま
)
って一時
森
(
しん
)
としたかと思うと、やがて
凛々
(
りり
)
しい能く徹る声で、誰やらが演説を始める。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
『
指導役
(
しどうやく
)
のお
爺
(
じい
)
さんかしら……。』そう
思
(
おも
)
って
不図
(
ふと
)
振
(
ふ
)
りかえて
見
(
み
)
ると、そこには六十
前後
(
ぜんご
)
と
見
(
み
)
ゆる、すぐれて
品位
(
ひん
)
のよい、
凛々
(
りり
)
しいお
顔
(
かお
)
の、
白衣
(
びゃくい
)
の
老人
(
ろうじん
)
が
黒
(
くろ
)
っぽい
靴
(
くつ
)
を
穿
(
は
)
いて
佇
(
たたず
)
んでいました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
藤色
(
ふじいろ
)
縮緬
(
ちりめん
)
のおこそ
頭巾
(
ずきん
)
とともに信玄袋をわきへ押しやり、浪子の枕べ近く立ち寄るは島田の十七八、紺地
斜綾
(
はすあや
)
の
吾妻
(
あずま
)
コートにすらりとした姿を包んで、
三日月眉
(
みかづきまゆ
)
におやかに、
凛々
(
りり
)
しき黒目がちの
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
晋太郎はおどろくほどおとなびて
凛々
(
りり
)
しくみえた。
菊屋敷
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
凛々
(
りり
)
しい松代の姿である。裾をキリキリと取り上げている。両袖を肩で結んでいる。深紅の
蹴出
(
けだ
)
しから
脛
(
はぎ
)
が洩れ、脛には血汐が着いている。
神秘昆虫館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
夫人ですら、
凛々
(
りり
)
しく、奥仕えの
腰元
(
こしもと
)
たちを指図したり、用人達へ心得を
諭
(
さと
)
したり、自身は、良人の居間を片づけたりして、心の処理を保っているのに——。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大尉の念ずる顔とはいうまでもなく、川上機関大尉のあの
凛々
(
りり
)
しい顔であった。
浮かぶ飛行島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
総髪の
大髻
(
おおたぶさ
)
に髪を結い、黒の紋附きに白縞袴を穿いた、わたしの見知らないお侍様が
凛々
(
りり
)
しい重みのある澄んだ声で、そう捕吏たちに云いました。
犬神娘
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
あの、
温厚
(
おんこう
)
にして
深略
(
しんりゃく
)
のある
小幡民部
(
こばたみんぶ
)
、あのやさしくて
凛々
(
りり
)
しい
咲耶子
(
さくやこ
)
、あの
絶倫
(
ぜつりん
)
な
槍術家
(
そうじゅつか
)
と弓の名人である、
蔦之助
(
つたのすけ
)
や
巽小文治
(
たつみこぶんじ
)
にもずいぶんながく会わなかった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
本所割下水の露路の奥の、浪宅の裏縁に二十一、二の、美しいが
凛々
(
りり
)
しい武家娘が、鞣した猫の皮を陽に干していた。
猫の蚤とり武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
凛々
(
りり
)
しく
見拵
(
みごしら
)
えした武士であった。——夕刻、坂下の花屋の
老爺
(
おやじ
)
が挙動を怪しんで、寺の裏山へ見送ったという——あの若い武士がこの男であったのではあるまいか。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
小次郎の
凛々
(
りり
)
しい
俤
(
おもかげ
)
と、それに関する妄想とが、払っても払っても脳裡に
去来
(
ゆきき
)
し、彼女の
煩悩
(
ぼんのう
)
をそそるからであった。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
源次郎はこっくりして、正直にすぐ松の根元へ行き、五月人形のように
凛々
(
りり
)
しく立った。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
痩せてはいるが
身長
(
せい
)
は高く、肩が怒って
凛々
(
りり
)
しいのは、武道に深い
嗜
(
たしな
)
みを持っている証拠ということができる。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
と
別辞
(
わかれ
)
を交わしていた好青年である。若衆小袖を
旅扮装
(
たびいでたち
)
に
凛々
(
りり
)
しく
括
(
くく
)
り、前髪の
元結
(
もとゆい
)
も匂やかに、大太刀を背に負い、身の
拵
(
こしら
)
え、
眼
(
まな
)
ざしや構え、なにしろ花やかに見うけられる。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
庵室の襖を向こうから開けて静かに姿を現わしたのは旅の
装
(
よそお
)
い
凛々
(
りり
)
しくした木村常陸介その人であった。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
逞
(
たくま
)
しかった。誰が見ても、憎んで見てさえも、それは
凛々
(
りり
)
しい男振りであった。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
艶々した前髪立ち、年は十二というけれど一見すれば十八、九、鼻高く眼涼しく、美少年であって
且
(
か
)
つ
凛々
(
りり
)
しい眼の配り方足の運び方、武道の精髄に食い入ったものである。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
片肌
(
かたはだ
)
をおとした
凛々
(
りり
)
しいふたりの
射手
(
いて
)
は、もう
支度
(
したく
)
のできている
場所
(
ばしょ
)
に身がまえをつくって、
弓懸
(
ゆがけ
)
をしめ、
気息
(
きそく
)
をただし、左手にあたえられた
強弓
(
ごうきゅう
)
を取って、合図、いまやと待ちうけている。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この若侍は
凛々
(
りり
)
し過ぎるよ。
接吻
(
くちづけ
)
をしても駄目かもしれない。でも
妾
(
わたし
)
はこういう男も好きだよ。妾はこの男を手に入れてみせる。……でもこの男は
拒絶
(
ことわ
)
るだろうよ。あの北条左内様のように。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
網代笠
(
あじろがさ
)
にかくされて、
僧
(
そう
)
のおもざしはうかがいようもないが、
丸
(
まる
)
ぐけの
紐
(
ひも
)
をむすんだ口もとの色白く、どこか
凛々
(
りり
)
しいその
行脚僧
(
あんぎゃそう
)
は、
衣
(
ころも
)
のそでで
陽
(
ひ
)
をよけながら、ジイッと
刃
(
やいば
)
をみつめていたが
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“凛々”の解説
凛々(りんりん)は、日本の作詞家、歌手。
(出典:Wikipedia)
凛
漢検1級
部首:⼎
15画
々
3画
“凛々”で始まる語句
凛々敷
凛々烈々