トップ
>
但
>
ただ
ふりがな文庫
“
但
(
ただ
)” の例文
舞台顔は数回、
但
(
ただ
)
しいつもだいぶ遠方の二等席からではあるが、見たことがあり、演芸の雑誌などでしばしば写真を見たことがある。
初冬の日記から
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
……お前さんに漕げるかい、と
覚束
(
おぼつか
)
なさに念を押すと、浅くて
棹
(
さお
)
が届くのだから仔細ない。
但
(
ただ
)
、一ヶ所
底
(
そこ
)
の知れない
深水
(
ふかみず
)
の穴がある。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
但
(
ただ
)
し
狸
(
たぬき
)
と赤シャツは例外である。何でこの両人が当然の義務を
免
(
まぬ
)
かれるのかと聞いてみたら、
奏任待遇
(
そうにんたいぐう
)
だからと云う。面白くもない。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
但
(
ただ
)
し、むこうからの打合せの手紙は単に要領だけのことを書いて寄越して
而
(
し
)
かもこちらの許すまでは女名前の匿名で送って欲しいと
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
但
(
ただ
)
し、わたしの休養とは、英国の伝令兵の声や午砲の音によって破られないところの永遠の安息であり、わたしの転地というのは
世界怪談名作集:12 幻の人力車
(新字新仮名)
/
ラデャード・キプリング
(著)
▼ もっと見る
但
(
ただ
)
し、その子供はわずかに六カ月の
後
(
のち
)
に死んだので、おそらく後見人夫婦のために冷遇と虐待を受けたせいであろうと想像された。
世界怪談名作集:02 貸家
(新字新仮名)
/
エドワード・ジョージ・アール・ブルワー・リットン
(著)
但
(
ただ
)
しこれも人類の文化が進み人類の感情が進んだときどう変るかそれはわかりません。印度の聖者たちは
濾
(
こ
)
さない水は呑みません。
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
尚
(
な
)
お一層この娘を嫌う※
但
(
ただ
)
しこれは普通の
勝心
(
しょうしん
)
のさせる
業
(
わざ
)
ばかりではなく、この娘の
蔭
(
かげ
)
で、おりおり高い鼻を
擦
(
こす
)
られる事も有るからで。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
但
(
ただ
)
し、誤解のないように申添えるが、何も
斯様
(
かよう
)
に申したからとて、小生は雪子ちゃんを小生の家から嫁に行かせようと申すのではない。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
但
(
ただ
)
し、彼はこんな不可思議な妄想に耽っているかと思えば、また一方にはそれとまったく遠く懸け離れたことをも考えているのであった。
世界怪談名作集:16 鏡中の美女
(新字新仮名)
/
ジョージ・マクドナルド
(著)
但
(
ただ
)
し宿屋は今からではむつかしいかもしれないがという。しかしとうとう我慢し切れなくて、思い切ってI駅で下りてしまった。
I駅の一夜
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
初めて
其
(
そ
)
の
耦
(
ぐう
)
を
喪
(
うしの
)
うて
鰥居無聊
(
かんきょむりょう
)
、
復
(
また
)
出
(
い
)
でて遊ばず、
但
(
ただ
)
門に
倚
(
よ
)
つて
佇立
(
ちょりつ
)
するのみ。十五
夜
(
や
)
三
更
(
こう
)
尽きて
遊人
(
ゆうじん
)
漸
(
ようや
)
く
稀
(
まれ
)
なり。
丫鬟
(
あかん
)
を見る。
牡丹灯籠 牡丹灯記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
素晴らしい新聞種を提供しよう、今夜九時頃、日比谷公園新音楽堂裏のベンチを見張って居るが
宜
(
よ
)
い。
但
(
ただ
)
し姿を見せると鳥が飛ぶぞ。——
踊る美人像
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
人
(
ひと
)
を
知
(
し
)
るは
難
(
かた
)
くして
易
(
やす
)
く、
自
(
みずか
)
ら
知
(
し
)
るは
易
(
やす
)
くして
難
(
かた
)
し、
但
(
ただ
)
し
当
(
まさ
)
にこれを
夢寐
(
むび
)
に
徴
(
ちょう
)
し
以
(
もっ
)
て
自
(
みずか
)
ら
知
(
し
)
るべし、
夢寐
(
むび
)
自
(
みずか
)
ら
欺
(
あざむ
)
く
能
(
あた
)
わず」と。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
但
(
ただ
)
し市井の新聞記事から、
巧
(
たくみ
)
に材料を選び出して、作の基調にするという、そういう際物的やり方には評者は大いに賛成する。
日本探偵小説界寸評
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「今から直ぐ、花田軍医の処に行く。お前も来い」少し間を置いて「部隊長の命令で、花田は銃殺ときまった。
但
(
ただ
)
しこれは、誰にも言うな」
日の果て
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
但
(
ただ
)
し富岡老人に話されるには
余程
(
よほど
)
よき
機会
(
おり
)
を見て貰いたい、
無暗
(
むやみ
)
に急ぐと却て失敗する、この辺は貴所に
於
(
おい
)
て決して
遺漏
(
ぬかり
)
はないと信ずるが
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
但
(
ただ
)
我が老いたる親
並
(
ならび
)
に
菴室
(
あんしつ
)
に在り。我を待つこと日を過さば、自ら心を
傷
(
いた
)
むる恨あらむ。我を望みて時に
違
(
たが
)
はば、必ず
明
(
めい
)
を
喪
(
うしな
)
ふ
泣
(
なみだ
)
を致さむ。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
場所の名は今あらはに云ひにくいが、これは
某
(
ある
)
カフヱーの主人の話である。
但
(
ただ
)
しその主人とは前からの
馴染
(
なじみ
)
でも何でもない。
赤い杭
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
但
(
ただ
)
しこれは当時作者が自家の
体面
(
ていめん
)
をいたわって、
贔屓
(
ひいき
)
にしている
富士田千蔵
(
ふじたせんぞう
)
の名で公にしたのだが、今は
憚
(
はばか
)
るには及ぶまい。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
脚本朗読は、一つは何にても可、受験者の好むところの脚本を試験場に持参の上、自由に朗読せられたし。
但
(
ただ
)
し、この朗読時間は、五分以内。
正義と微笑
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
岩石の上に落ちたので顔や額が滅茶滅茶に裂けた。
序
(
ついで
)
に女の飛行家は
未
(
ま
)
だ
巴里
(
パリイ
)
に十人程しか無い。
但
(
ただ
)
し飛行機に同乗して遊ぶ女は無数である。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
但
(
ただ
)
し夕食は雑煮なので餅の黴をおとしてからおなじ庖丁で鰹節をかき、茄子の皮をむいて
銀杏
(
いちょう
)
にきり、つゆのかげんをして鍋をかけねばならぬ。
島守
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
『君は此学校の先生ですか?』と、男は
先刻
(
さつき
)
訊いたと同じ事を言つた。
但
(
ただ
)
、「貴方」と言つたのが、「君」に変つてゐた。
葉書
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「夏季休暇中の友だちとして、同年輩の少年を求む。
但
(
ただ
)
し喧嘩好きで、そしてあんまり肥っていないこと。当方十一歳——JACKベンスン。」
踊る地平線:02 テムズに聴く
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
即
(
すなわ
)
ち「石狩国札幌郡
空知郡
(
そらちぐん
)
ノ内——
但
(
ただ
)
シ、地所ノ儀ハ石狩府ニテ差図ニ及ブベキコト——右
其
(
そ
)
ノ方支配仰セツケラレ候事」
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
産土
(
うぶすな
)
の
神々
(
かみがみ
)
は
申
(
もう
)
すに
及
(
およ
)
ばず、
八幡様
(
はちまんさま
)
でも、
住吉様
(
すみよしさま
)
でも、
但
(
ただ
)
しは
又
(
また
)
弁財天様
(
べんざいてんさま
)
のような
方々
(
かたがた
)
でも、その
御本体
(
ごほんたい
)
は
悉
(
ことごと
)
くそうでないものはございませぬ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
但
(
ただ
)
し
従来
(
じゅうらい
)
の経験によると四十八時間後には、気球は自然に降下してくるものであること。第三に、覆面探偵を見かけたらすぐ課長に報告すること。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
但
(
ただ
)
し、その三個の人影は、表から露地を通って来たのではなく、地つづきの浄音寺境内から、いけ垣をもぐってそこに現れたものと察しられます。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
余分な掛け蒲団の上には、近代の大諧謔家が
冷蕎麦
(
ひやしそば
)
菓子と比較したがるような毛布が一緒に畳んであった。
但
(
ただ
)
し、手拭掛けがないのには全く閉口した。
世界怪談名作集:13 上床
(新字新仮名)
/
フランシス・マリオン・クラウフォード
(著)
或
(
あるい
)
は金を貸して
貰
(
もら
)
いたいと云うような意味で言うのか、
但
(
ただ
)
しは
洒落
(
しゃれ
)
に言うのか、飾りに言うのか、私の眼から見れば何の事だか少しも
訳
(
わ
)
けが分らない
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
然らばこの景既に夢ならず!
思掛
(
おもひが
)
けずもここに来にける吾身もまた夢ならず!
但
(
ただ
)
夢に欠く者とては宮
一箇
(
ひとり
)
のみ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
但
(
ただ
)
し、その青春時代にも、温かな人情味などはけっして表わさなかったであろうと思われるような人物であった。
世界怪談名作集:08 ラッパチーニの娘 アウペパンの作から
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
但
(
ただ
)
し実際は
本基
(
ホームベース
)
にて
打者
(
ストライカー
)
の打ちたる球の達する処すなわち限界となる。いろはには正方形にして十五間四方なり。
ベースボール
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
但
(
ただ
)
し今もくれるかどうかは知らない。私はこの牛が好きで、時々女中や姉からこれをもらったことを覚えている。
新古細句銀座通
(新字新仮名)
/
岸田劉生
(著)
汝の中都を治めし所の法をもって魯国を治むればすなわちいかん? 孔子が答えて言う。何ぞ
但
(
ただ
)
魯国のみならんや。天下を治むるといえども可ならんか。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
但
(
ただ
)
それは作られたものからというに即するが故に、環境的といわねばならない。その立場からのみ歴史的生命の世界を見ることは、抽象的たるを免れない。
絶対矛盾的自己同一
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
『抱朴子』に、〈蜥蜴をいいて神竜と
為
(
な
)
すは、
但
(
ただ
)
神竜を
識
(
し
)
らざるのみならず、また蜥蜴を識らざるなり〉、晋代蜥蜴を神竜とし尊んだ者ありしを知るべし。
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
但
(
ただ
)
し、われわれのある者は、死者が
癲癇
(
てんかん
)
あるいは痙攣のごとき疾病を有するものと思考し、一同も同感なり。
世界怪談名作集:04 妖物
(新字新仮名)
/
アンブローズ・ビアス
(著)
但
(
ただ
)
し己を愛するとは何事を示すのであろう。私は己れを愛している。そこには
聊
(
いささ
)
かの虚飾もなく誇張もない。又それを
傲慢
(
ごうまん
)
な云い分ともすることは出来ない。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「
但
(
ただ
)
しみんながみんなじゃあねえぜ、中にゃあ田之助が裸で抱きついたって、石みてえにびくともしねえ女がある、そいつを見分ける眼がねえとしくじるんだ」
あすなろう
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
但
(
ただ
)
し三日間。四日目にはうんざりしていた。レエゾン・ド・ビイヴルということを考えるとやりきれない。
流浪の追憶
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
成る可く労力を節約して成るべく多く成功するの工夫を
運
(
めぐ
)
らすべし。さりとて相場師に為れと言ふには非ず。
但
(
ただ
)
し人事なべて多少投機の性質を帯ぶるものと
念
(
おも
)
ふべし。
大久保湖州
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
但
(
ただ
)
し、
当局側
(
とうきょくがわ
)
の
見解
(
けんかい
)
では、まだ十
分
(
ぶん
)
なきめ
手
(
て
)
がない。
監視
(
かんし
)
つきでひとまず
帰宅
(
きたく
)
を
許
(
ゆる
)
したのであつた。
金魚は死んでいた
(新字新仮名)
/
大下宇陀児
(著)
歴史学という一の科学の一要素として、過去の事実を
可成的
(
なるべく
)
冷静に考証したり、取調べるということも必要であるに相違ないが、
但
(
ただ
)
しそれは歴史の研究の全体ではない。
文明史の教訓
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
それには
但
(
ただ
)
し
書
(
が
)
きまで付いていて、宮方へ行き合う節は
御供頭
(
おともがしら
)
へその
旨
(
むね
)
を通じ、公使から相当の礼式があれば
御会釈
(
ごえしゃく
)
もあるはずだというようなことまで規定されている。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
曰
(
いわ
)
く、丁晋公臨終前半月、
已
(
すで
)
に
食
(
くら
)
はず、
但
(
ただ
)
香を
焚
(
た
)
いて
危坐
(
きざ
)
し、黙して仏経を
誦
(
じゆ
)
す、沈香の
煎湯
(
せんたう
)
を以て
時々
(
じゞ
)
少許
(
せうきよ
)
を
呷
(
あふ
)
る、神識乱れず、衣冠を正し、
奄然
(
えんぜん
)
として化し去ると。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
但
(
ただ
)
し倫敦のオートミールはなかなかうまいと思った。熱いうちにバタを溶いて食塩で食べたり、マアマレイドで味つけしたり、砂糖とミルクを混ぜて食べたりしたものだった。
朝御飯
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
但
(
ただ
)
し極めて微弱なり。船長は機嫌を直して、朝食の前に私にむかって昨日の失礼を
詫
(
わ
)
びた。——しかし彼は今なお少しく放心の
態
(
てい
)
である。その眼にはかの粗暴の色が残っている。
世界怪談名作集:09 北極星号の船長 医学生ジョン・マリスターレーの奇異なる日記よりの抜萃
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
これがある時に、初めて宗教に生命が湧き、これがない時に、宗教商人の
跋扈
(
ばっこ
)
となる。
但
(
ただ
)
しくれぐれも看過してならぬことは、相手の霊界居住者の正否善悪に対する審判である。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
但
常用漢字
中学
部首:⼈
7画
“但”を含む語句
但馬
但馬守
但馬守胤統
四方田但馬守
但書
但馬国
但馬守宗矩
秋元但馬守
荒尾但馬守
但馬守様
但馬屋
但馬滋
但馬牛
但馬皇女
荒尾但馬守様
倉持但馬守
君士但丁堡
播但線
浅野但馬守長晟
堀口但馬
...