トップ
>
亭主
>
ていしゅ
ふりがな文庫
“
亭主
(
ていしゅ
)” の例文
それこそ耳にたこのできるほど聞き
慣
(
な
)
れたものだったが、どうもそれが『ご
亭主
(
ていしゅ
)
はたっしゃでいるよ。
相変
(
あいか
)
わらずかせいでいるよ』
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
耄碌
(
もうろく
)
したと自分ではいいながら、若い時に
亭主
(
ていしゅ
)
に死に別れて立派に
後家
(
ごけ
)
を通して後ろ指一本さされなかった
昔気質
(
むかしかたぎ
)
のしっかり者だけに
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
朝日屋の夫婦は五日に一度くらいの割合で
大喧嘩
(
おおげんか
)
をした。
亭主
(
ていしゅ
)
の名は勘六、細君はあさ子、どちらも
寅
(
とら
)
だか
午
(
うま
)
だかの三十二歳であった。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
其奴
(
そいつ
)
を此処へ引摺り出しておくれ、私も
独身
(
ひとりみ
)
じゃアなし、
亭主
(
ていしゅ
)
もあるからそんな事をされては亭主に対して済みません、引出しておくれよ
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
(すると、やっぱり、あのボジャック氏というのが、アンの
亭主
(
ていしゅ
)
であったのか。そしてボジャック氏、すなわちフン大尉という筋書か!)
英本土上陸戦の前夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
矢は妻の睫毛三本を射切ってかなたへ飛び去ったが、射られた本人は一向に気づかず、まばたきもしないで
亭主
(
ていしゅ
)
を
罵
(
ののし
)
り続けた。
名人伝
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
十一屋の隠居は半蔵のそばに来て、旅籠屋の
亭主
(
ていしゅ
)
らしいことを言い出す。この隠居は十年近くも前に来て泊まった木曾の客を忘れずにいた。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
女
(
おんな
)
の
亭主
(
ていしゅ
)
も、おじいさんも、
叔母
(
おば
)
さんも、それがいいといったので、
女
(
おんな
)
は、さっそく
庖丁
(
ほうちょう
)
を
持
(
も
)
ってきて、
真
(
ま
)
っ二つにすいかを
切
(
き
)
ってみました。
初夏の不思議
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
近ごろの新聞には、
亭主
(
ていしゅ
)
が豆腐を一人で食ってしまって自分に食わせないという理由で自殺した女房のことが伝えられた。
科学と文学
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
欝金
(
うこん
)
の
風呂敷
(
ふろしき
)
に
包
(
つつ
)
んで、
膝
(
ひざ
)
の
上
(
うえ
)
に
確
(
しっか
)
と
抱
(
かか
)
えたのは、
亭主
(
ていしゅ
)
の
松江
(
しょうこう
)
が
今度
(
こんど
)
森田屋
(
もりたや
)
のおせんの
狂言
(
きょうげん
)
を
上演
(
じょうえん
)
するについて、
春信
(
はるのぶ
)
の
家
(
いえ
)
へ
日参
(
にっさん
)
して
借
(
か
)
りて
来
(
き
)
た
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
爰
(
ここ
)
にせめては其
面影
(
おもかげ
)
現
(
うつつ
)
に
止
(
とど
)
めんと思いたち、亀屋の
亭主
(
ていしゅ
)
に心
添
(
そえ
)
られたるとは知らで
自
(
みずから
)
善事
(
よきこと
)
考え
出
(
いだ
)
せし
様
(
よう
)
に吉兵衛に相談すれば、さて無理ならぬ望み
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
亭主
(
ていしゅ
)
は上さんに公然と眼の前で、彼女を情婦にしていた。彼女は肺病だった。死んでしまった。フランソアーズは
打擲
(
ちょうちゃく
)
や汚行のなかに育っていった。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
生きのこったのはただひとり、
亭主
(
ていしゅ
)
のむすめだけでした。このむすめは心のすなおな子で、こんなひどいことには、なんのかかりあいもなかったのです。
なぞ
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
みんなが感心して眺めているが、一向くだらないものだ。あんなに草や竹を曲げて
嬉
(
うれ
)
しがるなら、背虫の色男や、
跛
(
びっこ
)
の
亭主
(
ていしゅ
)
を持って
自慢
(
じまん
)
するがよかろう。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
亭主
(
ていしゅ
)
はうしろをふりむいた。見ると、
蛾次郎
(
がじろう
)
は、
茶碗
(
ちゃわん
)
としゃもじを持ったまま、
台
(
だい
)
の下へもぐりこんで、しきりにへんな目、しきりにかぶりをふっている。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かえりに区役所前の古道具屋で、
青磁
(
せいじ
)
の
香炉
(
こうろ
)
を一つ見つけて、いくらだと云ったら、
色眼鏡
(
いろめがね
)
をかけた
亭主
(
ていしゅ
)
が
開闢
(
かいびゃく
)
以来のふくれっ
面
(
つら
)
をして、こちらは十円と云った。
田端日記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
あの時お前は、
先
(
せん
)
の
亭主
(
ていしゅ
)
は、それは深切であった、深切であったと、よく口癖のようにいっていたから
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
女房で
亭主
(
ていしゅ
)
に浮気をされることを考えてごらん、株屋のように体が
閑
(
ひま
)
で金にもそう困らない割に絶えず
頭脳
(
あたま
)
をつかっているものは、どうせ遊ぶに決まっているよ。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
なんでもその
亭主
(
ていしゅ
)
という者は、世の中に対してよほど大きな
憤懣
(
ふんまん
)
があったらしく、再び平地へは下らぬという決心をして、こんな山の中へ入ってきたのだといった。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
御
亭主
(
ていしゅ
)
は、君より年下で、二十六だ。年下の亭主って、可愛いものさ。食べてしまいたいだろう。
春の盗賊
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
黒馬旅館
(
くろうまりょかん
)
では、
亭主
(
ていしゅ
)
のホールと
雑貨屋
(
ざっかや
)
のハクスターは、とりとめのないばか話をだらだらとつづけていた。そこへ、あらあらしくドアをおして、ひとりの男がはいってきた。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
(何さ、行ってみさっしゃいご
亭主
(
ていしゅ
)
は無事じゃ、いやなかなか
私
(
わし
)
が手には
口説
(
くどき
)
落されなんだ、ははははは。)と意味もないことを
大笑
(
おおわらい
)
して、
親仁
(
おやじ
)
は
厩
(
うまや
)
の方へてくてくと行った。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
亭主
(
ていしゅ
)
は雨がやんでから行きなと言ったが、どこへ行く? 文公は路地口の軒下に身を寄せて往来の
上下
(
かみしも
)
を見た。
幌人車
(
ほろぐるま
)
が威勢よく駆けている。店々のともし火が道に映っている。
窮死
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
井筒屋のお貞(その時は、まだお貞の
亭主
(
ていしゅ
)
が生きていて、それが井筒屋の主人であった)の思いやりで、台どころ道具などを初め、所帯を持つに必要な物はほとんどすべて
揃
(
そろ
)
えてもらい
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
そいつの
亭主
(
ていしゅ
)
というのが大へんな
奴
(
やつ
)
でしてね、こっちからわざわざ何か持って行ってやったりしますと、いつも
酔払
(
よっぱら
)
っていちゃあ、『くれるというものなら
貰
(
もら
)
っといたらいいじゃねえか』
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
あれと答えたので散歩がてらに父に連れられて行った時「これは売物ではございません」とむずかしい顔の
亭主
(
ていしゅ
)
が言ってから亭主を憎いと思うよりも一層姫の美しい姿絵が懐かしくなった。
山の手の子
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
(うん。あの女の人は
孫娘
(
まごむすめ
)
らしい。
亭主
(
ていしゅ
)
はきっと
礦山
(
こうざん
)
へでも出ているのだろう。)ひるの
青金
(
あおがね
)
の
黄銅鉱
(
おうどうこう
)
や
方解石
(
ほうかいせき
)
に
柘榴石
(
ざくろいし
)
のまじった
粗鉱
(
そこう
)
の
堆
(
たい
)
を考えながら富沢は云った。女はまた入って来た。
泉ある家
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
おきんの
亭主
(
ていしゅ
)
はかつて
北浜
(
きたはま
)
で羽振りが良くおきんを
落籍
(
ひか
)
して死んだ女房の後釜に
据
(
す
)
えた途端に
没落
(
ぼつらく
)
したが、おきんは現在のヤトナ周旋屋、亭主は
恥
(
はじ
)
をしのんで北浜の取引所へ書記に雇われて
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
「君は前の
亭主
(
ていしゅ
)
にどんな風に叱られていたかね……」
清貧の書
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
「
覚平
(
かくへい
)
さんだったね」とさしいれ屋の
亭主
(
ていしゅ
)
がいった。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
おっかあはご
亭主
(
ていしゅ
)
にだきついた。わたしもそのあとから同じことをしようとすると、かれはつえをつき出してわたしを止めた。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
ほんとうにこの
家
(
いえ
)
の
亭主
(
ていしゅ
)
にも
困
(
こま
)
ったものだ。
女房
(
にょうぼう
)
がもうじきお
産
(
さん
)
をするというに、
働
(
はたら
)
いた
金
(
かね
)
はみんな
酒
(
さけ
)
を
飲
(
の
)
んでしまう……。なんということだ。
いいおじいさんの話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
飲んだくれの
亭主
(
ていしゅ
)
が夜おそく帰って来て戸をたたくと女房のクサンチペがバルコンから
壺
(
つぼ
)
の中の怪しい液体をぶっかけ
映画時代
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
亭主
(
ていしゅ
)
たる名称を継いだものでも、常は綿布、夏は布羽織、特別のおりには
糸縞
(
いとじま
)
か上は
紬
(
つむぎ
)
までに定めて置いて、右より上の衣類等は用意に及ばない
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
そこには「水汲みばか」などと云われる
亭主
(
ていしゅ
)
を持った、不運な女のかげとか、悲しみを胸に秘めているといったふうなものは
微塵
(
みじん
)
も感じられなかった。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
亭主
(
ていしゅ
)
持
(
もつ
)
なら理学士、文学士
潰
(
つぶし
)
が利く、女房
持
(
も
)
たば音楽師、
画工
(
えかき
)
、産婆三割徳ぞ、ならば
美人局
(
つつもたせ
)
、げうち、板の間
挊
(
かせ
)
ぎ等の
業
(
わざ
)
出来て
然
(
しか
)
も英仏の語に長じ
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
又「二十二に成って
亭主
(
ていしゅ
)
を持たずに、此のどうも花なら半開という処その何うも露を含める処を、斯う
遣
(
や
)
って置くは実に惜しいものじゃアね、お前さん」
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
馬鹿野郎
(
ばかやろう
)
。
何
(
なに
)
をいってやがるんだ。
亭主
(
ていしゅ
)
のすることに、
女
(
おんな
)
なんぞが
口
(
くち
)
を
出
(
だ
)
すこたァねえから
黙
(
だま
)
って
引
(
ひ
)
ッ
込
(
こ
)
んでろ。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
宿屋の
亭主
(
ていしゅ
)
もあの
魔女
(
まじょ
)
も、そのなかまにくわわりました。そしてみんなで、さっきのカラスの
肉
(
にく
)
をきざみこんでいれてあるスープをひとさらずつのみました。
なぞ
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
草履
(
ぞうり
)
をはきちがえて、いや、めでたい、めでたい、とうわごとみたいに言いながらめいめいの家へ帰り、あとには
亭主
(
ていしゅ
)
ひとり、大風の跡の荒野に伏せる
狼
(
おおかみ
)
の形で
大鼾
(
おおいびき
)
で寝て
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
市子はその時分
日蔭者
(
ひかげもの
)
の母親が
羨
(
うらや
)
ましがったほど幸福ではなく、縁づいた
亭主
(
ていしゅ
)
に死なれ、
姑
(
しゅうとめ
)
との折合いがわるくて、実家へ帰ったが、実家もすでに兄夫婦親子の世界で
居辛
(
いづら
)
く
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
亭主
(
ていしゅ
)
の方もやって来て、プロシャの
乞食
(
こじき
)
めに娘に手を触れさせるものかと言い切った。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
それからうちへ帰ってくると、宿の
亭主
(
ていしゅ
)
がお茶を入れましょうと云ってやって来る。お茶を入れると云うからご
馳走
(
ちそう
)
をするのかと思うと、おれの茶を
遠慮
(
えんりょ
)
なく入れて自分が飲むのだ。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「そう気を落とすものじゃアない、しっかりなさい」と、この店の
亭主
(
ていしゅ
)
が言った。それぎりでたれもなんとも言わない、心のうちでは「長くあるまい」と言うのに同意をしているのである。
窮死
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「
亭主
(
ていしゅ
)
、うちの
小僧
(
こぞう
)
はきておらなかったかい?」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さかんに
亭主
(
ていしゅ
)
のホールをたたき起こしていた。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
わたしは目つきで母さんに
救
(
すく
)
いを
求
(
もと
)
めてみた。かの女もご
亭主
(
ていしゅ
)
に気がつかないようにして、いっしょに行けと目くばせした。わたしは
従
(
したが
)
った。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
まず二階の雨戸を繰って見ると、別に煙らしいものも目に映らない。そのうちに
寝衣
(
ねまき
)
のままで下から
梯子段
(
はしごだん
)
をのぼって来たのはその家の
亭主
(
ていしゅ
)
多吉だ。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「それにちがいありません。
俺
(
わし
)
がよく
亭主
(
ていしゅ
)
の
心持
(
こころも
)
ちを
聞
(
き
)
いてみます……。」と、おじいさんは
申
(
もう
)
しました。
いいおじいさんの話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
助なあこは
大蝶丸
(
だいちょうまる
)
の水夫であり、お兼は「大蝶」の
缶詰
(
かんづめ
)
工場へ貝を
剥
(
む
)
きにかよう雇い女で、
亭主
(
ていしゅ
)
があった。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
“亭主”の意味
《名詞》
亭 主(ていしゅ)
一家の主。転じて夫のこと
店や家などの主人。
(出典:Wiktionary)
亭
常用漢字
中学
部首:⼇
9画
主
常用漢字
小3
部首:⼂
5画
“亭主”で始まる語句
亭主列車
亭主振
亭主方
亭主運