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二
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ふ
ふりがな文庫
“
二
(
ふ
)” の例文
若
(
も
)
し真弓が刃の下を
掻
(
か
)
い潜って、千代之助を
庇
(
かば
)
ってやらなかったら、
二
(
ふ
)
た太刀三太刀目には
膾
(
なます
)
のように刻まれてしまったことでしょう。
百唇の譜
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そして、その男とすれ違う時、ぎらぎらする二つの眼が丹治の方を
睨
(
にら
)
むように光った。丹治は
二
(
ふ
)
た
眼
(
め
)
と見返すことができなかった。
怪人の眼
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
見ると二十五、六歳の遊び人
態
(
てい
)
の男が、刑吏に引きすえられ、
一
(
ひ
)
イ
二
(
ふ
)
ウ
三
(
み
)
イ……と数を読む青竹の下に、ビシビシ
撲
(
なぐ
)
りつけられている。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一
(
ひ
)
ト月過ぎ
二
(
ふ
)
タ月
過
(
すぎ
)
ても
此
(
この
)
恨
(
うらみ
)
綿々
(
めんめん
)
ろう/\として、
筑紫琴
(
つくしごと
)
習う
隣家
(
となり
)
の
妓
(
こ
)
がうたう唱歌も我に引き
較
(
くら
)
べて絶ゆる事なく悲しきを、コロリン
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
通りがかりのルンペンを呼ぶのに最初「サン」附けにして、あとから一段上の先生なんかと
二
(
ふ
)
た通りに呼分けるなんて油断のならぬ奴だ。
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
するとつづいて、その同じ鳥か、別なほととぎすか、
二
(
ふ
)
た声も三声も、———しまいには珍しくもなくなったほど啼きしきった。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
私は、それを
一
(
ひい
)
、
二
(
ふ
)
う、
三
(
み
)
い? と数えあげたり、ひよつとして栄螺の呟きでも聞えないかしら? と耳を傾けたりした。
熱い風
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
その高い窓へ、地上に積んだ石炭を
搬
(
はこ
)
びこむらしい
吊
(
つ
)
り
籠
(
かご
)
が、適当の間隔を保って
一
(
ひ
)
イ
二
(
ふ
)
ウ
三
(
み
)
イ……相当の数、ブラブラ
揺
(
ゆ
)
れながら動いてゆく。
地獄街道
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
写野さんはこういうと、障子に布を覆うこと、吸入は
二
(
ふ
)
タところにやることなどを注意した。樋口さんは、七本目の注射を用意して立っていた。
童子
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
お茶が運ばれて来ると、彼は立ったままで、
把手
(
とって
)
のついた大コップを
二
(
ふ
)
た口で
空
(
から
)
にし、ほとんど
瞬
(
またた
)
くひまに白パンの大きな
塊
(
かたまり
)
を平らげてしまった。
紅い花
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
すると妙な口つきをしてくちびるを動かしていましたが、急に両手を開いて指を折って
一
(
ひ
)
、
二
(
ふ
)
、
三
(
み
)
と読んで
十
(
とう
)
、十一と飛ばし、顔をあげてまじめに
春の鳥
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
ウツボグサの紫花の四本の雄蕊は尖端が
二
(
ふ
)
た
叉
(
また
)
になっていて、その一方の叉には
葯
(
やく
)
があるのに他の一方はそれがなくて
尖
(
とが
)
ったままで反り曲っている。
高原
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「そら
一
(
ひ
)
イ
二
(
ふ
)
ウ
三
(
み
)
イ……ぐるりとまわって……あんよを上げて……」と小さい子供たちにいつも熱心に稽古していた。
雷門以北
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
大方は雨漏に朽ち腐れて、柱ばかり
参差
(
しんし
)
と立ち、畳は破れ天井裂け、戸障子も無き部屋どもの、昔はさこそと
偲
(
しの
)
ばるるが
一
(
ひ
)
い
二
(
ふ
)
ウ
三
(
み
)
いと数うるに
勝
(
た
)
えず。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「あの、
一
(
ひ
)
イ
二
(
ふ
)
ウ
三
(
み
)
イ……四つ目の
瓦斯燈
(
ガスとう
)
の出てるところだよ。
松葉屋
(
まつばや
)
と書いてあるだろう。ね。あの
家
(
うち
)
よ。」
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
二匹と云う代りに
二
(
ふ
)
たりといった。下女の考えでは猫と人間とは同種族ものと思っているらしい。そう云えばこの下女の顔は吾等
猫属
(
ねこぞく
)
とはなはだ類似している。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その指をかぞへるに「一イ二ウ三イ」とやらず「
一
(
ひ
)
に
二
(
ふ
)
に
三
(
み
)
に
四
(
よ
)
に」とゆくのも、へんに可笑しかつた。
初代桂春団治研究
(新字旧仮名)
/
正岡容
(著)
この
蟷螂
(
かまきり
)
少からず神経性だと見える。その利鎌を今度は
二
(
ふ
)
た振り右と左で
空
(
くう
)
に
反
(
かえ
)
す、その
柄
(
つか
)
を両膝に
確
(
しか
)
と立てると、張り肱の、何かピリピリした凄い
蟀谷
(
こめかみ
)
になる。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
我が家に江戸に
二
(
ふ
)
たとせ
居
(
ゐ
)
たる
僕
(
ぼく
)
あり。かれがかたりしに、江戸に
寒念仏
(
かんねんぶつ
)
とて
寒行
(
かんぎやう
)
をする
道心者
(
だうしんじや
)
あり、寒三十日を
限
(
かぎ
)
りて毎夜鈴が森千
住
(
ぢゆ
)
にいたり
刑死
(
けいし
)
の
回向
(
ゑかう
)
をなす。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
鷲尾は帰郷してこのかた、
二
(
ふ
)
タ月も以前からプランをたてていた小説に何度もとりかかった。
冬枯れ
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
肥えたる
腮
(
あご
)
の
二重
(
ふたへ
)
なるなど、かかる人さへある身にて、我れは
二
(
ふ
)
タ
心
(
ごゝろ
)
を持ちて済むべきや。
軒もる月
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
一
(
ひ
)
ィ
二
(
ふ
)
ゥ三つ、四つ、五つ、六つ、七つ、八つ、九つ、十もほつていつたよ。まあ。おまいもまた何をぼや/\してゐたの。ほら、こゝんとこをかうはいつて、かう来たんだよ。
小犬
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
一
(
ひ
)
い、
二
(
ふ
)
う、
三
(
み
)
い、
四
(
よ
)
お、
五
(
い
)
つ、
六
(
む
)
う、
七
(
なな
)
、
八
(
や
)
あ、
九
(
ここ
)
、
十
(
とを
)
、十一、十二……十三……
落葉日記(三場)
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
私の滞在はこの冬で
二
(
ふ
)
た冬目であった。私は好んでこんな山間にやって来ているわけではなかった。私は早く都会へ帰りたい。帰りたいと思いながら二た冬もいてしまったのである。
冬の蠅
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
両方の耳の辺まで、
二
(
ふ
)
た振りの大だんびらのように、物々しくはね上がっていた。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
行手の右の方の
蜿蜒
(
えんえん
)
たる一筋路は伏見街道——やはり、すすき野原を分けて、見えつ隠れつ、
一
(
ひ
)
い、
二
(
ふ
)
う、
三
(
み
)
い、三梃の乗物が、三人の従者に附添われながら大和路へ向って行くのを見る。
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
素肌に馬の腹掛を巻付けた
姿
(
なり
)
で庭口の所へ
斯
(
こ
)
う片足踏出して、小座敷の方を
睨
(
にら
)
みました其の
顔色
(
がんしょく
)
は実に
二
(
ふ
)
タ眼とは見られぬ恐しい怖い
姿
(
すがた
)
でござりますから、新吉お賤は驚いたの驚かないの
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「へん。天の川の落ち口よりお前らの落ち口を見ろ。それ
一
(
ひ
)
ぃ
二
(
ふ
)
の
三
(
み
)
。」
双子の星
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
海蔵
(
かいぞう
)
さんは、もう
二
(
ふ
)
タ
月
(
つき
)
ほどまえから、たびたびこの
家
(
いえ
)
へ
来
(
き
)
たのでした。
牛をつないだ椿の木
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
鉄なあこ——いや、もうそう呼んではいけないだろう、一日に六千個のてんぷらとフライを揚げて捌く、という店の主人なのだから、——一日に油を
二
(
ふ
)
た
罐
(
かん
)
も使ってしまう、と鉄さんは語った。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
一
(
ひ
)
イ、
二
(
ふ
)
ウ、
三
(
み
)
イ、
四
(
よ
)
ウ
赤い旗
(旧字旧仮名)
/
槙本楠郎
(著)
二
(
ふ
)
や
桜さく島:春のかはたれ
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
形勢不利と見た
乞食
(
こじき
)
は、自分の懐へ手が入ると、金貨、銀貨、大小紙幣を一と掴み、
二
(
ふ
)
た掴み、木の葉のようにサッとバラ撒いて
悪人の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
店と聞いていたが、
暖簾
(
のれん
)
も看板も懸けてはない。
渋
(
しぶ
)
で塗った三間の出格子に、
二
(
ふ
)
た
戸前
(
とまえ
)
の土蔵がつづき、その他は高塀で取り
繞
(
めぐ
)
らしてある。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
殊に
非道
(
ひど
)
いのになると、毎日剃らないせいか、黒い毛がプツプツと芽を吹いて、
白粉
(
おしろい
)
とゴチャゴチャになって、
二
(
ふ
)
タ眼と見られぬ醜態である。
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
「覚悟はよいか。一から十まで数えおわれば、この引金をひくのだぞ。さあ数えるぞ、
一
(
ひ
)
イ、
二
(
ふ
)
ウ、
三
(
み
)
イ、……」
浮かぶ飛行島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
行燈
(
あんどん
)
の
灯影
(
ほかげ
)
にうずくまりつつ老眼の
脂
(
やに
)
を払い払い娘のもとへこまごまと書き
綴
(
つづ
)
っていたであろう
老媼
(
ろうおう
)
の姿が、その
二
(
ふ
)
たひろにも余る長い巻紙の上に浮かんだ。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「あの、
一
(
ひ
)
ィ
二
(
ふ
)
ゥ
三
(
み
)
ィ………四つ目の
瓦斯燈
(
ガスとう
)
の出てるところだよ。
松葉屋
(
まつばや
)
と書いてあるだらう。ね。あの
家
(
うち
)
よ。」とお
糸
(
いと
)
は
屡
(
しば/\
)
橋場
(
はしば
)
の
御新造
(
ごしんぞ
)
につれて来られたり
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
先生の顔と小夜子の顔と、部屋の模様と、暮しの有様とを
眼
(
ま
)
のあたりに見て、眼のあたりに見たものを未来に
延長
(
ひきのば
)
して想像の鏡に思い浮べて
眺
(
なが
)
めると
二
(
ふ
)
た
通
(
とおり
)
になる。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
脂肪それ自らによって肉付きが冷たくなっているのと
二
(
ふ
)
た通りあるが、かの女はその後者であって、いつも、くっきりした蒼白さは
可成
(
かなり
)
な冷たさをもっていたのである。
幻影の都市
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
ある時は
八幡宮
(
はちまんぐう
)
の石段を数えて登り、
一
(
ひ
)
、
二
(
ふ
)
、
三
(
み
)
と進んで七つと止まり、七つだよと言い聞かして、さて今の石段はいくつだとききますと、大きな声で
十
(
とお
)
と答える始末です。
春の鳥
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
タツは、『赤煉瓦の会』へ、初めていってから
二
(
ふ
)
タ月もたたぬうちに、自分が世間に対する、特に『工場』に対する『見方』がすっかり変ってきたのに、自分でもおどろいた。
工場新聞
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
「これはね、こうするものだよ、見ておいで。」と
袂
(
たもと
)
を
啣
(
くわ
)
えて
一
(
ひ
)
い
二
(
ふ
)
ウ
三
(
み
)
い
四
(
よ
)
ウ、都の手振なよやかに、柳の腰つきしなやかなるを、女の児は
傍目
(
わきめ
)
も
触
(
ふ
)
らず、首傾けて
恍惚
(
みと
)
れいる。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そのつらゝあまた
垂
(
た
)
れ
下
(
さが
)
りたるなかには、長きは十丈ばかり太さは
二
(
ふ
)
た
抱
(
かゝへ
)
もあるべし。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
この無躾な願いを
容
(
い
)
れて、私にお
逢
(
あ
)
い下さいました場合、たださえ醜い私の顔が、長い月日の不健康な生活の
為
(
ため
)
に、
二
(
ふ
)
た目と見られぬ、ひどい姿になっているのを、何の予備知識もなしに
人間椅子
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
鉄なあこ——いや、もうそう呼んではいけないだろう、一日に六千個のてんぷらとフライを揚げて
捌
(
さば
)
く、という店の主人なのだから、——一日に油を
二
(
ふ
)
た
缶
(
かん
)
も使ってしまう、と鉄さんは語った。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
つきて見む
一
(
ひ
)
二
(
ふ
)
三
(
み
)
四
(
よ
)
五
(
い
)
六
(
む
)
七
(
な
)
八
(
や
)
九
(
ここ
)
の
十
(
とを
)
手もて数へてこれの手鞠を
黒檜
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「ソ、ソレ
一
(
ひ
)
の
二
(
ふ
)
の
三
(
み
)
」
寄席
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
寿美子さん、もう観念したと見えるね。それが上分別だ。
二
(
ふ
)
た月でも三月でも、この小杉卓二と同じ屋根の下に住んでいて、世間ではあなたを
奇談クラブ〔戦後版〕:03 鍵
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「とにかく、
二
(
ふ
)
た品は一応預かって、
鑑定役
(
めききやく
)
へ廻しておくが、武松、そちも
篤
(
とく
)
と、ここのところは穏便に考え直すがよいぞ」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
二
常用漢字
小1
部首:⼆
2画
“二”を含む語句
二人
二重
二十
二時
二度
一二
二月
二重瞼
二分
二通
二束
二十歳
羽二重
二上
二上山
二抱
二側
二列
二処
二十年
...