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賭博
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とばく
ふりがな文庫
“
賭博
(
とばく
)” の例文
あれは
心
(
しん
)
から底から亭主を好いておりましたが、男はカルタ
賭博
(
とばく
)
を始めて裁判にまでひっかかり、そんな有様で死んじまったとか。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
ちょっと旅行をして、近くの温泉町へ行き、銀行に残ってる
札束
(
さつたば
)
を
賭博
(
とばく
)
にかけ、たちまちのうちにすっかり失って、またもどって来た。
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
多年土地の若いものゝ間に染み込んでいる
弊風
(
へいふう
)
の
賭博
(
とばく
)
と
媾曳
(
あいびき
)
を、父親は眼の仇にして清掃を図った。父親は一方非常な飲酒家であった。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「よろしい、人生は
賭博
(
とばく
)
のごとしだ、……この
骰子
(
さい
)
はわしの負けとしよう! 今度は諸君に、見事負けたのだ! ハハハハハ」
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
好く文学者の成功の事を、大いなる
coup
(
クウ
)
をしたと云うが、あれは
采
(
さい
)
を
擲
(
なげう
)
つので、つまり芸術を
賭博
(
とばく
)
に比したのだね。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
およそ人生の事業において多少の
賭博
(
とばく
)
の分子を帯びざるものはあらず。しかしてその分子の多少に従い、危険の性質を帯びざるものはあらず。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
此頃は其筋の取締も
厳重
(
げんじゅう
)
になったが、彼が引越して来た当座は、まだ
賭博
(
とばく
)
が流行して、寒い夜向うの雑木林に不思議の火を見ることもあった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
一、
賭博
(
とばく
)
のよろしくないことはつくづく親の話によって承知し、いかなる
誘惑
(
ゆうわく
)
があるとも、
賭博
(
とばく
)
などには手を出すまいぞという思想を
抱
(
いだ
)
いた。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
神尾の邸の中では、旗本の
放蕩息子
(
ほうとうむすこ
)
らが日夜
入
(
い
)
りびたりで
賭博
(
とばく
)
に
耽
(
ふけ
)
ると言い、十人も
綺麗
(
きれい
)
な女中がいて、それやこれやの聞きにくい
噂
(
うわさ
)
があります。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
黒船騒ぎ以来、諸大名の往来は激しく、
伊那
(
いな
)
あたりから入り込んで来る
助郷
(
すけごう
)
の数もおびただしく、その弊害は
覿面
(
てきめん
)
に飲酒
賭博
(
とばく
)
の流行にあらわれて来た。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
警察界にほとんど同時に職を奉じた
同僚
(
なかま
)
であるが、
掏摸
(
すり
)
や
賭博
(
とばく
)
のほうに明るくて、彼が十余年来、警察署を回らされているのに、ずっと警視庁を動かず
五階の窓:03 合作の三
(新字新仮名)
/
森下雨村
(著)
出
(
いづ
)
るに自動車あり、
居
(
を
)
るに
明眸皓歯
(
めいぼうかうし
)
あり、面白い書籍あり、心を
蕩
(
とろ
)
かす
賭博
(
とばく
)
あり、飽食し、暖衣し、富貴あり、名誉あり、一の他の不満不平あるなくして
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
賭博
(
とばく
)
は社會觀念より遊戲と目さるるも賭博者自身は遊戲を行へるにあらず、彼は一心不亂なり、時に
生命
(
いのち
)
がけなり、此の場合に於ては賭博もまた靈性を有す。
散文詩・詩的散文
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
先日廃せられた有名な公許
賭博
(
とばく
)
場も、天子様が一大華客である、などと噂せられるほどのことである。この国の鉄道は有名なもので、これは悉く国有である。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
ダンスはツレブラ、そのシステム、ウォーク、右廻転、左廻転、プロムナード、チロ、
踵
(
かかと
)
を床から浮離するツレブラを愛す。支那
賭博
(
とばく
)
を好まず。ポーカーをする。
新種族ノラ
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
「なに、
地精
(
コボルト
)
の紙片⁉」検事も熊城も、仰天せんばかりに驚いてしまった。しかし、法水の眉宇間には、
賭博
(
とばく
)
とするには、あまりに断定的なものが現われていた。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
賭博
(
とばく
)
常習犯でたびたびあげられた事のある床屋は
叮嚀
(
ていねい
)
な口をきいても脅かす力を示し、区会議員の候補者に立った事もある肉屋のあるじは、得意とする弁舌を振い
遺産
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
若しも——彼は考えつづけた——一流の
賭博
(
とばく
)
者は、
素人
(
しろうと
)
である相手に、現金を山と積まれて勝負に熱中したところで、その札の山を切り崩して行くことは出来ない。
あめんちあ
(新字新仮名)
/
富ノ沢麟太郎
(著)
これで見ると、染之助という男は、こんな男を相手に
賭博
(
とばく
)
を打つような身持の悪い男だと分りました。
ある恋の話
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「うまく成功した絞首台だ。」
彷徨
(
ほうこう
)
者で、
賭博
(
とばく
)
者で、
放蕩
(
ほうとう
)
者で、たいてい酔っ払ってる彼は、絶えず次のような歌を歌って、仲間の若い夢想家らに不快を与えていた。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「ああこの姿でござるかの。恥を云わねば理が通らぬ、実は野尻の
博労
(
ばくろう
)
相手に勝つ気でやった一文
賭博
(
とばく
)
にどっこいこっちがまんまと負けてまずはこの通りと云う有様」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
よく
四邊
(
あたり
)
を見ると、食物を包んで來たらしい竹の皮などもあつて、疊に薄く積つた
塵埃
(
ほこり
)
の上の足跡や膝の跡から見て、三四人の者が車座で
賭博
(
とばく
)
でもしてゐたらしかつた。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
たとえばこれを懐中しているとトランプでもその他の
賭博
(
とばく
)
でも必勝を期することができるというのであったらしい。もちろんこの効験は偶然の方則に支配されるのである。
物売りの声
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
賭博
(
とばく
)
者や乞食さえもいるという理由から、近づくことをいやがられているのではなく、東側の人たちにとって、その「街」も住人も別世界のもの、現実には存在しないもの
季節のない街
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
妙な
因縁
(
いんねん
)
だろう?
今日
(
こんにち
)
我々がハムや野菜のサンドウイッチを喰べるのも
皆
(
みんな
)
この
伯爵
(
はくしゃく
)
が
賭博
(
とばく
)
に
耽
(
ふけ
)
ったお蔭だ。しかしサンドウイッチ伯爵独創の発明とは
首肯
(
しゅこう
)
し難い
節
(
ふし
)
がある。
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
午
(
ひる
)
からは各種の露店が出る、
銀流
(
ぎんなが
)
し、
矢場
(
やば
)
、
賭博
(
とばく
)
がある、大道講釈やまめ蔵が出る——という有様で、その上狭い処に
溢
(
あふ
)
れかかった小便桶が並んであるなど、乱暴なものだ。
江戸か東京か
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
一方においては、われわれは男性美と
賭博
(
とばく
)
の興味とを結びつけた遊戯をも忘れませんでした。
影男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
それに実に不快なは、あの
賭博
(
とばく
)
だね。僕の同僚などもこそこそやってるやつがあるが、実に不愉快でたまらん。今のやつらは上にへつらって下からむさぼることばかり知っとる
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
この先の島は漁夫が巡査に見つけられんように
賭博
(
とばく
)
を打ちに行く処になっとるんじゃもの
入江のほとり
(新字新仮名)
/
正宗白鳥
(著)
九度目に寝つこうとした時、怪しい
呻声
(
うめきごえ
)
が下男部屋の方から聞えた。
頸
(
くび
)
を抑え、ピストルを持って、下男部屋へ行く。みんな未だ起きていてスウィピ(
骨牌
(
カルタ
)
賭博
(
とばく
)
)をやっている。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
これは後で知ったことであるが、この老主人は何でも浅草公園附近の
待合
(
まちあい
)
に入りびたって、
似寄
(
によ
)
った連中と夜昼ぶっ通しに
賭博
(
とばく
)
をしたり飲んだりして日を送っているらしかった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
五十歳未満、窃盗十八人、詐欺五人、殺人四人、嬰児殺し五人、放火十人、
賭博
(
とばく
)
一人。
新生の門:――栃木の女囚刑務所を訪ねて
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
その
頃
(
ころ
)
、それが
賭博
(
とばく
)
との
疑
(
うたが
)
ひを
受
(
う
)
けて、
或
(
あ
)
る
晩
(
ばん
)
一
同
(
どう
)
がその
筋
(
すぢ
)
から
取
(
と
)
り
調
(
しら
)
べを
受
(
う
)
けるやうな
事件
(
じけん
)
が
持
(
も
)
ち
上
(
あが
)
つたが、
取
(
と
)
り
調
(
しら
)
べる
側
(
がは
)
がその
技法
(
ぎはふ
)
を
知
(
し
)
らないので
誰
(
だれ
)
かが
滔滔
(
たうたう
)
と
講釋
(
かうしやく
)
をはじめ
麻雀を語る
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
一の字を
彫
(
ほ
)
りつけられたのは、抗夫長屋ではやっていた、オイチョカブ
賭博
(
とばく
)
の、
一
(
インケツ
)
、
二
(
ニゾ
)
、
三
(
サンタ
)
、
四
(
シスン
)
、
五
(
ゴケ
)
、
六
(
ロッポー
)
、
七
(
ナキネ
)
、
八
(
オイチョ
)
、
九
(
カブ
)
のうち、この
札
(
ふだ
)
を引けば負けと決っている
一
(
インケツ
)
の意味らしかった。
競馬
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
此方
(
こちら
)
は小川様が情深い役人で、調べも
軽
(
かろ
)
くなって出る事は出たが、
一旦
(
えったん
)
人殺しと
賭博
(
とばく
)
騒ぎが
出来
(
でけ
)
たから、誰あって
一緒
(
えっしょ
)
に飯い喰う者もないから、これは
迚
(
とて
)
も仕様がねえ、と
色々
(
えろ/\
)
考え
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
切て
勘當
(
かんだう
)
せしに
渠
(
かれ
)
方々
(
はう/″\
)
を
彷徨
(
さまよふ
)
うち少く醫師の道を覺え町内へ來て山田元益と
表札
(
へうさつ
)
を
掲
(
あ
)
げ
門戸
(
もんこ
)
を張れども
素
(
もと
)
より
拙
(
つたな
)
き
庸醫
(
ようい
)
なれば病家は
最
(
いと
)
も
稀々
(
まれ/\
)
にて
生計
(
くらし
)
の立つほど有らざれば
内實
(
ないじつ
)
賭博
(
とばく
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「
賭博
(
とばく
)
です。五両だけ損して笑って帰る事です。
儲
(
もう
)
けては、いけませんのです。」
新ハムレット
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
男ッぷりがいいので、若い時は、お袋の方が
惚
(
ほ
)
れ込んで、自分のかせぎ高をみんな男の
賭博
(
とばく
)
の負けにつぎ足しても、なお他の女に取られまい、取られまいと心配したのだろうと思われる。
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
彼の父親は
賭博
(
とばく
)
や女に
身上
(
しんしょう
)
を
入揚
(
いれあ
)
げて、その頃から弟の厄介ものであったが、或時身寄を頼って、上州の方へ
稼
(
かせ
)
ぎに行っていたおりにその女に引かかって、それから乞食のように
零落
(
おちぶ
)
れて
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
又その
季
(
すえ
)
の弟があって、家内では彼を
小哥
(
しょうか
)
と呼んでいたが、小哥は若い者の習い、
賭博
(
とばく
)
にふけって家の
銭
(
ぜに
)
を使い込んだので、兄たちにひどい目に逢わされるのを
畏
(
おそ
)
れて、どこへか姿をくらました。
中国怪奇小説集:11 異聞総録・其他(宋)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
近ごろはよい
賭博
(
とばく
)
でも出来ますか、と友田が云うのに、浴槽の中から、いや、賭博はやめましたよ、と赤瀬が答えると、失礼しました、と友田は静かな口調で云ったが、潜戸を開けて出て行った。
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
「
賭博
(
とばく
)
は国法で天下に禁じてあるはずですが」
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「こいつは
詐欺
(
さぎ
)
と
賭博
(
とばく
)
で食って居たんだ」
誰が何故彼を殺したか
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
賭博
(
とばく
)
現行犯で長野へ引かれ、一年ほどまた臭い飯を食ふ事になつたが、二度目に帰つて来た時は、もう村でも何うする事も出来ない程の
悪漢
(
わるもの
)
に成り
済
(
すま
)
して
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
半三郎はそれ以来ひどく性格が変り、酒と
賭博
(
とばく
)
に
耽
(
ふけ
)
りだした。金之助には彼の気持がよくわかるので、意見がましいことは決して云わず、借りに来れば黙って金も貸していた。
落ち梅記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
大にドキマギした
容子
(
ようす
)
であったが、調子を更えて「
宮前
(
みやまえ
)
のお広さん処へは
如何
(
どう
)
参るのです?」と胡魔化した。宮前のお広さん処は、始終諸君が入り
浸
(
びた
)
る其
賭博
(
とばく
)
の巣なのである。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
この無宿者らは特殊なカルタで
賭博
(
とばく
)
をしていたが、その幾つかは今だに伝わっている。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
かどわかし、
賭博
(
とばく
)
、喧嘩、
刃傷
(
にんじょう
)
、すり、泥棒というようなことが、昼夜となく行なわれ、しかも法網をくぐっている。
悪漢
(
わる
)
には
悪漢
(
わる
)
の道徳があり、互いに隠し合いかばい合うからだ。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
将棊
(
しょうぎ
)
、さては各種の
賭博
(
とばく
)
に至るまで、
迚
(
とて
)
もここには書き切れない程の、遊戯という遊戯は一つ残らず、娯楽百科全書という様な本まで買込んで、探し廻っては試みたのですが、職業同様
屋根裏の散歩者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
フリーデマンの仲間でさらに下らない
曖昧
(
あいまい
)
な
落伍
(
らくご
)
者どもといっしょに、二人がいつも相並んで食卓についてるのが見られた。連中は
賭博
(
とばく
)
をし、
駄弁
(
だべん
)
を弄し、幾晩もぶっとおしに酒を飲んだ。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
“賭博”の意味
《名詞》
賭 博(とばく)
金品を賭けて勝負を争う遊戯。賭戯と博戯。
(出典:Wiktionary)
賭
常用漢字
中学
部首:⾙
16画
博
常用漢字
小4
部首:⼗
12画
“賭博”で始まる語句
賭博場
賭博打
賭博者
賭博室
賭博狂
賭博遊
賭博風
賭博台
賭博器
賭博師