)” の例文
「ナアニ、神尾とやら申す青侍一匹、ウフフ拙者ひとりで沢山だ。みんな寝ちまえ、寝ちまえ! ついでに、酒も独りでひきけた」
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
押問答無用おしもんどうむよう、こんがらもせいたかも何を愚図愚図しているんだ、こっちは拙者が引きけたから、その野郎を血祭りに上げてしまえ」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とふくろうはって、さんざんくびをひねってかんがえていましたが、やがてからすをどっぷり、くろすみのつぼにつっみました。
物のいわれ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
けにならないように願いたい、自分は此のことを申上げたいと存じて、只今態々わざ/\筑紫から参ったのです、と云うのであった。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
まちはずれの、あるはしのそばで、一人ひとりのおじいさんが、こいをっていました。おじいさんは、今朝けさそのこいを問屋とんやからけてきたのでした。
千代紙の春 (新字新仮名) / 小川未明(著)
次にスサノヲの命が天照らす大神の左の御髮にいておいでになつた大きな勾玉まがたまの澤山ついている玉のをおけになつて
つかこみ父の勘當をけ身をなげんとせし時に是なる五八にたすけられ今は五八方に居て初瀬留に見繼みつぎを受け不自由なくは消光くらし居れど何卒なにとぞ勘當かんだうわび
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
その小間物屋から四、五軒さきに、踊りや茶番の衣裳の損料貸しをする家があって、そこであやつりの衣裳の仕立てや縫い直しなどをっていた。
半七捕物帳:38 人形使い (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
戦争で頓挫とんざしていたけれども、これからふたたび、前日のような盛況せいきょうを見るであろうことはけ合いで、わがくに園芸界のために、大いにしゅくしてよろしい。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
けては置かじとささややうにて、心済まねば謂ひも出でず、もしそれ胸中の疑磈ぎくわいを吐きて智識のをしへけむには、胸襟きようきんすなははるひらけて臆病とみえむと思へど
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それはそれは痛み入ったことだ、有難くおけをして、早速、薬は調えて上げるが、米友、もう少し前へおいで
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「てかけでも足かけでもおまへん。わたへがけ合ひますさかい、安心しなはれ。」と千代松は微笑んだ。
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
「二人は大丈夫で、お鮒の方から口説かせる氣でゐますよ、け合ひ八九十までは長生きする手合で」
それからその経をけ取りまして私はまた直に「この経の真面目は何であるか」と言って尋ねると「それは三乗は即ち一乗であるということを説明した経文である」
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
阿摩美久みずからが儀来河内ぎらいかないに往来して、稲種をうてきたと明記したのは、単なる誤解や忘失ではなく、もっぱらその阿摩美久を始祖の半神半人と見たために
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
屹度為替で返すといふことを繰返して言つて、学生はその金をけた。そして甲田の名を聞いた。甲田は、『返して貰はなくても可い。』と言つた。然し学生はかなかつた。
葉書 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
せっかくの仕事だから後でおなかのいたむようなけ方はするなと、彼は注意して言った。
生涯の垣根 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
飯「そんな事を云っては困るよ、おれがもうけをした、金打きんちょうをしたから仕方がない」
溢れる水を唇にけて見せたが、稚兒は、手を淨める水にくちつけるのを咎めた。
気持ちのよい返事をしたならば、つぎにはさっそくに呼んでいる子供のそばにいき、頼まれた用事をこころよくけ合って、ほかの用事は繰りあっても、すぐにしてやることが大切です。
女中訓 (新字新仮名) / 羽仁もと子(著)
このボタンの研究は、警視庁の依頼を受けてロンドン商工会議所が引きけた。
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
否か応かは、よう御存じ、申し訳は致しませねど。はいとおけの申されぬ、この身の程をわきまへましては、どうもかうして居られませぬ。御恩を仇に、こんな事、願ひまするは、恐れますれど。
したゆく水 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
城主においとまい、老妻と共に出家して播州ばんしゅうの清水の山深くかくれたのを、丹後その経緯を聞き伝えて志に感じ、これもにわかにお暇を乞いけ、妻子とも四人いまさらこの世に生きて居られず
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
れるやうにしなくつちやならんぞ。
それはけ合えない。
社長秘書 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
あっても私が否応いやおうなしに引っ張り出しますから、その人の方は大丈夫ですが、蒔岡さんの方はあなたが引きけて下さいますね
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
書肆ほんやからは頻々ひんぴんと矢の催促をうけるので、版木彫はんぎぼりすりをひきけている彫兼ほりかね親爺おやじはきょうも、絵師の喜多川春作の家へ来て、画室に坐りこんでいた。
魚紋 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
二週間にしゅうかんもいってきなされば、おまえさんのそのからだは、まれわったようにじょうぶになることはいです。
石をのせた車 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あらたに油渡世をもはじめたについては、伊豆伍を蹴落して、御書院番頭脇坂山城守さまのおはからいで、お城の油御用を一手に引きけたいという念願。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「いくら品川でも女ひとりをけ出すには纒まった金がいる。多寡たかが錺職人が半年や一年稼いでも、それだけの金が出来そうもねえ。なにか金主があるな」
半七捕物帳:28 雪達磨 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
御支配様からの御沙汰をおけをするとしないとにかかわらず、左様な御沙汰があったならば、一応は自分のところへお話がなければならないはずだと思いました。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
いや、自分は何も敵に捕へられた時、軍隊の事情をいつては不可いけぬ、拷問ごうもんを堅忍して、秘密を守れといふ、訓令をけた事もなく、それを誓つたおぼえもないです。
海城発電 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「そんなに泣くでない。宰相がおいでになるからには、命だけは、何とかけて下さると思うよ」
「あつしが辨慶讀みにしてゐちや、け合ひ晝時分になりますよ。ちよいと讀んで下さいな親分」
きつねと親しくなりて家を富ます術を得んと思い立ち、まず庭の中に稲荷いなりほこらて、自身京にのぼりて正一位の神階をけて帰り、それよりは日々一枚の油揚あぶらげを欠かすことなく
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
又どうかなろうと思い、早々そう/\東京へ来て、坂本二丁目の知己しるべもとに同居していたが、君の住所は知れずよ、永くべん/\として居るのも気の毒だから、つい先々月亀島町の裏長屋を借り
運送屋の下けのようなことをしている男が小馬車を自宅の裏庭へ乗り入れて、そこに、血の池の中にたおれているエリザベス・ストライド——綽名あだなを「のっぽのリック」といって背が高かった。
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
何処かへ移すのんやったら、蒲原かんばら病院はどうやろう。………あすこやったら、訳話したらきっと引きけてくれはるやろう思うねん。………
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
光秀どのが最もつよくいわれている重点はそこで、たとえ御開城あるとも、誓って、本領安堵ほんりょうあんどと御家名の存続はけあうとの固い御約定ごやくじょうを示されておる。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
水一杯といっても聞えない看護みとりけるお絹の身になったらどうであったろう、またこれを知りつつも
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
け出してみると、金側の……むろん、純金ではないが、立派な舶来品だった。質屋へは、大枚十九円也。それに一円二十銭の利息を加えて、二十円二十銭也を支払った。
胡堂百話 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
きょうあすをも知れない身でしきりに、剣をもって相識る柳生対馬守の弟を、娘萩乃の入り婿に乞いけた。その柳生源三郎の到着を、枕の上に首を長くして待っている。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
天下てんかぴんやすくて千りょう値打ねうちはいです。」と、りこうもの感歎かんたんいたしました。
天下一品 (新字新仮名) / 小川未明(著)
遠野の町の後なる物見山の中腹にある沼に行きて、手をたたけば宛名あてなの人いでべしとなり。この人け合いはしたれども路々みちみち心に掛りてとつおいつせしに、一人の六部ろくぶに行きえり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
養子に貰ひけて城富とぞ名らせけるが城富じやうとみの十四歳の時に養父の城重病死びやうし致せし故養母やうぼを大切に孝養して相應さうおうくらしける是よりさき此城富十二歳の春より按摩あんまわざとして居たりしが或時住吉すみよし町を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
刑事はおやすい御用だと引きけて、手ぐすね引いて待っていた。
浴槽の花嫁 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
身内の者をそう云っては可笑おかしいけれども、器量と云い、教養と云い、才能と云い、こいさんなら立派なお嫁さんになれることはけ合いだから
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
親鸞が、自身信州へ赴いて乞いけてきた一光三尊の善光寺如来にょらいの御分身を出迎えたのである。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、半身を斜めにして、溢れかかる水の一筋を、玉のしずくに、さっと散らして、赤く燃ゆるような唇にけた。ちょうどかわいてもいたし、水のきよい事を見たのは言うまでもない。
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
相模屋へ奉公してから十年、若い時フトした間違いでしちに取られた田地をけ戻そうと、私は必死に働きました。旦那の総兵衛様は、私にとっては二代の主人でございます。