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膓
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はらわた
ふりがな文庫
“
膓
(
はらわた
)” の例文
貪欲界
(
どんよくかい
)
の雲は
凝
(
こ
)
りて
歩々
(
ほほ
)
に厚く
護
(
まも
)
り、
離恨天
(
りこんてん
)
の雨は随所
直
(
ただち
)
に
灑
(
そそ
)
ぐ、
一飛
(
いつぴ
)
一躍出でては人の肉を
啖
(
くら
)
ひ、半生半死
入
(
い
)
りては我と
膓
(
はらわた
)
を
劈
(
つんざ
)
く。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
廁というのは岩の上に木を組みたてて出来ているものであって、下から吹き上げて来る風は
膓
(
はらわた
)
から脳天にまで滲みこむように冷たかった。
富士登山
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
また私の
胸
(
むね
)
に
和
(
やはら
)
ぎの芽を
植
(
う
)
ゑそめたものは、
一頻
(
ひとしき
)
り私の
膓
(
はらわた
)
を
噛
(
か
)
み
刻
(
きざ
)
んでゐたところの
苦惱
(
くなう
)
が
生
(
う
)
んだ、ある
犧牲的
(
ぎせいてき
)
な心でした。
冬を迎へようとして
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
「二毛暁に落ちて頭を
梳
(
くしけづ
)
ること
懶
(
ものう
)
し、両眼春
昏
(
くら
)
くして薬を点ずること
頻
(
しき
)
りなり」「
須
(
すべから
)
く酒を傾けて
膓
(
はらわた
)
に入るべし、酔うて倒るゝも
亦
(
また
)
何ぞ妨げん」
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そういって彼は物慣れた手つきでドライバーを手にとり、人造人間の胴中をしめつけている
鉄扉
(
てっぴ
)
のネジを
外
(
はず
)
していった。間もなく人造人間の
膓
(
はらわた
)
が露出した。
人造人間事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
暑い日が麥藁の上に横はつて居る瓜の
膓
(
はらわた
)
までも熱しては、夜の凉しさが冷たく潤しました。瓜畑の周圍に蒔かれた玉蜀黍はすつくりと立つて美しい瓜を守つて居ます。
白瓜と青瓜
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
其
(
その
)
仇浪
(
あだなみ
)
の
立騷
(
たちさわ
)
ぐ
邊
(
ほとり
)
海鳥
(
かいてう
)
二三
羽
(
ば
)
夢
(
ゆめ
)
に
鳴
(
な
)
いて、うたゝ
旅客
(
たびゞと
)
の
膓
(
はらわた
)
を
斷
(
た
)
つばかり、
日出雄少年
(
ひでをせうねん
)
は
無邪氣
(
むじやき
)
である
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
女たちのワンピースが、むき出しにされた醜い色とりどりの
膓
(
はらわた
)
のようにうごめいて光っている。
その一年
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
先
(
ま
)
づ口だけは
体
(
てい
)
の
可
(
い
)
い事を言うて、其の実はお互に
餌食
(
えじき
)
を待つのだ。又、此の花は、紅玉の
蕊
(
しべ
)
から虹に咲いたものだが、散る時は、肉に成り、血に成り、
五色
(
ごしき
)
の
膓
(
はらわた
)
と成る。
紅玉
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
これにも
膓
(
はらわた
)
はたゝるべき
聲
(
こゑ
)
あり、
勝沼
(
かつぬま
)
よりの
端書
(
はがき
)
一度とゞきて四日目にぞ七
里
(
さと
)
の
消印
(
けしいん
)
ある
封状
(
ふうじやう
)
二つ、一つはお
縫
(
ぬひ
)
へ
向
(
む
)
けてこれは
長
(
なが
)
かりし、
桂次
(
けいじ
)
はかくて
大藤村
(
おほふじむら
)
の
人
(
ひと
)
に
成
(
な
)
りぬ。
ゆく雲
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「
困
(
こま
)
つた
雨
(
あめ
)
じやありませんか。これじや
膓
(
はらわた
)
の
中
(
なか
)
まで、すつかり、びしよ
腐
(
ぐさ
)
れですよ」
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
我は
已
(
す
)
でに冬の寒さに慣れたり、慣れしと云ふにはあらねど、我はこれに怖るゝ心を失ひたり、夏の熱さにも我は我が
膓
(
はらわた
)
を沸かす如きことは無くなれり、唯だ我九膓を裂きて
又
(
ま
)
た裂くものは
我牢獄
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
俗人
(
ぞくじん
)
を
教
(
をし
)
ふる
功徳
(
くどく
)
の
甚深
(
じんしん
)
広大
(
くわうだい
)
にしてしかも其
勢力
(
せいりよく
)
の
強盛
(
きやうせい
)
宏偉
(
くわうゐ
)
なるは
熊肝
(
くまのゐ
)
宝丹
(
はうたん
)
の
販路
(
はんろ
)
広
(
ひろ
)
きをもて
知
(
し
)
らる。
洞簫
(
どうせう
)
の
声
(
こゑ
)
は
嚠喨
(
りうりやう
)
として
蘇子
(
そし
)
の
膓
(
はらわた
)
を
断
(
ちぎ
)
りたれど
終
(
つひ
)
にトテンチンツトンの
上調子
(
うはでうし
)
仇
(
あだ
)
つぽきに
如
(
し
)
かず。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
それを
強
(
し
)
いて、
烟脂
(
やに
)
を
舐
(
な
)
めた
蛙
(
かえる
)
が
膓
(
はらわた
)
をさらけだして洗うように洗い立てをして見たくもない。今私がこの鉢に水を掛けるように、物に手を出せば弥次馬と云う。手を引き込めておれば、独善と云う。
サフラン
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
私はやっぱり禅宗の言葉に「ハマグリが口を開いて
膓
(
はらわた
)
を見せる」
生活と一枚の宗教
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
わが
膓
(
はらわた
)
いたみてきれもやせむ。
偏奇館吟草
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
裂けてはみだした
膓
(
はらわた
)
を
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
或
(
あるひ
)
は飲過ぎし年賀の
帰来
(
かへり
)
なるべく、
疎
(
まばら
)
に寄する
獅子太鼓
(
ししだいこ
)
の
遠響
(
とほひびき
)
は、はや今日に尽きぬる
三箇日
(
さんがにち
)
を惜むが如く、その
哀切
(
あはれさ
)
に
小
(
ちひさ
)
き
膓
(
はらわた
)
は
断
(
たた
)
れぬべし。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
津村も私も、歯ぐきから
膓
(
はらわた
)
の底へ
沁
(
し
)
み
徹
(
とお
)
る
冷
(
つ
)
めたさを喜びつつ甘い
粘
(
ねば
)
っこい柹の実を
貪
(
むさぼ
)
るように二つまで食べた。私は自分の
口腔
(
こうこう
)
に吉野の秋を
一杯
(
いっぱい
)
に
頬張
(
ほおば
)
った。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
いやしくも神州男児だ、
膓
(
はらわた
)
を
掴
(
つか
)
み出して、敵のしゃッ
面
(
つら
)
へたたきつけてやるべき処だ。
海城発電
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
母親
(
はヽおや
)
の
別
(
わか
)
れに
悲
(
かな
)
しき
事
(
こと
)
を
知
(
し
)
り
盡
(
つく
)
して
膓
(
はらわた
)
もみ
切
(
き
)
るほど
泣
(
な
)
きに
泣
(
な
)
きしが
今日
(
けふ
)
の
思
(
おも
)
ひは
夫
(
そ
)
れとも
變
(
かは
)
りて、
親切
(
しんせつ
)
勿体
(
もつたい
)
なし、
殘念
(
ざんねん
)
などヽいふ
感念
(
かんねん
)
が
右往左往
(
うわうざわう
)
に
胸
(
むね
)
の
中
(
なか
)
を
掻
(
か
)
き
廻
(
まわ
)
して
何
(
なに
)
が
何
(
なに
)
やら
夢
(
ゆめ
)
の
心地
(
こヽち
)
経つくゑ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「それぢや
断然
(
いよいよ
)
お前は嫁く気だね! これまでに僕が言つても聴いてくれんのだね。ちええ、
膓
(
はらわた
)
の腐つた女!
姦婦
(
かんぷ
)
‼」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
そうするとその中に九
尾
(
び
)
の
狐
(
きつね
)
が現れて玉藻の前を
喰
(
く
)
い殺す場面があって、狐が女の腹を喰い破って血だらけな
膓
(
はらわた
)
を
咬
(
くわ
)
え出す、その膓には紅い真綿を使うのだと云う。
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
と
叱
(
しか
)
りつけられて
我知
(
われし
)
らずあとじさりする
意氣地
(
いくぢ
)
なさまだ
霜
(
しも
)
こほる
夜嵐
(
よあらし
)
に
辻待
(
つじまち
)
の
提燈
(
ちやうちん
)
の
火
(
ひ
)
の
消
(
き
)
えかへる
迄
(
まで
)
案
(
あん
)
じらるゝは
二親
(
ふたおや
)
のことなり
馴
(
な
)
れぬ
貧苦
(
ひんく
)
に
責
(
せ
)
めらるゝと
懷舊
(
くわいきう
)
の
情
(
じやう
)
のやる
方
(
かた
)
なさとが
老體
(
らうたい
)
の
毒
(
どく
)
になりてや
涙
(
なみだ
)
がちに
同
(
おな
)
じやうな
煩
(
わづら
)
ひ
方
(
かた
)
それも
御尤
(
ごもつと
)
もなり
我
(
われ
)
さへ
無念
(
むねん
)
に
膓
(
はらわた
)
の
沸
(
に
)
え
納
(
をさ
)
まらぬものを
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
屍骸の
膓
(
はらわた
)
にうごめいている
蛆
(
うじ
)
の一匹々々をも分明に識別させたのであったが、
今宵
(
こよい
)
の月はそこらにあるものを、たとえば糸のような清水の流れ、風もないのに散りかゝる桜の
一片
(
ひとひら
)
二片
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
結ぼれて深き/\
膓
(
はらわた
)
にあり
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
膓
部首:⾁
15画
“膓”を含む語句
心膓
断膓
斷膓
枯膓
熱膓
羊膓
膓加答児