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胆
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きも
ふりがな文庫
“
胆
(
きも
)” の例文
旧字:
膽
しかしこのとき武夫もお美代も、行手にあたって
胆
(
きも
)
を潰すような怪異が彼等を待っていようなどとは、夢にも知らなかったのである。
地球盗難
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
美しいレオノーラ姫をさらっていった
妖怪
(
ようかい
)
騎士の話をして、婦人たちの
胆
(
きも
)
をつぶし、いく人かはヒステリーをおこさんばかりだった。
幽霊花婿:ある旅人の話
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
海賊の子と指さされて大坂に住むのも辛いが、他国者と侮られて江戸に住むのも苦しかろうと、それが彼の小さい
胆
(
きも
)
をおびえさせた。
心中浪華の春雨
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
が、ガラッ八の
大音声
(
だいおんじょう
)
に
胆
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
した上、近所のざわめき始めたのに気おくれがしたらしく、縁側の戸を開けて、パッと外の闇へ——。
銭形平次捕物控:077 八五郎の恋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
親の又右衛門の驚きよりも、実は、藤吉郎自身が、
胆
(
きも
)
をぬかれたくらい、茫然、歓びと疑いのなかに包まれて、帰って来たのだった。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
だから、ことし十五になる小坊主の
法信
(
ほうしん
)
が、天井から落ちてくる
煤
(
すす
)
に
胆
(
きも
)
を冷やして、部屋の隅にちぢこまっているのも無理はなかった。
死体蝋燭
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
『お早くから
難有
(
ありがた
)
う御座いました。留守の子供達もいろいろお世話になりまして
難有
(
ありがた
)
う御座いました。御親切は
胆
(
きも
)
に銘じて
居
(
を
)
ります。』
帰つてから
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
恐しさに
胆
(
きも
)
をうばはれた今太郎君は、無我夢中でじたばたするうち、ふと何やら固いものに手がさはりました。すると不思議です。
動く海底
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
肝油その他の臓器製薬の効能が医者によって認められるより何百年も前から日本人は
鰹
(
かつお
)
の肝を食い
黒鯛
(
くろだい
)
の
胆
(
きも
)
を飲んでいたのである。
日本人の自然観
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
さてこそ! 近寄って見るとしかもその屍骸が一箇ではなく、折重なって二つまであるらしいことが、まず三人の
胆
(
きも
)
を冷しました。
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「かれ
鉄
(
くろがね
)
の
器
(
うつわ
)
を避くれば
銅
(
あかがね
)
の弓これを
射
(
い
)
透
(
とお
)
す、ここにおいてこれをその身より抜けば
閃
(
ひらめ
)
く
簇
(
やじり
)
その
胆
(
きも
)
より
出
(
い
)
で来りて
畏怖
(
おそれ
)
これに臨む」
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
毛剃
(
けぞり
)
九右衛門のような船頭と
胆
(
きも
)
に毛の生えた
上乗
(
うわのり
)
に差配をさせて、
呂宋
(
ルソン
)
、
媽港
(
マカオ
)
のあたりまで押し出させる一方、北条の運漕までも引受け
うすゆき抄
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
それから、その次にブロブディンナグ国へ来てみると、ガリバーはまず
胆
(
きも
)
をつぶします。今度はガリバーの方が小人になっているのです。
ガリバー旅行記
(新字新仮名)
/
ジョナサン・スウィフト
(著)
左方に
博多
(
はかた
)
の海が青く展開するのを夢のように
眺
(
なが
)
めて、なおも飲まず食わず、背後に人の足音を聞くたびに追手かと
胆
(
きも
)
をひやし
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
喧嘩渡世の看板に隠れ、知らずのお絃の
嬌笑
(
きょうしょう
)
と
胆
(
きも
)
ッ
玉
(
たま
)
を仲に、
巷
(
ちまた
)
の
雑踏
(
ざっとう
)
から
剣眼
(
けんがん
)
を光らせて、随時随所に十七人の生命を
狙
(
ねら
)
うことになった。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
胆
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
したのは奥村八左衛門、「こんなべら棒ってあるもんか。白をもちながら先手を打ちおる」こうは思ったが相手が悪い。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ハッとしどおしで、眼を閉じてみたり、
胆
(
きも
)
を冷やしたり、鳴り始めてから鳴り終るまで、
雷
(
らい
)
さまのことばかり、考えている。
雷嫌いの話
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
その葉は
龍葵
(
りゅうき
)
のようで味が
胆
(
きも
)
のように
苦
(
にが
)
いから、それで
龍胆
(
りんどう
)
というのだと解釈してあるが、しかし葉が
苦
(
にが
)
いというよりは根の方がもっと
苦
(
にが
)
い
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
「的矢丸には、いい薬がある。『
熊
(
くま
)
の
胆
(
い
)
』もあるよ。よろこべ、『鼻じろ』の
胆
(
きも
)
はようなしだ。あいつも命びろいをしたよ」
無人島に生きる十六人
(新字新仮名)
/
須川邦彦
(著)
本を売り、着物を
入質
(
いれじち
)
し、女の物を売り、貸間へ落ちとうとうどん底へ来てしまつた。生まれながらの貧乏は、かういふ時に、
胆
(
きも
)
が坐つてゐる。
貧乏一期、二期、三期:わが落魄の記
(新字旧仮名)
/
直木三十五
(著)
柳葉
(
りゅうよう
)
を射たという
養由基
(
ようゆうき
)
、また
大炊殿
(
おおいでん
)
の夜合戦に兄の
兜
(
かぶと
)
の星を射削ッて、敵軍の
胆
(
きも
)
を冷やさせたという
鎮西
(
ちんぜい
)
八郎の
技倆
(
ぎりょう
)
、その技倆に達しようと
初恋
(新字新仮名)
/
矢崎嵯峨の舎
(著)
まだ熱が出て寝ておりました僕の枕元に伯父が駈けつけて来て知らせてくれました時はスッカリ
胆
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
してしまいました。
押絵の奇蹟
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それに、大河を越えて、本所の
吉岡町
(
よしおかちょう
)
へ飛火をして向う河岸で高見の見物をしていた人の
胆
(
きも
)
までも奪ったとは、随分念の入った火事でありました。
幕末維新懐古談:13 浅草の大火のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
盗賊
(
とうぞく
)
どもはびっくりして
起
(
お
)
きあがりますと、
眼
(
め
)
の前に大きな
鬼
(
おに
)
がつっ立ってるではありませんか。みんな
胆
(
きも
)
をつぶして、
腰
(
こし
)
を
抜
(
ぬか
)
してしまいました。
人形使い
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
心に目しるしをして家にかへり
親
(
おや
)
にもかたりてよろこばせ、次のあした
皮
(
かは
)
を
剥
(
はぐ
)
べき用意をなしてかしこにいたりしに
胆
(
きも
)
は常に
倍
(
ばい
)
して大なりしゆゑ
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
彼はさすがに
胆
(
きも
)
を消して、うっかりあぐらを組んだまま、半ば引きちぎられた簾の外へ、思わず
狼狽
(
ろうばい
)
の視線を飛ばせた。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
彼は戸口に聞える足音にも
胆
(
きも
)
を冷すようになった。よそから戻ってきても、まず留守中に誰も訪ねてこなかったと知るまでは安心ができなかった。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
豊吉は善人である、情に厚い、しかし
胆
(
きも
)
が小さい、と言うよりもむしろ、気が小さいので磯ぎんちゃくと同質である。
河霧
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
ぴいんと
胆
(
きも
)
の髄までひびき渡るような練り鍛えられた叫びと共に、さッと繰り出したのは、奇怪! 穂先もドキドキと磨ぎ澄まされた真槍なのです。
旗本退屈男:09 第九話 江戸に帰った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
斯くして三成の心配がだん/\事実となる形勢を生じ、左衛門尉は己れの使命の軽からぬことを
胆
(
きも
)
に銘じたのである。
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
疵
(
きず
)
を
検
(
あらた
)
めて見ますると、
弾丸
(
たま
)
は
外
(
そ
)
れたものと見えて身体に疵はありませぬ、
尤
(
もっと
)
も鉄砲の音に
胆
(
きも
)
を消したものと見えて、三人とも気絶して居りまする。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
三途まで奈落へ
堕
(
だ
)
して、……といって、自殺をするほどの覚悟も出来ない
卑怯
(
ひきょう
)
ものだから、
冥途
(
めいど
)
へ
捷径
(
ちかみち
)
の焼場人足、
死人焼
(
しびとやき
)
になって、
胆
(
きも
)
を鍛えよう。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ソコで御馳走は何かと云うと、豚の子の丸煮が出た。是れにも
胆
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
した。
如何
(
どう
)
だ、マア
呆返
(
あきれかえっ
)
たな、丸で
安達
(
あだち
)
ヶ
原
(
はら
)
に行たような
訳
(
わ
)
けだと、
斯
(
こ
)
う思うた。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
浮世の栄華に誇れる奴らの
胆
(
きも
)
を破れや
睡
(
ねむ
)
りを
攪
(
みだ
)
せや、愚物の胸に血の
濤
(
なみ
)
打たせよ、偽物の面の紅き色
奪
(
と
)
れ、
斧
(
おの
)
持てる者斧を
揮
(
ふる
)
え、
矛
(
ほこ
)
もてるもの矛を揮え
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
胆
(
きも
)
を冷やした俺は、つんのめった身体をおこそうとしたとき、すさまじいピストルの音にふたたび驚かせられた。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
屏風のうしろより、吾が君いかに
三二五
むつかり給ふ。かうめでたき御契なるはとて出づるはまろやなり。見るに又
胆
(
きも
)
を飛ばし、
眼
(
まなこ
)
を閉ぢて
伏向
(
うつぶき
)
に
臥
(
ふ
)
す。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
それが
真
(
しん
)
に迫っているんだから、誰しも
胆
(
きも
)
を冷すよ。また或時は、非常にエロチックな遊戯をやることもある。
覆面の舞踏者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
聞かぢりに子供とて由断のなりがたきこのあたりのなれば、そろひの
裕衣
(
ゆかた
)
は言はでものこと、銘々に申合せて生意気のありたけ、聞かば
胆
(
きも
)
もつぶれぬべし
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
往時
(
むかし
)
の
閑人
(
ひまじん
)
はこんな
輩
(
てあひ
)
に驚かないやうに、武士道や禅学で
胆
(
きも
)
を練つたものだが、今の人達は、武士道や禅学の代りに、お蔭で「生活難」で鍛へられてゐる。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「オヤジには、
小
(
こんま
)
いときから、そがいな
胆
(
きも
)
の切れるところがあったのはあった。わしらには出来んことぞな」
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
われわれアジア人はわれわれに関して織り出された事実や想像の妙な話にしばしば
胆
(
きも
)
を冷やすことがある。
茶の本:04 茶の本
(新字新仮名)
/
岡倉天心
、
岡倉覚三
(著)
ところがこの豪儀な小十郎がまちへ熊の皮と
胆
(
きも
)
を売りに行くときのみじめさといったら全く気の毒だった。
なめとこ山の熊
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「私は
胆
(
きも
)
がにえました」と大学は云った、彼は富塚の言葉をまったく無視して、安芸に向かってつづけた
樅ノ木は残った:01 第一部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
この者ども
胆
(
きも
)
を消し、「誠に希代の碁打ちかな。とてもわれらが相手にはならず、先生を招き打たすべし」
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
その瞬間に戸口が開いて、泥まみれの
木履
(
サボ
)
を穿いて頭巾つきのマントをかぶった子供が外から帰って来たが、父親の只ならぬ見幕とその怒鳴り声に
胆
(
きも
)
をつぶした。
生さぬ児
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
何事もなくても、こんな風に
怯
(
おく
)
れがちなお玉の
胆
(
きも
)
をとりひしいだ事が、越して来てから三日目にあった。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
真暗な闇の間を、
颶風
(
ぐふう
)
のような空気の抵抗を感じながら、彼女は落ち放題に落ちて行った。「地獄に落ちて行くのだ」
胆
(
きも
)
を裂くような
心咎
(
こころとが
)
めが突然クララを襲った。
クララの出家
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
胆
(
きも
)
の冷えるような夢幻的な思いがはしって、やがて力無く、ぼくのからだは
一箇
(
いっこ
)
の死体のように
停
(
とま
)
る。
煙突
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
巡査の護衛せるを見て、乗客は
胆
(
きも
)
をつぶしたらんが如く、
眼
(
まなこ
)
を
円
(
つぶ
)
らにして、
殊
(
こと
)
に女の身の
妾
(
しょう
)
を
視
(
み
)
る。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
浪士らの勢いのさかんな時は二十里ずつの距離の外に
屏息
(
へいそく
)
し、徐行
逗留
(
とうりゅう
)
してあえて近づこうともせず、いわゆる
風声鶴唳
(
ふうせいかくれい
)
にも
胆
(
きも
)
が身に添わなかったほどでありながら
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
“胆(
胆嚢
)”の解説
胆嚢(胆囊、たんのう、en: gallbladder)は、消化に必要になるまで胆汁を蓄積するセイヨウナシ形の器官。胆管(胆道)によって肝臓と十二指腸に接続している。
(出典:Wikipedia)
胆
常用漢字
中学
部首:⾁
9画
“胆”を含む語句
落胆
胆魂
竜胆
胆力
海胆
胆玉
胆煎
熊胆
度胆
肝胆
生胆
胆振
心胆
肝胆相照
胆沢
笹竜胆
小胆
胆太
胆嚢
人胆
...