つゝ)” の例文
をどりながら周圍しうゐつて村落むら女等をんならつゝうて勘次かんじ容子ようすてはくすくすとひそか冷笑れいせうあびけるのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
腹切はらきりの形も最初は真中まんなか棒差ぼうざしつゝ込んでうしろへ倒れるのであつたが、最後の稽古の日に徳永柳洲が教へて遣つたのでうにか見られる様に成つた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
夫人があみさしの韈を膝の上に引伸ばしてじつと良人の足と見比べてゐると、後から右肩をちよい/\つゝくものがある。
引寄ひきよせてもげないから、そつれると、尻尾しつぽ一寸ちよつとひねつて、二つも三つもゆびのさきをチヨ、チヨツとつゝく。此奴こいつと、ぐつとれると、スイとてのひらはいつてる。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
お定はすぐ起きて、寢室ねまにしてゐる四疊半許りの板敷を出た。手探りに草履ざうりつゝかけて、表裏の入口を開けると、厩では乾秣やたしがる馬の、破目板をる音がゴトゴトと鳴る。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
細卷きの蝙蝠傘かうもりがさ尖端さきで、白く孱弱かよわい嫁菜の花をちよい/\つゝついてゐた。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
地中海に面した港の口に運河の設計者レセツプスが地図を手にしてつゝ立つて居る銅像を左舷に見ながらいよ/\欧洲に一歩踏み旅客りよかくとなつた。(十二月廿三日)
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
狗が外から帰つて来ると、嬉しさうに我鳴り立てるし、狗が日向ぼつこでもすると、自分もその前に蹲踞込しやがみこんで、太いくちばしで相手の鼻つ先をつゝき廻したりする。
きやくわたしのほかに三人さんにんあつた。三人さんにんは、親子おやこづれで、こゝのツばかりの、かすり羽織はおりおな衣服きものおとなしらしいをとこ。——見習みならへ、やつこ、と背中せなかつゝいてりたいほどな、人柄ひとがらなもので。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
崖腹がいふくにある二箇所の停車場ステエシヨンには赤布せきふを頭に巻いた印度インド巡査が黙つて白い眼を光らせながらつゝ立つて居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
演壇の上には尾崎行雄氏が衝立つゝたつて、物におびえた魚のやうな表情をしてゐる。議場は蜂の巣をつゝついたやうな騒ぎだ。大臣席には寺内伯の尖つた頭がてか/\光つてゐる。
したに、火箸ひばしさきつゝいた、きずがポツツリえる、トたしかおぼえてわすれぬ、瓜井戸うりゐど宿しゆくはづれで、飯屋めしや縁側えんがはしたから畜生ちくしやうを、煙管きせる雁首がんくびでくらはしたのが、ちやうおなひだりした
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
博士はそのをり鯛の塩焼をつゝついてゐたが、吃驚びつくりして箸を持つた儘女中の顔を見た。女中は笑つたら所得税でも掛るやうに、両手を膝の上に重ねて、ちやんと済ましてゐる。
三百にんばかり、山手やまてから黒煙くろけぶりげて、羽蟻はありのやうに渦卷うづまいてた、黒人くろんぼやり石突いしづきで、はまたふれて、呻吟うめなや一人々々ひとり/\が、どうはらこし、コツ/\とつゝかれて、生死いきしにためされながら
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
兄弟の一人にどうかすると Marion のこの性質をなぐさみにして、何かの拍子に彼をつゝついては怒らせてみようとするのがありました。その度に彼の気象は爆発しました。
それつゝかけに夜昼よるひるかけて此処こゝまでたなら、まだ/\仕事しごと手前てまへやまにもみづにも言訳いひわけがあるのに……彼方あつち二晩ふたばん此方こつち三晩みばんとまとまりの道草みちくさで、——はなにはくれなゐつきにはしろく、処々ところ/″\温泉をんせん
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
女はきい/\した声でつゝかゝつて来た。露西亜の労働者はうめくやうに言つた。
コツ/\、すみ火箸ひばしつゝいてたつけ、はつとめて、ひとまたゝいて
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
はりのやうなきのこ洒落しやれつゝいたのであらうとおもつて、もう一度いちどぶるひすると同時どうじに、うやらきのこが、ひとつづゝ芥子けしほどのいて、ぺろりとしたして、店賃たなちん安値やすいのを嘲笑あざわらつてたやうで
くさびら (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
子供はわざと戯けたやうに、指先で和尚をつゝつく真似をした。
わたしがいふと、同伴つれ蝙蝠傘かうもりがさのさきで爪皮つまかはつゝきながら
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
はしさきつゝいて
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)