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由縁
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ゆかり
ふりがな文庫
“
由縁
(
ゆかり
)” の例文
一度左近が兵衛らしい
梵論子
(
ぼろんじ
)
の姿に目をつけて、いろいろ探りを入れて見たが、結局何の
由縁
(
ゆかり
)
もない他人だと云う事が明かになった。
或敵打の話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「あまり、有難くもないだろうが、死者の
由縁
(
ゆかり
)
の者が来たら、
言伝
(
ことづけ
)
てくれ。——逃げ隠れはせぬ、いつでも、御挨拶はうけるとな」
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「さっき名のった言葉によれば、日本全国六十余州に、散在している陰陽師の司、中御門中納言の
由縁
(
ゆかり
)
の者、山尾とか申す女の由……」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
殊
(
こと
)
に殿下は一切智者にして慧海の入国を寛大に
看過
(
かんか
)
し、しかして私にその秘密の教えを授けられたのはそもそも
由縁
(
ゆかり
)
ある事でございましょう。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
それがどうして長い眠りから醒めて、なんの
由縁
(
ゆかり
)
もない後住者の子孫を
蠱惑
(
こわく
)
しようと試みたのか、それは永久の謎である。
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
だが、エリザベスの場合では、じつは神経状態にある特殊な
由縁
(
ゆかり
)
があって、そのために彼女の性的組織の病状は、重態を示すものだったのである。
エリザベスとエセックス
(新字新仮名)
/
リットン・ストレイチー
(著)
もしや、過ぎし曲者の
由縁
(
ゆかり
)
の者にて、
仇
(
あだ
)
を報ぜんとするのでは有るまいか。油断のならぬと気着いた時に、ぞっとした。
怪異黒姫おろし
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
多くの書生客の中にても、誠に我が注意を惹きしは、その頃大学予備門に通ひゐたまひし浅木
由縁
(
ゆかり
)
といへる人なりき。
葛のうら葉
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
元は己と
由縁
(
ゆかり
)
のあるものと分ったから、命が助かった替りに金を向うへ遣り、其の時貰って来たのが此処に居る多助よ
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
昔の友といふ中にもこれは忘られぬ
由縁
(
ゆかり
)
のある人、小川町の高坂とて小奇麗な烟草屋の一人息子、今は此樣に色も黒く見られぬ男になつては居れども
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「サン、カルロ」座なる數千の客は我に何の
由縁
(
ゆかり
)
もなきに、口を
齊
(
ひとし
)
うして喝采したり、われは惠深き君の我喜を分ち給はんことを
忖
(
はか
)
りしにと答へたり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
昨年であつたか岩崎某がその友人である大学生の某を誤つて
撃殺
(
うちころ
)
したといふことを聞いた時に、縁も
由縁
(
ゆかり
)
もない人であるけれど余は不愉快で
堪
(
たま
)
らなかつた。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
その時はこねくられたとも何とも、進退
谷
(
きわ
)
まり大騒ぎになって、
夫
(
そ
)
れから
玉造
(
たまつくり
)
の与力に少し
由縁
(
ゆかり
)
を得て、ソレに
泣付
(
なきつい
)
て
内済
(
ないさい
)
を
頼
(
たのん
)
で、ヤット無事に収まった。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
前年自分が弁護した
由縁
(
ゆかり
)
で引き取って此の屋敷へ埋めたと云う事を其の頃の新聞で読んだ事が有る、其の様な汚らわしい者の墓へ此の美人が参詣とは是も怪だ。
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
冠木門の内にも、生垣の内にも、師匠が背戸にも、春は紫の
簾
(
すだれ
)
をかけて、
由縁
(
ゆかり
)
の色は
濃
(
こまや
)
かながら、近きあたりの藤坂に対して、これを藤横町ともいわなかったに。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
こんなことはわたくしとしては申し上げ
悪
(
にく
)
いことですけれど、いまわたくしの所に近江からいささか
由縁
(
ゆかり
)
のありますものの御子息が上京せられて来ておられますが
曠野
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
………『今は野沢の一つ水、澄まぬ心の主にもしばし、すむは
由縁
(
ゆかり
)
の月の影、忍びてうつす窓の内』………それからあとが『広い世界に住みながら』となるんだが
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
わたしは此墓に
由縁
(
ゆかり
)
は無いが、少しわけがあつて詣つたのだ。どうぞ
綫香
(
せんかう
)
と華とを上げておくれ。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
「あたくしたち、夜直でおそくなって、月の光をたよりに帰ってきますと、ジャングルの奥から「
由縁
(
ゆかり
)
」なんかきこえてきますと、なんともいえない気持がいたしましたわ」
黄泉から
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
なんの
由縁
(
ゆかり
)
もない土地を、お嬶っさまや息子を連れて来て、これが俺らほの山だ、これが俺ら方の土地だって、あたりめえの顔で見て廻って……法律上の事を云ふんぢゃない……。
夏蚕時
(新字旧仮名)
/
金田千鶴
(著)
上月の夜に
小菜
(
こな
)
の汁に米の飯、べんけいさんは理想が小さい。ねえ、それなのに、私はべんけいさんの理想も途方もないぜいたくに思ってます。他人さまとは縁も
由縁
(
ゆかり
)
もないのよ。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
見て非人共は
耳語
(
さゝやき
)
合
(
あひ
)
何と彼の
座頭
(
ざとう
)
は幸手の富右衞門とやらの
由縁
(
ゆかり
)
の人と見えるが
何
(
どう
)
だ少しでも
酒代
(
さかて
)
を
貰
(
もら
)
つて
首
(
くび
)
を
遣
(
やら
)
うではないかと相談なしモシ/\
御座頭
(
おざとう
)
さん高くは云れねへが首を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
江戸の
町住居
(
まちずまい
)
をしたとき、通りがかりの若衆が同じ定紋を付けているのを見て、すわや敵の縁者とばかり、後をつけて行って、彼が敵とは縁も
由縁
(
ゆかり
)
もない、旗本の三男であることを
仇討三態
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
仲人親
(
なこうどおや
)
という位、若くしてこの世を早くした妹
御
(
ご
)
のためにも何かと
由縁
(
ゆかり
)
があるよう感じまして、右の義を師匠に話しますと、それは好い人を見つけた、早速頼むがよかろうというので
幕末維新懐古談:23 家内を貰った頃のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
この坊さんもそんなような前身で、大崎の下邸には
由縁
(
ゆかり
)
のお墓もあるといった。
旧聞日本橋:18 神田附木店
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
切
(
せ
)
めては
世間並
(
せけんなみ
)
の
真人間
(
まにんげん
)
にしなければ沼南の
高誼
(
こうぎ
)
に対して済まぬから、年長者の義務としても門生でも何でもなくても日頃親しく出入する
由縁
(
ゆかり
)
から十分訓誡して目を覚まさしてやろうと思い
三十年前の島田沼南
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「それ程にして戴かなくたって
可
(
い
)
いんですよ。あの人達は、親だか子だか、私なぞ何とも思っていませんよ。
生家
(
さと
)
は
生家
(
さと
)
で、縁も
由縁
(
ゆかり
)
もない家ですからね」お島はそう言いながら、
従
(
つ
)
いて行った。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
夫
(
つま
)
も
子
(
こ
)
も
冥途
(
めいど
)
にさきだて
独
(
ひと
)
り
跡
(
あと
)
にのこり、かそけき
烟
(
けふ
)
りさへ立かねたれば、これよりちかき
五十嵐村
(
いがらしむら
)
に
由縁
(
ゆかり
)
の
者
(
もの
)
あるゆゑ
助
(
たす
)
けを
乞
(
こは
)
んとてこの橋をわたりかゝり、あやまちて水に入り
溺死
(
おぼれしゝ
)
たるもの也
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
敵こそ違え、
測
(
はか
)
るに光秀の胸には、こここそは足利氏が室町十数代の基をなした発足の地という
由縁
(
ゆかり
)
をかならず想起していたであろう。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そうではない。縁も
由縁
(
ゆかり
)
もない我らを、このように歓待してくれながら、主人が顔を出さぬのは不都合……いや、解せぬというのじゃ」
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
昔
(
むかし
)
の
友
(
とも
)
といふ
中
(
うち
)
にもこれは
忘
(
わす
)
られぬ
由縁
(
ゆかり
)
のある
人
(
ひと
)
、
小川町
(
をがはまち
)
の
高坂
(
かうさか
)
とて
小奇麗
(
こぎれい
)
な
烟草屋
(
たばこや
)
の
一人息子
(
ひとりむすこ
)
、
今
(
いま
)
は
此樣
(
このやう
)
に
色
(
いろ
)
も
黒
(
くろ
)
く
見
(
み
)
られぬ
男
(
をとこ
)
になつては
居
(
ゐ
)
れども
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
こう云えば、まず大抵は想像が付くでしょうが、長崎の祭りを恋しがった全真という納所は、お鎌の夫婦に
由縁
(
ゆかり
)
のある者で、実はお鎌の甥にあたるんです。
半七捕物帳:46 十五夜御用心
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
すると寺の本堂に、意外にも左近と平太郎との俗名を記した
位牌
(
いはい
)
があった。喜三郎は仏事が終ってから、
何気
(
なにげ
)
ない風を
装
(
よそお
)
って、
所化
(
しょけ
)
にその位牌の
由縁
(
ゆかり
)
を尋ねた。
或敵打の話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
彼は縁も
由縁
(
ゆかり
)
も無き
蝙蝠
(
こうもり
)
傘屋に入らんとす「君
夫
(
それ
)
は門違いで無いか」と殆ど余の
唇頭
(
くちびる
)
まで
出
(
いで
)
たれど
茲
(
こゝ
)
が目科の
誡
(
いまし
)
めたる主意ならんと思い返して無言の
儘
(
まゝ
)
に従い入るに
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
後に
舞
(
ま
)
いの
件
(
くだり
)
になって、「げに
耻
(
はず
)
かしや我ながら、昔忘れぬ心とて、………今
三吉野
(
みよしの
)
の河の名の、菜摘の女と思うなよ」などとあるから、菜摘の地が静に
由縁
(
ゆかり
)
のあることは
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
分てお
貰
(
もら
)
ひ申さにやならぬと
血眼
(
ちまなこ
)
になりて申にぞ安五郎は
當惑
(
たうわく
)
なし我等とても段々の
不仕合
(
ふしあはせ
)
折角
(
せつかく
)
連退
(
つれのい
)
たる白妙には
死別
(
しにわか
)
れ今は
浮世
(
うきよ
)
に
望
(
のぞ
)
みもなければ
信州
(
しんしう
)
の
由縁
(
ゆかり
)
の者を頼み
出家
(
しゆつけ
)
遁世
(
とんせい
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
青年に、
由縁
(
ゆかり
)
のある人を物色すれば、時計を返すべき持主も、案外容易に、見当が付くに
違
(
ちがひ
)
ない。否、少くとも瑠璃子と云ふ女
丈
(
だけ
)
は、容易に見出し得るに
違
(
ちがひ
)
ない、信一郎はさう考へた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
ソコで私がこの藩主に
向
(
むかっ
)
て大に談じられる
由縁
(
ゆかり
)
のあると
云
(
い
)
うのは、その藩主と云う者は
伊達
(
だて
)
家の分家
宇和島
(
うわじま
)
藩から養子に来た人で、前年養子になると云うその時に、私が
与
(
あずかっ
)
て
大
(
おおい
)
に力がある
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
むかしおとこありけるという好男子に
由縁
(
ゆかり
)
ありはらの
業平文治
(
なりひらぶんじ
)
がお話はいざ言問わんまでもなく
鄙
(
ひな
)
にも知られ都鳥の其の名に高く
隅田川
(
すみだがわ
)
月雪花
(
つきゆきはな
)
の
三
(
み
)
つに遊ぶ
圓朝
(
えんちょう
)
ぬしが人情かしら
有為転変
(
ういてんぺん
)
の世の
態
(
さま
)
を
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
殉死する本人や親兄弟妻子は言うまでもなく、なんの
由縁
(
ゆかり
)
もないものでも、京都から来るお針医と江戸から下る御上使との接待の用意なんぞはうわの空でしていて、ただ殉死のことばかり思っている。
阿部一族
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
由縁
(
ゆかり
)
なき人のをかしと聞き給ふべき筋の事にはあらぬをといふ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
前刻
(
さつき
)
の
今
(
いま
)
で、
桔梗
(
ききやう
)
は
星
(
ほし
)
の
紫
(
むらさき
)
の
由縁
(
ゆかり
)
であらう。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
武蔵という国は承知でもあろうが、源氏にとっては
由縁
(
ゆかり
)
の深い土地だ。源氏の発祥地ともいうべき土地だ。ここから源氏の諸豪族が起こった。
剣侠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
いま京都に家を持っているが、海北友松は、
江州
(
ごうしゅう
)
堅田
(
かただ
)
の人。つまり光秀の領する坂本城の近くに生まれた
由縁
(
ゆかり
)
をもっている。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
昔の友といふ中にもこれは忘られぬ
由縁
(
ゆかり
)
のある人、小川町の高坂とて小奇麗な
烟草屋
(
たばこや
)
の一人息子、今はこの様に色も黒く見られぬ男になつてはゐれども
十三夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
青年に、
由縁
(
ゆかり
)
のある人を物色すれば、時計を返すべき持主も、案外容易に、見当が付くに
違
(
ちがい
)
ない。
否
(
いな
)
、少くとも瑠璃子と云う女
丈
(
だけ
)
は、容易に
見出
(
みいだ
)
し得るに
違
(
ちがい
)
ない、信一郎はそう考えた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
又それを仕損じて、どのような怖ろしい罪科に陥ちようとも、しょせんはお師匠さまの
自業自得
(
じごうじとく
)
じゃ。わたしはお前のお師匠さまに恨みこそあれ、恩もない、義理もない、
由縁
(
ゆかり
)
もない。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
勿論それはあの神下しの婆なぞとは何の
由縁
(
ゆかり
)
もない人物だったのには相違ありませんが、その視線を浴びると同時に、新蔵はたちまちお島婆さんの青んぶくれの顔を思い出しましたから
妖婆
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「ア、コヽニアノ爺サンノ墓ガアッタッケナ」ト、通リスガリニ立チ寄ッテ線香ノ一本モ手向ケテクレル。江戸ッ子ニ一向
由縁
(
ゆかり
)
ノナイ北多摩郡ノ多磨墓地ナンゾニ葬ムラレルヨリ遥カニ優シダ。
瘋癲老人日記
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
百姓・町人は
由縁
(
ゆかり
)
もなき士族へ平身低頭し、外にありては路を避け、内にありて席を譲り、はなはだしきは自分の家に飼いたる馬にも乗られぬほどの不便利を受けたるはけしからぬことならずや。
学問のすすめ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
“由縁”の意味
《名詞》
(context、dated)関係。ゆかり。
由来。由緒。わけ。
(出典:Wiktionary)
由
常用漢字
小3
部首:⽥
5画
縁
常用漢字
中学
部首:⽷
15画
“由”で始まる語句
由
由緒
由々
由来
由良
由利
由井
由旬
由比
由井正雪