さう)” の例文
これは此市このまちで一番人の目に立つ雄大な二階立の白堊館、我が懷かしき母校である。盛岡中學校である。巨人? さうだ、たしかに巨人だ。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
おそかなおのれより三歳みつわか山田やまだすで竪琴草子たてごとざうしなる一篇いつぺんつゞつて、とうからあたへつ者であつたのは奈何どうです、さうふ物を書いたから
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ヂュリ ほんにさうもあらうか、わたしものではないゆゑ。……(ロレンスに)御坊樣ごぼうさまいまひまでござりますか、あらためてばんのお祈祷頃いのりごろまゐりませうか?
知られる樣になる斯の如くして馴染なじみが出來るとくづを買求かひもとめらるゝなりさうさへすると先々で何時いつものくづ屋さんがきたから最早申刻なゝつどきならん夕膳ゆふぜんの支度を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
さうでせう。』と、かれほそめてふた。『貴方あなただの、貴方あなた補助者ほじよしやのニキタなどのやうな、然云さうい人間にんげんには、未來みらいなどはなんえうわけです。 ...
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
さうかとおもふと、其青年そのせいねん高等商業かうとうしやうげふ生徒せいとらしく、実業界じつげふかいはねのばさうと前途ぜんと抱負はうふなども微見ほのめかしてある。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
わし其時分そのじぶん果敢はかないもので、さう天氣てんきふねるのは、じつあしはうであつたが。出家しゆつけ生命いのちをしむかと、ひとおもはくもはづかしくて、怯氣々々びく/\もので乘込のりこみましたぢや。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
さううしてみのるに面會してくれた。「あれは確に藝術品になつてゐます。いゝ作です。」
木乃伊の口紅 (旧字旧仮名) / 田村俊子(著)
若し又我には命じたまはず源太に任すと定めたまひしを我にことわるため招ばれしか、さうにもあらば何とせん、浮むよしなき埋れ木の我が身の末に花咲かむ頼みも永く無くなるべし
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
たけ何卒どうぞ一方かた/\でもいからけてくれ、どうかエさうして薄くも見えるやうにしてれとふから、わたし医者いしやぢやアなし、おまへけやうはないが、夫程それほどに思ふならさだめし口惜くやしかつたらう
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
これはこので一番人の目に立つ雄大な二階立にかいだち白堊館はくあかん、我が懐かしき母校である。盛岡中学校である。巨人? さうだ、慥かに巨人だ。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
故意わざと重四郎は氣の付ぬふりにて夫は願つても無い僥倖さいはひさういふ口なら金の百兩ぐらゐどうともして才覺さいかく致しますなんと御世話を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
『何だね此人は。さう云ふお前は何だえ。』とお山は憎さげにお大の顏を見詰めて、『今日は酒にでも醉つてるんぢやないかい。可厭いやに人に突かゝるぢやないか。 ...
絶望 (旧字旧仮名) / 徳田秋声(著)
さうしてちながら、外國ぐわいこくや、露西亞ロシヤ新聞しんぶん雜誌ざつしいてあるめづらしいこと現今げんこん恁云かうい思想しさう潮流てうりうみとめられるとかとはなしすゝめたが、イワン、デミトリチはすこぶ注意ちゆういしていてゐた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
さうぢや、さうぢや、はあさうぢや。はあさうぢや。」と、馬鹿囃子ばかばやしうかれたやうに、よいとこまかして、によいと突立つツたち、うでいた小兒こどもむねへ、最一もひとおとがひおさへにくと、いきほひ必然ひつぜんとして
銭湯 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さうだ、今自分の立つて居る處は、慥かに『原頭げんとう』である。自分はまだ、一分も、一厘も、此大問題の解決に歩を進めて居らぬのだ。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
凜々りゝしくたいして如何にも立派なる武士さぶらひ出立いでたちたりしかば是はと驚きさう云事いふことなら是非に及ばずと云直いひなほし早々此家を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
まちではもういたところ死骸しがいのことゝ、下手人げしゆにん噂計うはさばかり、イワン、デミトリチは自分じぶんころしたとおもはれはぬかと、またしてもではなく、とほりあるきながらもさうおもはれまいと微笑びせうしながらつたり
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
さうだ、今自分の立つて居る処は、たしかに『原頭』である。自分はまだ、一分も、一厘も、此大問題の解決に歩を進めて居らぬのだ。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
『僕もさうだよ。日頃はこれでも仲々意氣の盛んな方なんだが、昨夜君と逢ツてからといふもの、どうしたもんか意氣地の無い事を謂ひたくなる。』
漂泊 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
だから僕の所謂いはゆる改造なんていふ漸進主義は、まだるツこく効果ききめが無いのかも知れんね。僕も時々さう思ふ事があるよ。
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
対手は唯『さうですか。』と謂ツただけで、別に引留めやうともせぬので、彼は聊か心を安んじたらしく、曇ツて日の見えぬ空を一寸背身そりみになツて見乍ら
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
若しさうとすると、それは一種の虚僞である。此莊嚴な、金色燦然たる境地に、何で一點たりとも虚僞の陰影の潜むことが出來よう。自分は、さうでないと信ずる。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
それに今朝親父おやぢさう言つてましたから、先刻話した校長の所へ、これから𢌞つて見ようかと思ふんです。
漂泊 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
それに今朝父親おやぢさう言ツてましたから、先刻さつき話した校長の所へ、これから廻ツて見ようかとおもふんです。
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
さうだ。僕が四月の初めに辭表を出した時、村教育の前途を奈何いかんと謂ツて、涙を揮ツて留めたのも彼。それならばといツて僕の提出した條件に、先づ第一に賛成したのも彼。
漂泊 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
土曜日? おゝさうであつた。学校教員は誰しも土曜日の来るを指折り数へて待たぬものがない。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
……アノ小母さん、兎も角今のお家の事情を詳しくさう言つて上げた方がかなくつて? 被行いらつしやる方がいいと、マア私だけは思ふわ。だけどどうせ今直ぐとはいかないんですから。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
さううでしたか』
病院の窓 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)