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だま
ふりがな文庫
“
欺
(
だま
)” の例文
欺
(
だま
)
されたとは思いませんでしたが、その時始めて小田切さんの姿、いや、男の人というものの真の姿を見たような気がいたしました。
情鬼
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
此凄まじい日に照付られて、一滴水も飲まなければ、
咽喉
(
のど
)
の
炎
(
も
)
えるを
欺
(
だま
)
す
手段
(
てだて
)
なく
剰
(
あまつ
)
さえ
死人
(
しびと
)
の
臭
(
かざ
)
が
腐付
(
くさりつ
)
いて
此方
(
こちら
)
の体も
壊出
(
くずれだ
)
しそう。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
この混ぜ方が少しむずかしいので、パラパラと振りかけておいて、今のササラか
箸
(
はし
)
で極く軽く
柔
(
やわらか
)
にホンの
欺
(
だま
)
すような
心持
(
こころもち
)
で混ぜます。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
事によると Invitation au Voyage の曲も、この沼の精が
悪戯
(
いたづら
)
に、おれの耳を
欺
(
だま
)
してゐたのかも知れない。
沼
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その細心いたらざるなき注意と、事件にあたってまず周囲の人を完全に
欺
(
だま
)
す俳優的技能とは、まさに前古
未曽有
(
みぞう
)
のものといわれている。
浴槽の花嫁
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
▼ もっと見る
いくら自堕落に身を持ち崩しても、彼は決して腹からの悪人ではなかった。八橋が思うように、ひとを
欺
(
だま
)
して平気ではいられなかった。
籠釣瓶
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「保羅さん、いまいろいろ、うかがっていたところよ。あたしを
欺
(
だま
)
してこんなところへ連れて来て、いったい、どうなさるおつもり?」
キャラコさん:05 鴎
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
四月馬鹿の日とは
此日
(
このひ
)
である。此日は嘘をついて人を
欺
(
だま
)
しても構わない日である。正月からクリスマスよりも此日が待遠しかった。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
お繼を
欺
(
だま
)
して共に打殺し、私と一緒に逃げ延びて遠い処へ身を隠すか、
否
(
いや
)
じゃアと云えば
弐心
(
ふたごゝろ
)
じゃア、お前も打殺さなければならん
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ただ、相手に
白刃
(
はくじん
)
があることだが、何とか
欺
(
だま
)
して取り上げる
工夫
(
くふう
)
はないかしら?——気違いに刃物、これほど危いものはない。待てよ。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
欺
(
だま
)
し討になし其金を
奪
(
うば
)
ひ
取
(
とり
)
夫
(
それ
)
而已成
(
のみなら
)
ず文妹富を
欺
(
あざむ
)
きて遊女に賣渡し同人の身の代金三十兩を
掠
(
かす
)
め
取
(
とり
)
其後十兵衞
後家
(
ごけ
)
安
(
やす
)
を己れが惡事
露顯
(
ろけん
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
御飯も
碌
(
ろく
)
に召し上らない事が多かったと聞いていましたから、近所の人や、お客様を
欺
(
だま
)
すのには、ホントに都合がよかったのです。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
牝牛を買いたく思う百姓は
去
(
い
)
って見たり来て見たり、容易に決心する事ができないで、絶えず
欺
(
だま
)
されはしないかと惑いつ
懼
(
おそ
)
れつ
糸くず
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
侯爵に
欺
(
だま
)
されたもんで、王様が泣いたというところがね。……でも侯爵はただ、皇子のためを計って王様を欺しただけなんだぜ。
トニオ・クレエゲル
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
農民二(ややあって)「いま、もぐり歯医者でも
懲役
(
ちょうえき
)
になるもの、人
欺
(
だま
)
して、こったなごとしてそれで通るづ筈なぃがべじゃ。」
植物医師:郷土喜劇
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
お前はわたしに
欺
(
だま
)
されたと言うか言わない時に、一番
端
(
はし
)
に伏していた
鰐
(
わに
)
がわたくしを
捕
(
つかま
)
えてすつかり
着物
(
きもの
)
を
剥
(
は
)
いでしまいました。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
そいつにすっかり
欺
(
だま
)
されてしまって、私子供を
孕
(
はら
)
んでしまったの。そいつの子供だってことは、ちゃんと判っていたから云ってやったわ。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
巧
(
うま
)
い工合にお
欺
(
だま
)
しなされましたので、殿様も
俄
(
にわ
)
かにお笑いなされ、それならよし/\と仰っしゃって、事なく済んだと申します。
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
欺
(
だま
)
すに事を欠いて、涙をもって男の情をほだし、義をかりて武士の
心胆
(
しんたん
)
をあざむき去った滝川三郎兵衛を討ってその首を見ることである。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「よし、相談があるなら、往ってもいいが、長くはいけないぞ、それに俺だちを
欺
(
だま
)
しといて、警察なんかに云いつけたら、承知しないぞ」
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
『御医者様が
入来
(
いら
)
ッしゃるとお水を下さる』そんなこと言って
欺
(
だま
)
しましたら、
漸
(
ようや
)
くそれで
温順
(
おとな
)
しく成ったところなんですよ……
芽生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
今夜、午前三時、俺の中止命令がなければ俺の部下二名が、貴様の親父の室へ入り、言葉で
欺
(
だま
)
すか、力ずくでやるか、どちらにしても親父を
奇巌城:アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
ラランのやつに
欺
(
だま
)
されたと
気
(
き
)
づいても、
可哀
(
かあい
)
さうなペンペはその
抉
(
えぐ
)
られた
両方
(
りやうほう
)
の
眼
(
め
)
から
血
(
ち
)
を
滴
(
したた
)
らすばかりだつた。もうラランの
名
(
な
)
も
呼
(
よ
)
ばない。
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
どう云ふものか急に暮し向きが思はしくなくなつて——詰り古賀さんがあまり御人が
好
(
よ
)
過ぎるけれ、御
欺
(
だま
)
されたんぞなもし。
坊っちやん
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
おさよさんが自分を可愛がるのは真実に可愛がるので決して
欺
(
だま
)
すのじゃあないとこういう風に考えていたのでございます。
女難
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
匂いというものは、感覚的なものと精神的なものとを一緒にした一種の要素ですから、時どき、こういうふうにわれわれは
欺
(
だま
)
されやすいのです。
世界怪談名作集:08 ラッパチーニの娘 アウペパンの作から
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
「へえへえ、恐れ入りました」、と
莞爾
(
にっこり
)
して、「じゃ、
尋常
(
ただ
)
のでも
好
(
い
)
いから、
屹度
(
きっと
)
よ。ねえ、
阿母
(
かあ
)
さん、
欺
(
だま
)
しちゃ厭よ。」
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
だけど私、
過日
(
このあひだ
)
でモウ皆に笑はれて、
懲々
(
こり/\
)
してるんですもの。ぢや
施
(
か
)
けて下さいつて、
欺
(
だま
)
して逃げて來たもんだから、野村さんに追驅けられたのよ
病院の窓
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「大隅さんは、あんなことをして罰が当らないでしょうか、坊主を
欺
(
だま
)
すと七代
祟
(
たた
)
るということだから、
後生
(
ごしょう
)
が怖ろしい」
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
パリス
欺
(
だま
)
されて、
中
(
なか
)
を
裂
(
さ
)
かれて、
侮辱
(
ぶじょく
)
されて、
賤蔑
(
さげす
)
まれて、
殺
(
ころ
)
されてしまうたのぢゃ。
憎
(
にく
)
い
死神
(
しにがみ
)
めに
欺
(
だま
)
されたのぢゃ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
これは城内の洞窟内で発見したものだというて、主人を
欺
(
だま
)
そうとした。小さな歯車はダイヤモンドを彫る道具である。
作男・ゴーの名誉
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
彼は白人を三通りに区別していた。「余を少しく
欺
(
だま
)
した者」「余を相当に欺した者」「余を余りにも
酷
(
ひど
)
く欺した者」。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「そんなに着物を
被
(
き
)
たつて
欺
(
だま
)
されるもんかい。」売子は相手を見上げながら、べそを掻き/\言つた。「たつた今骸骨の所を見ちやつたんだもの。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
欺
(
だま
)
される人は、
招牌
(
かんばん
)
見ないで店に飛び
込
(
こ
)
むようなもので、商品が違っていたら、それは自分が悪かったのであります。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
人を
欺
(
だま
)
いて
可惜
(
あたら
)
しき若き命をむざむざと枯木の如く
朽
(
く
)
ちさす教……(やうやう夢幻的になり)
某
(
それがし
)
在家の折柄は蝴蝶は花に舞ひ戯れ、鳥が歌へばわが心
南蛮寺門前
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
伝平は、それほど愚鈍なのではなかったが、馬のためには
欺
(
だま
)
されてやる寛大な善良と狡猾を持っているのだった。
馬
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
さればお客に対しても悪く物を
強請
(
ねだ
)
ったり、故意にたくらんで
欺
(
だま
)
すような悪辣な処は少しもなかった。その代り無責任の事はまた想像意外といってもよい。
夏すがた
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「それで、私にあの娘をおしつけたおつもりなら、大間違いですよ。私は泥棒にあったのだ、
欺
(
だま
)
されたんだ。あの娘は、おもてに追い出してやるばかりだ。」
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
やッぱりそうだッた、私しゃ
欺
(
だま
)
されたのだと思うと、悲しい中にまた悲しくなッて涙が止らなくなッて来る。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
「
不可
(
いけな
)
いよ。貢さんは何でもほんとにするから
欺
(
だま
)
されるんだよ。この
賑
(
にぎや
)
かなのに、何だってまた野衾なんかが出るものかね。嘘だよ、綺麗な野衾だから結構さ。」
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
帰って来たH教授の話では、どうもこの話には何か政治的の陰影があるらしく、承知の上でやっていることか、
欺
(
だま
)
されているのかよく分らないということであった。
千里眼その他
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
このままでは物足りない。
欺
(
だま
)
されでもしたようにあっけない。駈けつけてみようかしらと思うけれど、考えると、その伴れに来た人間に顔を見られるのが厭である。
千鳥
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
ちょっとラサ府へでも行って何か西洋小間物の奇態な物でも見付け出して買って来ると、
其品
(
それ
)
を寺へ持帰ってほかの小僧を
欺
(
だま
)
かして売るとかほかの物と取換えるです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
区長さんのところから、出征軍人の遺族扶助米として、月に二三度届けてくれる僅かの米袋を見るたびに、母は何かに
欺
(
だま
)
されたもののように
怒
(
いか
)
って、米袋を投げつけた。
戦争雑記
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
それでも、なんだか少し
欺
(
だま
)
されたような気がしたのは、存外自分ばかりではないだろうと思った。
雑記(Ⅱ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
このわしをそんな手で
欺
(
だま
)
そうとするのは、
浅墓
(
あさはか
)
だよ。わしは何もかも知っているのだ。若し罪がないものなら、なぜ逃げ隠れをするのだ。それも普通の逃げ方ではない。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
職務
(
しよくむ
)
を
取
(
と
)
るのは
前
(
まへ
)
にも
不好
(
いや
)
であつたが、
今
(
いま
)
は
猶
(
なほ
)
一
層
(
そう
)
不好
(
いや
)
で
堪
(
たま
)
らぬ、と
云
(
い
)
ふのは、
人
(
ひと
)
が
何時
(
いつ
)
自分
(
じぶん
)
を
欺
(
だま
)
して、
隱
(
かくし
)
にでも
密
(
そつ
)
と
賄賂
(
わいろ
)
を
突込
(
つきこ
)
みは
爲
(
せ
)
ぬか、
其
(
そ
)
れを
訴
(
うつた
)
へられでも
爲
(
せ
)
ぬか
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
型を押したやうな父の週末の帰宅は、蘆屋で病院を経営するかたはら、大阪の大学病院へも出て忙しいためだとの母親の言葉は、
尤
(
もつと
)
もらしかつたが、修一は
欺
(
だま
)
されなかつた。
六白金星
(新字旧仮名)
/
織田作之助
(著)
役侍のくせに悪党働きやがって、人をこんなに
欺
(
だま
)
し斬りしやがるんだから猫ッかむりなんです。おお痛え! 畜生ッ、くやしいんだッ、人を欺しやがって、くやしいんだッ。
旗本退屈男:04 第四話 京へ上った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「それで、よしと言って、お前に隠れ蓑を返してしまったら、それ切りお前が
逃
(
に
)
げてしまって、帰って来なければそれ
迄
(
まで
)
じゃないか? そんなことで俺を
欺
(
だま
)
そうとしたって……」
蕗の下の神様
(新字新仮名)
/
宇野浩二
(著)
欺
常用漢字
中学
部首:⽋
12画
“欺”を含む語句
詐欺
欺騙
詐欺師
欺罔
欺瞞
欺誑
虚欺
詐欺賭博
欺瞞者
欺撃
欺討
欺詐
詐欺漢
詐欺物
被欺
野天詐欺
詐欺的
自己欺瞞
詐欺罪
素人欺瞞
...