ぬま
おれは沼のほとりを歩いてゐる。 昼か、夜か、それもおれにはわからない。唯、どこかで蒼鷺の啼く声がしたと思つたら、蔦葛に掩はれた木々の梢に、薄明りの仄めく空が見えた。 沼にはおれの丈よりも高い芦が、ひつそりと水面をとざしてゐる。水も動かない。 …