トップ
>
択
>
えら
ふりがな文庫
“
択
(
えら
)” の例文
旧字:
擇
この種の催しにどうして「千本桜」のようなものを
択
(
えら
)
んだのか知らないが、おそらくは菊五郎の出し物として選定されたのであろう。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ジサ女、年中何の月にも属せず、太陽天に
停
(
とど
)
まって動かぬと信ぜらるる日を
択
(
えら
)
び、身に
罟
(
あみ
)
を
被
(
おお
)
ったのみ故、裸とも著衣とも言えぬ。
十二支考:06 羊に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
この組織は、倭宮廷にも
備
(
そなわ
)
っていた。神主なる天子の下に、神に接近して生活する
斎女王
(
いつきのみこ
)
といふ高級巫女が、天子の近親から
択
(
えら
)
ばれた。
最古日本の女性生活の根柢
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
「あたりまえよ。男の子だもの、あれでもフットボールの選手だもの。ボーイフレンドなら、もっとらしい気の
利
(
き
)
いたのを
択
(
えら
)
びますよ」
愉快な教室
(新字新仮名)
/
佐藤春夫
(著)
第十五条
怨
(
うらみ
)
を構へ
仇
(
あだ
)
を報ずるは、野蛮の陋習にして卑劣の行為なり。恥辱を
雪
(
そそ
)
ぎ名誉を全うするには、
須
(
すべか
)
らく公明の手段を
択
(
えら
)
むべし。
修身要領
(新字旧仮名)
/
福沢諭吉
、
慶應義塾
(著)
▼ もっと見る
分りかねるならば、
択
(
えら
)
んで行く途なし。さらばやはりみんな買って行こうとすると、これだけ
嵩
(
かさ
)
ばったものを
到底
(
とうてい
)
持ち出しかねる。
共軛回転弾:――金博士シリーズ・11――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
サア何方を
択
(
えら
)
びますか、敢て私から何方にせよと勧める訳ではない、唯貴方の随意の一言を聞けば好いのです、応ですか、否ですか
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
佳子としても結局あなた方の中から一番信頼に値すると思う人を
択
(
えら
)
ぶことになります。私共両親は決して奇を
衒
(
てら
)
うものではありません。
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
割合楽に席の取れそうな
片隅
(
かたすみ
)
を
択
(
えら
)
んで、差し向いに腰をおろした二人は、通した注文の来る間、多少物珍らしそうな眼を
周囲
(
あたり
)
へ向けた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
病人の食物を
択
(
えら
)
ぶ事は医師の指図を受けなければなりませんが択んだ食物を料理する方法は各人が自ら研究しなければなりません。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
信仰の行者を除くの外、昼も人跡
罕
(
まれ
)
なれば、夜に入りては
殆
(
ほとん
)
ど
近
(
ちかづ
)
くものもあらざるなり。その物凄き夜を
択
(
えら
)
びて予は
故
(
ことさ
)
らに黒壁に赴けり。
黒壁
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そうした相手のどっちか一人を
択
(
えら
)
んで田舎に落ち着いたものか、もう一度上京して創作生活に入ったものかと彼に判断を求めた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
お福はよく
上
(
あが
)
り
端
(
はな
)
の壁の側や物置部屋の風通しの好いところを
択
(
えら
)
んで、
独
(
ひと
)
りで
読書
(
よみかき
)
するという風であったが、
何処
(
どこ
)
にも姿が見えなかった。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
悲壮な覚悟があるように見える。世に
豪奢
(
ごうしゃ
)
を誇った香以が、晩年
落魄
(
らくはく
)
の感慨を托するに
破芭蕉
(
やればしょう
)
を
択
(
えら
)
んだのははなはだ妙である。
枯葉の記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
紙の良きを
択
(
えら
)
び、筆の良きを択び、墨の良きを択び、彼は
意
(
こころ
)
してその字の良きを
殊
(
こと
)
に択びて、今日の今ぞ始めて
仮初
(
かりそめ
)
ならず写さんと
為
(
す
)
なる。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
辰巳
(
たつみ
)
に遊ぶ通客は、潮来節の上手な船頭を
択
(
えら
)
んで
贔屓
(
ひいき
)
にし、引付けの船宿を持たなければ
通
(
つう
)
を誇ることができませんでした。
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
今時
利休
(
りきゅう
)
でもいたら、早速中から名器を
択
(
えら
)
び出すだろう。土瓶は近来どこの窯でも堕落し切ってしまったが喜阿弥の
飴薬
(
あめぐすり
)
土瓶は昔のままである。
雲石紀行
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
彼女は始めから彼のいけにえとして
択
(
えら
)
ばれたのに過ぎない。あの怖ろしい薄莫迦の半兵衛に比べればこれは又何といういたいたしい婦であろう。
光の中に
(新字新仮名)
/
金史良
(著)
「鳥よく木を
択
(
えら
)
ぶ。木
豈
(
あ
)
に鳥を択ばんや。」などと至って気位は高いが、決して世を
拗
(
す
)
ねたのではなく、あくまで用いられんことを求めている。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
昔の和歌に巧妙な古歌の引用をもって賞讃を博したものがあるが、この種の絵もそういう技巧上の
洒落
(
しゃれ
)
と
択
(
えら
)
ぶ所がない。
院展日本画所感
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
「いき」の形相因たる非現実的理想性を表現するために一般に黒味を帯びて飽和弱いものまたは冷たい色調が
択
(
えら
)
ばれる。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
老いたる妻女の胸にある最後の
怨
(
うら
)
み言は、人は沢山いるだろうに、何故に自分の夫がこういう不幸の的に
択
(
えら
)
ばれねばならぬかという愚痴であった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
又は一外人を
択
(
えら
)
びて其の詩材となすとも、全く国民性の形跡を脱却し得ざるは之れをゲーテが『イフイゲニア』の例に徴するも明かなるにあらずや。
国民性と文学
(新字旧仮名)
/
綱島梁川
(著)
しだいに落ちぶれて
可哀
(
かわい
)
そうだとか、そんな
謂
(
い
)
わばロオマンチックな条件に
依
(
よ
)
って、れいの「唯一のひと」として
択
(
えら
)
び挙げていたわけでは無かった。
メリイクリスマス
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
その
妓
(
こ
)
は仲の町のある家の抱えであったが、さっぱりお座敷がなくて姐さんや朋輩からも冷遇されていたが、ついにわが身を
果敢無
(
はかな
)
んで死を
択
(
えら
)
んだ。
桜林
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
我々の眼は、九分九厘までこの男が、カラタール氏によって請求されるであろう、別仕立列車の車掌に
択
(
えら
)
ばれるに相違ないことを見抜いていたのだ。
臨時急行列車の紛失
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
画家
連中
(
れんぢゆう
)
と来て居るモデル女の幾人は席が無いので若い画家の膝を
択
(
えら
)
んで腰を掛ける程の
大入
(
おほいり
)
である。夫婦づれの画家や姉妹を
伴
(
つ
)
れた詩人達も居た。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
そこで別邸を老婆の住居にして、吉日を
択
(
えら
)
んで三郎と阿繊を結婚さしたが、老婆は阿繊に嫁入り仕度を十分にした。
阿繊
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
苟
(
いやし
)
くもその緩と急とを
択
(
えら
)
ばず、その順序を失するあらば、一身の細事
猶
(
な
)
お且つ挙らず、況んや天下大事の一たる子弟教育の事に於てをや(謹聴々々)。
祝東京専門学校之開校
(新字新仮名)
/
小野梓
(著)
そして
近
(
ちか
)
い
内
(
うち
)
に
黄道吉日
(
こうどうきちにち
)
を
択
(
えら
)
んで、
婚礼
(
こんれい
)
の
式
(
しき
)
を
挙
(
あ
)
げようとしていた
際
(
さい
)
に、
不図
(
ふと
)
起
(
おこ
)
りましたのがあの
戦乱
(
せんらん
)
、
間
(
ま
)
もなく
良人
(
おっと
)
となるべき
人
(
ひと
)
は
戦場
(
せんじょう
)
の
露
(
つゆ
)
と
消
(
き
)
え
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
芭蕉集中全く客観的なるものを挙ぐれば四、五十句に過ぎざるべく、中につきて絵画となし得べきものを
択
(
えら
)
みなば
俳人蕪村
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
その場合に、その人は自分の意図を悟らせないためにも、又相手の人を
其処
(
そこ
)
へ
知
(
し
)
らず
識
(
し
)
らず導くためにも、偶然の危険を
択
(
えら
)
ぶよりほか仕方がありません。
途上
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「おう、それを
択
(
えら
)
ぼう。とはいえ、西も東も分らぬここの川洲だが、どう行ったら、捕吏の眼をのがれえようか」
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それから男が女を
択
(
えら
)
ぶように、女も男を択ぶのが、正当な見合であるということも、お母様は認めて下さらない。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
だからその当時まで私が奉職していた警視庁の仕事ぶりなぞも、
殆
(
ほと
)
んど明治時代と
択
(
えら
)
ぶところがなかった。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
されども世俗の
見解
(
けんげ
)
には
堕
(
お
)
ちぬ心の明鏡に照らしてかれこれともに愛し、
表面
(
うわべ
)
の美醜に露
泥
(
なず
)
まれざる上人のかえっていずれをとも昨日までは
択
(
えら
)
びかねられしが
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
○十二日 小雨、
稍
(
やや
)
寒し。
台子
(
だいす
)
を出し
風炉
(
ふろ
)
に火を入る。花買いに四目の花屋に行く。
紫菀
(
しおん
)
と
女郎花
(
おみなえし
)
とを
択
(
えら
)
びて携え帰る。茶を飲みながら兼題の歌、橋十首を作る。
草花日記
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
雪の少しく積ってある岩の間に小さな草の
生
(
は
)
えて居る所があります。
餓
(
う
)
えたる時は食を
択
(
えら
)
ばずではない。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
ついにはただのうそつきの作品と
択
(
えら
)
ぶところもない地位に、昔話を置くことになってしまったのである。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
夫以上の高さになっても無論木は生えているが、四、五尺から一丈あまりの丈に短縮しているので、遠望した所では草地と
択
(
えら
)
ぶ所がない、実際草地もあるにはある。
利根川水源地の山々
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
然しながら必其一を
択
(
えら
)
まねばならぬとなれば、彼は種として碧色を、
度
(
ど
)
として
濃碧
(
のうへき
)
を択ぼうと思う。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
その小さいのはちょっと草の葉を
択
(
えら
)
んで食ったが、親兎は許さぬらしく、往々口を突き出して横合いから奪い取り、自分も決して食わない。子供等はどっと笑い出した。
兎と猫
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
たといラファエルとミケランジェロと同一の画題を
択
(
えら
)
んだにしても、ラファエルはラファエルの性格を現わしミケランジェロはミケランジェロの性格を現わすのである。
善の研究
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
それはA市にある家庭に宛てたもので、商売上の失敗から
厭世
(
えんせい
)
自殺をする旨の遺書で、その自殺の方法として、飛行機から飛び降りる事を
択
(
えら
)
んだとしたためられてあった。
旅客機事件
(新字新仮名)
/
大庭武年
(著)
四十日を荒野に断食して過した時、彼は貧民救済と、地上王国の建設と、
奇蹟的
(
きせきてき
)
能力の修得を以ていざなわれた。然し彼は純粋な愛の事業の外には何物をも
択
(
えら
)
ばなかった。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
落すにはそれ/″\自分が手に
入
(
い
)
つた方法を
択
(
えら
)
んで
差支
(
さしつかへ
)
ないが、
唯
(
たゞ
)
落すその一瞬間は鶏に
気取
(
けど
)
られぬ程の
微妙
(
デリケート
)
な
点
(
ところ
)
が無くてはならぬ。気取られたが最後肉の味はまづくなる。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ことさら暑い日中を
択
(
えら
)
んで
菅笠
(
すげがさ
)
を
被
(
かぶ
)
った金魚屋が「目高、金魚」と焼けつくような人の耳に
山の手の子
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
従って戦争などに際し、一国が危急存亡の淵に臨んで居る場合でも、特に武器弾薬の製造所などを
択
(
えら
)
んで、彼らは労働者を煽動し、以て国家に甚大の苦痛を与えんとして居る。
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
(新字新仮名)
/
吉野作造
(著)
澗
(
たに
)
によるの天険を
択
(
えら
)
び、その道路
湊門
(
そうもん
)
を築造するも、ただ攻守の便宜より判断を下し、その関門を設けその
津留
(
つどめ
)
をなし、その行政の区域を定め、その人民を統制するがごとき
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
また、
正
(
しょう
)
ちゃんの
銀杏
(
ぎんなん
)
の
実
(
み
)
は、
自分
(
じぶん
)
が
木
(
き
)
から
落
(
お
)
ちたのを
拾
(
ひろ
)
って、いいのだけを
択
(
えら
)
んだもので、たとえおはじきを五
個
(
こ
)
でも、
一粒
(
ひとつぶ
)
の
銀杏
(
ぎんなん
)
の
実
(
み
)
とは
換
(
か
)
えがたい
貴
(
とうと
)
いものでありました。
友だちどうし
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
択
常用漢字
中学
部首:⼿
7画
“択”を含む語句
選択
択取
選択集
撰択
択捉
捫択
選択本願念仏集
択好
撰択集
揀択
決択
能書不択筆
選択器
選択意思
采采択
銓択
顕撰択
撰択淘汰
撰択本願念仏宗
取捨選択
...