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復
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かえ
ふりがな文庫
“
復
(
かえ
)” の例文
寧
(
むし
)
ろ、すこし前に進み出て右手を心持前にし、静かに退いて、もとの姿勢に
復
(
かえ
)
る方が「自分は鬼」という心持の表現に合致している。
能とは何か
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
楊はもう気絶してしまって、その後のことは知らなかったが、夜が明けて正気に
復
(
かえ
)
った頃には、そこらに何者の姿もみえなかった。
中国怪奇小説集:15 池北偶談(清)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
『古今集』以後空想の文字に過ぎざりし恋の歌は元義に至りて万葉の昔に
復
(
かえ
)
り再び基礎を感情の上に置くに至れり。吾妹子の歌左に
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
油断せる貫一が左の
高頬
(
たかほ
)
を平手打に
絶
(
したた
)
か
吃
(
くらは
)
すれば、
呀
(
あ
)
と両手に痛を
抑
(
おさ
)
へて、
少時
(
しばし
)
は顔も
得挙
(
えあ
)
げざりき。蒲田はやうやう座に
復
(
かえ
)
りて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
甚あわれになった。天狗犬は訴うる様な
眼付
(
めつき
)
をしてしば/\彼を見上げ、上高井戸に
往
(
い
)
って
復
(
かえ
)
るまで、始終彼にくっついて
歩
(
ある
)
いた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
▼ もっと見る
やがて
正気
(
しょうき
)
に
復
(
かえ
)
ってから、これはきっと神様が意見をして下さるのか、それとも
狐
(
きつね
)
か
狸
(
たぬき
)
に
化
(
ば
)
かされたのか、どちらかだろうと思いました。
泥坊
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
世の妻たちは、一日も早く良人の
復
(
かえ
)
りの早いのを
祈
(
いの
)
っていると云うのに……、千穂子は、一日も遅く良人が帰って来ることを祈っていた。
河沙魚
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
一方では乳母が早く/\と
急
(
せ
)
き立てるので、それから先は悲しいよりも火の粉の熱さを避ける方に心を奪われ、よう/\我に
復
(
かえ
)
った時は
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
とこういうべき
暇
(
いとま
)
あらず、我に
復
(
かえ
)
るとお杉も
太
(
いた
)
くお若の身を
憂慮
(
きづか
)
っていたので、飛立つようにして三人奥の
室
(
ま
)
へ飛込んだが、
噫
(
ああ
)
。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
女房が自然と正気に
復
(
かえ
)
った時には、
夫
(
おっと
)
も死ねなかったものとみえて、
濡
(
ぬ
)
れた衣服で岸に上って、傍の老樹の枝に首を
吊
(
つ
)
って自ら
縊
(
くび
)
れており
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
scientific ではどうか知らないけれども精神界ではまったく同じものが二つは来ないゆえに全然旧には
復
(
かえ
)
らない。
おはなし
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
お呼びしたのですが、間もなく正気に
復
(
かえ
)
って、この通りお元気です。幸いちっともお
怪我
(
けが
)
が御座いません、お呼び立てしてすみませんでした
焔の中に歌う
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
それわが国
古
(
いにしえ
)
より教あり、天然の教という。その法、人をして
自
(
おのずか
)
ら
本然
(
ほんぜん
)
の性に
復
(
かえ
)
らしむるものにして、すなわち誠心の一なり。
教門論疑問
(新字新仮名)
/
柏原孝章
(著)
お島が説明して
聴
(
きか
)
す作太郎の様子などで、その時はそれで
釈
(
と
)
けるのであったが、その疑いは
護謨毬
(
ゴムまり
)
のように、時が経つと、また
旧
(
もと
)
に
復
(
かえ
)
った。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
それへ、筆太に、目付役たちが、黒々と書いて、大手門やその他の下馬下馬へ、掲げだしたので、
漸
(
ようや
)
く、群衆は
静粛
(
せいしゅく
)
に
復
(
かえ
)
った。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
及
(
およ
)
びその右手のこととて、彼にのり移るのも不思議はなかったが、その後一時平静に
復
(
かえ
)
ったシャクが再び譫言を吐き始めた時、人々は
驚
(
おどろ
)
いた
狐憑
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
鮨屋の中三分一即ち二度目の出より弥左衛門に突込まるるまでの権太は
已
(
すで
)
に善心に
復
(
かえ
)
りたれど、なほ悪棍を装ふものとし
いがみの権太:(明治二十九年一月、明治座)
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
時に野性に
復
(
かえ
)
り掛かる例なきにあらざれど
容易
(
たやす
)
く制止し得る、南米曠野の野馬は数百年間人手を離れて家馬の種が純乎たる野馬となったのだが
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
今更憲法をやめて昔の専制政治に
復
(
かえ
)
るという事は事実不可能であるから、我々は、憲法政治はもはやこれを廃止するを得ずという前提の上に立って
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
(新字新仮名)
/
吉野作造
(著)
前
(
さき
)
の世に恨のあったものが馬の形に宿りまして、生れ変って
讐
(
あだ
)
をこの世に
復
(
かえ
)
したものであろう、というような臆測が群集の口から口へ伝わりました。
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
馬車の所へ
復
(
かえ
)
って来て、穴川甚蔵に、寝間は何所に在るかと聞いた、早く彼を家の中へ寝かして遣らねば成らぬから。
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
「
日本外史
(
にほんがいし
)
とどっちがおもしろい」と僕が問うや、桂は
微笑
(
わらい
)
を含んで、ようやく我に
復
(
かえ
)
り、いつもの元気のよい声で
非凡なる凡人
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
それは今まで乗り移っていた、得体の知れないけだものがぬけ去って本来の人に
復
(
かえ
)
ったようで、それからの母は手紙なぞ一本も書かなかったそうである。
抱茗荷の説
(新字新仮名)
/
山本禾太郎
(著)
吾人
(
ごじん
)
の先祖は猛獣毒蛇に追い廻されて安眠も出来ぬ時代が有っただろう。吾人はその時代に
復
(
かえ
)
ったと同じ事だ。
暗黒星
(新字新仮名)
/
シモン・ニューコム
(著)
某これより諸国を
巡
(
め
)
ぐり、あまねく強き犬と
噬
(
か
)
み合ふて、まづわが牙を鍛へ。
傍
(
かたわ
)
ら仇敵の
挙動
(
ふるまい
)
に心をつけ、
機会
(
おり
)
もあらば名乗りかけて、父の
讐
(
あだ
)
を
復
(
かえ
)
してん。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
けれど、尾田さん、僕らは不死鳥です。新しい思想、新しい眼を持つ時、全然癩者の生活を獲得する時、再び人間として生き
復
(
かえ
)
るのです。復活そう復活です。
いのちの初夜
(新字新仮名)
/
北条民雄
(著)
ヘルマンはしばらく我れに
復
(
かえ
)
ることが出来なかったが、やっとのことで起ち上がって次の間へ行ってみると、伝令下士は
床
(
ゆか
)
の上に横たわって眠っていたので
世界怪談名作集:03 スペードの女王
(新字新仮名)
/
アレクサンドル・セルゲーヴィチ・プーシキン
(著)
先以
(
まずもっ
)
て御主人様のお
遺書
(
かきおき
)
通りに成るから心配するには及ばん、お前は親の
敵
(
かたき
)
は討ったから、是からは御主人は御主人として、其の敵を
復
(
かえ
)
し、飯島のお家再興だよ
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
一週もすりゃ水が
退
(
ひ
)
く。そこで艀を仕立てて、お前等みんなしてシベリヤじゅうをのして廻る。ところが俺は居残って、こっち岸と向う岸を
往
(
ゆ
)
き
復
(
かえ
)
りしはじめる。
追放されて
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
我らは中国がこの際唐朝以前の
古
(
いにしえ
)
に
復
(
かえ
)
り正しき国民軍隊を建設せん事を東亜のために念願するのである。
戦争史大観
(新字新仮名)
/
石原莞爾
(著)
警官の巡回を増して
貰
(
もら
)
うやら、二人いる書生の上に更に屈強な青年を一人
傭入
(
やといい
)
れるやら、珠子の通学の
往
(
ゆ
)
き
復
(
かえ
)
りには書生を
供
(
とも
)
させるやら、出来る丈けの用心をした。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
解官されて源氏について
漂泊
(
さすら
)
えた
蔵人
(
くろうど
)
もまた
旧
(
もと
)
の地位に
復
(
かえ
)
って、
靫負尉
(
ゆぎえのじょう
)
になった上に今年は五位も得ていたが、この好青年官人が源氏の
太刀
(
たち
)
を取りに戸口へ来た時に
源氏物語:18 松風
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
しかし、
家風
(
かふう
)
の上から、その
後
(
のち
)
、男爵は再び九条家へ、お
復
(
かえ
)
りになったのでした。(前掲一七四頁)
九条武子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
ものの二十分もそうしていたであろうか、やがてやや常態に
復
(
かえ
)
ると心からの安心とともに深い疲れを感じ、気の抜けた人間のように窓によりかかって深い呼吸をした。
癩
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
大久保主計は
安祥
(
あんしょう
)
旗本、将軍
家斉
(
いえなり
)
のお気に入りであった。それが何かの失敗から、最近すっかり不首尾となった。そこで主計はどうがなして、昔の首尾に
復
(
かえ
)
ろうとした。
柳営秘録かつえ蔵
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
本名を
内海文三
(
うつみぶんぞう
)
と言ッて静岡県の者で、父親は旧幕府に仕えて
俸禄
(
ほうろく
)
を
食
(
はん
)
だ者で有ッたが、幕府倒れて王政
古
(
いにしえ
)
に
復
(
かえ
)
り
時津風
(
ときつかぜ
)
に
靡
(
なび
)
かぬ
民草
(
たみぐさ
)
もない明治の
御世
(
みよ
)
に成ッてからは
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
されば「エホバ、ヨブの
艱難
(
なやみ
)
を解きて
旧
(
もと
)
に
復
(
かえ
)
ししかしてエホバ
遂
(
つい
)
にヨブの
所有物
(
もちもの
)
を二倍に増し給」
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
わたしは、出来れば、お父さまであるかどうかを確めるためにですし、あなたは、お父さまを生命と、愛と、義務と、休息と、慰安とに
復
(
かえ
)
さしておあげになるためにです。
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
そして今日では、すべてがまたその
古
(
いにし
)
えの風に
復
(
かえ
)
って、憚らず肉を喰っているのであります。
融和問題に関する歴史的考察
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
彼は、自分の持っている往復切符のどちらが
往
(
ゆ
)
きのか
復
(
かえ
)
りのかさえもわからないらしかった。彼は車内の誰れ彼れに、おめでたい単純さで、自分は注意しなくってはいけない。
青玉の十字架
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
それから二十町あまりの道を歩いて帰るのに、彼女は四十分から五十分、どうかすると一時間近くもかかるのだったが、それだけの時間で彼女の乳は原状に
復
(
かえ
)
り切れなかった。
猟奇の街
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
滝之助は本気に
復
(
かえ
)
って鎌を取上げて身構えた。この時既に高田殿は、守刀を
抜放
(
ぬきはな
)
していた。
怪異黒姫おろし
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
と、心中に叫び揚げて、
絡
(
から
)
むような恐怖を払いすてた長岡頼母である。別室には、二十余名の同僚も集っているのだ。ナアニ——! と、急に平素の豪快な頼母に
復
(
かえ
)
ったかれ
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
宴散じ客去てなお
毬燈
(
きゅうとう
)
の残って居るのを、今日の大中さんは何と婢が問うに、幹事さんは知った方だけれども、あとは厭な人ばかりと小歌は答えて、おもむろに元の座へ
復
(
かえ
)
った
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
そうして、「神武の
古
(
いにしえ
)
に
復
(
かえ
)
る。」と宣言した。「維新」と「復古」とは、まさに正反対の表言であるが、このような矛盾した宣言を、明治政府は、
恬
(
てん
)
としておこなったのである。
天皇:誰が日本民族の主人であるか
(新字新仮名)
/
蜷川新
(著)
黒い油にまみれたあのおぞましい団塊に再び生命が
復
(
かえ
)
って来ようとも思われなかった。
子猫
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
物言わぬ夫の
遺筐
(
いきょう
)
を、余人の衣類のごとくしばらく折目をさすりておりしが、やがて正気に
復
(
かえ
)
りし時は、早や包みを
懐
(
いだ
)
きしめて
悶絶
(
もんぜつ
)
したり、げに勇蔵は
田原坂
(
たばるざか
)
の戦官軍大敗の日に
空家
(新字新仮名)
/
宮崎湖処子
(著)
六編より後はまたもとの体裁に
復
(
かえ
)
り、もっぱら解しやすきを主として初学の便利に供しさらに難文を用いることなかるべきがゆえに、看官この二冊をもって全部の難易を評するなかれ。
学問のすすめ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
蝉
(
せみ
)
は殻を脱げども、人はおのれを
脱
(
のが
)
れ得ざれば、戦いの
熱
(
ねつ
)
病
(
やまい
)
の熱に
中絶
(
なかた
)
えし記憶の糸はその
体
(
たい
)
のやや
癒
(
い
)
えてその心の
平生
(
へいぜい
)
に
復
(
かえ
)
るとともにまたおのずから
掀
(
かか
)
げ起こされざるを得ざりしなり。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
ほんの寸法だけで左足の
堆積
(
やま
)
と右足の堆積とから手当り次第に掴み取りして似合の一対とするように、人間が肢を八本もっていたアンドロギュノスの
往古
(
むかし
)
に
復
(
かえ
)
り度い本能からばかりならば
アンドロギュノスの裔
(新字新仮名)
/
渡辺温
(著)
“復”の意味
《形容動詞》
復(また)
「また」を参照。
(出典:Wiktionary)
復
常用漢字
小5
部首:⼻
12画
“復”を含む語句
復習
復讐
往復
恢復
復活
回復
復活祭
復讎
復仇
修復
復興
復誦
反復
報復
亦復
復奏
恢復期
快復
復元
又復
...