失敬しつけい)” の例文
『はゝゝゝゝ。きみはまだわたくし妻子さいし御存ごぞんじなかつたのでしたね。これは失敬しつけい々々。』といそがはしく呼鈴よびりんらして、いりきたつた小間使こまづかひ
失敬しつけいな!』と、一言ひとことさけぶなりドクトルはまどはう退け。『全體ぜんたい貴方々あなたがた這麼失敬こんなしつけいことつてゐて、自分じぶんではかんのですか。』
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ウフヽヽ、アハヽヽ梅喜ばいきさんはらつちやアいけないよ、おまへとこのお内儀かみさんは失敬しつけいだがあま器量きりやうくないよ。梅「へえゝんな工合ぐあひですな。 ...
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
ふと失禮しつれいだが、まあなかとあまりえんのない貴方あなた、とつてもまだ失敬しつけいかもれないが、つまり一口ひとくちふと、超然派てうぜんは一人いちにんはなしがしてたくなつたんで
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
此奴こいつ失敬しつけいなことをいふ、陛下へいか稜威みいづ軍士ぐんし忠勇ちうゆうつなアおめえあたりまへだ、なに不思議ふしぎなことあねえ。」とムキになるのはおほきに野暮やぼ號外がうぐわいてぴしや/\とひたひたゝ
神楽坂七不思議 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
遊ばされんとのおもむきなれば主税之助初め御病中ごびやうちう御月代の儀は御延引えんいん遊ばし然るべしと申上らる中納言樣には長髮ちやうはつにて登城し將軍の御前へ出るは失敬しつけいなり我將軍をうやまはずんば誰か將軍を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
福鼠ふくねずみ自棄やけになつて、『そんな失敬しつけいことをするなら談話はなしめてしまうからい』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
三十ゑんどりの會社員くわいしやゐんつま此形粧このげうそうにて繰廻くりまわしゆくいゑうちおもへば此女このをんな小利口こりこう才覺さいかくひとつにて、良人おつとはくひかつてゆるやららねども、失敬しつけいなは野澤桂次のざわけいじといふ見事みごと立派りつぱ名前なまへあるをとこ
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
まうすと失敬しつけいですが其以外そのいぐわい學校がくかうにはおはひりにならなかつたのですか
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
「さあ、ぼく失敬しつけいしよう!」わたしけうがなさゝうに椅子いすはなれた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
自分じぶん鯛王たひわうだ。失敬しつけいなことをするな」
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
これしからん、無礼至極ぶれいしごくやつだ、なん心得こゝろえる、これほどの名作めいさくの詩を、詩になつてらんとは案外あんぐわいうも失敬しつけいな事をまうやつだ、其分そのぶんには捨置すておかん、入牢じゆらう申附まうしつける。
詩好の王様と棒縛の旅人 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
吾等われらこれより一定いつてい職務しよくむがあるので、暫時しばらく失敬しつけい君等きみらのちしづか休息きうそくたまへ、わたくしは八すぎふたゝかへつてて、晩餐ばんさんをばともいたしませう。』とのこして何處いづくともなく立去たちさつた。
もつと最後さいご三四日さんよつかおけ宗助そうすけはや安井やすゐひたいとおもふよりも、すこ事情じじやうがあるから、失敬しつけいしてさきつとわざ/\通知つうちしながら、何時迄いつまでつてもかげせないかれ安否あんぴ
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
れでゐて足音あしおとしづかで、ある樣子やうす注意深ちゆういぶか忍足しのびあしのやうである。せま廊下らうかひと出遇であふと、みちけて立留たちどまり、『失敬しつけい』と、さもふとこゑひさうだが、ほそいテノルで挨拶あいさつする。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
出し扨大橋氏はなはだ失敬しつけいなる申し分には御座れ共此金子は十八ヶ年以前に御恩借ごおんしやくいたしたる金子延引えんいんながら返上仕つるにより何卒なにとぞ御受納下ごじゆなふくだされ候樣に願ひ奉つる誠にあのせつ貴殿の御厚情ゆゑに我々夫婦只今はどうか斯か致して居るも皆貴殿の御庇蔭おかげにて候然るに貴殿かく御零落ごれいらくなられたる有樣を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)