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喞
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かこ
ふりがな文庫
“
喞
(
かこ
)” の例文
若狭
(
わかさ
)
から越前へ移って、そこの
朝倉義景
(
あさくらよしかげ
)
へ身を寄せたところ、ここに、朝倉家の家中には
容
(
い
)
れられず、不遇を
喞
(
かこ
)
っていた一人物がいた。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
已
(
や
)
むなく帰省して見れば、両親は
交々
(
こもごも
)
身の老衰を打ち
喞
(
かこ
)
ち、家事を監督する気力も
失
(
う
)
せたれば何とぞ
家居
(
かきょ
)
して万事を処理しくれよという。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
「学校に行かんならんのでこんな絵でも日がかかって困ります」などと
喞
(
かこ
)
ったりされながら「写されるのだったら直写ししても構いませぬ」
昔のことなど
(新字新仮名)
/
上村松園
(著)
、ロウマの学者達が
喞
(
かこ
)
った時に、彼らはこの変化を決してその住民の増加には帰さず、耕耘及び農業の放棄に帰したのである1
人口論:01 第一篇 世界の未開国及び過去の時代における人口に対する妨げについて
(新字新仮名)
/
トマス・ロバート・マルサス
(著)
忍び今の身の
敢果
(
はか
)
なき
體
(
さま
)
を
喞
(
かこ
)
ちつゝ
如何
(
いか
)
なる因果と
泣沈
(
なきしづ
)
むにぞ文右衞門は
状
(
かたち
)
を
正
(
たゞ
)
しコレお政其方は何とて其樣に
未練
(
みれん
)
なることを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
光り物は母屋の廊下を通過するか、軒先から屋根の上などへ現われて消える、響音も
慟哭
(
どうこく
)
もごく
微
(
かす
)
かで、あたかも「化物共は
無聊
(
ぶりょう
)
を
喞
(
かこ
)
っている」
風流化物屋敷
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
蝶子、わたしはおまえに対してそれはわたしの芸人の
躾
(
しつ
)
けに在るのだという。わたしはわたし自身に対し相変らず可哀相な躾けの身だなと
喞
(
かこ
)
つ。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
子規も小さい時分から絵画は非常に好きだが自分は一向かけないのが残念でたまらぬと
喞
(
かこ
)
っていた。夕日はますます傾いた。隣の屋敷で琴が聞える。
根岸庵を訪う記
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
山の手の深い堀井戸の水を浴びようとかいうので、夏は水道の水の
生温
(
なまぬる
)
きを
喞
(
かこ
)
つ下町の女たち二、三人づれで目黒の
大黒屋
(
だいこくや
)
へ遊びに行く途中であった。
夏の町
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
十兵衛がのっそりで浮世の
怜悧
(
りこう
)
な人たちの物笑いになってしまえばそれで済むのじゃ、連れ添う
女房
(
かか
)
にまでも内々
活用
(
はたらき
)
の利かぬ夫じゃと
喞
(
かこ
)
たれながら
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
さすがに木村の他意ない誠実を笑いきる事は
得
(
え
)
しないで、葉子はただ心の中で失望したように「あれだからいやになっちまう」とくさくさしながら
喞
(
かこ
)
った。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
則ち恋愛なり、而して彼は我を生かしむることをもせず、空しく我をして彼のデンマルクの狂公子の如く、我母が我を生まざりしならばと打ち
喞
(
かこ
)
たしむるのみ。
我牢獄
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
と
喞
(
かこ
)
つ青年もある。彼等は皆朝起をして壮健になったのではない。壮健でないから朝起をするのである。
朝起の人達
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「ああ私にはこのやうに屋根さへなく、雨は私の眼のなかにも降るのだ」と
喞
(
かこ
)
たずにはゐられぬ孤獨なマルテのかはいさうな姿がひとりでに浮んでくるやうである。
一挿話
(旧字旧仮名)
/
堀辰雄
(著)
昨日
(
きのう
)
の栄華に引替えて娘は明暮不幸を
喞
(
かこ
)
ち、我も
手酷
(
てひど
)
く
追使
(
おいつか
)
わるる、労苦を忍びて末々を
楽
(
たのし
)
み、たまたま下枝と
媾曳
(
あいびき
)
してわずかに慰め合いつ、果は二人の中をもせきて
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
輕しと
喞
(
かこ
)
ちし三尺二寸、
双腕
(
もろうで
)
かけて疊みしはそも何の爲の
極意
(
ごくい
)
なりしぞ。祖先の苦勞を忘れて風流三昧に
現
(
うつゝ
)
を拔かす當世武士を尻目にかけし、半歳前の我は今
何處
(
いづく
)
にあるぞ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
巨勢は老女と
屍
(
かばね
)
の
傍
(
かたわら
)
に夜をとほして、消えて
迹
(
あと
)
なきうたかたのうたてき世を
喞
(
かこ
)
ちあかしつ。
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
『久しくここに逗留しているが何時なおって故郷に帰られるであろうか、旅でこんな事になって悲しい悲しい。』と繰返して
喞
(
かこ
)
つ傍から、同行の者が頻りにそれを慰めている。
鳴雪自叙伝
(新字新仮名)
/
内藤鳴雪
(著)
今や完全なる勝利か、
然
(
しか
)
らずんば国民一人残らずの死あるのみである。眼前の現実に
跼蹐
(
きょくせき
)
して、
徒
(
いたず
)
らに物資の不自由を
喞
(
かこ
)
つことをやめよ。卑小なる保身を離れて、偉大なる夢を抱け。
偉大なる夢
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
泣く泣く
喞
(
かこ
)
つ繰言の、それその証拠には、この合部屋に膝をかかえているじゃないか
猿飛佐助
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
我国の商人はしばしば、英国労働の労賃の高いことをもってその製造品が外国市場で売負かされる原因であると
喞
(
かこ
)
っているが、しかし彼らは高い資本の利潤率については何事も言わない。
経済学及び課税の諸原理
(新字新仮名)
/
デイヴィッド・リカード
(著)
貫一は不断にこの
言
(
ことば
)
を
以
(
も
)
て
警
(
いまし
)
められ、隆三は会ふ毎にまたこの言を
以
(
も
)
て
喞
(
かこ
)
たれしなり。彼は
言
(
ものい
)
ふ
遑
(
いとま
)
だに無くて
暴
(
にはか
)
に
歿
(
みまか
)
りけれども、その前常に口にせしところは明かに彼の遺言なるべきのみ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
親子八人もの家族を抱えて亡父の遺産では食べて行けなくなったと云う、少し
大袈裟
(
おおげさ
)
に云えば生活難を感じ出したことにあるのだから、東京へ来た当座こそ、家の狭さを
喞
(
かこ
)
っていたものの
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
鏡に
対
(
むか
)
うときのみ、わが頭の白きを
喞
(
かこ
)
つものは幸の部に属する人である。指を折って始めて、五年の流光に、転輪の
疾
(
と
)
き
趣
(
おもむき
)
を解し得たる婆さんは、人間としてはむしろ
仙
(
せん
)
に近づける方だろう。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
居間の狭くなることを
喞
(
かこ
)
ったようなこの句も、その条件には
外
(
はず
)
れていない。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
圧
(
おし
)
もお利きなさろうけれど、この大旦那でさえ、旅の身ではねえと
喞
(
かこ
)
ち
言
(
ごと
)
をおっしゃる——まして、女興行師風情のわたしで、どうなるものか、それを考え出すと、腐ってしまわざるを得ない。
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
折角あれが見えるのを娯しみにしていたのに、と妻は病床で
喞
(
かこ
)
った。
忘れがたみ
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
検校はもう七十近いので、耳は遠く眼はもとより
盲
(
めし
)
いているので、近ごろは何もわからないと、自分の
耄碌
(
もうろく
)
をよく口癖に
喞
(
かこ
)
っているが
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何とぞ早くその故を
質
(
ただ
)
して始めの如く同室に入らしめよと、打ち
喞
(
かこ
)
つに、
素
(
もと
)
より署長の巡廻だにあらば、直ちに
愁訴
(
しゅうそ
)
して、互いの志を達すべし
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
尋ね
探
(
さが
)
されても知れぬには仕方なしあはれ今にも市之丞殿が來たりなば夫は
災難
(
さいなん
)
を
遁
(
のが
)
れなんと女心のやるせなく
天
(
てん
)
に歎き地に
喞
(
かこ
)
ち或ひは己を
悔
(
くや
)
み市之丞を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
もっともその場合には、富者は、労働の価格が高いことや、下層階級が高慢なことや、仕事をしてもらうのが難しいことなどを、絶えず
喞
(
かこ
)
つことであろう。
人口論:03 第三篇 人口原理より生ずる害悪を除去する目的をもってかつて社会に提案または実施された種々の制度または方策について
(新字新仮名)
/
トマス・ロバート・マルサス
(著)
熱し熱しと人もいい我も
喞
(
かこ
)
つ。
鴻巣
(
こうのす
)
上尾
(
あげお
)
あたりは、
暑気
(
あつさ
)
に
倦
(
う
)
めるあまりの夢心地に過ぎて、熊谷という駅夫の声に驚き下りぬ。ここは荒川近き
賑
(
にぎ
)
わえる町なり。
知々夫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「
哥沢節
(
うたざはぶし
)
」は時代のちがつた
花柳界
(
くわりうかい
)
の弱い
喞
(
かこ
)
ちを伝へたに過ぎず、「
謡曲
(
えうきよく
)
」は仏教的の悲哀を含むだけ
古雅
(
こが
)
であるだけ二十世紀の汽船とは到底
相容
(
あひい
)
れざる処がある。
黄昏の地中海
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
なおこの灯の利益な点を挙げてみれば、第一前記のごとく室の隅にまで明るくなる故、倉庫の中などにこれを点ずれば、貨物の出し入れに暗さを
喞
(
かこ
)
つ心配はなくなる。
ムーア灯
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
探偵の身にしては、
賞牌
(
しょうはい
)
ともいいつべき名誉の
創痕
(
きずあと
)
なれど、
衆
(
ひと
)
に知らるる
目標
(
めじるし
)
となりて、職務上不便を感ずること
尠
(
すくな
)
からざる由を
喞
(
かこ
)
てども、
巧
(
たくみ
)
なる化粧にて
塗抹
(
ぬりかく
)
すを常とせり。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
胸に燃ゆる情の
焔
(
ほのほ
)
は、他を燒かざれば其身を
焚
(
や
)
かん、まゝならぬ
戀路
(
こひぢ
)
に世を
喞
(
かこ
)
ちて、秋ならぬ風に散りゆく露の
命葉
(
いのちば
)
、或は
墨染
(
すみぞめ
)
の
衣
(
ころも
)
に
有漏
(
うろ
)
の身を
裹
(
つゝ
)
む、さては
淵川
(
ふちかは
)
に身を棄つる
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
間数も不足なき程にあれば何をか
喞
(
かこ
)
つべきと思ふなるに、俳翁
頻
(
しき
)
りに其
狭陋
(
けふろう
)
なるをつぶやきて止まず。一向に心得ねば、笑つて翁に言ひけるやう、御先祖其角の住家より狭しと思すにやと。
秋窓雑記
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
若
(
も
)
し数学に多少の真理があるとすればこの老人は「これでも年だけは人並に取ります。もう六十三ですよ」と
喞
(
かこ
)
ち、三輪さんは「当年四十一の青二才でございます」と謙遜したことになる。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
萬事に
不如意
(
ふにょい
)
を
喞
(
かこ
)
つ身の上となったであろう。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「さて、困ったものよと、お
喞
(
かこ
)
ちを洩らされ、ひとつ、
佐殿
(
すけどの
)
からでもいうてもらうしかあるまいかなどと、お
焦立
(
いらだ
)
ちのていにござりました」
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
求めて一塊の岩礁に
膠着
(
こうちゃく
)
して常に不自由を
喞
(
かこ
)
つ人も稀にはあることはあるように思われる。
学問の自由
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
一時的に田舎に住居を構える者や農場を
有
(
も
)
たぬ小商人は、非常にこの不便を
喞
(
かこ
)
ち、また大きな地所を有つ商人の妻達は、ノルウェイの家族の家内経済は、あまり広汎複雑なので
人口論:02 第二篇 近代ヨオロッパ諸国における人口に対する妨げについて
(新字新仮名)
/
トマス・ロバート・マルサス
(著)
いづれ
業繋
(
ごふけ
)
の身の、心と違ふ事のみぞ多かる世に、
夢中
(
むちゆう
)
に夢を
喞
(
かこ
)
ちて我れ何にかせん。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
御本尊様の前の
朝暮
(
ちょうぼ
)
の
看経
(
かんきん
)
には
草臥
(
くたびれ
)
を
喞
(
かこ
)
たれながら、
大黒
(
だいこく
)
の
傍
(
そば
)
に下らぬ
雑談
(
ぞうだん
)
には夜の
更
(
ふく
)
るをも
厭
(
いと
)
い玉わざるにても知るべしと、評せしは両親を寺参りさせおき、鬼の留守に洗濯する命じゃ
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「
麤
(
あら
)
く
斫
(
き
)
られたる石にも神の定めたる運あり。」とは沙翁の悟道なり。静かに物象を観ずれば、物として定運なきにあらず。誰か恨むべき神を知りそめたる。誰か
喞
(
かこ
)
つべき
仏
(
ぶつ
)
を識りそめたる。
山庵雑記
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
明智城の明智十兵衛光秀という者と、いつも御主君の
夫人
(
おくがた
)
様に
喞
(
かこ
)
ち語りをしておいであると、それがしまでが洩れ伺っておる。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
農業状態に関しては、七八の報告のうち、六は進歩、一〇は退歩したと云い、七〇は一般に奨励を要すると云い、三二は『開拓の増加』を
喞
(
かこ
)
ち、一二は『開拓の奨励』を要求している。
人口論:02 第二篇 近代ヨオロッパ諸国における人口に対する妨げについて
(新字新仮名)
/
トマス・ロバート・マルサス
(著)
新聞一枚に堅き約束を
反故
(
ほご
)
となして怒り玉うかと
喞
(
かこ
)
たれて見れば無理ならねど、子爵の
許
(
もと
)
に
行
(
ゆき
)
てより手紙は
僅
(
わずか
)
に田原が一度
持
(
もっ
)
て
来
(
きた
)
りし
計
(
ばか
)
り、
此方
(
こなた
)
から
遣
(
や
)
りし度々の消息、
初
(
はじめ
)
は親子再会の
祝
(
いわい
)
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
老齢六十五、何十年来藩政をみて、また天下の
枢機
(
すうき
)
にも参じ、いま
致仕
(
ちし
)
して、
閑
(
かん
)
にあってもなお、かれはしみじみそう
喞
(
かこ
)
たずにはいられない。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
去歳
(
こぞ
)
の春すが
漏
(
もり
)
したるか怪しき
汚染
(
しみ
)
は滝の糸を乱して
画襖
(
えぶすま
)
の
李白
(
りはく
)
の
頭
(
かしら
)
に
濺
(
そそ
)
げど、たて
付
(
つけ
)
よければ身の毛
立
(
たつ
)
程の寒さを
透間
(
すきま
)
に
喞
(
かこ
)
ちもせず、
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も安楽にして居るにさえ、うら寂しく
自
(
おのずから
)
悲
(
かなしみ
)
を知るに
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
喞
漢検1級
部首:⼝
12画
“喞”を含む語句
喞々
喞筒
喞言
蒸汽喞筒
喞子
喞子桿
排氣喞筒
真空喞筒
空氣喞筒
空氣壓搾喞筒
空氣壓搾喞筒等
虫喞
蜜喞