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吻
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ほつ
ふりがな文庫
“
吻
(
ほつ
)” の例文
大約
(
おほよそ
)
三四町も駈通して、もう大丈夫だらうと思ツて、自分は
立停
(
たちどま
)
ツて
吻
(
ほつ
)
と一息した。
後
(
あと
)
を振向いて見ても誰も來る模樣が無い。
水郷
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
覚えず、
恍惚
(
うっとり
)
する、鼻の
尖
(
さき
)
へ、炎が立って、自分で
摺
(
す
)
った
燐寸
(
マッチ
)
にぎょっとした。が、しゃにむに一服まず吸って、はじめて、一息
吻
(
ほつ
)
とした。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
圭一郎は救はれた思ひで
吻
(
ほつ
)
とした。けれども彼はY町の赤十字病院に入院してゐるといふ子供の容態の音沙汰に接し得られないことを
憾
(
うら
)
みにした。
崖の下
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
二人限
(
きり
)
になると、何れも
吻
(
ほつ
)
と息を吐いて、今し方お吉の腰掛けた床の間に膝をすれ/\に腰掛けた。かくて十分許りの間、田舍言葉で
密々
(
こそ/\
)
話合つた。
天鵞絨
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
やつと暫くして代議士は
議事堂
(
カピトル
)
への通り路に
見窄
(
みすぼら
)
しい小さな教会がある事を思ひ出して、
吻
(
ほつ
)
と息をついた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
▼ もっと見る
さて
某
(
なにがし
)
は
僕
(
ぼく
)
を
從
(
したが
)
へ
我家
(
わがや
)
をさして
歸
(
かへ
)
る
途
(
みち
)
すがら
曩
(
さき
)
に
雲飛
(
うんぴ
)
が石を
拾
(
ひろ
)
つた川と
同
(
おなじ
)
流
(
ながれ
)
に
懸
(
かゝ
)
つて居る
橋
(
はし
)
まで來ると、
僕
(
ぼく
)
は
少
(
すこ
)
し
肩
(
かた
)
を
休
(
やす
)
める
積
(
つも
)
りで石を
欄干
(
らんかん
)
にもたせて
吻
(
ほつ
)
と
一息
(
ひといき
)
石清虚
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
裏の果樹園へつれ出されて、彼女は初めて
吻
(
ほつ
)
とした。水蜜桃の
実
(
な
)
るところを、彼女は初めて見た。野菜畑なども町で育つた彼女には不思議なものの一つであつた。
或売笑婦の話
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
吻
(
ほつ
)
とした氣で仲間の喫ふタバコの煙を眺めてゐた。
めたん子伝
(旧字旧仮名)
/
室生犀星
(著)
二人
限
(
きり
)
になると、何れも
吻
(
ほつ
)
と息を吐いて、今し方お吉の腰掛けた床の間に膝をすれ/\に腰掛けた。かくて十分許りの間、田舎言葉で
密々
(
こそこそ
)
話し合つた。
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
鯱
(
しやち
)
と
鯨
(
くぢら
)
の
中
(
なか
)
へ、
芝海老
(
しばえび
)
の
如
(
ごと
)
く、
呑
(
の
)
まれぬばかりに
割込
(
わりこ
)
んで、
一
(
ひと
)
つ
吻
(
ほつ
)
と
呼吸
(
いき
)
をついて、
橋場
(
はしば
)
、
今戸
(
いまど
)
の
朝煙
(
あさけむり
)
、
賤
(
しづ
)
ヶ
伏屋
(
ふせや
)
の
夕霞
(
ゆふがすみ
)
、と
煙
(
けむ
)
を
眺
(
なが
)
めて、ほつねんと
煙草
(
たばこ
)
を
喫
(
の
)
む。
大阪まで
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「も一ツ」と今度は徳二郎が
注
(
つい
)
でやつたのを女は又もや
一呼吸
(
ひといき
)
に飮み干して月に
向
(
むかつ
)
て酒氣を
吻
(
ほつ
)
と吐いた。
少年の悲哀
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
私は
吻
(
ほつ
)
として、この難場の救主に、どうぞ/\と言つて、自分の座蒲團の裏を返してすゝめた。
足相撲
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
男は
吻
(
ほつ
)
と息をついた。そして謹んで電話をかけて石炭を催促した。石炭と
女房
(
かない
)
と——
双方
(
どちら
)
とも
回復
(
とりかへ
)
したやうな嬉しさを感じたのは、それから
物
(
もの
)
の十分も経つてからだつた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
そして友人の助力などで、とにかく其の古屋に永久落着くことになつて、一時
吻
(
ほつ
)
としたのであつたが、それだけの室数では、
何
(
ど
)
うにも
遣繰
(
やりく
)
りのつかないことが、その後一層彼の
頭脳
(
あたま
)
を悩ました。
風呂桶
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
そのうち、
隙
(
すき
)
を
見
(
み
)
て、
縁臺
(
えんだい
)
に、
薄
(
うす
)
べりなどを
持出
(
もちだ
)
した。
何
(
なに
)
が
何
(
ど
)
うあらうとも、
今夜
(
こんや
)
は
戸外
(
おもて
)
にあかす
覺悟
(
かくご
)
して、まだ
湯
(
ゆ
)
にも
水
(
みづ
)
にもありつけないが、
吻
(
ほつ
)
と
息
(
いき
)
をついた
處
(
ところ
)
へ——
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
内気者
(
うちきもの
)
の照子が酒にでも食べ酔つたやうな、
吻
(
ほつ
)
とした気持で辞して帰らうとすると侯爵は
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
きよろ/\
四辺
(
あたり
)
を見廻して居たが
吻
(
ほつ
)
と
酒気
(
しゆき
)
を吐き、舌打して再び内によろめき込んだ。
空知川の岸辺
(新字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
「これで己もいくらか
吻
(
ほつ
)
とした。」磯村も言つた。
花が咲く
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
「あれ、
情
(
じやう
)
が
強
(
こは
)
いねえ、さあ、えゝ、ま、
痩
(
や
)
せてる
癖
(
くせ
)
に。」と
向
(
むか
)
うへ
突
(
つ
)
いた、
男
(
をとこ
)
の
身
(
み
)
が
浮
(
う
)
いた
下
(
した
)
へ、
片袖
(
かたそで
)
を
敷
(
し
)
かせると、まくれた
白
(
しろ
)
い
腕
(
うで
)
を、
膝
(
ひざ
)
に
縋
(
すが
)
つて、お
柳
(
りう
)
は
吻
(
ほつ
)
と
呼吸
(
いき
)
。
三尺角拾遺:(木精)
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
と、
吻
(
ほつ
)
と胸先を撫でおろすさうだ。だから間違つて電車に
轢
(
し
)
き殺される場合には、成るべく履物を
後先
(
あとさき
)
へ、
片々
(
かた/\
)
は天国へ、
片々
(
かた/\
)
は地獄へ届く程跳ね飛ばす事だけは忘れてはならない。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
目
(
め
)
もやゝ
爽
(
さわや
)
かに
成
(
な
)
つて、
吻
(
ほつ
)
と
呼吸
(
いき
)
をした
時
(
とき
)
——ふと、
否
(
いや
)
、はじめてと
言
(
い
)
はう、——
彼
(
かれ
)
が
掛
(
か
)
けた
斜
(
はす
)
に、
向
(
むか
)
う
側
(
がは
)
の
腰掛
(
こしかけ
)
に、
疊
(
たゝ
)
まり
積
(
つも
)
る
霧
(
きり
)
の
中
(
なか
)
に、
落
(
お
)
ちて
落
(
おち
)
かさなつた
美
(
うつく
)
しい
影
(
かげ
)
を
見
(
み
)
た。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
そして式が済むと、鉄瓶のやうにお
腹
(
なか
)
の蓋を持ち上げて、
吻
(
ほつ
)
と大きな息を
吐
(
つ
)
いた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
取縋
(
とりすが
)
るものはないのだから、
部屋
(
へや
)
の
中央
(
まんなか
)
に
胸
(
むね
)
を
抱
(
いだ
)
いて、
立
(
た
)
ちながら
吻
(
ほつ
)
と
呼吸
(
いき
)
をついた。
怪談女の輪
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
材木町
(
ざいもくちやう
)
の
陶器屋
(
たうきや
)
の
婦
(
つま
)
、
嬰兒
(
あかご
)
を
懷
(
ふところ
)
に、
六歳
(
ろくさい
)
になる
女兒
(
をんなのこ
)
の
手
(
て
)
を
曳
(
ひ
)
いて、
凄
(
すさまじ
)
い
群集
(
ぐんしふ
)
のなかを
逃
(
のが
)
れたが、
大川端
(
おほかはばた
)
へ
出
(
で
)
て、うれしやと
吻
(
ほつ
)
と
呼吸
(
いき
)
をついて、
心
(
こゝろ
)
づくと、
人
(
ひと
)
ごみに
揉立
(
もみた
)
てられたために
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
春日野村
(
かすがのむら
)
に
着
(
つ
)
いたので、
先
(
ま
)
づ一
軒
(
けん
)
の
茶店
(
ちやみせ
)
に
休
(
やす
)
んで、
一行
(
いつかう
)
は
吻
(
ほつ
)
と
呼吸
(
いき
)
。
雪の翼
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
坂上
(
さかがみ
)
は、
氣拔
(
きぬ
)
けのした
状
(
さま
)
に、
大息
(
おほいき
)
を
吻
(
ほつ
)
と
吐
(
つ
)
いて
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
其
(
それ
)
だけで、
身
(
み
)
の
惱
(
なや
)
ましき
人
(
ひと
)
は
吻
(
ほつ
)
と
息
(
いき
)
する。
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
バスケツトを
圧
(
おさ
)
へて、
吻
(
ほつ
)
と
息
(
いき
)
して
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
疲
(
つか
)
れたやうに、
吻
(
ほつ
)
と
呼吸
(
こきふ
)
して
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
吻
(
ほつ
)
と息。
第二菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“吻”の解説
吻(ふん、proboscis)とは、動物の体において、口あるいはその周辺が前方へ突出している部分を指す用語である。動物群によってその部位や役割はさまざまである。
(出典:Wikipedia)
吻
漢検準1級
部首:⼝
7画
“吻”を含む語句
接吻
口吻
吻合
吻々
吻々々々
吻々吻
吻喙
喉吻
尖吻熱舌
接吻泥棒
接吻禮
有吻類
脣吻
餓吻