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他愛
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たわい
ふりがな文庫
“
他愛
(
たわい
)” の例文
怪
(
け
)
しからず、親に苦労を掛ける。……そのくせ、
他愛
(
たわい
)
のないもので、陽気がよくて、お
腹
(
なか
)
がくちいと、うとうととなって
居睡
(
いねむり
)
をする。
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「成程ね、さう聽くと一向
他愛
(
たわい
)
もありませんね。おい、番頭さん、遠慮することはねえ、親分は見通しだ、ズツと入つて來なさるがいゝ」
銭形平次捕物控:119 白紙の恐怖
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
この前四谷に行って露子の枕元で例の通り
他愛
(
たわい
)
もない話をしておった時、病人が
袖
(
そで
)
口の
綻
(
ほころ
)
びから綿が
出懸
(
でかか
)
っているのを気にして
琴のそら音
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そして、気がつくと、自分の膝に戯れていた
十八公麿
(
まつまろ
)
が、いつのまにか、月の光の中を、
他愛
(
たわい
)
なく這いまわって、縁へ出ていた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お政は始終顔を
皺
(
しか
)
めていて口も
碌々
(
ろくろく
)
聞かず、文三もその通り。独りお勢
而已
(
のみ
)
はソワソワしていて更らに
沈着
(
おちつ
)
かず、
端手
(
はした
)
なく
囀
(
さえず
)
ッて
他愛
(
たわい
)
もなく笑う。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
▼ もっと見る
その二つの見方はどっちも、それだけの理由があると思います。
他愛
(
たわい
)
のないという印象を与えたことも
真
(
ほん
)
とうでしょう。何人かの女の人からそう云う批評を聞きました。
女性の生活態度
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
彼らはどんな
他愛
(
たわい
)
もないこと、といってもちろんKの態度は残念ながらその部類にははいらないものだったが、そういうものによってもひどく傷つけられ、親友とも話さなくなり
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
最近になって
人造
(
じんぞう
)
宇宙線の研究が
俄
(
にわ
)
かに盛んになりましたが、この研究が進むといよいよこの人造宇宙線を使って、水銀を金に
化
(
か
)
することが
他愛
(
たわい
)
もなく出来るようになりそうな気がします。
科学が臍を曲げた話
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
二つの
手桶
(
てをけ
)
に
溢
(
あふ
)
るゝほど
汲
(
く
)
みて、十三は
入
(
い
)
れねば
成
(
な
)
らず、
大汗
(
おほあせ
)
に
成
(
な
)
りて
運
(
はこ
)
びけるうち、
輪寳
(
りんぽう
)
のすがりし
曲
(
ゆが
)
み
齒
(
ば
)
の
水
(
みづ
)
ばき
下駄
(
げた
)
、
前鼻緒
(
まへばなを
)
のゆる/\に
成
(
な
)
りて、
指
(
ゆび
)
を
浮
(
う
)
かさねば
他愛
(
たわい
)
の
無
(
な
)
きやう
成
(
なり
)
し
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「あゝ蟻さんのお歸り/\。」なぞと、お駒は
他愛
(
たわい
)
もないことを言つた。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
と家庭教師は
他愛
(
たわい
)
なく代数の声に聴き惚れた。
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
と
吉
(
きち
)
さんは
他愛
(
たわい
)
もなく笑つた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
唯吉
(
たゞきち
)
は、
襟許
(
えりもと
)
から、
手足
(
てあし
)
、
身體中
(
からだぢう
)
、
柳
(
やなぎ
)
の
葉
(
は
)
で、さら/\と
擽
(
くすぐ
)
られたやうに、
他愛
(
たわい
)
なく、むず/\したので、ぶる/\と
肩
(
かた
)
を
搖
(
ゆす
)
つて
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「なるほどね、そう聴くと一向
他愛
(
たわい
)
もありませんね。おい、手代さん、遠慮することはねえ、親分は見通しだ、ズッと入って来なさるがいい」
銭形平次捕物控:119 白紙の恐怖
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
年齢
(
とし
)
には増せた事を言い出しては両親に
袂
(
たもと
)
を絞らせた事は
有
(
あっ
)
ても、又
何処
(
どこ
)
ともなく
他愛
(
たわい
)
のない所も有て、
浪
(
なみ
)
に漂う
浮艸
(
うきぐさ
)
の、うかうかとして月日を重ねたが
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
二畳敷の真中に縫物をひろげて、その上に
他愛
(
たわい
)
なく突ッ伏していたお時は、急に顔を上げた。そうしてお延を見るや否や、いきなり「はい」という返事を
判然
(
はっきり
)
して立ち上った。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
二つの
手桶
(
てをけ
)
に
溢
(
あふ
)
るるほど
汲
(
く
)
みて、十三は入れねば成らず、大汗に成りて運びけるうち、
輪宝
(
りんぽう
)
のすがりし
曲
(
ゆが
)
み歯の水ばき
下駄
(
げた
)
、前鼻緒のゆるゆるに成りて、指を浮かさねば
他愛
(
たわい
)
の無きやう
成
(
なり
)
し
大つごもり
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
そして
天罰
(
てんばつ
)
とはいえ重傷を負っている烏啼を、遂に
他愛
(
たわい
)
なく
引捕
(
ひっとら
)
えた。
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そこを狙って孫兵衛がポンと放したから
他愛
(
たわい
)
もなく
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と
知
(
し
)
りつゝ、
魂
(
たましひ
)
から
前
(
さき
)
へ
溶
(
とろ
)
けて、ふら/\と
成
(
な
)
つた
若旦那
(
わかだんな
)
の
身體
(
からだ
)
は、
他愛
(
たわい
)
なく、ぐたりと
椅子
(
いす
)
に
落
(
お
)
ちたのであつた。
于二女之間恍惚夢如
(
にぢよのあひだにくわうこつとしてゆめのごとし
)
。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
もう
二十歳
(
はたち
)
にもなつて、
大丸髷
(
おほまるまげ
)
の赤い
手柄
(
てがら
)
が可笑しい位なお靜が、
平常
(
ふだん
)
可愛がられ過ぎて來たにしても、これは又あまりに
他愛
(
たわい
)
がありません。
銭形平次捕物控:024 平次女難
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
透
(
すか
)
さず
追蒐
(
おっか
)
けて行って、又
咥
(
くわ
)
えてポンと
抛
(
ほう
)
る。
其様
(
そん
)
な
他愛
(
たわい
)
もない事をして、活溌に元気よく遊ぶ。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
こんな
他愛
(
たわい
)
もない会話が取り換わされている間、お延はついに社交上の一員として相当の
分前
(
わけまえ
)
を取る事ができなかった。自分を吉川夫人に売りつける機会はいつまで
経
(
た
)
っても来なかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
『はははは、そんな
他愛
(
たわい
)
のない事か』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
当前
(
あたりまえ
)
です、学校の用を欠いて、そんな
他愛
(
たわい
)
もない事にかかり合っていられるもんかい。休暇になったから運動かたがた来て見たんだ。」
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「八、もう一度やり直しだ。こんなに
他愛
(
たわい
)
もない殺しで、こんなに骨を折るのは珍らしい。下手人になり手が多過ぎたよ」
銭形平次捕物控:099 お篠姉妹
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
宗助は父の死んだ時、東京で逢った小六を覚えているだけだから、いまだに小六を
他愛
(
たわい
)
ない小供ぐらいに想像するので、自分の代理に叔父と交渉させようなどと云う気は無論起らなかった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
跡は
他愛
(
たわい
)
のない
烟
(
けむ
)
のような物になって了う。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
地
(
つち
)
が急に柔かく、ほんのりと暖かに、ふっくりと綿を踏んで、下へ沈みそうな心持。
他愛
(
たわい
)
なく膝節の崩れるのに驚いて、足を見る、と
白粉
(
おしろい
)
の花の上。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
夜はお杉と同じ部屋に寝るが、二人ともよく眠るので、地震や近所の火事さえ知らずにいて、
翌
(
あく
)
る朝、よく店の者に笑われる話など、まことに
他愛
(
たわい
)
もない口振りです。
銭形平次捕物控:142 権八の罪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
何もする事のないこの長い
幕間
(
まくあい
)
を、少しの不平も云わず、かつて退屈の色も見せず、さも太平らしく、空疎な腹に散漫な
刺戟
(
しげき
)
を盛って、
他愛
(
たわい
)
なく時間のために流されていた。彼らは
穏和
(
おだや
)
かであった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
他愛
(
たわい
)
なく
頭
(
かしら
)
が
下
(
さが
)
つたと
云
(
い
)
ふのは、
中年
(
ちうねん
)
の
一個
(
いつこ
)
美髯
(
びぜん
)
の
紳士
(
しんし
)
、
眉
(
まゆ
)
におのづから
品位
(
ひんゐ
)
のあるのが、
寶石
(
はうせき
)
を
鏤
(
ちりば
)
めた
藍
(
あゐ
)
の
頭巾
(
づきん
)
で、
悠然
(
いうぜん
)
と
頤
(
あご
)
の
其
(
そ
)
の
髯
(
ひげ
)
を
扱
(
しご
)
いて
居
(
ゐ
)
た。
人参
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
夜はお杉と同じ部屋に寢るが、二人ともよく眠るので、地震や近所の火事さへ知らずに居て、翌る朝、よく店の者に笑はれる話など、まことに
他愛
(
たわい
)
も無い口振りです。
銭形平次捕物控:142 権八の罪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ずっと谷底の
古御堂
(
ふるみどう
)
の
狐格子
(
きつねごうし
)
の奥深く
点
(
とも
)
れたもののごとく、思われた……か思ったのか、それとも夢路を
辿
(
たど
)
る峠から
覗
(
のぞ
)
く景色か、つい
他愛
(
たわい
)
がなくなる。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
船頭の三吉が豫て仕掛けをしてあつたらしく、船底の栓が
他愛
(
たわい
)
もなく拔けるのと、卯八の必死の力が、荒れ狂ふ三吉を
舷
(
ふなばた
)
から川の中へ押し轉がすのと、殆んど一緒だつたのです。
銭形平次捕物控:091 笑い茸
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
先刻
(
さっき
)
の、あの雨の音、さあっと
他愛
(
たわい
)
なく
軒
(
のき
)
へかかって通りましたのが、
丁
(
ちょう
)
ど
彼処
(
あすこ
)
あたりから降り出して来たように、寝ていて思われたのでございます。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
といふ
他愛
(
たわい
)
もないもの。お駒どの、新の字と署名した、何の疑もない代物です。
銭形平次捕物控:057 死の矢文
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
またふわりと来て、ぱっと胸に当って、はっとすると、
他愛
(
たわい
)
もなく、形なく力もなく、袖を透かして
背後
(
うしろ
)
へ通る。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
錢形平次の顏を見ると、ガラツ八は
他愛
(
たわい
)
もなく縁側に崩折れて了ひました。
銭形平次捕物控:013 美女を洗ひ出す
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
徒
(
いたず
)
らに砂を握れば、くぼみもせず、高くもならず、
他愛
(
たわい
)
なくほろほろと崩れると、また
傍
(
かたわら
)
からもり添える。水を
掴
(
つか
)
むようなもので、
捜
(
さぐ
)
ればはらはらとただ貝が出る。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
こんな
他愛
(
たわい
)
のない掛合が、船の中の空氣をすつかり
柔
(
やはら
)
げてくれました。
銭形平次捕物控:024 平次女難
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
(ああ、ああ。)と
濁
(
にご
)
った声を出して
白痴
(
ばか
)
が
件
(
くだん
)
のひょろりとした手を
差向
(
さしむ
)
けたので、
婦人
(
おんな
)
は解いたのを渡してやると、
風呂敷
(
ふろしき
)
を
寛
(
ひろ
)
げたような、
他愛
(
たわい
)
のない、力のない
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何の
他愛
(
たわい
)
もありません、ほんの頸動脈をやられただけです。
銭形平次捕物控:057 死の矢文
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「余り気を入れると
他愛
(
たわい
)
がないよ。ちっとこう
更
(
あらたま
)
っては取留めのない事なんだから。いいかい、」
縁結び
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
平次は
他愛
(
たわい
)
もなく笑ひ乍ら、輕い心持で小屋を出ました。
銭形平次捕物控:028 歎きの菩薩
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
いや、こうも、
他愛
(
たわい
)
のない事を考えるのも、思出すのも、
小北
(
おぎた
)
の
許
(
とこ
)
へ
行
(
ゆ
)
くにつけて、人は知らず、自分で気が
咎
(
とが
)
める
己
(
おの
)
が心を、
我
(
われ
)
とさあらぬ
方
(
かた
)
へ
紛
(
まぎ
)
らそうとしたのであった。
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
可
(
いい
)
心持に、すっと足を
伸
(
のば
)
す、
背
(
せなか
)
が浮いて、
他愛
(
たわい
)
なくこう、その
華胥
(
かしょ
)
の国とか云う、そこへだ——引入れられそうになると、何の樹か知らないが、
萌黄色
(
もえぎいろ
)
の葉の茂ったのが、上へかかって
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
美人
(
びじん
)
に
見惚
(
みと
)
るゝとて、あらう
事
(
こと
)
か、ぐつたり
鏡臺
(
きやうだい
)
に
凭掛
(
もたれかゝ
)
つたと
云
(
い
)
ふ
他愛
(
たわい
)
なさ。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
おんぶするならしてくれ、で、
些
(
ち
)
と
他愛
(
たわい
)
がないほど、のびのびとした
心地
(
ここち
)
。
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お三重はもう、
他愛
(
たわい
)
なく娘になって、ほろりとして
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
他
常用漢字
小3
部首:⼈
5画
愛
常用漢字
小4
部首:⼼
13画
“他”で始まる語句
他
他人
他所
他人事
他家
他処
他事
他国
他目
他所行