“たわい”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
他愛70.5%
他哩6.6%
多愛6.6%
多曖4.9%
抵抗3.3%
他曖1.6%
分別1.6%
意義1.6%
正体1.6%
耐力1.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「成程ね、さう聽くと一向他愛たわいもありませんね。おい、番頭さん、遠慮することはねえ、親分は見通しだ、ズツと入つて來なさるがいゝ」
圭一郎はY町の妻の實家の近所の床屋にでも行つて髮を刈り乍ら他哩たわいのない他人の噂話の如く裝つてそれとなく事實を突き留めようかと何遍決心したかしれなかつた。が、いざとなると果し兼ねた。
業苦 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
「馬鹿な! もう日が暮れかゝつて居るぢやないか。」と、敬吉は、女の多愛たわいのない態度を叱責した。
海の中にて (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
成程そう云えば一つ卓子テエブルの紅茶を囲んで、多曖たわいもない雑談を交換しながら、巻煙草をふかせている間でさえ、彼が相当な才物さいぶつだと云う事はすぐに私にもわかりました。
開化の良人 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
あによめはどこからどう押しても押しようのない女であった。こっちが積極的に進むとまるで暖簾のれんのように抵抗たわいがなかった。仕方なしにこっちが引き込むと、突然変なところへ強い力を見せた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
私ども教員が一同教員室の卓子テエブルを囲んで、番茶を飲みながら、他曖たわいもない雑談を交して居りますと、どう云う時の拍子だったか、話題がまたあの二年以前の大地震に落ちた事がございます。
疑惑 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
こちのひいさまはな、それは/\しほらしうて……ほんに、ほんに、まだちひさうて、分別たわいもないことをうてゞあった時分じぶんは……お、あのな、パリスさまうて、お立派りっぱかたがな
ロミオ しッ/\、もうめた、めた! 足下きみ意義たわいもないことをばかりおやる。
ついに睫毛まつげとざしている奥を見るために、彼は正体たわいなく寐入った細君を、わざわざゆすり起して見る事が折々あった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
次第びくに、耐力たわいなく根を抜いて、すっと掻巻かいまきの上へ倒れたらしい心地がすると、ひしひしと重量おもみかかって、うむ、とされた同然に、息苦しくなったので、急いで、刎退はねのけにかかると
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)