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三味線
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しゃみせん
ふりがな文庫
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三味線
(
しゃみせん
)” の例文
このとき、
盲目
(
もうもく
)
の
母親
(
ははおや
)
の
手
(
て
)
を
引
(
ひ
)
きながら、十五、六の
娘
(
むすめ
)
が、
雪道
(
ゆきみち
)
を
歩
(
ある
)
いていきました。
母親
(
ははおや
)
は
三味線
(
しゃみせん
)
を
抱
(
かか
)
えていました。
旅芸人
(
たびげいにん
)
です。
雪消え近く
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
春雨の午後静かな内湯に浸りながら遠くに
三味線
(
しゃみせん
)
の爪弾きを聞いているような、うっとりとした、あなたまかせな気持になってきた。
メフィスト
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
彼は健三にその寄席で聴いたしかおどりとかいう
三味線
(
しゃみせん
)
の手を教えたり、またはさばを読むという隠語などを習い覚えさせたりした。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
阿呆陀羅経のとなりには
塵埃
(
ほこり
)
で灰色になった
頭髪
(
かみのけ
)
をぼうぼう
生
(
はや
)
した盲目の男が、
三味線
(
しゃみせん
)
を抱えて小さく身をかがめながら
蹲踞
(
しゃが
)
んでいた。
深川の唄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
昨夜、おばさん
三味線
(
しゃみせん
)
を持って東京へ帰り(私に
唄
(
うた
)
をうたわせ発声運動の目的で来たが私が避暑地の人達に聞かれるのを嫌がるので、)
鶴は病みき
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
▼ もっと見る
ちょうど
山姥
(
やまうば
)
がもう少しで上がるところで、銀子はざっと
稽古
(
けいこ
)
をしてもらい、
三味線
(
しゃみせん
)
を
傍
(
そば
)
へおくかおかぬに、いきなり切り出してみた。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
笛だ
三味線
(
しゃみせん
)
だと町内の若者は囃子のけいこに夢中になっている時で、騒がしくにぎやかな太鼓の音が寺道までも聞こえて来ている。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ペンペンは
三味線
(
しゃみせん
)
のことで、最初はあの音によって小児がつけた名であろうが、後には親兄姉でも、市中の人たちはこの語を使っていた。
野草雑記・野鳥雑記:01 野草雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
その事実に現われたことを申せば、
鳴物
(
なりもの
)
などの一条で、
三味線
(
しゃみせん
)
とか何とか
云
(
い
)
うものを、聞こうとも思わなければ何とも思わぬ。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「はい。お師匠さまのお
姪御
(
めいご
)
さんとやらが、
三味線
(
しゃみせん
)
のじょうずなかたで、近所のお子ども衆にお手ほどきしているとかいうことでござりました」
右門捕物帖:10 耳のない浪人
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「なあにかまやしないよ。別に悪いことをやっているんじゃない。これで
三味線
(
しゃみせん
)
がはいると、わしゃ、なかなか浪花節をうまく語るんだがなあ」
未来の地下戦車長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
書物も和書の本箱のほかに、洋書の書棚も並べてある。おまけに
華奢
(
きゃしゃ
)
な机の側には、
三味線
(
しゃみせん
)
も時々は出してあるんだ。
一夕話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そんなに両方から押しつけちゃ
厭
(
いや
)
だわという恰好をして、ボロンボロンと
猥褻
(
わいせつ
)
な
三味線
(
しゃみせん
)
の
音
(
ね
)
を
洩
(
もら
)
していたりした。
白昼夢
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
紫玉は耳を
澄
(
すま
)
した。道の
露芝
(
つゆしば
)
、
曲水
(
きょくすい
)
の
汀
(
みぎわ
)
にして、さら/\と音する
流
(
ながれ
)
の底に、聞きも知らぬ
三味線
(
しゃみせん
)
の、沈んだ、陰気な調子に合せて、
微
(
かすか
)
に
唄
(
うた
)
ふ声がする。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
料理屋の娘が
三味線
(
しゃみせん
)
というならきこえる(わかる)が、学校の歌うたいになってもはじまらんいわれて。マアちゃんやけおこして、ごはんも食べずに泣きよる。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
私は、見当もつかない
夜更
(
よふ
)
けの町へ出た。波と風の音がして、町中、
腥
(
なまぐさ
)
い
臭
(
にお
)
いが流れていた。
小満
(
しょうまん
)
の季節らしく、
三味線
(
しゃみせん
)
の音のようなものが遠くから聞えて来る。
風琴と魚の町
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
他の座敷にはみな客があり、片方では
三味線
(
しゃみせん
)
や
唄
(
うた
)
の声がするし、片方では高声で談笑するのが聞えた。
屏風はたたまれた
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
或は私の
空耳
(
そらみみ
)
であるかも知れないけれど、
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
それは
三味線
(
しゃみせん
)
の音のようであった。ふっと
跡絶
(
とだ
)
えては又ふっと聞えて来る音色の工合が、どうも三味線に違いない。
母を恋うる記
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
しかし僕は
三味線
(
しゃみせん
)
の浮き浮きした
音色
(
ねいろ
)
を
嫌
(
きら
)
いでないから、かえって面白いところだと気に入った。
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
美しい草花、雑誌店、新刊の書、角を曲がると賑やかな
寄席
(
よせ
)
、待合、
三味線
(
しゃみせん
)
の音、
仇
(
あだ
)
めいた女の声、あのころは楽しかった。恋した女が仲町にいて、よく遊びに行った。
一兵卒
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
「こりゃ一体、何だい。
三味線
(
しゃみせん
)
じゃない。胡弓か、えらい古い物だな」と男のような口のきき方をして、胡弓をうけとった。そして、あちこち
傷
(
いた
)
んでいないか見てから
最後の胡弓弾き
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
父は患者をことわっておおかみのような声で
謡
(
うたい
)
をうたう、母は
三味線
(
しゃみせん
)
を
弾
(
ひ
)
いてチントンシャンとおどる、そうして手塚は
箒
(
ほうき
)
をふるって、やあやあ者共と目玉をむき出す。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
三筋の糸を垂直に場面の上から下まで描き、その側に三筋の柳の枝を垂らし、糸の下部に
三味線
(
しゃみせん
)
の
撥
(
ばち
)
を添え、柳の枝には桜の花を三つばかり交えた模様を見たことがある。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
琴が、
生田
(
いくた
)
流のも山田流のも、幾面も
緋毛氈
(
ひもうせん
)
の上にならべてあった。
三味線
(
しゃみせん
)
も出ている。
江木欣々女史
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
竈
(
かまど
)
の前の土間にしょんぼり
蹲
(
うずくま
)
りながら、だるそうに打ち落される
杵
(
きね
)
の音や、しょぼしょぼと降る雨の音や、しっとりとしめやかにきこえて来る
三味線
(
しゃみせん
)
のしらべに聴き入りながら
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
三味線
(
しゃみせん
)
掛けの赤い
布
(
きれ
)
だの、鏡台に向いてもろ
肌
(
はだ
)
をおし
脱
(
ぬ
)
いでいる女たちだの、ちんとした長火鉢だの、
女竹
(
めだけ
)
のうえの
風鈴
(
ふうりん
)
だのを、いつのまにか、好ましい気持になって、のぞいて歩いた。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
おのが手作りの弁天様に
涎
(
よだれ
)
流して余念なく
惚
(
ほ
)
れ込み、
琴
(
こと
)
三味線
(
しゃみせん
)
のあじな
小歌
(
こうた
)
は
聞
(
きき
)
もせねど、夢の
中
(
うち
)
には
緊那羅神
(
きんならじん
)
の声を耳にするまでの熱心、あわれ
毘首竭摩
(
びしゅかつま
)
の
魂魄
(
こんぱく
)
も乗り移らでやあるべき。
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
以前
三味線
(
しゃみせん
)
の
門付
(
かどづ
)
けをしていた女であろうと、また、彼女の亭主の勘作がどこかの炭坑稼ぎにあぶれて、この村に流れこんで来た者であろうと、そんなことはまるで問題ではなかったのである。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
三味線
(
しゃみせん
)
をいれた小型のトランク提げて電車で指定の場所へ行くと、すぐ
膳部
(
ぜんぶ
)
の運びから
燗
(
かん
)
の世話に
掛
(
かか
)
る。三、四十人の客にヤトナ三人で一通り
酌
(
しゃく
)
をして廻るだけでも大変なのに、あとがえらかった。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
いけ年を
仕
(
つかまつっ
)
てもとかく人
真似
(
まね
)
は
輟
(
や
)
められぬもの、
況
(
まし
)
てや小供という
中
(
うち
)
にもお勢は
根生
(
ねおい
)
の
軽躁者
(
おいそれもの
)
なれば
尚更
(
なおさら
)
、
倐忽
(
たちまち
)
その娘に
薫陶
(
かぶ
)
れて、
起居挙動
(
たちいふるまい
)
から物の言いざままでそれに似せ、急に
三味線
(
しゃみせん
)
を
擲却
(
ほうりだ
)
して
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
ただ能では鼓を
重
(
おも
)
に用ゐる代りに、芝居では
三味線
(
しゃみせん
)
を重に用ゐる。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
只どこからか
微
(
かす
)
かに
三味線
(
しゃみせん
)
の
音
(
ね
)
がする。純一が云った。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
三味線
(
しゃみせん
)
にすがりて
盲
(
めし
)
ひ虫の宿
六百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
「おれは、
三味線
(
しゃみせん
)
の
音
(
ね
)
を
聞
(
き
)
かないようにして、
耳
(
みみ
)
を
押
(
お
)
さえて
通
(
とお
)
ったはずだ……。」と、こう
申
(
もう
)
しわけをしていってしまいました。
ある冬の晩のこと
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
この辺は
厳
(
きび
)
しいこのごろの統制で、普通の商店街よりも暗く、箱下げの十時過ぎともなると、たまには聞こえる
三味線
(
しゃみせん
)
や歌もばったりやんで
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
多少
耄碌
(
もうろく
)
している感じであった。少しは
三味線
(
しゃみせん
)
を弾けたようで、父のもとにくる女弟子に稽古をつけていたこともあった。
生い立ちの記
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
三味線
(
しゃみせん
)
を習うにも五六年はかかる。
巧拙
(
こうせつ
)
を聴き分くるさえ一カ月の修業では出来ぬ。趣味の修養が
三味
(
しゃみ
)
の
稽古
(
けいこ
)
より
易
(
やす
)
いと思うのは間違っている。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その人の芸人
肌
(
はだ
)
と来たら、
米櫃
(
こめびつ
)
に米がなくなっても、やわらか物は着通し、かりん胴の大切な
三味線
(
しゃみせん
)
を質に入れて置いて
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
何気なく裏町を通りかかって小娘の
弾
(
ひ
)
く
三味線
(
しゃみせん
)
に感動するようでは、私は到底世界の新しい思想を迎える事は出来まい。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
が、京子は蓄音機も加奈子の
三味線
(
しゃみせん
)
も、カルタ遊びも、本を読んで
貰
(
もら
)
うことも気に入らなかった。京子はむっつりとして菓子も果物も食べなかった。
春:――二つの連作――
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
やはり「お」の字のお
上
(
かみ
)
の話によれば、元来この町の
達磨茶屋
(
だるまぢゃや
)
の女は年々
夷講
(
えびすこう
)
の晩になると、客をとらずに
内輪
(
うちわ
)
ばかりで
三味線
(
しゃみせん
)
を
弾
(
ひ
)
いたり踊ったりする
温泉だより
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
三味線
(
しゃみせん
)
太鼓に合わせながら、エイサッサ、コラサノサッサと
婉
(
えん
)
になまめかしく舞い狂っているのです。
右門捕物帖:28 お蘭しごきの秘密
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
墨染
(
すみぞめ
)
の
麻
(
あさ
)
の
法衣
(
ころも
)
の
破
(
や
)
れ/\な
形
(
なり
)
で、
鬱金
(
うこん
)
も
最
(
も
)
う
鼠
(
ねずみ
)
に
汚
(
よご
)
れた布に——すぐ、分つたが、——
三味線
(
しゃみせん
)
を一
挺
(
ちょう
)
、
盲目
(
めくら
)
の
琵琶背負
(
びわじょい
)
に
背負
(
しょ
)
つて居る、
漂泊
(
さすら
)
ふ
門附
(
かどづけ
)
の
類
(
たぐい
)
であらう。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
又しても山、又してもみずうみ、多くの日は、ヒッソリと静まり返った旅館の部屋部屋、そして時たま聞えるものは、田舎
芸妓
(
げいぎ
)
の調子はずれの
三味線
(
しゃみせん
)
の音ばかりです。
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
たとえば哀音に
充
(
み
)
ちた
三味線
(
しゃみせん
)
を聞く時のような、
冴
(
さ
)
え
冴
(
ざ
)
えとした、透き
徹
(
とお
)
った清水のように澄み渡った悲しみが、何処からともなく心の奥に吹き込まれて来るのである。
母を恋うる記
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ちょうど勝手口に手塚の母が立っていた、光一は手塚の母がおりおり
三味線
(
しゃみせん
)
を
弾
(
ひ
)
いているのを見たことがあるので、いつもなんとなく普通の人でないような気がするのであった。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
いかなることにや、
此
(
この
)
島には鼠昔よりおびただしく、
元
(
もと
)
より小さき島なれば人も住まず、たゞ鼠のみなりといふ。この海を通ふ船にては、
三味線
(
しゃみせん
)
を引くことを船頭
堅
(
かた
)
く
留
(
と
)
めて許さず。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
時どき
三味線
(
しゃみせん
)
の
音
(
ね
)
や、人のざわめきが遠く聞えてくる、そのもの音の遠さと
賑
(
にぎ
)
やかさは、まるで過去からの呼びごえのように
遙
(
はる
)
かで、夏の宵の
侘
(
わび
)
しさをいっそう際だてるように思えた。
柳橋物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「
三味線
(
しゃみせん
)
なら、きこえるというたじゃないかあ」
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
坊主の娘だという一番
年嵩
(
としかさ
)
の、顔は
恐
(
こわ
)
いが新内は名取で、歌沢と常磐津も自慢の福太郎が、そういう時きっと呼ばれて、
三味線
(
しゃみせん
)
を
弾
(
ひ
)
くのだった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
“三味線”の解説
三味線(しゃみせん)は、日本の有棹弦楽器。もっぱらいて演奏される撥弦楽器である。四角状の扁平な木製の胴の両面に猫や犬の革を張り、胴を貫通して伸びる棹に張られた弦を、通常、イチョウの葉の形をしたで弾き演奏する。
(出典:Wikipedia)
三
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
味
常用漢字
小3
部首:⼝
8画
線
常用漢字
小2
部首:⽷
15画
“三味線”で始まる語句
三味線堀
三味線弾
三味線草
三味線箱
三味線包
三味線屋
三味線引
三味線彈
三味線棹
三味線糸