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餌
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えさ
ふりがな文庫
“
餌
(
えさ
)” の例文
日並が悪いでどうも喰いがたたねえ、昨日はひとつもあげなかっただあ、ところ島せえってこの沖に寄り場があるで、あそこなら
餌
(
えさ
)
を
麦藁帽子
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
(
手巾
(
ハンケチ
)
が落ちました、)と知らせたそうでありますが、
件
(
くだん
)
の
土器殿
(
かわらけどの
)
も、
餌
(
えさ
)
は
振舞
(
ふるま
)
う気で、
粋
(
いき
)
な後姿を見送っていたものと見えますよ。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そろそろ山の宿の方に近づきますと、綺麗に見える
隅田川
(
すみだがわ
)
にも流れ寄る
芥
(
ごみ
)
などが多く、それでも
餌
(
えさ
)
でも
漁
(
あさ
)
るのか、
鴎
(
かもめ
)
が下りて来ます。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
この利慾のふかい武士へ、
伊那丸
(
いなまる
)
という
餌
(
えさ
)
をもって
釣
(
つ
)
りにきたのは、いうまでもなく、武士に
化
(
ば
)
けているが、
八幡船
(
ばはんせん
)
の
龍巻
(
たつまき
)
であった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「釣れません。さかなの泳いでいるのは見えていながら、なかなか
餌
(
えさ
)
に食いつきませんよ。水があんまり澄んでいるせいですな。」
鰻に呪われた男
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
冬でも
藺
(
い
)
の笠を
被
(
かぶ
)
って浜へ出て、
餌
(
えさ
)
を拾って、
埠頭場
(
はとば
)
に立ったり
幸神潟
(
こうじんがた
)
の岩から岩を伝ったりして、一人ぼっちでよく釣魚をしていた。
入江のほとり
(新字新仮名)
/
正宗白鳥
(著)
それから船頭がまた
餌
(
えさ
)
をつける。「旦那、つきました」と言うと、竿をまた元へ戻して狙ったところへ振込むという訳であります。
幻談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
芸術というものは、いかなる
賤
(
いや
)
しい風来人にも渡される賤しい
餌
(
えさ
)
ではない。確かに一つの享楽であり、最も人を陶酔させる享楽ではある。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
吉雄
(
よしお
)
は、
学校
(
がっこう
)
へゆく
前
(
まえ
)
には、かならず、かわいがって
飼
(
か
)
っておいたやまがらに、
餌
(
えさ
)
をやり、
水
(
みず
)
をやることを
怠
(
おこた
)
りませんでした。
ある日の先生と子供
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「あれだ。おもしれえは
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
だぜ。千
吉
(
きち
)
は
妹
(
いもうと
)
のおせんを
餌
(
えさ
)
にして、
若旦那
(
わかだんな
)
から、二十五
両
(
りょう
)
という
大金
(
たいきん
)
をせしめやがったんだ」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
お澪を
餌
(
えさ
)
にしてこの上の大金儲けをするには、周助と伝吉が邪魔でしようがない、いろいろ考えた末、伝吉の家に忍び込んで灯までつけた上
銭形平次捕物控:095 南蛮仏
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
二頭の犬に代る代る
餌
(
えさ
)
を与えたり、じいやと二人でブラシをかけてやったりしたが、暫くすると茶の間へ戻ってぼんやり畳に寝そべっていた。
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「恭一はな」と、
鶏
(
にわとり
)
に
餌
(
えさ
)
をやりに出てきたおばさんが、きかしてくれました。「ちょっとわけがあってな、
三河
(
みかわ
)
の親類へ
昨日
(
きのう
)
、あずけただがな」
小さい太郎の悲しみ
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
前の日に磨いて立てかけて置いた銃や剣や背嚢の前に坐ると、独言を云いながら、ちょッぴりちょッぴりいじった。魚が
餌
(
えさ
)
でもつッつくように。
不在地主
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
このことはうなぎの住んでいる海底なり、
餌
(
えさ
)
なりがかわるからなのであって、うなぎは絶えずカンをはたらかし、餌を追って移動しているようだ。
鰻の話
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
金魚の
餌
(
えさ
)
を
貰
(
もら
)
いに来た女中は、「職人の手間賃が
廉
(
やす
)
くなったので
普請
(
ふしん
)
は今のうちだと
旦那
(
だんな
)
様はおっしゃるんだそうです」
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
つやつやした、まるまる肥った食用豚は、
檻
(
おり
)
のなかでのんびりと、ほしいままに
餌
(
えさ
)
を食べながら、ぶうぶういっていた。
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
しかしながら、これらはまだ、二人の苦役としてはなま優しい部類であって、最も始末に終えないのは、この悪魔どもの
餌
(
えさ
)
に対する偏癖であった。
ノンシャラン道中記:01 八人の小悪魔
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
それでもなお余ったのが
烏
(
からす
)
や
鼠
(
ねずみ
)
の
餌
(
えさ
)
となるのだが、中にはそれらの動物の目にも触れないで、
撓
(
た
)
わんだ枝のまま地に
埋
(
うずま
)
って腐っているのもあった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
と正三君は
餌
(
えさ
)
なしの秘法を説明したのだった。別段いいつけ口をするのではないが、安斉さんは若様がたご指導上の参考としていろいろとたずねる。
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
まるで聖書の中の
放蕩息子
(
ほうとうむすこ
)
のように売り物の豚に与える
餌
(
えさ
)
でもいいから、何か食べたくてたまらなく思ったが、それさえ食べさせてもらえなかった。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
中の一羽は静かに羽根を畳み、悠々とながれるように泳いでいたが、他の二羽はなにか
餌
(
えさ
)
でも見つけたのであろう。
南方郵信
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
餌
(
えさ
)
を拾う
雄鶏
(
おんどり
)
の役目と、
羽翅
(
はね
)
をひろげて
雛
(
ひな
)
を隠す
母鶏
(
ははどり
)
の役目とを兼ねなければならなかったような私であったから。
嵐
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ぜひにも二人三人手が
要
(
い
)
るゆえ、一両を
餌
(
えさ
)
にして人足共を狩り集めたのじゃ。小判を投げたは早乙女流の人選みよ。
旗本退屈男:10 第十話 幽霊を買った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
しかし竹の先に輪をつけて臭い泥溝をつついてアカイコ(東京でボーフラ)を取つては金魚の
餌
(
えさ
)
に売るといふ商売に至つては実に一点の風流気もない。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
お
下袴
(
したばかま
)
の糸をぬいて
釣糸
(
つりいと
)
になされ、お食事のおあとのご
飯
(
はん
)
粒
(
つぶ
)
を
餌
(
えさ
)
にして、ただでも決して
釣
(
つ
)
ることができないあゆをちゃんとおつり上げになりました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
が、それは罠の中の
餌
(
えさ
)
に、俺が喰い付いたのと、丁度同じだったのだ。彼奴は、俺を散々
餓
(
かつ
)
えさした揚句、俺の旧知を買収して、俺に罠をかけたのだ。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「この薬を飲んで利かなけりゃ、もうしかたがない、
皆
(
みんな
)
でいびってから、
餌
(
えさ
)
にしましょうよ、ひっ、ひっ、ひっ」
蟇の血
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
老主人チャンは、
籠
(
かご
)
の小鳥に
餌
(
えさ
)
をやっていたが、店の方をふりかえって、びっくりした。珍らしい
客人
(
きゃくじん
)
である。
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
餌
(
えさ
)
は牛乳、茶、スープ、キセリ、マンナヤ・カーシャ、やき林檎とオレンジの汁、その他は自身の皮下脂肪。
一九二九年一月――二月
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
或日彼は誰も宅にいない時を
見計
(
みはから
)
って、不細工な
布袋竹
(
ほていちく
)
の先へ一枚糸を着けて、
餌
(
えさ
)
と共に池の中に投げ込んだら、すぐ糸を引く気味の悪いものに脅かされた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
子供の時分に
蜻蛉
(
とんぼ
)
を捕るのに、細い糸の両端に
豌豆
(
えんどう
)
大の小石を結び、それをひょいと空中へ投げ上げると、蜻蛉はその小石を多分
餌
(
えさ
)
だと思って追っかけて来る。
烏瓜の花と蛾
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
まるで小鳥に
餌
(
えさ
)
をやるような
工合
(
ぐあ
)
いにお口に押し込み、のろのろといただいているうちに、お母さまはもうお食事を全部すましてしまって、そっとお立ちになり
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
眼の前へ振り
撒
(
ま
)
かれた
餌
(
えさ
)
の分前で同志討ちが始まろうというわけなんだから、全く浅ましいもんでげす。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
メレンスの
半襟
(
はんえり
)
一かけ、足袋の一足、
窃
(
そっ
)
と
他
(
ひと
)
の女中の
袂
(
たもと
)
にしのばせて、来年の
餌
(
えさ
)
にする家もある。其等の出代りも済んで、やれ一安心と息をつけば、最早彼岸だ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「俺か……」と泰軒は首すじをなで、「何分
餌
(
えさ
)
がようないでな、はははは。しかし、そういえば、このごろおぬし眼立って肥った。やはり徳川の飯はうまいとみえる」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
実際
餌
(
えさ
)
をやるときには、きっと誰かが扉をあけるにちがいないが、一年三百六十五日の間には何十とある猛獣の檻の扉を一つぐらいしめ忘れることはありそうなことだ。
動物園の一夜
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
なに、ほかの連中は皆忠義の士と言われたさに、名という
餌
(
えさ
)
に釣られて、眼を
瞑
(
つぶ
)
って死の関門へ飛びこもうとしているのだ。眼を瞑って死の関門へ飛びこむことは易い。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
餌壺
(
えつぼ
)
に
餌
(
えさ
)
を入れてやると、いきなり
嘴
(
くちばし
)
の先でとびかかって、あたり一面に
撒
(
ま
)
き散らしてしまう。
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
「坊ちゃんはいつも私に
餌
(
えさ
)
を下さるから、私がひとつ
唄
(
うた
)
を歌って坊ちゃんを起してあげよう」
朝
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
庭に
餌
(
えさ
)
拾う小雀は鷲の心を知らぬというが、小雀といえども鷲の心情を一から十まで誤解するのでない、その一
分
(
ぶ
)
二
分
(
ぶ
)
は確に理解するも、あとの七分通りが分らぬのである。
自由の真髄
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「一体誰がはじめにそんなものを欲しいと云い出したんだ」と人びとが思う時分には、尾羽打ち枯らしたいろいろな鳥が
雀
(
すずめ
)
に混って
餌
(
えさ
)
を
漁
(
あさ
)
りに来た。もうそれも来なくなった。
交尾
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
それは大きな
連城
(
れんじょう
)
の
璧
(
たま
)
を得た喜びにもまさっていた。そこで盆の上に
伏
(
ふ
)
せて飼い、粟や米を
餌
(
えさ
)
にして、手おちのないように世話をし、期限の来るのを待って献上しようと思った。
促織
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
そうして、
餌
(
えさ
)
についたら、もう占めたもんで……。まもなく、
飾り台
(
パデストール
)
のうえに、ちょこなんと乗る。
撞球棒
(
キュー
)
のうえへ玉をのせたのを、鼻であしらいあしらい
梯子
(
はしご
)
をのぼってゆく。
人外魔境:08 遊魂境
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
弾く妖精・モリエレルの下男・キャロウの乞食・女装に厚化粧した変態の美青年・椅子直しの
角
(
つの
)
らっぱ・鳥の
餌
(
えさ
)
売りの十八世紀の叫び・こうる天ずぼんの夜業工夫・
腹巻
(
ベルト
)
に剃刀を
踊る地平線:06 ノウトルダムの妖怪
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
『慈善を
餌
(
えさ
)
に利を釣る、巧くやつてるもんだよ。アノ
旅館
(
やどや
)
の贅澤加減を見ても解るさ。』
菊池君
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
はためき
号
(
おら
)
び、たちまち悪獣の
餌
(
えさ
)
に跳るがごとく突き寄らんとするや、若僧は怪しく叫びて谷に下れる森林の中に身を
退
(
すさ
)
り、妙念これにつづきて二者の姿見えずなる。若僧の悲鳴。
道成寺(一幕劇)
(新字新仮名)
/
郡虎彦
(著)
ランチュウの
子
(
こ
)
がありまして、こいつは、うまく
育
(
そだ
)
てりや、
大
(
たい
)
したものになるでしよう。いえ
値段
(
ねだん
)
はいいです。さしあげるんですよ。
餌
(
えさ
)
は、
当分
(
とうぶん
)
のうち、
卵
(
たまご
)
の
黄身
(
きみ
)
にしてください。
金魚は死んでいた
(新字新仮名)
/
大下宇陀児
(著)
確かに
蝦
(
えび
)
や
蟹
(
かに
)
と同じく甲殻類に属するが、蝦や蟹が活溌に運動して
餌
(
えさ
)
を探し廻る中に交って、
此奴
(
こいつ
)
だけは岩などに固着して、一生涯働くこともなく、餌の口に
這入
(
はい
)
るのを待っている。
進化論より見たる沖縄の廃藩置県
(新字新仮名)
/
伊波普猷
(著)
そのことのあった日から、わたしは恐怖ということを深く刻みつけられてしまったのです。まったくその十分間は恐怖の
餌
(
えさ
)
になって、その怖ろしさが絶えず私の心に残っているのです。
世界怪談名作集:15 幽霊
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
“餌”の解説
餌(えさ、え、じ)は、動物を飼育や捕獲するための食物。ベイト(en: Bait)とも呼ぶ。
動物が自らの糧として獲得する食料をいうこともあるが、この語義は掲載しない国語辞典もあり、「餌生物」や「餌資源」といった表現は「食物資源」や「採食資源」とすべきという指摘もある。
(出典:Wikipedia)
餌
常用漢字
中学
部首:⾷
15画
“餌”を含む語句
餌食
食餌
餌取
餌箱
香餌
薬餌
餌差
餌差町
餌付
餌桶
餌料
餌猪口
練餌
餌袋
好餌
餌物
摺餌
生餌
餌壺
餌取小路
...