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靴足袋
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くつたび
ふりがな文庫
“
靴足袋
(
くつたび
)” の例文
机の角へ右の足を載せて、少し穴の
開
(
あ
)
きそうになった黒い
靴足袋
(
くつたび
)
の親指の先を、手で
撫
(
な
)
でていたが、足を畳の上へおろすと共に答えた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
黒い上衣と短いズボンと白い
靴足袋
(
くつたび
)
と白い手袋とをつけたバスクは、これから出そうとする皿のまわりにそれぞれ
薔薇
(
ばら
)
の花を配っていた。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
鳥打帽
(
とりうちぼう
)
に
双子縞
(
ふたこじま
)
の
尻端折
(
しりはしおり
)
、下には長い毛糸の
靴足袋
(
くつたび
)
に編上げ靴を
穿
(
は
)
いた自転車屋の
手代
(
てだい
)
とでもいいそうな男が、一円
紙幣
(
さつ
)
二枚を車掌に渡した。
深川の唄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
仕立やの隣りには
此辺
(
このほとり
)
にて余り見ぬほど立派な西洋小間物を商ふ家があり
升
(
まし
)
たが、例のシヤツ、
靴足袋
(
くつたび
)
、
襟捲
(
えりまき
)
などが華やかにブラ
下
(
さが
)
つて居る
中
(
うち
)
に
黄金機会
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
低い軒に青い
暖簾
(
のれん
)
がかかって、淋しい日影に
曝
(
さら
)
された
硝子
(
ガラス
)
のなかに、
莫大小
(
メリヤス
)
のシャツや
靴足袋
(
くつたび
)
、エップルのような類が、手薄く並べられてあった。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
労働者などの
穿
(
は
)
く
靴足袋
(
くつたび
)
の跡で、ゴム裏の模様が型で押した様に浮出している、それが裏の土塀の所まで二列に続いているのは、賊の往復したあとだ。
何者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
常子は畳のなくなったことを大いに不平に思っているらしい。が、
靴足袋
(
くつたび
)
をはいているにもせよ、この脚で日本間を歩かせられるのはとうてい俺には不可能である。……
馬の脚
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そのお二人がお
濡
(
ぬら
)
しになつた
靴足袋
(
くつたび
)
を乾かしてお返しする時にお
艶
(
つや
)
さんのなすつた丁寧な挨拶を書斎に居て聞きながら、私は
病
(
やまひ
)
の本家が自分になつたと思つて苦笑しました。
遺書
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
麦稈帽
(
むぎわらぼう
)
を
鷲掴
(
わしづか
)
みに
持添
(
もちそ
)
へて、
膝
(
ひざ
)
までの
靴足袋
(
くつたび
)
に、
革紐
(
かはひも
)
を
堅
(
かた
)
くかゞつて、
赤靴
(
あかぐつ
)
で、
少々
(
せう/\
)
抜衣紋
(
ぬきえもん
)
に
背筋
(
せすぢ
)
を
膨
(
ふく
)
らまして——
別
(
わか
)
れとなればお
互
(
たがひ
)
に、
峠
(
たふげ
)
の
岐路
(
えだみち
)
に
悄乎
(
しよんぼり
)
と
立
(
た
)
つたのには——
汽車
(
きしや
)
から
溢
(
こぼ
)
れて
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
現に
唐物屋
(
とうぶつや
)
というものはこの間まで何でも売っていた。
襟
(
えり
)
とか襟飾りとかあるいはズボン下、
靴足袋
(
くつたび
)
、
傘
(
かさ
)
、靴、たいていなものがありました。
道楽と職業
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
刺繍
(
ししゅう
)
の衣をまとい、金銀を光らし、リボンで飾り立て、宝石を
鏤
(
ちりば
)
め、絹の
靴足袋
(
くつたび
)
をはき、白い鳥の羽をつけ、黄色い手袋をはめ、漆塗りの靴をうがち
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
木の蔭に乗物を立てかけておいて、お島は疲れた体を、草のうえに休めるために
跪坐
(
しゃが
)
んだ。
裳裾
(
もすそ
)
や
靴足袋
(
くつたび
)
にはしとしと水分が
湿
(
しと
)
って、
草間
(
くさあい
)
から虫が
啼
(
な
)
いていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
彼女が
靴足袋
(
くつたび
)
したる両足をば膝の上までも
現
(
あらは
)
し、其の片足を片膝の上に組み載せ、
下衣
(
したぎ
)
の胸ひろく、乳を見せたる半身を
後
(
うしろ
)
に
反
(
そら
)
し、あらはなる腕を上げて両手に後頭部を支へ
夜あるき
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
その画のまん中には一人の女が、こちらへ横顔を向けながら、小さな
靴足袋
(
くつたび
)
を編んでいる。
母
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
赤い
洋傘
(
こうもり
)
が股へ挟まったように
捌
(
さば
)
ける、そいつを
一蹴
(
ひとけり
)
けって黄色な
靴足袋
(
くつたび
)
を膝でよじって両脚を重ねるのをキッカケに、ゴム靴の爪さきと、
洋傘
(
こうもり
)
の柄をつつく手がトントンと刻んで動く、と
一所
(
いっしょ
)
に
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と云いながらちょっと顔の
向
(
むき
)
を換えると、
櫛
(
くし
)
を入れたての
濡
(
ぬ
)
れた頭が、空気の弾力で、脱ぎ棄てた
靴足袋
(
くつたび
)
といっしょになる。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
靴足袋
(
くつたび
)
もなしに
鉄鋲
(
てつびょう
)
の靴をはき、鉄輪を検査する番人の
金槌
(
かなづち
)
の下に朝晩足を差し出し、外からきた見物人には
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
ワイシャツも
汚
(
よご
)
れているし、よく見ると
靴足袋
(
くつたび
)
も
踵
(
かかと
)
に穴があいてるの。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
靴足袋
(
くつたび
)
を縫ったこともないけれども、自ら縫わぬ靴足袋、あるいは自ら織らぬ衣物の代りに、新聞へ下らぬ事を書くとか
道楽と職業
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
まだ新しい
背嚢
(
はいのう
)
を負い、手には
節
(
ふし
)
のあるごく大きな
杖
(
つえ
)
を持ち、足には
靴足袋
(
くつたび
)
もはかずに
鉄鋲
(
てつびょう
)
を打った短靴を
穿
(
うが
)
ち、頭は短く刈り込み、ひげを長くはやしている。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
柳
(
やなぎ
)
嚲
(
た
)
れて
条々
(
じょうじょう
)
の煙を
欄
(
らん
)
に吹き込むほどの雨の日である。
衣桁
(
いこう
)
に
懸
(
か
)
けた
紺
(
こん
)
の背広の暗く下がるしたに、黒い
靴足袋
(
くつたび
)
が
三分一
(
さんぶいち
)
裏返しに丸く
蹲踞
(
うずくま
)
っている。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ファヴォリットに至っては、ニンフにしてミューズの神だ。ある日ブラシュヴェルがゲラン・ボアソー街の
溝
(
どぶ
)
の所を通っていると、白い
靴足袋
(
くつたび
)
を引き上げ
脛
(
はぎ
)
を
露
(
あら
)
わにした美しい娘を見た。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
落人
(
おちゅうど
)
は
戦
(
そよ
)
ぐ
芒
(
すすき
)
に安からず、小野さんは軽く踏む青畳に、そと落す
靴足袋
(
くつたび
)
の黒き
爪先
(
つまさき
)
に
憚
(
はばか
)
り気を置いて
這入
(
はい
)
って来た。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「さあこの包みの中に、新しい着物と
靴足袋
(
くつたび
)
と毛布とがはいっています。」
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
それを
行灯袴
(
あんどんばかま
)
に、
膝頭
(
ひざがしら
)
まで
裁
(
た
)
って、
竪
(
たて
)
に
襞
(
ひだ
)
を置いたから、
膝脛
(
ふくらはぎ
)
は太い毛糸の
靴足袋
(
くつたび
)
で隠すばかりである。歩くたびにキルトの襞が揺れて、膝と
股
(
もも
)
の間がちらちら出る。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかも市人の姿を認むるや、一つの仕事があることを思い出し、
糧
(
かて
)
を得なければならぬことを思い出し、こがね虫のいっぱいはいった古い毛糸の
靴足袋
(
くつたび
)
や一束のリラの花などを売りつけようとする。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「おゝ、
左
(
さ
)
うだつたか」と
云
(
い
)
ひながら、
甚
(
はなは
)
だ
面倒
(
めんだう
)
さうに
洋服
(
やうふく
)
を
脱
(
ぬ
)
ぎ
更
(
か
)
へて、
何時
(
いつ
)
もの
通
(
とほ
)
り
火鉢
(
ひばち
)
の
前
(
まへ
)
に
坐
(
すわ
)
つた。
御米
(
およね
)
は
襯衣
(
しやつ
)
や
洋袴
(
ずぼん
)
や
靴足袋
(
くつたび
)
を
一抱
(
ひとかゝへ
)
にして六
疊
(
でふ
)
へ
這入
(
はい
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
そして今彼はそれらの小さな衣類を寝床の上に並べ、
襟巻
(
えりま
)
きを裳衣のそばに置き、
靴足袋
(
くつたび
)
を靴のそばに置き、下着を長衣のそばに置き、それらを一つ一つながめた。あの時彼女はまだごく小さかった。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
靴足袋
(
くつたび
)
まで新らしくしている男が、
他
(
ひと
)
の着古した外套を貰いたがるのは少し矛盾であった。少くとも、その人の生活に
横
(
よこた
)
わる、不規則な物質的の
凸凹
(
たかびく
)
を
証拠
(
しょうこ
)
立てていた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それから毛糸の
靴足袋
(
くつたび
)
。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
彼
(
かれ
)
の
襟
(
えり
)
の
白
(
しろ
)
かつた
如
(
ごと
)
く、
彼
(
かれ
)
の
洋袴
(
づぼん
)
の
裾
(
すそ
)
が
奇麗
(
きれい
)
に
折
(
を
)
り
返
(
かへ
)
されてゐた
如
(
ごと
)
く、
其下
(
そのした
)
から
見
(
み
)
える
彼
(
かれ
)
の
靴足袋
(
くつたび
)
が
模樣入
(
もやういり
)
のカシミヤであつた
如
(
ごと
)
く、
彼
(
かれ
)
の
頭
(
あたま
)
は
華奢
(
きやしや
)
な
世間
(
せけん
)
向
(
む
)
きであつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
昔しさる所で一人の客に紹介された時、御互に椅子の上で礼をして双方共
頭
(
かしら
)
を下げた。下げながら、向うの足を見るとその男の
靴足袋
(
くつたび
)
の
片々
(
かたかた
)
が破れて親指の爪が出ている。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「おお、そうだったか」と云いながら、はなはだ面倒そうに洋服を脱ぎ
更
(
か
)
えて、いつもの通り
火鉢
(
ひばち
)
の前に坐った。御米は
襯衣
(
シャツ
)
や
洋袴
(
ズボン
)
や
靴足袋
(
くつたび
)
を
一抱
(
ひとかかえ
)
にして六畳へ
這入
(
はい
)
った。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その
日
(
ひ
)
は
例
(
れい
)
になく
元氣
(
げんき
)
よく
格子
(
かうし
)
を
明
(
あ
)
けて、すぐと
勢
(
いきほひ
)
よく
今日
(
けふ
)
は
何
(
ど
)
うだいと
御米
(
およね
)
に
聞
(
き
)
いた。
御米
(
およね
)
が
何時
(
いつ
)
もの
通
(
とほ
)
り
服
(
ふく
)
や
靴足袋
(
くつたび
)
を
一纏
(
ひとまと
)
めにして、六
疊
(
でふ
)
へ
這入
(
はい
)
る
後
(
あと
)
から
追
(
つ
)
いて
來
(
き
)
て
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼の
襟
(
えり
)
の白かったごとく、彼の
洋袴
(
ズボン
)
の
裾
(
すそ
)
が
奇麗
(
きれい
)
に折り返されていたごとく、その下から見える彼の
靴足袋
(
くつたび
)
が模様入のカシミヤであったごとく、彼の頭は
華奢
(
きゃしゃ
)
な世間向きであった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
御米がいつもの通り服や
靴足袋
(
くつたび
)
を
一纏
(
ひとまと
)
めにして、六畳へ
這入
(
はい
)
る
後
(
あと
)
から
追
(
つ
)
いて来て
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
自分は
靴足袋
(
くつたび
)
の裏に
湿気
(
しめりけ
)
を感じて起き上ると、足の方に当る窓が
塵除
(
ちりよけ
)
の
紗
(
しゃ
)
で張ってあった。自分はいそいで窓を
閉
(
た
)
て換えた。ほかの人のはどうかと思って、聞いて見たが、答がなかった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
寒い夜などはひそかに
蕎麦粉
(
そばこ
)
を仕入れておいて、いつの間にか
寝
(
ね
)
ている
枕元
(
まくらもと
)
へ蕎麦湯を持って来てくれる。時には
鍋焼饂飩
(
なべやきうどん
)
さえ買ってくれた。ただ食い物ばかりではない。
靴足袋
(
くつたび
)
ももらった。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
靴
常用漢字
中学
部首:⾰
13画
足
常用漢字
小1
部首:⾜
7画
袋
常用漢字
中学
部首:⾐
11画
“靴”で始まる語句
靴
靴下
靴音
靴屋
靴脱
靴紐
靴底
靴拭
靴墨
靴尖